さて、5月から新シリーズが始まりますね。まさかのリメイクと言うことですが、かなり賛否両論といったところみたいです。
個人的には、無印のアイチ編は面白かったので、有りだと思います。カードも初期から始めていたので、昔のカードがリメイクされるのもいいと思います。
騎士王 アルフレッドもリメイクされるみたいなので、今から楽しみです。昔から好きで、この小説を書くきっかけにもなったカードだったので。
毎回前置きが長くなってしまい、本当にすいません。では、本編に行きましょう。
「進撃せよ!大地を揺るがす炎の王者!ブレイクライド!ドーントレスドライブ・ドラゴン!!(11000)」
何をやっていたんだ。あの時、俺が教えてもらった覚悟って奴は、こんなプレッシャーに負けるほど脆い物だったのか……?
『君たちはチームとして戦うんじゃないの?だったら当然、君もファイトする日がやってくるはずだ』
ああ、そうだ。お前は、そう言った。
『その時、君はチームのために勝てる?いや、勝てないね。今の君は、チーム頼みの勝利しか求めていないから。だから、必要なんだよ……覚悟が』
その言葉に拳を握り、悔しさを滲ませたあのファイトは、一体何だったんだろうな?
『覚悟を持ちなよ。チームのために戦う覚悟を。誰かのために戦う覚悟を持つ人は、それだけで強くなれる。君には、その覚悟が必要なんだ』
こうして今、あいつの言った状況になって気がついた。わかっているようで、俺は何もわかっていなかったんだ。
あいつの言う、本当の覚悟を。
「ブレイクライドスキル!ドーントレスにパワープラス10000!(21000) 更にアタックした時、手札3枚を捨てることでスタンドするスキルを与える!」
「や、ヤバいでござる……」
だからこそ、今見せる時だ。俺の……本当の覚悟を!
「ドーントレス単体で、シラユキにアタック!スキルでパワープラス2000!(23000)」
「やらせんでござる!シラユキは、相手のアタックに応じてリミットブレイクを発動!CB1とペルソナブラストで、アタックしているユニットのパワーマイナス20000!(3000)」
シラユキの周りを舞う花吹雪が、一ヶ所に集まっていく。それは、シラユキと瓜二つの姿になり、ドーントレスに激突して四散する。
「拙者はノーガード!」
「ち……ツインドライブ!1枚目、ドラゴンナイト ネハーレン。2枚目、ブルーレイ・ドラゴキッド。ゲット!クリティカルだ!」
そう言えば、ガキの手札には完全ガードがあったはず。だったら、次のドーントレスのアタックは防がれる可能性が高い……。
「効果は全てバーサークだ!(14000 ☆2)」
「……なっ!?」
ドーントレスが後退する傍ら、バーサークがトリガーの効果を受けて赤く輝く。
このプレイングを予期していなかったのか、思わずサスケの口から驚きが漏れる。
「ブレイクライドスキル発動!手札3枚を捨てて、ドーントレスをスタンドだ!」
ドーントレスの周りを取り囲むように現れた3枚の燃えるカード。それらがドーントレスに吸い込まれ、更なる力を与える。
「カルゼのブースト、ドーントレスでシラユキにアタック!再びスキルでパワープラス2000!(30000)」
「く……不味いでござる……」
ここで完全ガードを使えば、このアタックは阻止できる。が、後に控えるバーサークはクリティカルがプラスされている。何としても阻止しないといけない。
その上、ガキの手札は残り3枚。両方をガードするには、あまりにも手札が不足していた。
だから迷っている。ここをノーガードし、次のバーサークを完全ガードするかどうか。その選択を容易に決められないのは、俺がまだクリティカルトリガーをあまり引いていないからだろう。
「なかなか嫌らしいことをするでござるな!さっきまでの腰抜けっぷりはどこに行ったでござるか!?」
「チームのみんなが……あいつらが思い出させてくれたからな。俺は、チームで戦っているんだってこと。それに……覚悟を持つことを」
ドーントレスは両手を合わせ、炎の球を形成する。その輝きが、シラユキを赤く照らす。
「ぐぬぬ……だったら、仕方ないでござる!ノーガード!」
「ツインドライブ!1枚目、ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド。2枚目、ドラゴンモンク ゲンジョウ。ゲット!ヒールトリガー!ダメージを1枚回復し、パワーをバーサークへ!(19000 ☆2)」
シラユキめがけて放ったドーントレスの火球は、周りの木々を燃やしながら、シラユキに見事に命中する。
だが、まだ終わりではない。ガキの賭けは成功し、延命することに成功してしまったからだ。
「ダメージは……静寂の忍鬼 シジママルでござる」
