教官   作:takoyaki

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外伝97です

遅くなりました!!


てなわけで、どうぞ


「本当にどうでもいいですね」

 「おぉ、スゲぇな」

 会場に着いたスカーレットは、目を丸くする。

 会場のあちらこちらで、音楽が鳴り響いていた。

 「えーっと、ここは、ストリートライブエリアか」

 スカーレットは、パンフレットを見直す。

 音楽祭は、大きく分けて三つのエリアに分かれている。

 道端で演奏するストリートライブエリア、

 屋外のステージで演奏する屋外ステージエリア、

 屋内のホールで演奏する屋内コンサートエリア、

 ルイーズが演奏するのは、屋内コンサートエリアだ。

 パンフレットを見ながら考え込むスカーレットの隣からエラリィが現れる。

 「屋外ライブエリアには、食べ物もあるんだな」

 「いや、このエリアにも結構あるよ」

 更にベイカーも出てきた。

 両側に男共頭があり見づらい。

 「お、あの焼き鳥屋確か有名店だぞ。行くべきだ」

 「いや、屋外ライブエリアにはサンドウィッチあるよ。こっちにしようよ」

 「いやまて、屋内コンサートエリアには、レストランと一体になった会場もあるぞ」

 「レストラン?」

 「超有名店だぞ、ここ」

 「マジ?」

 「値段もそれなりだが、味は間違いないってのがもっぱらの評価だ」

 「あー…………それは行ってみたいね」

 「あぁ、もううるせぇな!!人のパンフレット覗き込みながら好き勝手言ってんじゃねーよ!」

 遂にスカーレットの我慢が限界に達した。

 二人は、肩をすくめながらスカーレットから離れる。

 現在のタイムテーブルは、クイーンがルイーズを見張っている。

 そのため三人が休憩中なのだ。

 そして、クイーンからはこの音楽祭を見て回るように指示が出ている。

 ルイーズを守りつつ、切り裂きジャックを捕まえるならある程度、この会場を知っていなくてはなくてはならない。

 そんなこともあり、三人は会場を見学中なのだ。

 「飯の話ばっかしてんなよ!!音楽の話は!?ここ、音楽祭だぞ!!」

 スカーレットがそう言うとベイカーは、不満そうに口を尖らせる。

 「だって、父さんと教官(あいつ)の演奏以外興味ないし」

 「思ってても言うんじゃねーよ」

 一応、変装している身としては教官と言うわけにはいかない。

 スカーレットは、疲れながらそう言う。

 「まあ、腹が減っては戦は出来ぬと言うだろ?」

 エラリィの作った疑似リリアル・オーブは、前ほどではないにしろカロリーを食うのだ。

 「…………わーったよ」

 スカーレットは、大きくため息を吐く。

 「なら、まずは焼き鳥から押さえていこう!!俺が買ってこようか?」

 「任せた」

 「じゃあ、あたしも」

 二人からお代を預かったベイカーが、焼き鳥屋の屋台に向かう。

 残ったエラリィとスカーレットは、人だかりの後ろの方から、ストリートライブを聴くことにした。

 ライブはギターの弾き語りだ。 

 演奏者の邪魔をしないよう、かと言って、離れすぎない、そんな距離を保ちながら聴いていた。

 「結構上手いよな?」

 スカーレットの感想にエラリィが頷く。

 「流石は、音楽祭というだけあるな」

 「あなた達、音楽祭に来るのは初めて?」

 後ろからそう声をかけたのは小洒落た老婦人だ。

 エラリィとスカーレットは、頷く。

 「楽しみ方は人それぞれだけど、音楽祭だからね。音楽に浸ってみるのも悪くないわよ」

 老婦人の言葉を聞きながら、焼き鳥を買って向かってくる男の姿がチラつく。

 ようは、遠回しに注意しているのだ。

 それはそうだろう。

 音楽に興味がなくてもいい。

 確かに飲食にも力を入れている。

 それも事実だ。

 だが、あくまでここは音楽を楽しむところなのだ。

 そこにわざわざ来ておいて、(まあ仕事なのだが)音楽に興味ないと言うのは、余りいいものではない。

 「そうっスね」

 「そうします」

 二人がそう答えると老婦人は満足げに頷き去って行った。

 すれ違うようにベイカーが戻ってきた。

 「?どうしたの?」

 「あたし達も含めて口には、気を付けようって話」

 一言礼を言いながらスカーレットは、焼き鳥を頬張りながら歩き出す。

 エラリィが焼き鳥を受け取りながら今あった事を説明する。

 「口は災いのもんだもんね」

 「「お前が言うな」」

 二人の声がそろった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 「それで、三人は今別のところにいると」

