今回はリンクジョーカー戦。新しいヴァンガードでは、星輝兵は登場するのでしょうか?
では、本編に行きましょう。
「ライド!ブラスター・ブレード・解放者!(9000)」
グランドマスターカップ秋予選6回戦。私たちの相手……チーム破滅の翼。力を過信し、周りを見下し、自分さえよければそれでいいと思う……そんな彼らを正すためのファイトでもある。
(絶対に……勝って見せる!)
「横笛の解放者 エスクラド(9000)をコール!エスクラドで、ネオンにアタックするよ!(9000)」
「そんなの食らわねぇよ!ネビュラキャプターでガード!」
エスクラドの音撃は、ネビュラキャプターの電磁波と激突し、相殺する。
「ち……!チアーアップのブースト、ブラスター・ブレードでアタック!(14000) ドライブチェック、ばーくがる・解放者!」
「ダメージチェック、星輝兵 ヴァイス・ソルダード。……ちっ、クリティカルかよ。効果はヴァンガードに与えておく」
「……ターンエンド」
シオリ:ダメージ2 黒瀬:ダメージ1
「俺のターン、スタンドアンドドロー!ライド!星輝兵 メビウスブレス・ドラゴン!(9000)」
あのユニットは……!
「無双の星輝兵 ラドン(9000)を、ランタンを後ろに下げてコール!ダストテイルのブースト、メビウスブレスでアタック!(14000)」
「…………」
今、私は2つの選択を迫られている。アタックをガードするか、しないか。
普通なら、ダメージに余裕はあるし、ノーガードで通す。けど、メビウスブレスはアタックがヒットすれば、リアガードをロックできる。当然、エスクラドをロックするだろう。
そうなれば、私の盤面は1列が機能を失うことになる。アタック回数も減ることになる。かといって、ガードすれば手札を消費し、後になって影響が出るかもしれない。
どちらを選んでも、影響は大きく出る。とすれば、ここで私が取るのは……
「……ガード!猛撃の解放者!さらに、エスクラドでインターセプトする!」
手札が減る方を取る。このデッキでは、とにかくリアガードを封じ込められることだけは避けておきたい。
「そんな抵抗……ドライブチェック、連射の星輝兵 ルテニウム。だが!ランタンのブースト、ラドンでアタック!星輝兵のヴァンガードがいることで、パワープラス3000だ!(19000)」
「ここは……ノーガード」
ラドンの放つ銃弾を、ブラスター・ブレードは鮮やかに剣で切り落としていく。だが、防ぎきれずに横腹に命中してしまう。
「ダメージは……小さな解放者 マロン」
「ターンエンド。後3ダメージだぜ?」
シオリ:ダメージ3 黒瀬:ダメージ1
「まだ3ダメージだよ……。私のターン!スタンドアンドドロー!」
今のところ、私の方が状況的には不利だ。手札は向こうの……黒瀬って人と同じ4枚。でも、盤面、ダメージ共に負けている。
ここからうまく流れを持っていかないと、追い詰められて終わりだ。
「……行くよ。世界の平和を願いし王よ!未来を導く光となれ!ライド・ザ・ヴァンガード!!円卓の解放者 アルフレッド!!(11000)」
横腹を押さえるブラスター・ブレードが、白と金の鎧を纏った王へと変貌する。暗い城の中では、一際輝いて見える。
アルフレッド……どうか、このファイトに勝つ力を!
***
「ドロー、障壁の星輝兵 プロメチウム(6000)にライド!」
「あれっ?完全ガードじゃん!ラッキー!!」
くっ……今回はイマイチ引きが悪いっスね……。しかも、手札にグレード2がない。グレード3は1枚あるっスけど、他はトリガー……。
俗に言う、手札事故……ってことっスか。
「ダストテイルは後ろへ!そのままブーストで、アタックっスよ!(11000)」
「ノーガード」
「ドライブチェック……星輝兵 ネビュラロード・ドラゴン」
グレード3……。2が欲しいのに……!