「キンナラのブースト、バーサークでシラユキにアタック。まぁ、防がれるのはわかっているけどな。(25000 ☆2)」
「そんな皮肉は要らないでござるよ!忍獣 リーフスミラージュで完全ガード!コストはナイトパンサー!」
「ターンエンドだな」
ワタル:ダメージ4 サスケ:ダメージ5(裏1)
「……拙者のターン、スタンドアンドドロー!コクエンマルのスキル!CB1と自身をソウルに入れることで、山札の上から5枚確認して、グレード3を1枚手札へ!夢幻の風花 シラユキ!」
と言うことは、次のターンにはまたペルソナブラストを使うことができる……。
「このターンで決めてやるでござる!シラユキでアタック!(11000)」
「そうは行くかよ!ゲンジョウでガード!さっきみたいなミスはもうしないぞ!」
ドーントレスの前にゲンジョウが立ちはだかり、シラユキの花吹雪を受け止める。
「まだでござる!ツインドライブ、1枚目、隠密魔竜 マンダラロード。2枚目、忍獣 ブラッディミスト。トリガーはないでござる……」
助かったか……。いや、向こうはまだ2回のアタックを残している。
「く……マンダラロードで、ドーントレスにアタックでござる!(11000)」
「バーサークでインターセプト!」
「シジママルのブースト、カースドブレスでアタックでござる!(16000)」
「ここはノーガード。ダメージチェック、槍の化身 ター。クリティカルトリガー!効果は一応ドーントレスへ!(16000 ☆2)」
「決めきれなったでござるか……。カースドブレスのスキルで、アタックヒット時に山札の上から5枚確認。その中にマンダラロードがあれば、手札に加えるでござるが……」
そのまま山札に戻したところを見ると、5枚の中にマンダラロードはなかったようだ。シャッフルを終え、再びガキは手札を構え直す。
「拙者のターン、終了……。次こそ決めるでござる!」
ワタル:ダメージ5 サスケ:ダメージ5(裏2)
「俺のターン、スタンドアンドドロー!悪いが、もう次のターンはないぞ!」
「何!?」
「終焉を告げる灼熱の龍!秘めたる闘志を解き放て!ブレイクライド!ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド!!(11000)」
ドーントレスの足元で回転するサークルが、赤く輝きながらドーントレスの姿を包み込む。
次にそこから現れたのは、赤と金の鎧に身を包み、4本の腕にそれぞれ銃火器を携えた帝国の竜王。ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンドだ。
「ブレイクライドスキル!ジ・エンドにパワープラス10000!(21000)さっきと同じく、スタンドするスキルを与えるぞ!」
「あわわ……不味いでござる……」
「ペリコウスティドラゴン(9000)をコール!そしてキンナラのスキル!CB1、自身をソウルに入れて、シジママルを退却!」
ペリコウスティの後ろで、キンナラが杖から炎を放つ。炎を浴びたシジママルは、光となって消えていく。
「ペリコウスティで、カースドブレスにアタック!(9000)」
「ノーガードでござる!」
よし、インターセプトは潰した。これで狙うのは、ヴァンガードだけだ。
「ジ・エンドでシラユキにアタック!(21000)」
「まだでござる!シラユキのリミットブレイク!CB1とペルソナブラストで、ジ・エンドのパワーをマイナス20000!(1000)」
再び花吹雪から生まれたもう1体のシラユキが、ジ・エンドに激突して力を奪い取る。
「拙者はこれでノーガード!」
「ツインドライブ!1枚目、ガトリングクロー・ドラゴン。ゲット!ドロートリガー!1枚ドローし、パワーはジ・エンドへ!(6000)2枚目、ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド」
トリガーは発動したが、パワーダウンのせいでシラユキにアタックがヒットしない。けど、これで終わりじゃない。
「まだだ!ブレイクライドスキルで、手札3枚を捨てることでスタンド!」
ガトリングクロー、ジ・エンド、そしてバリィ。捨てられた3枚のカードの力が、ジ・エンドを再び立ち上がらせる。
「カルゼのブースト!ジ・エンドで……シラユキにアタック!(33000)」
咆哮をあげて飛翔するジ・エンドが、手に持つ銃火器をシラユキに向ける。しかし、
「忍妖 ユキヒメ、忍獣 キャットデビル、忍獣 ブラッディミストでガード!」
現れる3体のユニット。このままではアタックは通らない。
「トリガー1枚で突破でござる!」
「だったら引いてやる!ツインドライブ!」
ガキの手札はまだ1枚残っていたが、それはガードに使えないグレード3のカード、隠密魔竜 マンダラロード。
千載一遇のチャンス。決めるなら、ここしかない!
