新人神喰いさんが適合試験失敗で逆にアラガミに食べられたお話。 作:白兎-臨音
今回はとうとう戦闘回です。やっとやってまいりました、ゴッドイーターの醍醐味とも言えるハイスピード討伐アクション。
私のような素人が文章でそれを表現できるかはわかりませんが、精一杯やっていくのでどうか、どうか温かい目で見守っていただけるとありがたい。
では。あーゆーれでぃ?
俺は唐突にジュリウス隊長から神機保管庫に呼び出され、多少の困惑を覚えながらもそれに従った。
それが、数分前。
以上、現在の状況確認終わり。
____いやいやいや、そうじゃない。
____なんで、なんでこうなってるんだ?
俺にそう思わせる原因は一つ。自分の眼の前に置かれた一つの物が原因だった。
それは明らかに神機なのだが、なにか俺の聞かされている神機とは違っている気がした。
いや、気がしたどころじゃない。完全に違う。
本来なら近接パーツがつくはずの部位には禍々しくトゲトゲしい黒い刃が付いていて、模様のような罅割れからは赤とも紫ともつかない色の淡い光が漏れ出ている。同じような素材で統一された盾や銃のパーツを見ると、逆に通常通りのパーツな持ち手などが浮いて見えた程度には、その神機はおかしな見た目をしていた。
「これが、君の神機なんだけどね」
俺の表情に困惑を認めたのか、隣に居たリッカさんが俺に言う。
「君がアラガミ化すると同時に活性化して、知っての通り神機も人口のアラガミなんだけど……野生の本能を取り戻しちゃったみたいなんだよ、ね」
「野生……?」
「平たく言っちゃうと、君のアラガミ化に感応して神機も活性化しちゃったみたいなの。今はこれでも落ち着いてる方だから、多分普通に使えるとは思うんだけど、何かあってからじゃ困るからおかしなことがあったらすぐに私に言いに来てよ? 良い?」
途中からグイグイと俺に寄って言ってくるリッカさんに押されつつ、整備士故か気にしてないような身体のラインが服越しに____平たく言えば、彼女の柔らかい胸が彼女の薄手の作業着越しに俺に触れていて、昨日のリヴィさんの件以来話のわかる奴を見つけたと言わんばかりにグイグイと話かけてきた師匠……じゃないハルさんの顔が、「普段は意識していなかった貧乳がふとしたことで思ったよりあるなって気付かされてドギマギするのって良いよな」なんて言いながら爽やかな笑みで浮かぶ物だから話なんてそれどころじゃなくて、「もう、話、ちゃんと聞いてる?」と身長差故の上目遣いでリッカさんに言われてしまう。
今度は「身長差で見上げられるシチュって高確率で胸元が覗けるんだ」とか言ってるハルさんが脳内に出てきてああ今は大事な話してるんで帰って下さい師匠。
俺の脳内で繰り広げられたそんな葛藤を知ってか知らずか、リッカさんは神機の説明を続ける。
____あれ? そういえばジュリウス隊長はどこにいったんだろう。俺をここに呼びつけたはずなのに。
リッカさんの話が終わった頃でその事に気付いた俺は、とりあえずリッカさんなら何か知っているかと聞いてみる。
「ジュリウス隊長がどこにいるかって、知りません?」
「ああ、ジュリウスなら出撃ゲートに居るはずだよ。君に神機を持って来いと伝言を伝えてくれって言われてたの、すっかり忘れてたよ」
その答えを聞いた俺は、言われた通りに神機を持って、リッカさんの注意を頭の中で反芻しながら出撃ゲートへと駆け出していった。
「ジュリウス隊長、ぜぇ……はぁ。呼び出す場所とは別の場所で待ってるとか酷くないですか」
「俺は生憎とそれについて詳しくなくてな、行っても何も出来ないと判断して実地訓練の準備をしていたんだ。すまなかった」
隊長は俺の活性化した神機? を指差してそう言う。
「……実地訓練? 俺、まだ訓練らしい訓練、してないんですけど……いきなり実地で良いんですか」
「俺が上を押さえつけたと言ったろう? その時、お前も身体にアラガミを宿した我々と同じ神機使いだと言い張ってしまってな」
大体、話は読めてしまった気がした。
「こんな話をすると不愉快になるかもしれないが、お前はまだ上層部にアラガミ扱いされている。だからこそ、早急にアラガミを倒して実証を得て、お前が神機使いであるという事を上に証明しなければならないんだ」
ジュリウス隊長はそういった後、本当に済まない、と続けた。
