すいません。作者の事情により、なかなか時間がとれませんでした。
がんばってはいきますが、しばらくは執筆に専念できなさそうです。空いている時間で、なんとか進めていくつもりではありますけどね。
近頃は究極超越などと言った新システムが登場する中、まだリミットブレイク環境という、時代遅れな小説ですが、よろしくお願いします。
双闘だって、何それ?状態ですから。超越も、早く出したいと思ってるんですよね。
何だか長い前置きになりましたが、どうぞ。
円陣を終えて、私は3つあるMFSの中の1つの前に立つ。
相手のファイターも向かいのMFSの前に立ち、少し距離があるものの、互いに向かい合う状態だ。
ついに、グランドマスターカップが始まるんだ。
すると、足元にあったMFSが動き出し、私のまわりを回転しながら、ファイトテーブルの形に変化させていく。
「す、すごい……」
こっちが本筋ではないのだが、思わず感嘆の声を出してしまう。
デッキを取り出し、いつも通りにファイトの準備を進める間も、これから始まるファイトのことで胸を踊らせていた。
「準備は整いましたか?」
それぞれ頷いて、準備を済ませたことを審判に伝える。
「わかりました。では、試合開始!」
「「スタンドアップ!「ザ!」ヴァンガード!!」」
ファーストヴァンガードが表になる。と、それを合図にMFSが起動。光を放ち、辺りの景色を一変させていく。
「え……!?これは!?」
光が晴れた時、そこに広がっていたのは、神聖さが漂う王宮の広場だった。立っているのがホールの中だとは考えられない。
「感心するのはわかるけど、早く始めようぜ?それに、MFSのファイトはこっからが面白いんだ」
「あ……すみません。初めてだったので。じゃあ、始めましょう」
「おう。俺は、呪禁道士 ダンダン!(5000)」
「私は、解放者 チアーアップ・トランペッター!(5000)」
相手はなるかみ……。ダンダンなら、軸はダンガリーの可能性が高いな。
(いや、それにしてもさ……)
映し出される映像とは言え、本当にユニットと一緒にいるみたいだ。
照りつける日差しも、静かに吹く風も、ユニットの細かな動作に至るまで、全てが本物みたいに思える。
これは……面白いファイトになりそうだ。
「私のターン、ドロー!小さな解放者 マロン(7000)にライド!」
ドローし、チアーアップにマロンをライドさせた途端、MFSに映るチアーアップにも変化が訪れる。
足元にサークルが出現し、チアーアップの姿を光が包む。光の中で徐々に変化した姿は、マロンのものになっていた。
「おお……」
ライドすると、こんな風に変化するんだ……!
「チアーアップは、後ろに移動するよ。これでターンエンド!」
マロンの後ろにサークルが出現し、そこからチアーアップが現れる。思わず目を奪われそうになるが、すぐに相手の出方を警戒する。
「俺のターン、ドロー!ライド!レッドリバー・ドラグーン!(8000) ダンダンは後ろへ。そのままブーストし、アタック!(13000)」
アタックを宣言し、カードをレストする。その途端、レッドリバーが槍を構えて地を駆けた。
「凄い……」
まるでこちらに迫って来ているかのように見える迫力。と、見とれるのはわかるが、早くガードするかを宣言しないと……
「ノーガード!」
「ドライブチェック……オールド・ドラゴンメイジ。ドロートリガー!1枚ドローし、パワーをレッドリバーへ!(18000)」
アニメでは、発動したトリガーのカードが光る演出がされていたけど、さすがにそんなことはなかった。
が、代わりにファイトテーブルが赤く光り、トリガーの発動を知らせる役割を果たしていた。
「ダメージチェック、猛撃の解放者。ゲット!クリティカルトリガー!!効果はマロンへ(12000 ☆2)」
今度は黄色くテーブルが光る。トリガーの種類によって、光り方が違うのかな。
「ターンエンド」
シオリ:ダメージ1 相手:ダメージ0
「私のターン、スタンドアンドドロー!王道の解放者 ファロン(9000)にライド!」
マロンの姿を足元の光が包み、剣を携えたファロンの姿に変わる。
