俺が安息の日々を求めるのは間違ってないっ!よな? 作:春の雪舞い散る
その夜ある意味陽のさんにお持ち帰りされた俺は雪ノ下の客間に泊まることになった
ママノ下さんが明日は朝から付き合って欲しいからだそうで家にも既に外泊の事は伝えてあるそうでてっきり食事の後に解散と思っていたら雪ノ下家本宅に案内されビックリしたものだ
翌朝すっかり大人しくなった雪ノ下も含めて雪ノ下家ノ皆さんとの朝食
すっかり静かになって落ち着いた由比ヶ浜は給仕として居合わせているがその姿に馴染めない俺的には落ち着かなかった
なんにしろ最近めっきり接触の無くなった二人の変化に驚く程だった
朝食後、早速昨日買ってもらったスーツに着替えると向かった先は意外や意外だがちょっと考えると当たり前の事なのだが建設中のホテル
つまり雪ノ下建設の現場の視察に来たわけだが勿論こんなところに来たのは初めてだから不思議な感じがした
完成予定図と現状をしきりに見比べる俺を勘違いした現場責任者が不快そうに
「何か問題でも有るのでしょうか?」
そう聞かれて
「そんなのは素人の俺がわかるはず無いじゃないですか?ただその…何と言えば良いのか…そう、とても不思議な気分なんですよ」
そう何とか言葉にすると俺の多分予想外に感じたんだろう
「不思議…ですか?」
そう聞き返してきたから
「えぇ、不思議ですね…今は何も無いこの空間がこうなるって思ったらなんか魔法みたいだな…
そんなことを想像したらなんかとても不思議な気持ちになったと言うか…なんか変ですよ?自分で言っててなんなんですが…」
パンフレットの完成予定図と未だ内装工事の始まってない屋内を見比べながら俺がそう言うと
「その話を聞いたらデザインを手掛けた者も喜ぶでしょう…
成る程、わざわざ奥様が現場の視察にお連れするだけの事のある青年だ…」
と、ナゼか変なことを言ったのに気に入られてしまった
お昼は早めに取ることになり移動中の道すがらにある小料理屋と言った佇まいの店でどうやらママノ下さんは顔馴染みらしい
昼御膳と言う日替わりランチを頼みママノ下さんと談笑…主に部活の話をしていると店の女将らしき人が現れ
「今日は珍しくお連れが居るんですね?」
そう話し掛けると
「料理を楽しみたい時は一人か気心の知れた者とでなければ楽しむどころの話ではありませんからね
この青年は現在外堀を埋め娘婿になってもらおうと画策中の男性で勿論娘とも親しいので無理矢理ではありませんよ?」
そんなぶっとんだ紹介をされ焦っていると
「うちの倅もそれくらいの覚悟があれば良いんですけどねぇ~っ♪」
そう辛うじて聞き取れた言葉に首を捻りつつ
(まぁたまたま聞こえてしまっただけで俺に聞かせるつもりの無い呟きを立ち入って聞くのも失礼に当たるし俺に何かできるわけでも無いのだからな)
まぁちょっとデートっぽくないですね?次話はそうでない予定ですが…それではまた次話お会いいたしましょう、ご機嫌よう