「ダメージチェック、ドラゴンモンク ギンカク」
プロメチウムがカストルに回し蹴りを決めて、まずは1ダメージ。
「……ターンエンドっス」
トウジ:ダメージ0 相手:ダメージ1
「俺のターン、ドロー!ライド、覇軍の抹消者 ズイタン!(9000)」
きっちりグレード2にライドしたっスか……。
「抹消者 スパークレイン・ドラゴン(9000)と、追撃の抹消者 ロチシン(8000)をコール!ロチシンで、アタック!(8000)」
「ノーガード……」
ロチシンが雷で攻撃する。プロメチウムは跳躍してかわすが、着地した場所は溶岩地帯。足元に感じる高熱に、顔をしかめる。
「ダメージチェック、障壁の星輝兵 プロメチウムっス」
「完全ガード落っちた!次はスパークレインでアタック!スキルで抹消者がヴァンガードなら、パワープラス3000!(12000)」
「ノーガード。ダメージチェック……っ!凶爪の星輝兵 ニオブ」
グレード2が!一番落ちてほしくなかったのに!
「ブレイドハングのブースト、ズイタンでアタック!(14000) ドライブチェック、抹消者ボーイングソード・ドラゴン!」
ズイタンの体当たりを食らい、プロメチウムは今度は背中から溶岩に落ちる。身体を焼く感覚に、プロメチウムは低く呻く。
「ダメージチェック、星輝兵 ステラガレージ。ヒールトリガーっス。ダメージを1枚回復し、パワーをプロメチウムへ」
「あーあ、回復かよ。ターンエンドー」
トウジ:ダメージ2 相手:ダメージ1
「俺のターン。スタンドアンド……ドロー!」
手札に来たのは、黒門を開く者。グレードは……1。
「……ライドなし。そのままアタック!(11000)」
「あれ〜?もしかして手札事故〜?大事な試合なのに〜?」
「うっさいっスね!事故ったもんは仕方ないじゃないっスか!」
何か……シオリさんがあそこまで腹立ってる理由がわかった気がするっス。
「ノーガード。ドライブチェックどうぞ〜?」
「ええい、ドライブチェック!星輝兵 メテオライガー。クリティカルトリガーなのは嬉しいっスけど……」
今はグレード2のユニットが欲しかったっスよ!
「効果はプロメチウムへ!(16000 ☆2)」
「残念だったな!ダメージは……覇軍の抹消者 ズイタンと、抹消者 デモリッション・ドラゴン!」
「……ターンエンド」
トウジ:ダメージ2 相手:ダメージ3
ダメージは逆転したっスけど、まず第一にグレード2へのライドっスよ……!頼むっス!来てくれなかったら、俺本当に負けるかもしれないっス……!
***
「ブラスター・ブレード・解放者(9000)、ばーくがる・解放者(7000)をコール!ブラスター・ブレードのスキルで、CB2……ラドンを退却!」
「ちっ!」
まずは戦力を削っておかないと。次のターンでグレード3にライドされたら、ロックが来るのも時間の問題だ。
「チアーアップのブースト、アルフレッドでアタック!(16000) ツインドライブ、1枚目、王道の解放者 ファロン。2枚目、武装の解放者 グイディオン。ゲット!ドロートリガー!!1枚ドローし、パワーはブラスター・ブレードに!(14000)」
チアーアップの音色を乗せた剣が、メビウスブレスの体に傷をつける。
「ダメージチェック、障壁の星輝兵 プロメチウム」
「次!ばーくがるのブーストした、ブラスター・ブレードでアタック!(21000)」
「ノーガード!ダメージは……星輝兵 ステラガレージ。くそっ!ヒールトリガーだが、回復なしだ」
アルフレッドに続いて、ブラスター・ブレードもメビウスブレスに剣を振るう。これで2ダメージだ。
「ばーくがるのスキル!ブラスター・ブレード・解放者をブーストしたアタックがヴァンガードにヒットした時、デッキの上から3枚見て……疾駆の解放者 ヨセフス(7000)をスペリオルコール!」
ただし、この効果でコールされるユニットはレスト状態でのコールとなる。追撃には使えないけど、次につなげる一手にはなる。
「ヨセフスのスキル!デッキからコールされたら、SB1で1ドロー!ターンエンド!」
シオリ:ダメージ3(裏2) 黒瀬:ダメージ3
「俺のターン、スタンドアンドドロー。……つまんねぇな」
「……何?」
「つまんねぇって言ったんだよ。無駄な抵抗を見ているほど退屈なもんはねぇよ」
無駄……だって?
