大失敗ソリュシャン   作:萩原真治

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-----ソリュシャンはアインズにお願いしたよ
-----新しい玉座を選ばせてもらう任についたよ
-----ソリュシャンはぷかぷか笑ったよ




うきうきソリュシャン

 此処こそが紛う事無く宝物殿だ。ソリュシャンは心の最奥からそう思った。宝物とはここに納められているものだけを指す。そう思わせられるほど、目の前の光景は信じ難いものだった。

 収まり切らずに積まれた金貨の山、そのどれもがガルガンチュアを超すほどの高さだ。そして地平線の彼方まで伸びる漆喰の棚には、至高の数々が鎮座している。その一つが一つが強大な力を秘めていたり、並べてならぬ価値があるものばかりだ。ソリュシャンはその静謐な雰囲気に身震いする。

「アインズ様が本当に信頼できる者(パンドラズ・アクター)に管理を任せられたのも納得ね……」

 ナザリックには重要な領域が幾つも存在するが、ここはその中でもトップクラスだと言えるだろう。この場所が、万が一にも乗っ取られたらと思うとどれほどの被害を受けるのかと思うと、この粘液の体が凍りつく程にぞっとする。

「アインズ様のご好意で許可して頂いたのだから、気を引き締めないと」

 そう、「本当に信頼出来る者」としてこの場所に居させて頂いているのだ。彼女はその事実にうっとりし、ぐにゃっと顔を凶悪に歪め(同属から見ると顔をふにゃふにゃにさせて)ぷかぷか笑う。全てを擲ってこの役目を果たさねば、とソリュシャンは奮起する。

「早くお選びしなくては」

 ソリュシャンは被っているガスマスクをしゅこーと鳴らす。これはシズから借りたもので、毒に対する耐性をMAXにまで高める代物だ。宝物殿に立ち込めているブラッド・オブ・ヨルムンガンドによる毒の瘴気は、皮膚からも侵食する現地人にしてみれば災害クラスのトラップである。しかしこのアイテムは何故か被るだけで全てカット出来てしまう優れものだ。

「被るだけで、全ての毒を退ける……流石は至高の方々の品ね」

 このようにすばらしいアイテムを持つシズに僅かに嫉妬するが、その不敬とも呼べる凡念を慌てて振り払う。「それにしてもどこから手を付けたものかしら」

 ソリュシャンは膨大なアイテムの数に困惑する。これだけの数の中から一つの品を探すことは現実的ではないし、時間の無駄だ。御方の何よりも貴重な時間を無為に消費するような真似は断じて許されるものではない。

「ええと、玉座の場所はと……」

 ソリュシャンはアインズから借り受けたアイテム、「宝物殿専用書梯」(フローティング・ラダー)を起動する。梯(はしご)と銘打ってあるが、一見少し大きめのサーフボードのような見た目をしている。実際は「フローティング・ラダー」に任意のアイテム名、もしくはそのイメージを伝えると、それがある場所の近くまで連れて行ってくれるという優れものだ。これはそうもパンドラズ・アクターがフローティング・ボードの呪文を改良し、アインズに奉納したらしい。最初はただの板だと思っていたが、実際に使ってみるとその有益さが身にしみて分かる。多少あいまいなイメージでも、このアイテムはすぐに動き出し、有能な司書のように利用者を案内してくれる。乗り心地もよい。これを一介の守護者が作り出したというのだから驚きだ。

「やはりパンドラズ・アクター様は優秀と判断せざるを得ないわね」

 そうソリュシャンは思い、少し顔を歪める。正直な所、彼女はパンドラズ・アクターをあまり認めていない。姉であるユリと守護者統括であるアルベドを「お嬢様」呼ばわりしたのだ! しかもよりにもよって御方の目の前でである。なんという屈辱的な仕打ちだろう。最初それを聞いたときは耳を疑い、即座にドロドロとした粘液状の殺意が湧き上がってきたものだ。両者とも至高の御方によってナザリックでも大変名誉ある役職に封ぜられている。それを御方の目の前で嘲笑したに等しい。いったいなんだというのか。自分だけの創造主がいることがそんなに偉いのか。

「(……いえ、それについて考えるのはやめましょう)」

 このタブーについて考えるのをソリュシャンは即座に放棄した。これについて考えすぎると、職務を全うできなくなるかも知れない。そんな漠然とした恐怖がソリュシャンにはあった。

「……まぁ、決して増長しているとう訳ではなさそうね」

 もし仕事をおろそかにして、宝物殿を乱雑に散らかしているようならアルベドにチクることも考えていたのだが、この宝の整理のされ方といい、保存の良さや、フローティング・ラダーといい、そんなことは無さそうだ。

 ソリュシャンは宝物殿の領域守護者の認識をちょっとだけ改めた。




いまだかつてこれほど萌えるスライムがいただろうか。

なかなか進みませんねぇ。もうちょっとでナザリックメンバーがちらほら出てくるはずです。さらに進むとナザリック総出のソリュシャンイジメが始まります。
恍惚ですわぁ……
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