IS・人並みの幸せ   作:1056隊風見鶏少尉

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七話『相部屋ですって』

 

 

 

 

 皆さんこんにちは。愛染朝陽です。今日は少し気分が優れません。

 クラス代表決定戦に参加することになった僕は今はそのことは頭の隅に置いて移動の真っ最中です。

 

 視覚に表示されている時間は12:23:24。つまりはお昼休憩だ。

 僕は部屋に向かってカラカラと車椅子で移動していた。

 食堂に向かっていく。

 

 『ありがとう、ございます』

 

 頼んだものはお粥をドロドロになるまで煮込んだもの。

 お粥の乗ったトレーを持ち、部屋まで持っていく。前に一夏君に誘われたことがあったが流石に断った。あっちに遠慮をかけさせたりしてしまう気がしたから。

 

 調べたところ、胃の3分の2が切除されているらしく、食べれるには食べるが、量は少量、流動食のようなものしか食べられない。

 なので栄養が偏ったりするため、栄養ドリンクを飲んでいる。部屋に行くのはそれを取りに行くためでもある。

 

 「――ふぅ」

 

 移動するのだって一苦労。食べるのだって一苦労、飲むのだって一苦労だ。

 最近になってようやく筋肉を動かすことが出来るようになったのだ。なのでやせ細った筋肉では動かすので精一杯だ。

 

 『ごちそう、さまでした』

 

 手を合わせて合掌。美味しかったです。作ってくれた人、ありがとう。

 

 トレーを返したところでお昼休憩が終わった。さて、午後の授業の開始である。

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 『――はあ……部屋の移動、ですか?』

 

 

 午後の授業が終わり、部屋に戻ろうとした時、山田先生に呼び止められ、そんなことを言われた。

 

 「はい、今案内しますね」

 

 僕は山田先生についていく。そうか、もうなのか早かったな。

 

 「ここ――1065号室ですね」

 

 感慨に浸っていると山田先生の声で我に帰る。

 

 はい鍵です、と僕の手に鍵を握らせてドアを開けてくれた。

 

 「私のお部屋にある荷物は私が持ってきますので愛染君はゆっくりしていてください」

 

 『ありがとう、ございます。そのご好意に、甘えさせて、いただきます』

 

 お礼を言うと山田先生は「いえいえ、うふふ」と可憐に笑って部屋を出て行った。

 部屋に入ると相部屋の人はまだ帰ってきていないようだ。

 

 『――おじゃまします』

 

 まだいない相部屋の主人に対して僕はそう呟いた。

 

 

 「――――あーっ、あいぜんくんだー!」

 

 それから数分後、部屋に入って来た人物は僕がいたことに少し驚いているようだった。

 

 『――どうも。布仏さん』

 

 来た人物は布仏本音。制服の裾がかなり余っているという特徴的な制服に着ており、全体的にマイペースな声と雰囲気を醸し出している女性だった。

 

 「あれー? なんであいぜんくんが私の部屋に?」

 

 布仏さんが疑問符を浮かべているので山田先生に言われたとおりのことを説明した。すると彼女は朗らかに笑って了承してくれた。

 

 「そっかー、これからよろしくねーあいぜんくん!」

 

 『はい。よろしくお願いします、布仏さん』

 

 布仏さんとの挨拶を済ませ、山田先生が荷物を持ってきてくれたのはそれから数十分後のことだった。お礼を言って受け取り、布仏さんにも手伝ってもらい、机に教材やらを置いてもらった。本当に助かります。

 

 

 

 

 

 

 夕食(雑炊美味しかったです)を食べ終え、各々がお風呂に入ったり、自由時間を満喫した後、時刻は午後11:23分。布仏さんは十時にはすでに就寝に入っていた。

 僕はというと机に向かって、勉強をしていた。

 やっていることは一週間前にやった『ISの基礎的運用方法・条約』、『ISの稼働実演記録』。

 『ISの稼働実演記録』は正直いってあまり見たくない。ISのコア中身からISスーツの装着など細かに書かれていたりするため、吐きそうになる。

 それを飲み下しながら進め、一時間。睡魔が顔を出し始めたので今日はここまでだな。

 

 パタンと教材を閉じる。『ISの基礎的運用方法・条約』、『ISの稼働実演記録』共に4割ずつしか分からなかった。後で布仏さんか、また山田先生に聞きに行こう。

 

 そう心に決めてから車椅子の座席を少しだけ後ろに倒し、目を閉じる。

 ベッドで寝ないのか? と聞かれればノーだ。まだ身体を動かせるだけの筋力がないので移動できないのだ。

 それでも睡眠に入るのは早く、深く寝れるタイプらしいので車椅子でも苦はない。

 

 『おやすみなさい』

 

 誰に言うでもなく呟いて数分、愛染朝陽は眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「寝たよね、あいぜんくん」

 

 それからさらに三十分後、寝ていたはずの住人がのっそりと起き上がり、朝陽の元に行き寝ているかどうか確認。

 

 それから部屋中を歩き回る。

 

 何かを回収しているかのように、設置しているかのように、しゃがんだり、飛び跳ねたり、置いている物を動かしたり。

 

 「――これでよーし」

 

 数分後、やり終えたといった顔で再び住人は眠りについたのだった。

 

 

 




おや?
 布仏本音のようすが……
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