「敵うはずもないのに必死になって……そう言うの見てるとヘドが出る」
「敵いもしない……!?」
「そうさ。どれだけ努力しても、最後に勝つのは俺なんだよ。無駄なんだ」
こいつ……!傲慢にも限度がある!
「俺はな……地道に努力しても、意味のないことを知っている!圧倒的な力の前では、そんな努力も無駄だってな!」
「自分の力が絶対だって、何でそこまで言い切れる!?」
「そりゃそうさ!俺はな……無駄な努力をしている奴らに、無駄だってことを教えるために、勝ち続けてきたんだよ」
「無駄な努力……だって!?」
「経験は実力につながる。だから、絶対だって言えるのさ!勝つために足掻いている奴、勝てると信じて疑わない奴、そのために重ねた努力は、一瞬で崩れ去る!強すぎる力の前にはな!」
歪んでいる。こいつは、他人を見下すどころじゃない。血と汗を流して重ねた、価値ある努力すらも見下していたのか……!
「だったら、努力なんてするもんじゃねぇ。なのに、努力すれば報われると思い込んでるなんて……馬鹿みたいだろ!?」
「そんな事……あるわけない!」
「あるんだよ!お前はまだ知らないから、そんな事が言える……。だから、思い知れ!ライド!星輝兵 インフィニットゼロ・ドラゴン!(11000)」
メビウスブレスが、インフィニットゼロへと変わる。光の少ない城の中では、赤黒い黒輪が禍々しく輝く。
「凶爪の星輝兵 ニオブ(9000)をコール!ダストテイルのブースト、インフィニットゼロでアタック!スキルでパワープラス2000!(18000)」
「ノーガード!!」
「ツインドライブ!1枚目、魔爪の星輝兵 ランタン。2枚目、星輝兵 ヴァイス・ソルダード。クリティカルだ!クリティカルはインフィニットゼロ(18000 ☆2) パワーはニオブだ!(14000)」
インフィニットゼロの光線が、アルフレッドを貫く。剣を支えに立つが、傷は深い。
(ここでクリティカル……。アクセルリンクを使う?……いや!)
「ダメージチェック、1枚目……円卓の解放者 アルフレッド。2枚目……霊薬の解放者。ゲット!ヒールトリガー!!ダメージ1枚回復、パワーはアルフレッドへ!(16000)」
アルフレッドの傷を癒すため、霊薬の解放者が駆けつける。役目を果たし、光となって消えていった。
「ランタンのブースト、ニオブだ!(21000)」
「グイディオンでガード!ブラスター・ブレードで、インターセプト!」
「ちっ、ターンエンドだ」
シオリ:ダメージ4(裏1) 黒瀬:ダメージ3
「私のターン、スタンドアンドドロー!アルフレッドのリミットブレイク!」
リアガードからオーラが迸り、アルフレッドに力を与えていく。
「解放者のリアガードは3体、パワープラス6000!(17000) チアーアップのブーストで、アルフレッドがアタック!(22000)」
「……リアガードを展開しない、だと?」
コールできないと言うことではない。手札がないわけじゃないし、なくてもアルフレッドならスキルでデッキトップのカードをコールできる。
「ガードは?」
「ノーガードだ」
「ツインドライブ。1枚目、小さな解放者 マロン。2枚目、希望の解放者 エポナ。ゲット!クリティカルトリガー!!効果はアルフレッド!(27000 ☆2)」
お返しとばかりにインフィニットゼロに2発の斬撃を与える。向こうのダメージチェックでトリガーが出ることもなく、5ダメージまで追い詰めた。
「ターンエンドだよ」
シオリ:ダメージ4(裏1) 黒瀬:ダメージ5
「スタンドアンドドロー。……そうか、リアガードを出さないことで、ロックされる数を減らそうとしたわけか」
「…………」
「だが、そうやって知恵を振り絞ったところで、その努力は結局無駄だ!こいつで、教えてやる……!」
ヴァンガードはインフィニットゼロ。そして、ダメージは4以上……。来るか、ブレイクライド……!
