The Last Stand   作:丸藤ケモニング

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前回までのあらすじ

ウルベルト、皇帝にあう。

今回予告

あいつが来るよ。


38,竜王国にて / 番外編 ゴーレム

 ドラウディロン·オーリウクルスは、玉座から見下ろす形になってしまう光景に、軽く頬をひきつらせた。隣に視線を流せば、いっつもこっちをなんのかんのと弄ってくる大臣ですら、顔色を青くし冷や汗を垂らし、頬をひきつらせている。ザマァ。

 

 彼女たちの前に広がる光景、それは異形の祭典とか百鬼夜行とかそういう風に言うのがふさわしい光景だった。ドラウディロン自身、救国の英雄であるモモンガ及びたっち·みーが異形種であり、その仲間も一律異形種である事は話に聞いて理解しているつもりであった。しかし、話に聞いて理解するのと直接目にするのでは、その衝撃の差は計り知れないものだろう。だって今のワシがそうじゃもん。

 

 彼女の前に広がる光景、ナザリックに現在戻ってきている至高の方々、並び順からモモンガを先頭に、両脇、たっち·みーとぷにっと萌え、少し下がったところにぶくぶく茶釜、やまいこ、その後ろにペロロンチーノとリュウマ。そしてその背後、今回、さる試験を行うと言うので選抜されたメンバー、至高の方々の後ろに横並びで並ぶ守護者、アルベド、シャルティア、アウラ、マーレ、コキュートス。その後ろにセバス、プレアデスからユリ·アルファ、ナーベラル·ガンマ、ソリュシャン·イプシロン。本当はルプスレギナ·ベータも連れてくる予定だったが、どこにも居なかったので、ユリから後でお仕置きが下されるそうです。ショウガナイネ。そして、その背後にそれぞれの配下から選抜された高レベルの異形種系下僕たち。もはや一国攻め滅ぼしてその勢いのまま二つ三つは陥落させそうな過剰戦力がそこに集っていた。

 

 背後にこれだけの戦力を背負い、前で顔色を明らかに変えているドラウディロンを見ながら、モモンガは心の中で陳謝した。

 アルベドの進言でこれだけの戦力を整えてやっては来たが、違うのだ。こう、友好的に友人宅へ遊びに行くくらいの感覚で竜王国に正式に挨拶をしようと言っただけなのだ。結果、アルベドが、

 

『同盟を結ぶとは言え、供も連れず、至高の方々だけで赴かれるのは先方にも失礼ですし、こちらも侮られます。供は選抜いたしますので、私も!そう、私も忘れずお連れくださいませ!』

 

 と、言うのだから任せたらこの結果だ。それについて苦言をていそうと口を開くよりも早く、今度はぷにっと萌えが、

 

『うん、いい陣容だね。あぁ、ついでだから今回選抜されたメンバーをつれて行くのはどうだろう?いやいや、あちらに迷惑をかける可能性も捨てきれないどころかそう言う傾向にある連中が揃ってるんだから、先に顔見せして、一同に釘を指すのも重要だと思うよ?うんうん』

 

 と言うのだ。もうしょうがないと出発寸前、やまいこ、ペロロンチーノ、リュウマから『マジかよ……』みたいな目で見られたが、あの二人をきっちり止める方法があるのなら教えてほしい。いや、本心からそう思う。

 等と思いつつ、改めて顔を上げ一段高いところにある玉座に座るドラウディロンを見上げる。相変わらずの青い顔だが、こっちだって負けず劣らずの申し訳ない気持ちで一杯だ。いや、オーバーロードの状態で来てよかった、顔色が読まれないもの。

 

「突然の来訪、まずは申し訳なく思っております、ドラウディロン·オーリウクルス陛下」

 

 声に色々感情が混ざってないか不安だったが、思った以上に冷静な声が出て思わず心の中でガッツポーズをとるモモンガ。それを受けたドラウディロンは、はっとした表情で頭を軽く振り、手を上げて制する。

 

「やめてくだされ、モモンガ殿。貴殿らは救国の英雄であるのだ。それを迎え入れるのに否も応もあるものか。いつでも来てくれて良いぞ」

「お心遣い、感謝いたします」

 

