俺は竈の女神様   作:真暇 日間

313 / 330
竈の女神、町作り~2

 

 最低限必要なものは、食事だ。住む所ははっきり言えばテントのようなものでもなんとかなるし、着る物は無くても死にはしない。ただ、食わなければ間違いなく死ぬ。だからこそ、食事だけは絶対に必要になるわけだ。こうなるならダンジョンから食料になる物を持ってこられるようにしておくんだったと思わなくもないが、今更だし仕方がない。

 そこで俺はまず畑を作った。耕して、種を蒔き、ついでにダンジョンの奥深くに住んでいた白い竜を手懐けて食事を不要にしてから畑の守りとしておく。まあ、番犬代わりと言ったところか。あるいは本来のギリシャ神話においてコルキスで黄金の毛の羊の皮を守り続けたと言われる眠らずの竜か。

 畑の次は簡単な、しかし数十人が余裕を持って暮らせる大きな家を作り、それから世界の様々な場所から様々な種族の子供たちを集め、教育していった。

 その頃にはゼウスやヘラ、ウラノスもそれなりに名が知れており、多くの種族がこの迷宮都市に集まろうとしていた。

 

 人が集まればそこには集落ができ、町となり、そして法が生まれる。ある種の法の守り手としてウラノスのギルドが生まれ、ゼウスとヘラの作り上げた集団……『ファミリア』が成り立ち、少しずつ町として出来上がっていった。

 ちなみにだが、洩矢神はモンスターの方をどうこうしていることの方が多かったりする。モンスターには基本的に本能しか存在しないが、ダンジョンの中で死んだ存在の魂を持ったモンスターを作り上げるとたまに生まれ変わる前の知識などを持ったモンスターが生まれる事がある。魂が人間寄りなので周りのモンスターに襲われたりするが、まあモンスターがモンスターを襲うと言うのもままあることだ。何もおかしくはない。

 

 そんな感じで人が勝手に増えていく環境を作ってからは、俺はあまり大きなことはしないようになった。孤児の守護者の権能を使って孤児になりそうな子供、つまり貧困から売り飛ばされたり、両親が病気で死んでしまった子供、そう言った存在を集めて自分の力で生きて行けるようにしてやるくらいだ。

 そして、町は少しずつ大きくなっていく。人が増えれば金の流れが生まれ、金の流れが生まれればどんどんと大きくなっていく。経済とかは俺の本業じゃないんだが、今の所金貨やら何やらを作れるのは俺しかいないからとりあえず貨幣を鋳造していく。金銀銅と分けられている印象が強いが、実際に使うとなるとそれ以外にも必要となってくることが多い。石とか鉄で作られたもので、ついでに言うと石で作られているものは偽造しても問題ない程度の価値しか無く作る。そうすることで少しずつ俺の負担も減っていく。

 と言うか、なんで俺が大陸中の貨幣を作らなきゃなんねえんだよやってられるかクソが。銀行システム作って不労所得でのんびり暮らすのも悪くないが、そう言うシステムを作ったとしてももっとダンジョンに潜って死んでくれる奴が増えないとそう言う生活はできないんだよな。金やら何やらを預けたまま死んだら遺書とかそう言う物が無い限りこっちの懐に入れてもバレないからな。

 ……まあ、不労所得があったとしても俺は今まで通りのんびり働くけどな。暇潰しにもなるし。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。