The Last Stand   作:丸藤ケモニング

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前回、モモンガさんと茶釜さんの番だと言ったな。ありゃ嘘だ。

ごめんなさい。

デミウルゴスを書きたかったんだ、練習のために。


6,デミウルゴスの深読み①

「おや?モモンガ様とぶくぶく茶釜様ではありませんか。このような場所で如何なされました?」

 

 地表部にまさか偉大なるお方お二人がやって来るとは……よもや、このデミウルゴスになにか落ち度があったのでしょうか……? 有り得る話です。モモンガ様もぶくぶく茶釜様も、その叡知は測り知れず私のような下僕では見落としがちな事があったのかもしれません。

 いや、これは間違いなく確実に私になにか落ち度があり、お二方共に私を叱責するために此処へ来られたに違いありませんね。

 いや待てデミウルゴス。もう一度考え直すのだ。私を叱責するためだけなら何も御二人で来られる理由がないのでは無いか?御二人で来られる、ここにヒントがあるはずだ。そうだとも私。叱責するためだけならば私を呼び出せば事足りる、ならば叱責ではない。叱責ではないならばこのお二人がやって来る理由とはなんだ?

 考えうるのは、まず抜き打ちの全体視察と言うところか……。モモンガ様はこの非常事態に見舞われたナザリックを憂いておられる、ならば全ての僕が自らの思いを汲み取り自らの想いのままに動いているかどうか、それは気になるところであろう。しかし報告書は常に提出させていただいているが…j…なるほどそこに不備があり、完璧を求められるモモンガ様は自ら足を運び視察に来られた、そう言うわけなのですか。お優しいお方だ。

 しかし、ぶくぶく茶釜様は何のためにここに来られたのであろうか?無論、ぶくぶく茶釜様もモモンガ様に負けず劣らず深い叡知と果ての知れぬ優しさを兼ね備えた至高のお方、ならばやはり私の気付かぬところで不備があったと、そう言うわけですね。しかし、報告書のチェックはモモンガ様が主導で行っておられるはず、どこでその不備をお知りになられたのか?いや、そうか。ぶくぶく茶釜様は常にモモンガ様の隣におられるお方、御二人でその不備を見つけられ、ここまでいらっしゃった、とそう言うわけですね。

 いや、いやいや、待つのだデミウルゴス。重要な事を忘れている。アウラとマーレが言っていたではないか。ぶくぶく茶釜様はモモンガ様に恋慕を募らせていると。ふむ、だからこそぶくぶく茶釜様は常にモモンガ様のそばにおられ、その身を盾にしてでもモモンガ様を護られる決意をなされておられる、モモンガ様もぶくぶく茶釜様の思いを汲まれ、二人一緒に行動しておられる、そう考えるのが妥当ではないか?

 はっ!今、私の頭脳に万雷の撃滅が落ちた!そう言うことでしたか、そう言うことですか。まさかお二人が逢い引きの真っ最中とは。このデミウルゴスの目を持ってしてもすぐには見抜けませなんだ。(この間0.3秒)

 

「なるほど、そう言うわけですか」

「……えっ?あ、あぁ、いや、そう言うわけなのだ、デミウルゴス」

「しかし、そういう理由とは言え、共の一人も連れずと言うのは如何なものでございましょう、モモンガ様。無論、ぶくぶく茶釜様がおられるのであれば、下僕など何の役にもたたないでしょうが、やはり体面と言うものもございますので」

「うん?いや、そ、そうかもしれんが、今日は二人で内密に、え~と」

「うん、そう!モモンさんと内密に、そう、あれしてるのよ!智将デミウルゴスなら、分かるわよね!?」

 

 やはり逢い引き中でありましたか。しかし、ならば何故言葉を濁されたのか?いや、いやいや、待つのだデミウルゴス。逢い引き中であったと仮定しよう。このいと尊き御方がただそれだけの理由で言葉を濁されるか?否、断じて否である!ではその裏に何を隠しておられる?

 ……なるほど、効率を考えられたわけですね。確かに、愛し合うお二人が逢い引きするのは当然、いえ、我々が密かに計画しているお世継ぎ計画においてはそうでなくてはならないこと。よもや、そこまで考えられて行動されているのか!?スウィート、正に深淵の知謀であらせられるお方。よもや、お二人が共に行動し共に歩むのをお見せになることで周囲に自分達が言外に夫婦であると言うことを知らしめつつ視察を終わらせようとするとは。なるほど、一つの動きで二重三重の効果を発揮させようとは、このデミウルゴス、感服するばかりです。(この間0.2秒)

 

 

「ええ、分かりますともぶくぶく茶釜様。しかし、やはり供も連れずと言うのは如何なものかと存じますが」

「ええ!?いや、それはそうかもしれないけど……」

「デミウルゴス、お前なら分かるであろう?我らがなぜ供を連れずに此処へ来ているのかそこにどういう意図があるるのか、をな」

 

 むっ!よもや先程までの考え以外になにか思惑があると!?いや、そうか、いと気高きお方があのような浅い考えで動くわけがない。すると……。

 はっ!私の頭の中で朱の新星!つまり供を連れずに視察する事により配下の者一人一人に自分達の存在を教え込み、ただでさえ盤石の体制を更に強固な物へとするおつもりか!いやしかし、それだけかデミウルゴス、それだけではない筈だ。いや、そうか。以前モモンガ様は仰られた。自らの目で見た物よりも正しく物事を推し量れる物はないと。その為、自らの思考の妨げになるかもしれない言葉をはく下僕をつれられない、否、連れていけば自分の思惑以上の煩わしい情報が入ってきて正しく物を見ることは不可能、そう判断されたのか。そしてぶくぶく茶釜様だけをお連れになられるのは、恐らくお二人の視点が同じものを見ているため、下僕や我々では分からぬものが見えると踏んだから。グレート、流石至高のお方、その深謀遠慮、感服するばかりです(この間0.2秒)

 

「そう言うわけですかモモンガ様、感服致しました」

「えっ!?あ、う、うむ、分かってくれたのなら嬉しいぞ、デミウルゴス」

「有り難きお言葉。しかし、苦言を呈するのをお許しになられるのであれば一つ」

「うむ、言ってみるがいい」

「いかに至高のお方がそのような事をお考えになっているとは言え、やはり僕の一人もお連れにならないと言うのは看過しかねます。どうか、このデミウルゴスをお連れくださいませ」

「……分かった、供を許す」

 

 ふぅ、なんとか供を許されました。しかし、これだけの計画をたてているとは、流石至高のお方である。私もこれから精進をせねばならないでしょう。

 私は一人、お二人の背中を見ながら決意するのであった。

 

 

 




おかしいなぁ、デミウルゴス、こんなキャラだっけ?

今回は短いよ。

次回は今度こそモモンガさんと茶釜さんのラブい話だよ。

たぶんね。

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