「1枚目、封竜 カルゼ……」
ジ・エンドの撃ち続ける無数の弾丸にも、ユニット達は耐えている。後一歩の決め手は、次のドライブチェックにかかっていた。
「2枚目!」
勢いよくめくったそのカードを、俺はファイトテーブルに叩きつける。そこにあったカードは……
「……ブルーレイ・ドラゴキッド。ゲット!クリティカルトリガー!効果は全てジ・エンド!(38000 ☆2)これで終わりだ!!」
トリガーの後押しが、ジ・エンドの猛攻に耐えていたユニット達を吹き飛ばす。
そして、丸裸のシラユキに、今度こそ終焉の一撃を与えたのだった。
***
「やったっスよ!これで5回戦進出っスね!」
何とか5回戦に進んだエレメンタルメモリーだったが、その結果は辛勝と呼ぶのが相応しいものだった。
4人はそのことを確認し、今は観客席でファイトを観戦している。
「お疲れ様、小沢君。ヒヤヒヤする場面もあったけどね」
「そのことに関しては悪かったな、星野。それに、佐原と森宮も」
「結果オーライっスよ。むしろ、よくがんばってくれたっスね、ワタル君!5回戦に進めたのも、ワタル君のおかげなんスから!」
私なんて、応援することしかできなかったんだから。このファイトの一番の立役者は、小沢君だ。小沢君のおかげで、私たちは勝つことができた。
「別にお礼なんて要らないわよ。あんな情けない姿を見てたら、いてもたってもいられなかっただけよ」
「……悪かった」
「だからいいって。……私だって、負けてるんだし」
顔を逸らし、森宮さんは私達と視線を合わせないようにしながら、言葉を続ける。
「あんなこと言っておいて何だけど、私が負けていなかったら、小沢君が変にプレッシャーを感じることもなかったはずでしょうからね……」
1人の敗北が、致命傷につながりかねないチーム戦。森宮さんは、自分が負けたことを責めている。負けることの重さを、理解しているからこそ。
「あなただけが悪い訳じゃない。むしろ、謝るのは私の方なのに……」
「そんなことない。森宮は俺に━━」
「謝らせて。力不足で、チームに迷惑をかけることになってしまって……ごめんなさい」
私達に向き合い、深々と頭を下げる。小沢君の制止を聞かずに、森宮さんは謝罪の言葉を口にした。
「ったく、何やってんスかリサさん。せっかく勝ったんスから、暗くなること言わずに頭を上げるっス」
「そうだよ、森宮さん。負けることのない人なんているはずない。そんなに自分を責めないで」
ゆっくりと顔を上げた森宮さんだったが、やはりまだ重い表情をしている。気持ちの整理をつけることが、森宮さんは完全にできていない。
「小沢君は、本当によくやってくれたわ。それなのに私は……情けないわね。チームに貢献するなんて、もっての他だった」
「そんなことない、森宮。俺は勝つことができた。けど、あのまま1人でファイトしていたら、無理だった」
「何が言いたいのよ」
「森宮は、十分チームの為にベストを尽くしてくれてるってことだ。だから、俺を叱ってくれたんだろ?」
チームのことを何よりも考え、行動する人がいる。それが、どれだけチームの支えになるだろう。この3回戦、もし森宮さんがいなかったら、負けていたはずだ。
それでも、森宮さんは素直に受け入れることができない。いくら励ましの言葉を貰ったところで、そこに結果が伴っていないから。
チームを危険にさらした事実は、想像以上に重くのしかかっていた。
「それに、森宮はリーダーだ。リーダーがそんな弱気でどうするんだよ?」
「リーダーね……。これでも一応、私はリーダーなのよね……」
自嘲するように笑い、深くため息をつく。そうすることで、気持ちの整理をつけることができたのか、森宮さんの顔色がわずかによくなる。
「わかったわよ。まだ終わった訳じゃないし、何とか気持ちを切り替えて見せるわ」
