俺が安息の日々を求めるのは間違ってないっ!よな? 作:春の雪舞い散る
ホワイトデーの奇跡後編
その次のテーブルには区役所の民生課の皆さん?何か2~3人見慣れない人が居るけどまぁ良いか?
「いかがでしたか?楽しんでいただけましたか?」
そう声を掛けると
「こういうのも結構面白いんだね、聞いたことはあったけどチョコレートフォンデュって案外簡単にできるんだって知ってビックリしたよ」
そう言われて
「僕も最初聞いたときは無理だと思いましたからやり方を習ったときはビックリしましたよ
僕は未成年だからまだ無理ですが皆さんは部署の飲み会かなんかの機会にチーズフォンデュを楽しまれてみてはどうですか?
いつものホームパーティーも一味変わるらしいですよ?まぁただの受け売りなんで僕自身は知りませんけど…
それではそろそろ次のテーブルに挨拶に回りますから皆さんも最後までお楽しみください」
そう言ってその場を離れ次のテーブルに向かった
その次は雪ノ下建設の営業所の皆さんで
「こんにちは、ずいぶん面白い企画なんだね?」
そう声を掛けて来たのは釜生田さんと言ったか?庶務課の人の中で一番話す人だ
「このメンバーで集まるのも三度目ですから…互いに気心も知れてきましたからね」
そんな他愛もないことを話ながら会場内を見回してみたがやはり企画が企画だけにバレンタインの時と違い男性の参加者が結構いる
もっとも大半は一緒のテーブルに居る女性陣に引っ張られてきたんだろうけどな
まぁそれについちゃあの頃の俺なら由比ヶ浜と雪ノ下に引っ張られてきたんだろうけどな…
そう考えたら何か不思議だな…
そう感慨に耽りながらフッと視線を戸部の方に向けると
「戸部君、これバレンタインの返事なんだけど前も言ったけど今は誰とも付き合う気はないよ」
そう言われて苦痛に顔を歪める戸部だが海老名さんは続ける
「でもね、戸部君…これも前に言ったけど先の事はわからないって…
そしてあたしの今の気持ちは仲良しグループの一人じゃなくて戸部翔と言う一人の人間と友達になり一歩前進してみても良いんじゃないかと思える自分が居るんだ…だから戸部君、あたしとお友達になってくださいっ!」
それまで賑やかだった会場がいつのまにか静まりかえっていて
「有難う、海老名さん…俺、もっと頑張るから…もっと頑張って海老名さんにその先に進んでくれる男になるからこれからも見ててよっ!」
そう言われて海老名さんも戸部の手を取り友情の握手を交わしていた
「良かったな、戸部…」
俺がそう呟くといつのまにか優美子が俺の右腕を取り
「皆八幡のお陰だよ…」
と、言い左腕を取る沙希も
「そうだね、あの男に変わるきっかけを与えたのも姫菜に見直させる機会を与えたのも皆八幡だからね?」
と、言いよくわかってないけーちゃんまでが
「はーちゃんカッコいいっ♪」
と、叫んで正面から飛び付き
「じゃあ私もお疲れさま、八幡っ♪」
そう言って背中から抱きついてきたけどじゃあってなんですか?じゃあって
いや、それより当たってますからね?貴女の大いなる夢と希望のつまったあれが当たってるんですけど…
はい、すいません…わかってましたよ、当ててると言うより押し付けてるんですよね?
ただほほ袋にひまわりの種を詰め込んだハムスターのようにほほを膨らませてにらむ一色が怖いので勘弁していただけないでしょうか?
勿論そんな細やかな俺の願いは聞き入れられず助けを求めたい彩加も笑ってみているだけだった
その後彩加の居るテーブルでバレンタインの時と同じくお互いにチョコに浸したものを交換して食べたのだが…
「八幡、好き嫌いはダメだよ?ちゃんと食べてね」
そう可愛い笑顔で言われて口から出すに出せずに変な汗をだらだら流している
(だ、誰がトマトなんか用意したんだよ?しかも彩加を使って俺に食わせやがって!)
そう思って辺りを見回したら不自然に視線をそらす小町に気付き
(小町ぃ~っ!)
そう思って睨んでいたら
「けーちゃ~んっ、蒼空ぁ~っ!これはーちゃんが好きだからあーんしてあげなっ♪」
そう言って言い笑顔を浮かべて二人に手渡すものはさっき彩加に食わされたものと同じサイズのもので沙希の良い笑顔を見ればそれが…
地獄を見た…幸いプチトマトだから一切噛まずに丸のみだがいったい何個のプチトマトを飲み込んだのやら考えたくもない…
こうして俺達のホワイトデー企画も無事終了し俺の黒歴史にも新たな一ページが書き加えられたのであった…
当分と言うか一生分のトマト食ったからもう二度と食わなくても言いよなっ!
そう俺は心の中で叫んだ
書き始めた当初の疑問、いくら結衣に甘えられたからと言って一方的な好意を相手(海老名姫菜)に押し付ける依頼を受けたのか?です
ちょっと考えれば母親が押し付ける見合い相手と結婚しなければならないかもしれない自分なのに…と
そしてそんなゆきのん事情を知りながら自分では何もせずに奉仕部に丸投げの葉山にそれを知りながら自己満足からゆきのんの事情と姫菜の気持ちを無視して依頼を受けた結衣
三人が何を思い一連の行動をとったかは知りませんが一傍観者として三人に言いたいのは
アナタのやり方嫌いだわ、もっと人の気持ちを考えてよ?
それがこのシリーズの原点です
短い間ではありましたがお付き合い有難うございます
手厳しいご意見も有りましたが感情の押し付けではなくなるほどと頷けたので素直に拝聴できました
次作はこのシリーズの続編になるか新シリーズになるかは未定ですがよろしければ是非ご一読をお願いします…ではでは
因みに八幡の誕生日にはそれぞれのヒロイン達(オリヒロも含みます)の物語を準備中ですのでお楽しみに