「横笛の解放者 エスクラド(9000)と、ばーくがる・解放者(7000)をコール!チアーアップのブーストで、ファロンがアタックするよ!(14000)」
「ノーガード」
「ドライブチェック、未来の解放者 リューだね」
真上から剣を降り下ろし、レッドリバーに深く傷を与える。後ずさり、片膝をついた。
「ダメージチェック、ドラゴニック・デスサイズ」
「ばーくがるのブースト、エスクラドでアタック!(16000)」
「そこは、イエロージェム・カーバンクルでガード!」
エスクラドの音撃は、レッドリバーの前に立ちふさがるイエロージェムに当たる。そのまま四散し、光となって消えていった。
「ターンエンドだよ」
シオリ:ダメージ1 相手:ダメージ1
「俺のターン、スタンドアンドドロー!ライド!旋風魔斧の呪禁騎士!(9000)」
ダンガリー版のファロンってところのユニットか。
「もう一体、旋風魔斧の呪禁騎士(9000)をコールし、続けて呪禁道士 ダンダン(5000)をコール!」
サークルから次々とユニットが現れる。攻撃準備は、整ったみたいだ。
「ヴァンガードの呪禁騎士、ダンダンのブーストでアタック!(14000) ドライブチェック、封魔神竜 ダンガリー」
「ダメージチェック、希望の解放者 エポナ。ゲット!クリティカルトリガー!!効果はファロンへ!(14000 ☆2)」
「なら、リアガードの呪禁騎士はエスクラドだ!もちろん、ダンダンのブースト!(14000)」
「させないよ!猛撃の解放者でガード!」
エスクラドの身代わりとなって斧に切り裂かれ、すぐに消えていく。これでガード成功……と。
「ターンエンド」
シオリ:ダメージ2 相手:ダメージ1
「私のターン。スタンドアンドドロー!」
MFS。その舞台でファイトすると聞いてから、私は今日という日を本当に待ち望んでいた。
ユニットが目の前で動き、より身近に感じながらファイトができる。一緒に戦えることができるから、私は楽しみだった。
けど、何よりも一番心踊らせていた理由は……
「……嬉しいよ、本当に。あなたが、目の前で一緒に戦ってくれることが!世界の平和を願いし王よ!未来を導く光となれ!ライド・ザ・ヴァンガード!!」
ファロンが光り輝き、その姿が徐々に変化する。白くなびくマント、金の装飾が随所に見られる白銀の鎧。
愛用の剣を掲げ、纏う光を払って現れたのは……騎士を統べる王。そして、シオリにとっての……つながり。
「円卓の解放者 アルフレッド!!(11000)」
本当に、あなたが隣にいる。横に立つアルフレッドを見て、シオリは思わず目頭が熱くなるのを感じた。
こちらを見つめるアルフレッドの顔は、何だか微笑んでいるようにも見えた。
「行こう……アルフレッド!何もコールしないで、そのままチアーアップのブースト!アルフレッドで、ヴァンガードにアタック!!(16000)」
かけ声に合わせ、アルフレッドが地を蹴る。呪禁騎士との距離を詰め、力強く剣を握る。
「ツインドライブ!1枚目、小さな解放者 マロン。2枚目、横笛の解放者 エスクラド。トリガーはないけど……行け、アルフレッド!」
斧によるガードも許さないまま、アルフレッドの剣が鮮やかに曲線を描く。
「く……!ダメージチェック……送り火の抹消者 カストル」
「ばーくがるのブースト、エスクラドも続いて!(16000)」
「ガードしたいが……ノーガード!ダメージチェック、毒心のジン。クリティカルトリガー!効果はヴァンガードへ!(14000 ☆2)」
トリガーが出てしまったか……。エスクラドのスキルで追撃を狙おうとしたんだけどな……。けど、
「エスクラドのスキル!CB1、デッキトップの……霊薬の解放者(5000)をスペリオルコール」
……いや、どっちにしてもダメだったか。しかもヒールトリガーをコールしてしまったし、運が悪かった。
「仕方ない……ターンエンド!」
シオリ:ダメージ2(裏1) 相手:ダメージ3
「俺のターン、スタンドアンドドロー!ライド!封魔神竜 ダンガリー!(11000)」
