比企谷八幡のボーダー活動   作:アラベスク

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今回は少し3巻のオマージュが入ります。


八幡、ボーダーへ③

カピバラの雷神丸がボーダーに入隊した。何故動物がと言われればそこまでなのだが、なんでも林藤の子である陽太郎は動物と意思疏通が出来るサイドエフェクトを持っているらしい。まだ1歳くらいの小さな子供が意思疏通とは大したものだが、端から見ればじゃれあっているようにしか見えなくて微笑ましい限りである。

 

 

 

さて、こうして漸く面子も揃った。ここに来たのは他でもない八幡の適正を調べるのと今後、近界らの侵攻に備えて戦い方を学ぶためだ。

 

 

「ねぇ、比企谷さん」

 

「どうした小南?」

 

「本当にこいつトリガー起動してトリオン兵を倒したって言うの?どうみたって素人くさいし、なんか弱そう」

 

「そうだな。八幡はまだまだ何も知らないガキンチョだからな。小南が色々教えてやってくれ」

 

「まぁ、比企谷さんに頼まれたなら仕方ないわね。でも言っとくけど私弱い奴は嫌いなのよ。私が教えるんだから強くなりなさいよね」

 

いきなり師匠面する同年代の少女にただただオロオロするばかりの八幡は、控えめによろしくと答えた。ただはっきりしない態度に小南はイライラしていたが、世話になっている比企谷の頼みだし、八幡の性格を察してやる方向で鍛えることにした。

 

「そういえばこいつトリガー持ってるの?」

 

「一応俺のを渡してあるぞ。もう俺には必要ないからな」

 

「そっか、その右腕じゃ……」

 

小南は七曜の垂れ下がった右袖を見ると痛ましい気持ちになる。あの時トリオン切れさえしなければ今もそこにあったかもしれない右腕。そして、彼のような優秀な隊員の損失。だが、その穴を埋めるべくまずは彼の息子を使い物くらいには鍛えてやると小南はここで決意した。

 

 

 

小南に連れられて来たのはこの基地にあるトレーニングルームだ。とても広い空間でトリガーを使って作られているので広さを調節など可能らしいが、そこら辺の事を聞くと小南はよくわからないから私に聞くなと一蹴されてしまう。

 

「はっきり言ってあたし感覚派だから他人を鍛えるの苦手なの。まぁ比企谷さんの頼みを無下には出来ないから精々頑張って」

 

「はぁ…よろしく」

 

「とりあえずトリガー起動して、ボコボコにしてあげるからなんで負けたかあとでゆっくり考えるといいわ」

 

「わかった。トリガー起動」

 

八幡はポケットから父七曜から受け継いだトリガーを起動して戦闘体へと換装する。青を基調としたジャージータイプの戦闘服に身を包み、右手に武器であるブレード型のトリガー『弧月』を手に取る。

 

(戦闘体になったら目付きが変わった?こいつは中々やるかもしれないわね)

 

小南は少しだけ興味を抱くと自分も戦闘体へと換装した。

 

「さーて、どっからでも掛かってきなさい!」

 

「いくぞ!!」

 

 

 

 

 

2時間後、長い訓練で八幡はボコボコにされ魂が抜けたかのようにぶっ倒された。しかし、その中で八幡は最後の最後で1勝

だけを辛くももぎ取ったと言う。

 

「小南、八幡のやつどうだった?」

 

「今のところはまだまだってところね。まぁセンスだけは比企谷さんの息子って事で買ってあげるわ」

 

「ほう、あの桐絵お嬢ちゃんからお墨付きを貰えるとは、八幡も大したもんだな」

 

「んな!?お嬢ちゃんって私を子供扱いするなぁ!!」モギャアアア

 

「ははははっまだまだ俺から見たらお嬢ちゃんだよ」

 

七曜は逐一八幡と小南の訓練風景をモニター越しに見ていた。まだまだ青臭くて動きに無駄がある。つい最近まで何も知らない、スポーツや格闘技すらしていない小学生だった八幡だか最後の最後に意地で見せた勝ち星に七曜は及第点を与えた。だが、それでも足りない。近界と戦うにはまだ八幡は早すぎる。大規模侵攻の時のような死と隣り合わせのような緊迫したような展開を除いて八幡にはまだ覚悟と度胸が足りていない。精神的にも肉体的にも幼い八幡だが、今後の鍛練で身に付けて一人前になれば、父親を越える逸材にもなりうるかも知れない。

 

「まぁ俺の代わりに精々頑張ってくれよ」

 

ぶっ倒されて床にねっ転がる八幡に毛布をかけて未来に希望を託す七曜は煙草を吸うために外に出た。

 

 

 

基地の屋上で七曜は煙草を吸っていた。そこに林藤も現れ自分もと胸ポケットから煙草を取り出して火を着ける。

 

「いやー八幡くんボコボコにされてましたね」

 

「当たり前だろ、あいつ運動は出来ても戦いははじめてだからな。まぁ今後に期待だな」

 

「それはごもっとも。しかし、最後の動き。あれには驚いた。モニター越しなのに殺気がビンビン伝わって冷や汗が出ちまいましたよ。あの歳の子が見せるような目付きじゃなかった。最後だけは狩る側が狩られる側に転じてた。正しく窮鼠猫を噛むでしたな」

 

「あいつがああなっちまったのは俺のせいだ。あの時もう少し早くたどり着いてたらって思うと、胸が痛む。息子を死地に送る気分だ胸くそ悪い。俺がこんなばかりあいつに負担をかけにゃならないのが歯痒いよ」

 

「お気持ち察しますよ。俺ももうすぐトリオン器官が限界を迎える。そうなった時次に託すのは俺らより一回りも若い連中に戦いを任せなきゃならくなる」

 

「そうだな。俺は先に引退させてもらうが、あいつらを無理しないように支えてやるのが大人の勤めだろ?」

 

「そうですね」

 

 

 

 




そういや陽太郎って林藤支部長の息子って明言されてましたっけ?とりあえず名字も一緒だし、ヒロシで准将似だから父親ってことで。



-小ネタ-


『八幡は隠れ名人』


宇佐美「ハッチ―って妙に索敵上手いよね」

小南「そういえば昔からかくれんぼは上手かったわね。見つけるの早いし、それでいて見つからなくてよく忘れらてたわね」


折本「何それウケるwww」

本牧「それで帰った後に気づいて比企谷迎えに行ったんだけどそれでも見つからなかった時もあったからな」

比企谷「その時は流石に泣いたわ」

宇佐美「うむ、これはもしや認識を阻害するサイドエフェクトだったりして」

小南「ないない。こいつの影の薄さはデフォルトだから」

折本「まぁ今はボッチじゃないからちゃんと見つけてあげるよ隊長」

本牧「そうだぞ隊長」

比企谷「ふん」アリガトヨ


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