 深々と頭を下げるモモンガに慌てつつドラウディロンの冷静な部分がモモンガをこう分析する。普通、否、普通すぎる。見た目一辺倒で判断するのであれば、彼は間違うこと無きアンデッドだ。しかし、その口から滑り出す言葉は常人の、まさに普通なのだ。その表情は読めないが、言葉の端々からこちらに気を使っているのも読み取れる。実に、不思議な人物……死に物?であると思えた。

 

「して?本日の用向きはなんですかの?」

 

 ドラウディロンはそう尋ねる。この時、人差し指を顎に軽く添え、小首を少しだけ傾ける。この動作だけでセラブレイトが簡単に言うことを聞いてくれるので、もはや癖かなんかだが、ナザリック組でもこの動作で心臓を射抜かれた奴がいたのは別の話である。

 この一週間程度で、この国はナザリックの援助により潤った。正直、潤いすぎと言うくらい潤った。減少した労働力に変わる大量のアンデッドの貸与から始まり、実験にて判明した急速成長する謎の巨大なトウモロコシやその他の野菜、何故か加工済みの新鮮な肉や野菜の格安販売等々。正直、ここ数十年で一番潤ってんじゃね?ぐらいの感じである。全てが実験、と言う名目であるが、それでもありがたい。少々、アンデッドが近寄りがたいけれども。

 とは言え、これだけの大恩を受けているのだ。多少無茶な要求でも引き受ける所存だ。国が欲しいと言われれば、それなりに抗うつもりじゃけども。ちらっとモモンガの背後に並ぶ異形の群れを見る。

 

『これは勝てんわ』

 

 一目見て分かる無理ゲーっぷりである。

 

「ええ、実は、私が少々思うところがありまして、一時的に冒険者に身をやつそうと思いまして」

「冒険者?それはまた、どうして?いや、ぷれいやーであるなら、そう言う選択肢が常道であるのやも知れぬな」

「!?ぷれいやーを、ご存じで?」

 

 モモンガの問いに、ドラウディロンは顔をしかめて腕を組む。

 

「まぁ、祖父や曾祖父からの又聞き程度ですがのぉ」

 

 更に口を開こうとしたモモンガのローブの裾を、誰かが引っ張る。軽く視線を向けると、そこにはぷにっと萌えが、触手状の蔦で裾をクイクイしていた。その視線は、早く話を進めろ、と言っているようだ。軽く咳払いをし、いよいよ本題に入る。

 

「その話は後程に致しましょう。実は、折り入ってお話が」

 

 ドラウディロンが軽く頷き続きを促すのを待って、モモンガは軽く息を吸い込む。断られたら断られたときだ。むしろ後方の奴等が暴走しかねないので、そっちに気を使う。

 

「実は、供を選出するのに、暫し街に出ることをお許し願いたい。そのような用向きでして……」

「ふむ?何故か、問うてもよろしいか?」

 

 問い返された瞬間、後ろで何人かが身じろぎした気配があったが、誰かの仲裁で収まったらしい。誰か知らないけどグッジョブ!あくまで我々は頼みに行く身の上なのだ。出発前にあれだけ言い含めたと言うのに、とモモンガは心の中で文句を垂れた。ちなみに余談だが、身じろぎしたのはナーベラルで、制止したのはユリだ。脇腹にブローを入れると言う形だが。

 

「見ても分かると思いますが、我々は誰がどう見ても異形種の一団。しかも、長いこと異形種の中で生活していた者がほとんどです。ですので、実地研修と言う意味も含めて、私に同行するものを選出する、と言う形です。無論、町の人間に危害を加えるようなことも危険な行為をするつもりもございません。ナザリック、ひいてはアインズ·ウール·ゴウンの名に懸けて誓いましょう」

「ふむ、そうですなぁ……」

 

 そう言いつつ、ドラウディロンは横に立つ大臣の方をうかがうと、大して深刻そうな顔をせず、後ろ手に組んで無表情に立っている。あぁ知ってる。こう言う表情の時は、判断はあなたに任せますよ。何かあっても責任はあなたにありますので、って時の態度だこれ。

 とは言え、気になることもあるので一応聞いておく。

 