「ブレイクライド!星輝兵 ネビュラロード・ドラゴン!(11000) ブレイクライドスキルでパワープラス10000!(21000) さらに前後列のリアガードを1体ずつロック!」
インフィニットゼロから、ネビュラロードへ。その姿は暗闇に紛れて、相対するアルフレッドたちに威圧感を与えている。
私の前列にはリアガードがいないため、スキルによるロックは後列だけ。チアーアップが選択され、一切の身動きが封じられた。
「ニオブとランタンのスキル!相手がロックされる度、パワープラス2000!(ニオ 11000)(ラン 9000) さらにネビュラロードのリミットブレイク!ロックされているリアガードの数だけ、前列のユニットにパワープラス3000だ!(ネビュ 24000)(ニオ 14000)」
ロックしながら、自分はパワーを上げてくる……。味方だと頼りになるけど、敵に回るとここまで厄介なんて……。
「ネビュラロード・ドラゴン(11000)をもう1体、その後ろに連射の星輝兵 ルテニウム(6000)をコール!ダストテイルのスキル!ロックされているリアガードがあれば、CB1してソウルに置き、ばーくがるをロック!」
「またロック……!」
「ニオブとランタンのスキルでパワーアップ!(ニオ 16000)(ラン 11000)リミットブレイクの効果で、さらにパワーアップ!(ネビュV 27000)(ニオ 19000)(ネビュR 17000)」
アルフレッドの後ろには、次々と黒輪が浮かび出す。残っているのはヨセフスだけだが、そこにも魔の手が迫ろうとしていた。
「ネビュラロードのスキル!CB2で後列のリアガード、ヨセフスをロック!」
「一気に3体も……!」
「再びニオブとランタン!(ニオ 21000)(ラン 13000) そしてネビュラロード!(ネビュV 30000)(ニオ 24000)(ネビュR 20000)」
これで後列は、どこも使い物にならなくなった……。それよりも、どの列も脅威的なパワーだ。防げるかどうか、正直わからない。
「ヴァンガードの後ろに魔弾の星輝兵 ネオン(7000)をコール!ルテニウムのブースト、リアガードのネビュラロードでアタック!ルテニウムのスキルで、ネビュラロードをブーストした時、SB1でパワープラス5000!(31000)」
「……ノーガード。ダメージチェック、狼牙の解放者 ガルモール」
ルテニウムが牽制して逃げ場を無くし、ネビュラロードがアルフレッドを地面に叩きつける。
「アルフレッド!」
「高々ユニットのくせに心配するなんて、ずいぶんと余裕見せられたものだな……!」
「アルフレッドは、私にとって大切なユニットだよ!私は今……アルフレッドと一緒に戦っているんだ!」
「そうか。なら、大切なアルフレッドと最期を迎えるんだな!ネオンのブーストした、ネビュラロードでアタック!(37000)」
ネビュラロードの両手に、黒輪が束ねられていく。それぞれがエネルギーを持ち、一つの光弾と化していく。
「……光輪の解放者 マルク!完全ガード!コストはマロンだ!」
その攻撃を、マルクがアルフレッドを庇って受け止める。アルフレッドには傷一つつけずに、マルクは消えていった。
「持っていたか……だが!ツインドライブ!1枚目、星輝兵 インフィニットゼロ・ドラゴン。くそっ!」
トリガーが出ないことに焦ってる……。
「2枚目……星輝兵 メテオライガー。来たぜ、クリティカルトリガーだ!効果は全てニオブ!(29000 ☆2)」
「トリガーを引いた……」
「完全ガードされたのは仕方ない。が……これで終わりだ!ランタンのブースト、ニオブでアタック!!(42000 ☆2)」
ニオブの爪状の武器が、度重なるパワーアップにより巨大化する。そのまま大きく振りかぶり、アルフレッド目掛けて降り下ろす。
「ははっ、どうだ!?勝つのは俺だ!これまでの努力も、結局消えてなくなる!やはり、努力ってものは……無駄なんだよ!!」
確かに、ここで終われば無駄になる。……けど、私は!
