Fate/Survivor Order     作: エポナ

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第0.4節:主従

「あ・・・・・・」

 

どう見ても職員の年齢では無い男女と出会った。

 

少女の方は細身の白い肌、髪は銀色で顔の片目を覆っている。

何処か、危なげな仕草とそれにとても似合わない魔力の気配。

服装は白いパーカーに黒の制服、濃い赤色のネクタイを着用し眼鏡を掛けている

ネクタイにはカルデアの紋様なのだろう、ダイヤが二つ、上下部分を重ねられたマークが見受けられる。

 

ロマンや他の職員、自分の制服にもこのマークが付いている。

服装は他の者と違えど、彼女もまたカルデアの関係者であることが解る。

 

そして、もう一方、カルデアのマスター候補生が着用する制服を着た男。自分と同じ物を着ている男。

マスターとして人理の異常が観測された冬木という極東に位置する場所を修復した一般人。

所々跳ねているくせ毛に東洋人の肌、ライトブルーの瞳。

仕草はいたって凡庸、素人のそれだ。

もしくは素人以下なのかもしれない・・・が、まるで動揺している様子は見受けられない堂々とした態度。

 

しばしの沈黙の後、彼方から口が開かれた。

 

 

「えと、もしかしてアンタが目覚めたマスターなのか?」

 

「ああ、そうだ・・・お前は、運よく生き残った一般人だったか?」

 

「運よく、か。実際その通りだよ、あの場に居たら今頃俺もアンタたちと同じで眠っていたはずだから。

おっと、まだ名前を名乗ってなかったな。

俺は具田総司、これから一緒に戦っていくことになるんだ、よろしく頼む」

 

 

男は気の良い快活な笑みを浮かべ、此方に手を差し出してくる。

俺の嫌味にも取れるだろう返しを何も思ってはいない、むしろ此奴は気付いてさえいないのではないだろうか。

 

俺は直感した、善意の塊のような男だ、と

魔術師としてあろうとする俺とは、この件がなければ、おそらく一生関わることのなかった人種。

 

俺は差し出された手を握ることも、名を告げることもなく、問いかけた。

 

 

「具田総司、お前は何の為にマスターとなった。何故戦う?

お前が選ばれたのは数合わせだ、いくらでも逃げることは可能だったはず。

此処は経験したことのない世界、日常から外れたこの場に・・・どうしてお前はマスターでいる?

そうだ、もしマスターを辞退したいと言うのなら、俺が如何にかしてやれるかもしれないが・・・・・・」

 

 

理由など在るはずがない、そうだ、そうに違いない。

結果的にこの男は巻き込まれただけに過ぎないのだから。

それならば、この男からマスターの機能を移植すればいい。

失うことがあるのなら、他人への譲渡出来る可能性も―――――――

 

 

「それは出来ない」

 

「・・・・・・なに?」

 

「俺はマスターを辞退なんかしない。

確かに、アンタの言う通り俺は偶然選ばれただけだし、魔術なんてものなんにも知らない人間だよ。

でも、あの光景を・・・炎上する世界を見たからには逃げるわけにはいかないんだ。

それに、これはもう俺一人だけの問題じゃない。

消えてしまった所長の思い、ドクターの覚悟、マシュというパートナーの為にも。

俺は人類の未来を救うと誓ったんだから」

 

 

その器に似合わないだろう、『人類の未来を救う』という大層な妄言、この男は大馬鹿者でもあるらしい。

だが、俺はこの男に気圧されている事実が此処に在る。

揺るがない覚悟を宿した双眼がはっきりと俺を見据えている。

所詮は素人、運よく生き残った存在、故に心を揺さぶれば弱みが直ぐに出るだろうと侮った。

自らの失態に対する葛藤、なにより・・・俺はこの男を直視出来ていないことに対し、

自分自身の予想外な精神の脆弱さに怒りを覚えた。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「どうしたの? 俯いて?

あ、そうだ、数少ないマスター同士なんだし、これから一緒に模擬戦闘とかどうかな。

魔術師としてはそっちが比べられない程上だけど、サーヴァントと戦うのは俺の方が先だし、

早めに慣れて置いたほうがいいだろ?

ドクターが近々特異点に向かわないといけないって……あっ、ちょっと!」

 

 

俺は無言でその場から立ち去った。

サーヴァントを従えることが出来ないと、目の前の男に告げるのが嫌だったのか

それともただ単に、この男と同じ場所に居るのが嫌だったのか

あるいは自分自身への怒りと劣等感からか

はっきりとしていなかった。

 

 

「行っちゃった・・・・・・マシュ、俺なんか気に障ること言ったのかな?

結局、名前も聞けなかったし、握手もして貰えなかったよ。

もしかして彼コミュ症だったのかな?

でも、ドクターとか見てると魔術師全員がそういう訳じゃなさそうだよね」

 

 

「私、会話に混ざることも出来ませんでした・・・・・・。

自己紹介したの先輩一人だけでしたし、後でもう一度顔合わせをしておきましょう

カルデアの仲間、ですからね・・・でも変な人でした」

 

 

 

2人は他愛の無い話を交わしながら、自室へと向かって行った。

 

数少ない生存したマスター同士の奇妙な出会いは、良いものと言えるものではなかったのは確かだろう。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

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――――――

・・・・・・

・・・

 

白一色、廊下と全く同じようような部屋。

違う点で言えばベッドやシャワールームがあり、個室であるということだけだ。

やはり、気が狂うような施設だと感じる造りである。

 

そしてセージ・C・アコニートゥムは端的に言えば後悔していた。

流石に感情に流されるままだった、と

魔術師らしからなぬ冷静さを欠いた浅慮な行動をしてしまったのだと。

 

元々、彼は会話スキルが上手な方ではなく、また、人との調度いい接し方がよく解っていない。どこかぎこちなく感じる。

これまで生きてきて、完全な他人と会話したのが今日が初であるというのもあるだろう。

 

 

彼の生活は魔術師らしいものであり、そして彼個人の魔術師としての可能性が潰えたものでもあった故に

 

人としても、魔術師としても完成に至っていない、不完全な人物。

 

 

「・・・・・・そういえば彼奴、近いうちに特異点に向かうと言っていたな・・・・・・」

 

レイシフトに関係すること、人理修復の事を言ったのだと確信する。

俺には参加する権利はある。 参加する為の道理は通っている。

 

あの男でも生き残れたのだから、俺も当然、いや奴以上に安全に作業を終えることが出来るはずだ。

 

人理修復を果たし、己が真なるマスターであるということを証明する。

それこそがセージ・C・アコニートゥムの存在証明、俺だけの勲章となる。

 

 

ロマンを説得する必要があるが・・・具田総司、あの男を引き合いに出せば、なんとか出来る。

上手くいかなければ仕方がない、強引な手段で押し切る他ない、か。

 

そう、考えている内に瞼がだんだんと落ちてきている。

保管されている状態から目覚めて数時間程度、身体の疲労は残っているようだ。

 

時間帯も把握できないが、今日はもう眠りにつくとしよう。

 

いつもと違う暖かな微睡へと落ちて行った。

 

 

 




ぐだおの名前は具田総司(ぐだ そうじ)となっています

安直な名前である
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