 「そう言うことです」

 クイーンとルイーズは、屋外ステージエリアで少し距離をあけ、襟に仕込んだ小型マイクで話していた。

 クイーンは変装し、ルイーズに食らいつく切り裂きジャックを狙っている。

 そのため無関係を装っているのだ。

 (意味があるかは分からないですけど)

 軍の中に切り裂きジャックがいるのだ。

 今更と言えば今更だ。

 「お、凄い。ストリートライブエリアに誰でも自由に弾けるストリートピアノがある。君も弾いてみたらどうだい?」

 「弾く弾かないの前に、そもそも弾けないですからね」

 「ちぇー、つまんないの」

 ルイーズは、不服そうにそう言いながらパンフレットを眺める。

 「…………因みに調子は、どうですか?」

 クイーンの質問にルイーズは、当たりを見回す。

 「今のところ異常は無いように見えるけど」

 「そっちじゃなくて、演奏の方ですよ」

 「あーそれ」

 ルイーズは、明らかに面倒くさそうに答える。 

 「ここに来るまででも大分色々聞こえてきたですよ」

 「……………」

 「軍からは、点数稼ぎ、恥ずかしくないのか、記事を覚えている観客からは、まだ軍にいたのか、マッドサイエティスト等々」

 例の研究所の事故は、未だに尾を引いている。

 ルイーズの評判は、そこから一向に進んでいない。

 そんな奴らが観客なのだ。

 「まともな演奏会になるんですかね」

 「別にならなくったっていいだろう?私を囮に奴らを捕まえることが出来ればいいんだから。演奏なんておまけだよ、おまけ」

 「そう割り切れないですよ、私は」

 クイーンは、ルイーズがどれだけ練習していたか知っている。

 詰め所には、ピアノがないためルイーズの姉から譲り受けたピアノで何度も練習していた。

 帰ってこない日も多々あった。

 「努力は結果を出すためにするもの。だから、見るべきは結果だ、とは分かっているんです」

 クイーンは、金髪の長髪揺らしながら少し目を伏せる。

 「でもね、努力してる姿を見たらやっぱり報われて欲しいと思ってしまうんですよ」

 ルイーズが満足のいく演奏が出来なかったならまだいい。

 だが、問題は、満足のいく演奏のはずなのにそれを前情報のせいでルイーズの演奏にケチが付いてしまうのは、見たくないのだ。

 ルイーズは、自分の軍帽を深く被る。

 「別にコンクールとかじゃあないんだ。そこは悲観しなくても大丈夫さ」

 「でも!!」

 「音楽を含めた芸術ってのは、結局、感じるのが先なんだよ『なんていい演奏をするんだ、クソみたいな奴なのに』とか『なんてひどい演奏なんだ、凄くいい人なのに』とかね」

 「……………」

 「陳腐な言葉だけどね、感想や評価には嘘をつけても、感じた自分には嘘をつけないのさ」

 そう言いきるルイーズにクイーンは、呆れながらもクスリと笑う。

 「大した自信ですね。自分の演奏は素晴らしいんだから酷評が出たら、それは全部嘘だと、そう言いたいんですか?」

 「大正解」

 深く被った軍帽からチラリと見える眠そうなたれ目には、自信が満ち溢れていた。

 「それじゃあ、そこまで言うなら楽しみしておくですよ」

 クイーンは、そう言いながら腕時計をチラリと見る。

 「そろそろ合流の時間です。ストリートライブエリアに行くですよ」

 「はいはい」

 ルイーズは、そう答えるとストリートライブエリアに向かって歩き出した。

 その後ろを少し距離を空けながらクイーンが続いた。

 

 

 

 

 

 「どうでもいいけどマッドサイエンティストって格好いいね」

 「本当にどうでもいいですね」

 






魔女見習いを探して見てきました。


なんかもう、泣いてしまいますよね。



では、また外伝98で( ̄∇ ̄)
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