ソ「パンドラちょっと調子乗ってるよね。でもちょっとだけ見直した」書梯でブーン
「それにしても本当に素晴らしく、強大なアイテム群ね」
ソリュシャンは至高の御方が集められた、至高の品々に改めて感嘆する。フローディング・ラダーに乗ってそれなりの時間が経つというのに、棚に終わりは見えない。しかも一瞬で過ぎ去っていく景色の中にある、アイテム一つ一つが、ソリュシャンたちよりも価値が高いと思われるものばかり。(アインズに言わせて見れば、仲間の創ったNPCこそが最も価値のある宝な訳だが)ソリュシャンは、こんなにも素晴らしい場所に立ち入りを許され、そしてこの栄えあるナザリックに仕えることができる喜びを噛み締めていた。
ソリュシャンが誇りを胸に抱いていると、フローディング・ラダーの速度が緩まり始める。書梯が椅子系統のアイテムに反応したためだ。辺りの棚はスペースが大きくなっており、大型のアイテムが収められるようになってきた。ソリュシャンは一つの漏れもないように棚をじっくりと眺めていく。いくらゆっくりとはいえ、100を越える無数のアイテム群の一つ一つを精査していくのはおよそ人間業ではない。しかし、ソリュシャンは人間ではない。アサシンという観察力に優れたジョブを修める優秀なメイドだ。さらにこれは敬愛なる主人のためであり、ナザリックに属するものならば能力的に無理でもやるだろう。要するにソリュシャンには造作もないことだった。
「どれもこれも、至高なるアインズ様にふさわしい玉座ね」
ふさわしい存在に腰掛けられるのを黙して待つ玉座たち。そのどれもが希少金属や希少素材によって作られていた。黄金やミスリルなどといったチャチな金属は存在しない。最低でもアダマンタイトや上位ドラゴンの骨で構成されている。しかしそれらは本当に最低限であり、あくまでもスペアや道楽の意味合いが強い。事実それら区画の中でも隅のほうに追いやられていた。(これらのスペア玉座一つで、数多の国々の王を虜にするだろう。最低でも歴史ある国の、最も重要な宝に指定されるだろう)では「ふさわしい」玉座はどのようなアイテムで構成されているのか。それはこの世界の人間の神話にも出てこない夢の素材。ヒヒイロカネ、アポイタカラや隕鉄。超上位モンスターの骨や胆石だった。
その中に一つ骨のみで構成された玉座があった。人間種の骨で構成されている。素材だけで見れば、この辺りの玉座のどれにも劣るが、それを感じさせない輝きがあった。丹念に磨かれた骨は宝石のようであり、見るものにまったくおぞましさを感じさせない。さらに一つとして同じもののない骨が、まるで元からあったかのように組上げられている。並大抵の技術ではない。並外れた大工としての技術と、骨を知り尽くす技術、そして主人への敬愛。それらすべてが合わさって、この玉座は完成したのだろう。ソリュシャンは少し興味が出て、アサシンの観察眼を持ってその玉座を注視する。
「亜人の骨が68%、人間の骨が30%、残りの2%は……上位悪魔?」
亜人や人間なら分かる。しかし上位悪魔の骨となると難しい。この玉座は作成日が直近の棚に置かれている。であるならば、おそらくナザリックが転移に巻き込まれたあとだろう。この世界で上位悪魔の骨など現地調達できるわけがない。もしそういった存在に出会ったならば、さすがにソリュシャンの元にも情報が来るだろう。
「となると、手持ちから持ち出した……いえ、まさか」
ソリュシャンは聡いスライムだった。散らばった情報から一つの結論を導き出すのは彼女の得意分野とも言える。
「手持ちの上位悪魔の骨、いえ、自分の骨で作成されたのね……」
ナザリックにおいて、手先が器用そうで知識豊富な上位悪魔などお一人しか思い浮かばない。ソリュシャンはその玉座からそっと目を逸らし、次の玉座を見繕っていくのだった。
上位悪魔…いったいだれなんだ…
ここから先は文章のストックがないので更新は遅くなりそうです…申し訳ナインズ・オウン・ゴール。