「それでこそ、リサさんっスよ」
「ええ。次は絶対、こんな事態にはさせないから……」
「森宮さん……」
チームのことを考えるからこその自責。そしてその決意は、周りから見たら脆く危ういものだった。
「1つだけ……私から言ってもいいですか?」
「シオリさん?ええ。何でも言ってくれて構わないわ。どんな言葉でも、私には受け止める義務がある」
「別に責めるつもりじゃないよ。ただ、これだけは覚えてほしいって思って」
だから、言っておきたかった。脆さと危うさを抱えて、決意を突き通した先にあるものを、私は知っているから。
「苦しい時は、抱えこまないで。もっと周りを見て。自分だけで、どうにかしようとしないで。1人だと……思わないで」
「シオリさん……」
「絶対に、忘れないで。頼れる仲間がいることが、どれだけ心強くて、大切なのか。きっと、その大切さに気づけない時が来るよ。今の森宮さんのままだったら」
自分だけで考え、決意を示し、そうして破滅を辿った人物を、私は知っているから。
「……わかったわ」
森宮さんは、短く言葉を返した。けど、私の想いが届いたのかどうかはわからないままだった。
***
「流石に、浅はか過ぎたか……」
人気のない通路に設置されたベンチに腰かけ、俺は……最上ナツキは、自らの行動を省みていた。
凉野マサミに接近する機会は、大きな大会くらいしかない。だから、あえて強行突破する道を選んだのだが……。
「そうだな。冷静になって考えたら、何をやってるんだろうな。俺は」
アクセルリンクを使う時よりも、粗雑な考え方だ。だが、それだけ必死になる理由がある。
俺は……ある人物の行方を追っている。
その人物と最も近い立場にいるのが、他でもない凉野マサミだった。無理を承知な行動をとったのも、他に道がないからだ。
「くそ……どうする?参加者の中にも奴の名前はなかった。凉野マサミにも会えず終いか……」
手がかりを何1つ得られることなく、今日という日を終えてしまう。それが惜しい。
「…………」
2年前のあの日から、俺はあいつと再会することだけを考えていた。忘れもしない、ノスタルジアカップの日から。
「あの時受けた屈辱は……必ず返す。もう一度、奴とファイトした時に、リベンジという形で返してやる」
それが、俺がここにいる理由。正直、グランドマスターカップなるものに興味はないが、奴の手がかりを突き止めるために、仕方なく行っていることだ。
「……そろそろ戻るか。あまり1人で時間を潰すわけには━━」
俺は、思わず息を飲んだ。俺の方に向かって歩く人影を、視界に捉えたからだ。
それがただの他人なら、ここまで過剰な反応はしない。今日、まさに探していた人物に他ならなかったからだ。
その人物こそ……
「凉野マサミ!」
俺は立ち上がり、通路を塞いでいた。千載一遇のチャンス。向こうから近寄ってきた幸運を、棒に振るわけにはいかない。
「お前はレゼンタ……。久しいな。まさか、このようなところで再会するとはな」
険しい表情の俺とは対称的に、凉野マサミは薄く笑みを浮かべ、余裕を見せている。その所作に、どこか妖艶な雰囲気を感じるようだった。
「尤も……開会式の前にこそこそ嗅ぎ回っていたらしいが?」
「あいつについて、聞きたいことがある!そのために、あんたに接触する目的でここに来たんだ!」
「やれやれ……せっかくの再会だと言うのに、そう吠えるな。もっと喜びあおうではないか」
「はぐらかすな!奴と関係がなかったなら、あんたのような汚れた人間と、またこうして顔を合わせることもない!」
笑みを崩さず、取り合おうともしない態度に、苛立ちが募り始める。以前から……ノスタルジアカップから変わらない、その態度に。
「何を言う。私のどこが汚れていると?」