「のぉ、モモンガ殿?その、異形の姿のまま、街を闊歩するのかの?」

「それはこちらから説明させていただきます、ドラウディロン·オーリウクルス陛下」

 

 モモンガよりも先に口を出したのは、ほんの少しだけ前に歩を進めたぷにっと萌えである。深々と頭を下げつつ、ぷにっと萌えは自分の考えを披露し始める。

 

「僕はぷにっと萌え、ナザリックにて軍師、ないしはそれに近い仕事をさせていただいております。さて、まず一つ。もっとも後ろにいる我らの下僕は、基本的に謁見が済み次第ナザリックへ帰還いたします。つれてきた理由といたしましては、まぁ見栄、と言ったところですねぇ。さて、次としましては、我らが選抜した者の前提条件が、パッと見、人間、もしくは亜人種に見えること、ですので我々も異形の姿のまま街を闊歩するなどと言うことはありませんな」

「それは良いのだが……ぷにっと萌え殿?いったい、街に出てなにをなさるおつもりかな?」

 

 その質問に、ぷにっと萌えはおもむろに、大袈裟な動作でドラウディロンに指を向ける。たぶん、指。

 

「それですな。我々も色々話し合ったのですがやはり双方共に益がなければならない、と言うのが前提条件としてありますからね。そこで、我々は、この国で我々を知ってもらおう、よく見てもらおう、を合言葉に、ちょっとしたイベントを行いたいと思っておりまして」

「イベント?それは?」

「祭り、ですかねぇ?小規模ですが、我々が出店を行い、国の人々と交流を行います。その中で、我々が選出した下僕がどのような行動をとるか、それを見ていきたいと思っておりますが」

「ふむ……」

 

 危険はなさそうである。たっち·みーもいるし、予め布告しておけば、バカな行動を起こす輩も居はすまい。前回、彼らが打算コミコミとは言えこの国を救ってくれた時は、比較的どころか友好的な意見が多かった。それは、たっち·みーのそれまでの行いも加味された上での評価であったが、情勢が落ち着き始めた現状、各地から不信の声も上がり始めたのも事実。そこでこのイベントの話は渡りに船、になればいいなぁ。

 

「では、ドラウディロン·オーリウクルスの名において、竜王国内にて祭りを行う許可を取り付けましょうぞ。して、場所はどこで行うのですかのぉ?」

「それに関しては……リュウマ君?どこにしたんだい?」

「知らんがな」

 

 話を振られたリュウマがそっけなく答える。それに対してぷにっと萌えは、柳眉を上げて抗議した。眉がどこかは知らんが。

 

「会場になりそうな所を押さえとけっつったよね?僕が三回口を酸っぱくして言ったよね?」

「俺は三回、竜王国に来たことがねぇっつって断ったよな?なんだ?耳と耳の間に真空でも詰まってるんですかね、うちの軍師様は?」

「耳と耳の間にヘリウムガスがつまってる君に言われたくないね。今すぐ飛んでいっちゃいそうなんで、頭に重し変わりの剣でもぶっ刺しとくことをおすすめしますね、今すぐ」

「ぷにっと萌えの右隣の人の左隣の人に言っておいてくれない?今すぐあんたの故郷、学名あの世に帰れってな」

「高性能二酸化炭素精製機は今の時代に不要なので即刻下取りに出しませんか?」

「ああ?」

「なんです?」

「二人とも落ち着いて」

 

 一瞬即発とばかりに、じりじりと間合いを詰め、額を突き合わせ罵りあう二人を、やまいことペロロンチーノが引き剥がしつつ二人とも嘆息する。基本、二人は相性が悪い。考え方であったり人となりであったりするが、何故かリュウマが一方的に嫌う、とまではいかないが、それに近い感情を持っており、ついでに本人がそれを隠すつもりもないと来ている。対するぷにっと萌えも、そんな感情をぶつけられていい気分な訳もなく、わりと辛辣な態度で当たることが多いのも問題に拍車をかけている。幸いにも、言葉で止まるだけ、一番険悪だった頃のたっち·みーとウルベルトよりはましだが。

 二人が離れて顔を背けあうのを確認したモモンガは、急に始まった罵りあいに呆然とするドラウディロンに深々と頭を下げた。

 