巨大な雷の弓を持った竜が、王宮の広場に姿を現す。鋭い目つきで、アルフレッドを見下ろす。
と、その後ろにいたダンダンが淡く発光していることに気がついた。
「ダンダンのスキルで、ダンガリーを含むユニットが登場した時にデッキの上から1枚を表でバインドする!2体分で2枚!」
自らバインドして、強力な力を得るのがダンガリーの特徴だったはず。
けど、まだ相手のダメージは3。バインドゾーンのカードが活きるためには、リミットブレイクを使う必要がある。このターンでは、特に警戒しなくてもいいだろう。
「ダンガリーのスキル!ライドした時に、デッキの上から2枚を表でバインド!」
とはいえ、後につなげるためのバインドはしてくるか。このターンだけで4枚。これがどう影響してくるか。
「魔竜戦鬼 カルラ(9000)をコールし、そのままエスクラドにアタック!(9000)」
「っ、ここは……ノーガード!」
降り注ぐ雷が、エスクラドを光へと変えていく。
「ダンダンのブースト、ダンガリーでアタック!(16000) ツインドライブ、1枚目、鳴動魔槌の呪禁騎士。2枚目、イエロージェム・カーバンクル。クリティカルトリガー!」
「っ、クリティカルか……」
「パワーは呪禁騎士(14000) クリティカルはダンガリーへ!(16000 ☆2)」
2本の矢が放たれ、アルフレッドを貫く。映像とわかってはいても、痛ましい光景だった。
「アルフレッド!く……ダメージチェック、1枚目、疾駆の解放者 ヨセフス。2枚目、武装の解放者 グイディオン。ゲット!ドロートリガー!!」
赤に発色。それを確認し、トリガー処理を行う。
「1枚ドロー。パワーはアルフレッド!(16000)」
「ダンダンのブースト、呪禁騎士でアタック!スキルでダンガリーのヴァンガードがいるなら、パワープラス3000!(22000)」
「エポナでガード!」
「ターンエンド」
シオリ:ダメージ4(裏1) 相手:ダメージ3
「私のターン、スタンドアンドドロー!」
なかなか強い。まだ互いにグレード3になったばかりとは言え、押されているのは私だ。リアガードの質も、向こうの方がいい。
だったら、今から増やす!
「アルフレッドのスキル!CB2で、デッキトップのカードをスペリオルコール!……よし、ブラスター・ブレード・解放者!!(9000)」
ばーくがるの前にコールし、パワーラインは整えた。けど、まだ足りない。
「横笛の解放者 エスクラド(9000)をコールし、アルフレッドのリミットブレイク!解放者のリアガード1体につき、パワープラス2000!5体でフルパワー!!パワープラス10000!(21000)」
リアガードの放つ輝きが、アルフレッドに力を与えていく。これで、準備はできた。
「霊薬の解放者のブースト、エスクラドでダンガリーにアタック!(14000)」
「カルラでインターセプト!」
「チアーアップのブースト、アルフレッドでアタック!(26000) ツインドライブ。1枚目……ばーくがる・解放者。2枚目……霊薬の解放者。ゲット!ヒールトリガー!!」
今度は緑色。それはともかく、かなり助かる。
「ダメージを1枚回復!パワーはブラスター・ブレード・解放者へ!(14000)」
ダメージが回復したことで、リミットブレイクの効果も途切れる。けど、アタックは問題なくヒットする。
「ダメージチェック、ワイバーンガード ガルド。完全ガードか……」
「ばーくがるのブースト、ブラスター・ブレードでアタック!(21000)」
「これ以上はさせるか!イエロージェム・カーバンクルと、オールド・ドラゴンメイジでガード!」
ブラスター・ブレードが剣で斬りかかるものの、阻まれた2体のユニットによって後退させられる。
「ターンエンド!」
シオリ:ダメージ3(裏2) 相手:ダメージ4
「俺のターン。スタンドアンドドロー!」
ドローしたカードを見て、相手は口元を僅かに緩めたのが見てわかった。
何かいいカードを引いたのか。だとしたら、ダンガリーデッキで考えられる切り札。つまり……
「ここからが本番だ!封じられし轟雷!空を征する紫電の矢!クロスライド!!」
