大失敗ソリュシャン   作:萩原真治

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特装板ぷれぷれぷれあですかわいいんじゃー
クレマンティーヌにセリフを言わさずアサシネイトするソリュシャンさいかわ
いぷいぷいぷしろんが観たい(戯言)


第5話

 そうして、ソリュシャンは玉座をいくつも吟味していった。どれもこれも素晴らしい物ばかりだったが、彼女の琴線には、不敬かもしれないが、触れなかった。彼女は敬愛する主人に「少しでも寛いで欲しい、休まれて欲しい」と考えていたからだ。

「(アインズ様はきっとお疲れになるなんてことはないでしょう。しかし彼の御方こそ、このナザリックにおいて最も働かれているという現状には変わらないわ。私たちが無能であるゆえに)」

ソリュシャンはぐっと体に力を込める。そうしなければ、情けなさで体を崩壊させ自害してしまうかもしれなかったからだ。

「とにかく、アインズ様にふさわしい、そしてお寛ぎになれる玉座を見つけましょう」 

 彼女はそう言って、うーんうーんと唸りながら棚を物色していくのだった。

 

 それからしばらく経った頃、ソリュシャンは「あっ」と声を上げた。そして「これだわ……」と感慨深くつぶやいた。

 ソリュシャンはその玉座を眺める。素材は申し分ない。装飾も華美ではなく、しかし、威厳がある。なによりアイテム名が気に入った。

「コンフォートチェア(極楽椅子)。まさしく今のアインズ様に必要な玉座ね!」

 極楽、というのが何なのかはよく分からないが、「楽の極み」ということなのだから、座るとおそらく癒しの効果が働くのだろう。ソリュシャンはそれをうきうきしながら、丁重に運び出すのだった。

 宝物殿からコンフォートチェアを運び出すと、ソリュシャンはアインズにメッセージで連絡を取った。

「アインズ様。お時間宜しいでしょうか」

「おお、ソリュシャンか。少し待て」

「大変申し訳ございません。ご政務中とは知らず、アインズ様の貴重なお時間を……、後ほど再度ご連絡いたします」

「いや、謝ることはないぞ。クリエイト・アンデットの選定をしていただけだからな」

 ソリュシャンは感激で声が震えそうになった。

「(ナザリックの防衛力を高める上で、アンデットを創造するということは最重要事項とも同義。それを『だけ』だなんて……)」

 そんな重要なことよりも自分を優先してくれるアインズにソリュシャンはいっそうの忠誠を誓うのだった。

「お気遣い感謝いたしますアインズ様」

「……あぁ」

「それでは報告させて頂きます。先ほど破損した玉座の、代わりを選定し持ってまいりました」

「ほう、そうか。それはご苦労だったな」

「もったいなきお言葉でございます。それでは配置したく思いますので、玉座への入室の申請を行い、アルベド様にご許可をとって参ります」

「(え、玉座ってそんな申請要るの?)」

 アインズは少し戸惑い、NPCやシモベに申し訳なく思った。

「(彼らにとってここはやっぱり特別な場所なのかな。そりゃうれしいけども、そういう手続きの煩雑さとかはなくしていきたいんだよなぁ。そういうところに時間を割くより、やってほしいことは…まぁ今はそんなないけどこれからたくさん生まれるだろうし。なにより、我らがナザリックはホワイト企業を目指しているわけだし、極力社員たちへの負担は軽減したいよね)」

 そういうことの積み重ねが、カリスマ溢れる指導者になるための一歩になるんだ、とアインズが一人決意していると「アインズ様?」とソリュシャンが不安そうに声をかけてきた。

「んん! いいか、ソリュシャン・イプシロンよ」

「はっ」

「その…だな。そう、その手続きは必要ない」

「なっ…。左様ですか。失礼致しました」

「うむ。そのまま持ってくるがいい」

「かしこまりました。重ね重ね申し訳ありませんが、アルベド様にもお伝えしなくて宜しいのでしょうか」

「…うむ。(俺の独断だし、アルベドが知ったらおこりそうだしな!)」

「…かしこまりました」

「(なんか納得してない雰囲気だなぁ)」

 しかしアインズはこういうときに彼らを納得させる魔法の(ゴリ押しの)言葉を、度重なる支配者ロールで会得していた。

「……ソリュシャン」

「はっ」

「私はお前を信頼している。お前の忠義はこの私が一番良く知っている。だから手続きなど必要ない」

「も、もったいなきお言葉…!」

 メッセージの向こうでべちゃりと音がしたような気がしたが、気のせいだろう。

「ふふ、構わん。玉座の間の衛兵には私から言っておこう。そのまま入って設置してくるといい」

「はっ」

「ではな。お前の選んだ玉座、楽しみにしているぞ」

 アインズがそう言い、メッセージを切った。直前にべちゃべちゃっ!と何かが崩れるような音がしたが気のせいだろう。アインズは再び政務(暇つぶしのアンデット選定)に戻るのだった。

 この時、アインズとソリュシャンは一つずつミスをした。アインズのミスは手続きを省いたこと。ソリュシャンのミスはアインズに省略の理由を問わなかったこと。これがナザリック全土を震撼させ、全てのシモベを恐怖と失意のどん底に突き落とすことを、このとき二人はまだ知らない。

 そう、このコンフォートチェア(極楽椅子)の製作には至高の41人の中で最も問題児とされた、るし☆ふぁーが関与していたのだった。

 




11巻おもしろかったですねぇ。
「ひぇ」がかわいい。デブゴンほしい。

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