「いえ。隊長がそう言ってくれなければ俺はあのまま処分されていたと思うんです。だから、命を救われた恩に比べればその程度の迷惑、なんともないですよ。それに……俺たち、仲間でしょう?」
俺はそう言って、隊長に「だから、そんなに気負わないで下さいよ」と伝えた。
「そうだったな。本当に、お前は似ているな」
「誰に、ですか?」
「ああ、前の隊長に、だよ」
ジュリウス隊長はそう言って、過去を懐かしむように微笑んだ。
「じゃあ、行こうか。本物の、戦場へ」
____クソッタレな、職場へ。
「任務行動を開始する。現在の敵影は?」
『オウガテイル3、その堕天種が2です』
隊長の言葉に反応して、インカムに言葉が響く。
そして、隊長がこちらを振り返って、言う。
「行くぞ、テル」
俺はその言葉を合図に、高台から飛び出した。昔は図書館と公園が広がっていたと聞く、荒廃した土地に巨大な尾を持つアラガミが数体、他のアラガミの死体を喰らう形で点在していた。
「隊長。右、お願いします」
その言葉と共に、俺は左のオウガテイル2体、赤色の個体へと狙いを付けて駆け出した。
神機使い特有の驚異的な身体能力で一瞬で間を詰めた俺は、手に持った神機をただ横に薙ぐ。
その刃は片方のオウガテイルの身を抉り、しかしそれだけでは終わらせない。
刃からは黒い触手状の部位が伸び、巨大な口を形成する。刃が突き立てられたオウガテイルはその顎により噛み砕かれ、絶命する。それと同時に、俺は先の行為____捕食によって得たアラガミ細胞で、バースト化する。身体が軽く、今までに得たことのない爽快感が全身を駆け巡る錯覚を得る。
捕食に時間を割いた故に離脱していたオウガテイルが、距離を取ってこちらにマグマの球を放ってくる。
____しまった。
そう思った時には既に遅く、その火球は丁度突き出されていた俺の手に直撃し、神機を弾く。
弾き飛ばされ、遠くへと落ちる俺の神機。
「大丈夫か、テルッ!!」
隊長の心配する声が、やけに遠くに聞こえた。
そこからは、俺の体は俺の意識の外で動いていた。まるで、頭が考えるよりも早く身体が動く、というように。直感的に、その行動を取っていた。
俺は地を蹴り、オウガテイルに肉薄する。そして、銀のガントレットに包まれたアラガミ化した腕をオウガテイルへと叩き付け、貫いた。
本来なら神機以外の攻撃は通じないアラガミだが、同じアラガミであるこの腕の攻撃は、例外だった。
「はぁ……死ぬかと、思った」
その場に膝を付いて息を荒くしていた俺に、先輩が駆け寄ってくる。
「まったく、無茶をする奴だ」
そういう隊長に俺は腕を借りて立ち上がり、自らの神機を拾い上げる。
まさに、その時だった。
インカムに、慌ただしいオペレーターの声____確かこの声はヒバリさんじゃなくてフランさんだったはず____が入る。
『エリア内に複数の大型アラガミの侵入を確認ッ! 全て……該当データ無し!? ほぼ完全に、新種です! 侵入は1体のみですが、エリアを包囲する形で10を超える大型アラガミが……いえ、20……30……どんどん増えていきます!』
「チッ……初戦でこれは鬼畜過ぎません?」
小型のオウガテイル2体でさえミスをしていた俺は、その報告につい舌打ちしてしまう。
『この数では救護班の派遣も不可能です。どうか…………』
そこで一旦通信が途切れ、物音が続いた後に聞き慣れた声が響く。
『こちらロミオー。ギルとシエルとナナとリヴィも一緒だよ。リヴィに至ってはそっちがピンチって聞いた瞬間からソワソワしてる。俺は救援に向かうしか選択肢はないと思うんだけど、ジュリウス、どう思う?』
「済まない。救援、頼めるか?」
その言葉とほぼ同時に、戦域に1体の大型アラガミが現れる。恐らく、1体だけエリアに入り込んだという個体だろう。
ジュリウス隊長は目配せだけでインカムの返答を俺に任せると、その1体へと駆け出していく。
『少し時間かかると思うから、それまでは生きててくれよ?』
「ああ、俺と隊長で持ち堪える」
そう告げた瞬間にエリアの全方位から数十という大型アラガミが侵入してきて、俺はインカムへの返答そっちのけでそれらの迎撃の為に駆け出した。
全ては、生き延びるために。
なんか色々とゴチャゴチャですね。
今回の大型アラガミはオリジナルの個体なんですが(それこそ2で感応種が出てきたみたいに本作の鍵を握る奴らになる予定です)、その細い容姿の形容は次回に持ち越しされる予定です。
ちゃんと容姿設定は描写されるんで、ご安心ください!多分はいてないですけど。