ダンガリーの足元にサークルが出現。そこから雷がほとばしり、ダンガリーの姿を染め上げていく。
「征天魔竜 ダンガリー“unlimited”!!(11000)」
ここでunlimitedか。警戒を強めた方がよさそうだな。
「ダンダンのスキル!ダンガリーを含むユニットがコールされたので、デッキの上から1枚を表でバインド!ダンダンは2体いるから、合計2枚!」
これでバインドゾーンが6枚……。
「封魔神竜 ダンガリー(11000)をコール!再びダンダンのスキルでバインド!今回も2枚だ!」
ちなみにダンガリーは、自身の効果でバインドしたカードがないと、パワーが永続して9000になる。その欠点を補うためのダンダンとも言える。
それはそうと、これで計8枚。この先に起こることを想像すると、かなり危険な状況ではある。
「鳴動魔槌の呪禁騎士(4000)をダンガリーの後ろにコールし、ダンダンのブースト、unlimitedでアタック!そして、unlimitedのリミットブレイク発動!」
発動を宣言した途端、ダンガリーの持つ矢が、紫の光を帯びていく。
「CB2、俺のデッキの上から1枚を表でバインドし、相手の前列のリアガードを1体退却!対象はエスクラド!」
紫に発光する矢を構え、目一杯引き絞る。その矢は正確に弓から放たれ、エスクラドの体を貫いた。
「さらにターン中、バインドゾーンの表のなるかみ1枚につき、パワープラス2000!9枚でパワープラス18000!(31000)」
「く……!」
リアガードを退却させた上に、パワーも上昇させる。終盤で使われると苦しいスキルだ。
「このアタックはどう受ける!(36000)」
「ノーガード!」
せっかくヒールトリガーでダメージを回復できたんだ。余裕があるなら、受け流した方がいいに決まってる。
「ツインドライブ!1枚目、毒心のジン。クリティカルトリガー!パワーは旋風魔斧の呪禁騎士へ(14000) クリティカルはunlimitedへ!(36000 ☆2) 2枚目、魔竜仙女 セイオウボ。ヒールトリガー!」
「って、え!?」
「ダメージを1枚回復し、パワーはダンガリーへ!(16000)」
無数に射たれる矢が、アルフレッドの鎧に傷をつけていく。が、何とか踏ん張り立ち続けている。
「ダメージチェック、1枚目……光輪の解放者 マルク。2枚目……ブラスター・ブレード・解放者」
まさかダブルトリガーとは……。本当に、ヒールの回復があって助かった。
「ダンダンのブースト、旋風魔斧でアタック!前のターンと変わらず、ヴァンガードはダンガリー。よって、パワープラス3000!(22000)」
「霊薬の解放者、未来の解放者 リューでガード!」
「鳴動魔槌のブースト、ダンガリーでアタック!鳴動魔槌のスキル!ダンガリーをブーストした時、SB1でパワープラス6000!(26000)」
実質10000ブースト。これは厳しい。
「まだまだ……ガード、猛撃の解放者! さらにばーくがるとマロンでガード!」
ダンガリーの放つ矢は、マロンの魔法によって威力を削がれ、ばーくがると猛撃の解放者がその矢を切断した。
「ターンエンドだ」
シオリ:ダメージ5(裏2) 相手:ダメージ3(裏1)
「私のターン、スタンドアンドドロー!ライドはなしで、王道の解放者 ファロン(9000)をコール!」
リアガードを失ったと言っても、1体だけだ。すぐに立て直すことはできる。
「アルフレッドのリミットブレイク!解放者のリアガードは5体健在!フルパワー!!パワープラス10000!!(21000)」
再びアルフレッドにパワーが集まる。アルフレッドはリアガードを一瞥すると、目の前のunlimitedを強く見据えた。
「ばーくがるのブースト、ブラスター・ブレードでunlimitedにアタック!(16000)」
「旋風魔斧でインターセプト!」
クロスライドでパワーが上がったから、ガードが硬い……。たった1枚でガードされてしまった。
「チアーアップのブースト、アルフレッドでアタック!(26000) ツインドライブ、1枚目、疾駆の解放者 ヨセフス。2枚目、武装の解放者 グイディオン。ゲット!ドロートリガー!!」