「申し訳ない、ドラウディロン陛下。その、騒がしくしてしまいまして」

「いや、多少肝を冷やしたが、問題はないですとも、モモンガ殿」

「そう言っていただけると……」

「して、開催場所が決まっておらぬと、そう言う方向で構わぬのかな?」

 

 言われ、モモンガは後ろを振り返る。ぷにっと萌えは憮然とした雰囲気を醸し出しながら頷き、アルベドもまた申し訳なさそうに頷いた。

 嘆息しつつ、モモンガはドラウディロンの言葉に軽く頷いた。それを受けたドラウディロンは、隣に立つ大臣に目配せすると、心得ているとばかりに耳打ちをしてくる。大臣から告げられた場所は、確かに未だ人が入っていないところだ。つぅか、一週間で入るはずもないのだが。色々と問題もあるっぽいが、目の前の一団なら何とかしてしまうだろう。

 

「では、多少問題があるんじゃが、そこに広がる土地ならば自由に使うてくれてよいのですがの」

「問題?どの様な?」

 

 モモンガの言葉に、ドラウディロンは苦笑にも似た笑みを浮かべて、それを口にした。

 

「幽霊が出るんじゃよ」

 

 

 

-幕間-

 

 

 坑道の中を走る走る走る足がもつれて倒れこみそうになる体を無理矢理起こして尚も走る。ドワーフである彼、ゴンド·ファイアビアドは、慣れ親しんだはずのこの坑道の中で、奴等から逃げていた。土の中を泳ぐように移動する土の種族、クアゴア。幸いであったのが、奴等にとってもこの場での遭遇は正に偶然の代物であったのだろう事だ。掘っていた坑道の壁から数匹の奴等が出てきた後、十秒程度の硬直。誰かの『逃げろ』の声。その声に弾かれるように駆け出し、その直後のくぐもった呻き声と大量の水がぶちまけられる音。それを聞きながら、ゴンドは走った。

 曲がり真っ直ぐ右に左、様々な場所も分からぬまま走り抜け、ゴンドは一度も訪れた事の無いような、吹き抜けになった巨大な縦穴に辿り着いていた。息を荒げたまま、呆然と周囲を見回しても、遮蔽物の一つもない。出入り口のような場所は一ヶ所、自分の背後にしかなく、正に袋小路。

 笑う膝を叱咤し、踵を返し走り出そうとするゴンド。しかし、踵を返したところで、出入り口になっている坑道の壁からクアゴアがズルリと穴を空けながら滑り落ちるように這い出してくる。その反対側からももう一匹。震える足を押さえつつ、ゴンドは後ずさる。しかしながら、冷静な自分はこう考えていた。これはもう無理だ。戦士として修練を積んだものならあるいは撃退できたかもしれない。が、しかし、自分は今や廃れる運命にある《 ルーンスミス 》。それも不十分どころかその烙印を押されるところにまで至っていない半人前以下。どうあがいても生き残る道はない。目の前にいるクアゴアの、鉄さえ両断する爪で引っ掻かれて自分は死ぬのだ。

 

「は、はは……」

 

 自然と笑いがこぼれた。自虐も多分に混じった笑いだ。志半ば、いな、半ばも至っていないだろう状態で死ぬ。これほど滑稽な事があるか。そんな笑いも含まれていた。しかし、目の前のこいつらには通じていないだろう。二匹は顔を見合わせ、やや大きめの体格の方が前に進み出る。その爪は太く、そして鋭い。泣き叫ぶ気力も底を尽きたゴンドは、今度こそ覚悟を決め目を瞑った。爪が振り上がる気配がし、そして……。

 

 金属を打ち合わせるような音が耳に届いた。インインと響く金属音。いつまでも振り降りてこない最後。恐る恐る目を開けると、そこには。

 

「ここは我が主の聖域、偉大な彫像の兵士が生まれる場所である。控えよ、同胞」

 

 ゴンドを背に背負い、一匹のクアゴアがそこに立ち、振り下ろされた爪を受け止めていた。ギリギリと金属を擦り合わせるような音が静かに流れるなか、やや大柄なクアゴアが口を開く。

 