「あの時語った、あんたの計画とやらのことだ。あんな非道な思考の持ち主を、好むわけがないだろう!?」
あの時のこいつの言葉は、俺の中から離れない。だからこそ、俺は嫌悪している。
だが、それでも、奴にすがらなければいけない理由がある。だったら、耐えてやるしかない。
「非道とは失礼だな。あの計画は世界を変えるために必要なことだ。そのために、お前たちに協力を求めただけのこと」
「その話は断ったはずだ!協力してやることなどない!」
有無を言わさず切り捨てたにも関わらず、まだ表情を崩さない。くそ……底が読めない相手だ。
「吠えるなと言っている。今お前に協力を頼んだところで、答えは見えていることだ」
「だったら、あいつのことについて教えろ。あいつは今、どこにいる?」
「一方的に教えを乞うのは、どうかと思うがな?」
「こいつ……!」
胸元を掴んでやろうと思ったが、仮にも相手はCFフォートレスの社長。ヴァンガード開発部長でもある権力のある人物だ。
そんな相手に暴力を振るうことがあっては、訴えられるのは目に見えている。そうなれば、まず確実に不利になるのは俺だ。
「随分執着しているようだな。そんなにあの時のことを根に持ってるのか?」
「あいつには借りがある。ただそれだけのために、俺はあいつを探している」
「ふん。借りを返す、か……」
どこか含みを持たせながら、凉野マサミは鼻で笑う。いちいちムカつくが、辛うじて堪える。
「何がおかしい?」
「それは……本当にお前の借りか?」
「っ……」
こいつは……痛いところを突くな。本当に嫌いな奴だ。好きになれそうにない。
「まぁいい。話は後だ。お前も、次のファイトがあるだろう。私はここで失礼しよう」
「いや、おい待て!話はまだ終わっていない!」
すぐさま立ち去ろうとする凉野マサミに対して、俺は慌てて止めにかかる。
「思いの外、せっかちな奴なのだな。急いては事を仕損じるという言葉があるだろう?」
「この機会を逃すつもりはない!奴について、必ず教えてもらう!」
「強情だな。話をすると言っているだろう」
「だったら、なぜ逃げるような真似をした!話すつもりなら、その必要はなかったはずだ!」
「だから焦るな。話は後でする」
後で……だと?
「どういうことだ?」
「言葉の通りだ。この秋予選が終わった後、私の部屋に来い。そこで話をしようではないか」
「部屋に来いって……本気か?」
「まさか疑っているのか?信じろ。嘘はついていない」
信用しているかどうかと言われると、奴の態度から間違いなく疑いを持ってしまうが……この際、そんなことを気にしていては終わりだ。
「……わかった。あんたの部屋に行けばいいんだな?」
「そうだ。警備の者には話をつけておく。お前は何の気兼ねなく部屋を訪ねてくれたらいい」
せっかく向こうからチャンスを与えてくれたんだ。それに乗ってやる。
「最後に確認しておくが……本当に信用していいんだな?その場しのぎの適当な言い訳じゃないだろうな?」
「しつこいな……。そこは約束しよう。お前とは話をしたいと思っている」
「そこも信用できるかどうか怪しいがな……」
「もし私が約束を守れなかった場合、その時は相応のペナルティを受けてやろう。それで満足か?」
ほう。そこまで言い切るなら、何の問題もなさそうだ。素直に従ってやろう。
「わかった。あんたの言葉を信用しよう」
「そうか。では、私も忙しいのでな。そろそろ失礼させてもらう」
俺の横を通り抜け、凉野マサミはその場を後にする。俺は、その姿を見送ることなく、背中を向けて歩き出す。
「今日のファイト……せいぜい頑張るがいい」
不意に背後から聞こえてきた声に、俺は振り返ることなく、
「ふん……皮肉だな。心配する気など、あんたにはない癖に」
そう呟いて、俺は歩みを強めていった。