これで手札は増えるが、少し心持たないと思うのは、先ほどのunlimitedのパワーアップを見ているからだろう。
「1枚ドローし、パワーはファロンに与えるよ!(14000)」
跳躍し、ダンガリーの体に剣を突き立てて降り下ろす。痛みで腕を振り回すunlimitedだが、アルフレッドはすぐに距離をとった。
「ダメージチェック、ワイバーンガード ガルド。またか……」
「霊薬の解放者のブースト、ファロンでアタック!スキルで解放者のヴァンガードがいるなら、パワープラス3000!(22000)」
「ここは……ノーガードする!ダメージチェック、魔竜仙女 セイオウボ。ヒールトリガー!」
けど、ダメージは私の方が多い。回復は無効だ。
「よし、ターンエンド!」
シオリ:ダメージ5(裏2) 相手:ダメージ5(裏1)
「俺のターン、スタンドアンドドロー!ライドなしで、ダンダンの前にドラゴニック・デスサイズ(9000)をコール!スキルでCB2、ばーくがるを退却!」
低空で接近するデスサイズが、ばーくがるの体を両断。光となって消えていく。
「ダンダンのブースト、デスサイズでファロンにアタック!(14000)」
「ファロンは……ノーガード!」
インターセプトを使えなくして、unlimitedにつなげるつもりだろう。
「ダンダンのブースト、unlimitedでアタック!続けてリミットブレイク!CB2と、デッキの上から1枚を表でバインドし、ブラスター・ブレードを退却!」
雷の矢を受けたブラスター・ブレードは、崩れ落ちるように倒れて消えた。
「そして、バインドゾーンの表のなるかみは10枚!パワープラス20000だ!(33000)」
しかもそこに、ブーストのパワーも加わる。たかが5000でも、大きく響く。
「さあ、このアタックはどうする!もっとも、さっきみたいにノーガードでは逃げられないぞ!(38000)」
「……だったら、光輪の解放者 マルクで完全ガード!コストはグイディオン!!」
アルフレッドの前にマルクが現れ、防護壁を展開してunlimitedの攻撃を防ぐ。
「完全ガードを持ってたのか!?ちっ、ツインドライブ!1枚目、レッドリバー・ドラグーン。2枚目、毒心のジン。クリティカルトリガー!」
それでもきっちりトリガーは引いてくるんだね……。
「効果は全てダンガリーへ!(16000 ☆2) 鳴動魔槌のブースト、ダンガリーでアタック!鳴動魔槌のスキルで、SB1!パワープラス6000!(26000 ☆2)」
マルクが役目を終えて姿を消す。その瞬間を狙い、ダンガリーが雷を纏う矢をアルフレッドめがけて射ち放った。
「……まだ、始まったばかりなんだ!こんなところで、終われない!ガード!霊薬の解放者、ヨセフス、リュー!」
「防ぐか……。だったら、次のターンだ。ターンエンド!」
シオリ:ダメージ5(裏2) 相手:ダメージ5(裏5)
「私のターン、スタンドアンドドロー」
状況はあまりよくない。手札は2枚。リアガードは、さっきのターンに3体失い、残っているのはチアーアップと霊薬の解放者。正直、戦力としては不足している。
(強いな……。これが、グランドマスターカップなんだ)
まだ1回戦だと言うのに、こうも苦戦している。この先、さらに激しい戦いになることは容易に想像できる。レベルの高さを、シオリは改めて実感する。
(……でも、この先にあるんだ。あの人と、ナオヤさんと約束した、再戦の舞台が)
だから、こんなことで怖じ気づいたりはしない。絶対に勝ち上がる。
そのための鍵は、既に手のひらの中にあった。
「響け雄叫び!その威光に、金色の戦士達よ……応えよ!!ライド・ザ・ヴァンガード!!」
アルフレッドの姿が、サークルの光に包まれて変化する。それは、この秋予選を共に戦う、新たなる仲間だった。
「狼牙の解放者 ガルモール!!(11000)」
黄金に輝く爪牙を携え、力強い咆哮を轟かせる。まさに、獣を思わせるものだった。
「チアーアップのスキル!自身をソウルに入れて、ガルモールにスキルを与える!」