「貴様……!どこの何者か!?」

「ブルー·クアゴアのレ·シュペレ。しかし、それは既に捨てた名だ。今は、我が主に仕える一匹の獣に過ぎん」

 

 答えるが早いか、相手の爪をはねあげ素早く飛び下がりつつレ·シュペレはゴンドの襟に爪を引っ掻け大きくもう一度飛びすさり、その目をゴンドに向けた。

 

「問題ないかね、近くて遠い隣人」

「な、なんじゃ!?わ、ワシを助けてくれると言うのか!?」

「主は、血が流れるのを嫌う訳じゃないが、なるだけドワーフを助けろ、とおっしゃっておられた。言いつけを守っただけだ。そら、見ろ」

 

 その時、吹き抜けになった縦穴に光が降りた。それは、光の柱と言っても差し支えの無い物で、周囲を照らしつつ地面へと到達した。促されるままに見たゴンドも、追ってきたクアゴアもまた、その幻想的とも言える光景に動きを止め、一様に光の柱を見上げる。そんな中、光の柱の中に影が射す。翼がある。恐らく手足や胴体、頭があるようにも見受けられる。ゴンドの脳裏には、いつぞや見たはぐれのエルフの姿がちらついていたが、そんなことはお構い無しとばかりに、その人影はゆっくりと、両腕を斜め上に挙げた、Y←こんな感じのポーズでゆっくりと回転しながら大地に降り立った。光の柱が天に消え、そこには夜を煮詰めたような漆黒の翼を持ち、太陽のように輝く美貌を惜しげもなくさらし、Y字ポーズを取りながら恍惚の表情で立つ堕天使がいた。パン一で。

 

「我が主の、降臨だ……!」

 

 どこか恍惚としているような表情で、レ·シュペレはそう言う。ゴンドは、なんじゃこいつ的な気分で一杯だ。神秘的な光の柱から現れた半裸の男だ。さもありなん。しかし、見れば見るほど人間っぽい。違うところと言えば背中から漆黒の翼を生やし、こめかみからネジ曲がった山羊のような角を生やしていること。肌の色が知っている人間よりも更に白い、むしろ作り物めいた白さであることくらいか。

 と、観察している一同の前で微動だにしない彫像の様に固まっていた男の翼が大きくうち振るわせられ、つぶられた目蓋が見開かれる。そこに存在するのは黄金の太陽のような光彩。人間ではまずあり得ぬ色彩の瞳は、キッと言う擬音が聞こえそうな鋭さをもってクアゴア二匹を見据え、そしてその完璧な造作の唇がついに開かれた。

 

「太陽万歳ッッッッッッッッ!!」

 

 響き渡る大音声。謎の威厳に満ちた声。しかし、弾かれるように動き出したクアゴアの爪は容易くその男に炸裂、吹き飛びゴンドの足元に転がる謎の男。

 

「あ、主様!?」

 

 驚きの声を挙げるレ·シュペレ。しかし、吹っ飛ばされた半裸の男は、爪が炸裂した部位、主に、男としては薄めの胸板をさすりつつ起き上がり、もう一度Yのポーズをとる。ビクッとして後ろに一歩下がるクアゴアを満足そうに頷いて、男は指をパチンと弾いて見せた。その音と同時に縦穴全体が振動し始める。何事かと周囲を見回す一同の前で、その男は口許を実に人間らしくいやらしく歪めて見せた。

 

「このるし★ふぁー様に、よくもワンパン入れやがって。もう許さん。俺の現在完成した最大戦力で、叩き潰してくれるわ!!くたばれファッキンクアゴア!」

 

 言葉が終わると同時に縦穴二ヶ所の壁が崩れ、二体の巨大な彫像が姿を現し、巨体にも関わらず凄まじく早い動きでクアゴアへと躍りかかった。

 結果を見ることなく、その男はレ·シュペレとゴンドに向き直り、ニヤリと笑って自己紹介をするのだった。

 

「初めましてドワーフの人。俺は太陽の王子、るし★ふぁー。コンゴトモヨロシク」

 

 

 

 

 

 

 





ようやく免許がとれました。
後は投稿速度をあげることを目標に頑張りましょうか。
ちょっと話がこんがらがりつつありますけども。

ではまた次回。ノシ

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