残ったリアガードは、霊薬の解放者のみ。けど、これでいい。今の状況こそが、ガルモールのスキルが活きる格好の舞台だから。
「そして……ガルモールのリミットブレイク!!CB3で、デッキの上のカードをスペリオルコールする!そのカードは……円卓の解放者 アルフレッド!!(11000)」
私はこれを、霊薬の解放者のいる列とは違う列にコールした。わざわざ別の列を選んだのには、もちろん理由がある。
「まだリミットブレイクの効果は続いている!リアガードをコールした後に、空いているリアガードサークルがあるなら、この効果をコストを払わず繰り返す!」
リアガードが完全に整うまで、デッキからのコールを可能とするリミットブレイク。これが、ガルモールの力だ。
「くそ……!これじゃあ、退却させたはずのリアガードがまた展開される!」
「2回目のコール!疾駆の解放者 ヨセフス!(7000) 3回目、小さな解放者 マロン!(7000) 4回目、光輪の解放者 マルク!(6000)」
ヨセフスはアルフレッドの後ろに、マロンは霊薬の解放者の前に、マルクはガルモールの後ろにコールした。
「チアーアップの与えたスキル!このターン、デッキからリアガードがコールされた時、ガルモールにパワープラス3000!4体コールされたから、パワープラス12000!(23000)」
連続したコールを行うガルモールだからこそ狙える、チアーアップとのコンボ。相性は抜群にいい。
「さらにヨセフスのスキル!デッキからコールされたことで、SB1して1枚ドロー!霊薬の解放者のブースト、マロンでアタック!スキルで解放者のヴァンガードがいるなら、パワープラス3000!(15000)」
「デスサイズでインターセプト!」
「マルクのブースト、ガルモールでアタック!ガルモールのスキルで、霊薬の解放者をデッキの下に戻し、パワープラス4000!(33000)」
霊薬の解放者が、ガルモールに手を当てて光となる。その光は、両腕の爪牙に強い輝きを与えていく。
「……ガード!セイオウボ、毒心のジン2体!」
必要なトリガーは2枚。素早く相手の懐に飛び込むガルモールを見て、私はドライブチェックに移る。
「ツインドライブ!1枚目……円卓の解放者 アルフレッド。2枚目……希望の解放者 エポナ。ゲット!クリティカルトリガー!!効果は全てアルフレッドへ!(16000 ☆2)」
次々と、立ちはだかるユニットを蹴散らしていくガルモール。だが、後一歩のところで刃は届かない。けど、これでいい。道はできた。
「これで……決める!ヨセフスのブーストした、アルフレッドでアタック!!(23000 ☆2)」
「く……ガードしきれない……ノーガード!」
ガルモールの作った道をアルフレッドが駆け抜ける。後は任せたと言わんばかりに、後退するガルモール。その姿を見届けたアルフレッドは、その手に持つ剣を、unlimitedに降り下ろした。
「ダメージチェック……魔竜戦鬼 カルラだ」
喚き声をあげて、ゆっくりと仰向けに倒れていく。その姿が徐々に消えていった時、相手のダメージゾーンには、確かに6枚のカードが置かれていた。
「く……俺の負けだ」
がっくりと肩を落とし、悔しそうにMFSに手をつく。このファイト、私が負けてもおかしくはなかったのだから。
「危なかった……」
一安心して、私はデッキを片付け始める。すると、周りの景色が変化し、アルフレッドの姿も消えていく。
「あっ……」
名残惜しい気持ちで、アルフレッドの姿を目に焼き付ける。もう少し、一緒にいたかったんだけどな……。
「シオリさ〜ん!やったっスね!」
などと感慨に浸っていると、後ろの方で私を呼ぶ声が聞こえる。応援に回っていた佐原君だ。私はデッキを持ち、佐原君の元に向かう。
「かなりハラハラしたよ……。相手も強かった」
「レベルの違いっスね。けど、勝てたじゃないっスか。上等っスよ」
「そうだね。ところで、2人は?」
「まだファイト中みたいっス。そろそろ終わると思うんスけど……」
未だ起動している2つのMFS。そのうちの1つに目を向け、ファイトを観戦する。勝っているのか、それとも……。
「終焉を告げる灼熱の龍!秘めたる闘志を解き放て!ブレイクライド!ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド!!(11000)」
いや、そんな心配はいらなかったみたいだ。きっとこのターンで決めてくれる。
「ブレイクライドにより、ジ・エンドにパワー10000とスキルを与える!(21000) そのままヴァンガードにアタックだ!」
「か……完全ガード!」
「ツインドライブ、1枚目、ワイバーンガード バリィ。2枚目、……おっ、ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンドだ」
「げっ!?嘘だろ!?」
「ここでブレイクライドスキル!手札3枚を捨てて、ジ・エンドをスタンド!もう一度アタックだ!(21000)」
相手のダメージは5枚。守らないと負けだが、生憎手札が足りないようだ。
が、手札にジ・エンドがある以上、アタックがヒットすれば、ペルソナブラストでスタンドする。ヒールトリガーで耐えきれる状況ではなくなった。
「……ノーガード。ダメージトリガーは、なしか……」
「よし!勝った!」
ガッツポーズで、勝利を喜ぶ小沢君。デッキを片付け、すぐに私たちのところに戻ってきた。
「やったね、小沢君!」
「ああ。少し危ない場面もあったけどな」
「シオリさんにワタル君。これで2勝……ってことは、俺たち2回戦進出っスよ!!」
「おお!」
これでチームとしての勝利は確定した。けど、森宮さんのファイトの決着はまだついていない。
「……ん。あの様子だと、2人とも勝ったみたいね」
「何!?そ、そんな……」
チームの敗北が決まったと知り、ショックを隠せない様子だった。だが、
「……だったら、せめて一矢報いてやる!お前にだけは、勝って終わる!」
「なら私も、全勝で次に進ませてもらうわ!スタンドアンドドロー!」
気持ちを切り替え、むしろ闘志を昂らせている。そんな相手に、私も全力で勝ちにいく!
「嵐を纏いし蒼き竜王!誓う想いは正義と共に!今、決意の咆哮を放て!!ブレイクライド!蒼嵐覇竜 グローリー・メイルストローム!!(11000)」
「何!?グローリーが切り札だったのかよ!?」
「ブレイクライドスキルで、グローリーにパワープラス10000!(21000) さらにスキルを与える!」
さっきのターン、ドライブチェックで完全ガードを手札にしたのはわかっていた。そこに余裕があったのだろうが、グローリーの前ではそうはいかない。
「キブロスのブースト、グローリーでアタック!ここでブレイクライドスキル!相手は手札1枚を捨てないとガードできない!捨てないなら、グローリーのクリティカルが1増える!」
「当然捨てる!」
「さらにグローリーのアルティメットブレイク!CB1、グローリーにパワープラス5000!このアタックは、グレード1以上でガードできなくするわ!」
相手の手札は3枚。このアタックを防げるだけのシールドは、持ち合わせていないだろう。
「くっそ〜!ノーガード!ダメージトリガーは……ないかぁ!」
「ふぅ……」
何とか勝利。軽く息を吐き、シオリたちの待つ場所に戻る。
「やったっスよ、リサさん!1回戦突破!幸先いいスタートっスよ!」
「やっぱり勝ってたのね。よかったわ……」
黒星をつけず、調子のいい滑り出し。このまま勢いに乗っていきたいところだ。
「でも、不安だな……。これから先、相手はさらに強くなるから……」
「何を言ってるのよ。そんな弱気で、全国なんか行けないわ。私だって不安だけど、勝つ理由があるんだから」
「森宮さん……」
「そうっスよ!まだファイトしてないっスけど、俺だっているんスからね!」
「何様なんだよ」
そうだね。ちょっと苦戦したくらいで、いちいち不安がってたらいけないな。
私には、行くべき場所があるんだから。
「とにかく、次は2回戦!決して油断せずに、全力を出す!そして、必ず優勝するわよ!」
「「「おおーーっ!!」」」
私たちの挑戦は、まだ始まったばかりだ。