「ここまで重ねた努力を……無駄になんてさせない!2枚目のマルクで、完全ガード!コストはエポナだ!」
「何!?馬鹿な……!?」
マルクがニオブの攻撃をがっちりと受け止める。ダメージは全くない。
「無駄な努力なんて一つもない!その努力を無駄だって決めるのは、あなたじゃない!自分自身だ!!」
「く……ターンエンドだ!!」
シオリ:ダメージ5(裏1) 黒瀬:ダメージ5(裏3)
「私のターン、スタンドアンドドロー」
私のリアガードは、後列に3体ロックされたカードがあるだけ。前列は2体とも欠けている。
「……デカイ口叩きやがって。何が無駄な努力はないだ」
「ないよ。絶対に」
「じゃあこの状況はどう説明する!?俺の手札は5枚!インターセプトも1枚ある!それに対して、お前はヴァンガードだけ!ブーストも使えず、前列も2体欠けて━━っ!」
「気づいたよね?私が前列を開けたのは、ロックされる数を減らすためじゃない。ロックを使いきったこの瞬間に、確実にアタックできるようにするため!」
この時のために私がした努力は……無駄だって言えるのかな?
「……だが、ブーストなしに手札とインターセプトを突破するなんて容易じゃない!その努力すら、無駄なんだよ!!」
「まだわからないの……?どんな努力も、無駄じゃない!それを今から証明する!コール!ブラスター・ブレード・解放者!!(9000)」
王と共に並び立つ盟友。彼の力は、相手の防御を崩すために一役買ってくれるはずだ。
「スキルでCB2、ニオブを退却!」
地面に剣を突き刺し、そこから放たれた衝撃波がニオブを消し去る。
「ブラスター・ブレードを退却させ、王道の解放者 ファロン(9000)、狼牙の解放者 ガルモール(11000)をコール!」
「くそ……!単体でアタックが通るユニットを温存していたのか!?」
「そして……アルフレッドのリミットブレイク!解放者のリアガードは2体!パワープラス4000!(15000)」
これでできることはした。後は、彼の手札を突破するだけだ!
「ファロンでアタック!スキルで解放者のヴァンガードがいるなら、パワープラス3000!(12000)」
「メビウスブレスでガード!」
ファロンの斬撃は、メビウスブレスに阻まれて届かない。
「次はアルフレッド!これで、決めてやる!!(15000)」
「……ヴァイス・ソルダードでガード!」
アルフレッドがファロンに続くが、やはりそう簡単には通してくれない。
「トリガーは2枚必要だ!そんな芸当、やれるもんならやってみろ!!」
「……ツインドライブ!1枚目、猛撃の解放者。ゲット!クリティカルトリガー!!効果は……全てアルフレッド!(20000 ☆2)」
「ヴァンガードにトリガーだと……!?こいつ、もう1枚トリガーを引くつもりか!?そんな無駄なことを……!」
「無駄じゃない!引いて見せる!!2枚目!!」
正直、1枚目でトリガーが出るとは思ってなかった。トリガーは来てほしいとは思っていたけど……想いの強さか、それとも運か。とにかく助かった。
だって、これで私に必要なトリガーは1枚。それだけなら……確実に引ける力が、私にはある!
(みんな、お願い……!今なんだ!アクセルリンクを使う時は……!)
ユニットとのつながり。波紋の広がるような、あの感覚……来た!
『この力で、あなたに勝利を……!』
『行け、シオリ!』
ユニットの声……聞こえる。これは、間違いなくアクセルリンクだ。
『また来たね……シオリ』
(この声は……昔の私?)
『君が勝利を求めるなら、ユニットは必ず応えてくれる。さぁ、感じて……』
ゆっくりとドライブチェックを行う。そこにあるカードは、見なくてもわかる。
「……希望の解放者 エポナ。ゲット!クリティカルトリガー!!効果は全てアルフレッドへ!(25000 ☆2)」
「馬鹿な!?トリガーを引き当てただと!?」
クリティカルは3。ヒールトリガーで持ちこたえることは難しく、最後のダメージには魔弾の星輝兵 ネオンが落ちた。
「くそっ!何故だ!?努力なんて、したところで無駄なのに……!」
「それは、このファイトでわかったよね?」
MFSが機能を停止させ、ユニットたちが消えていく。黒瀬は悔しさと苛立ちから、おぞましい形相で私を睨み付ける。
「ちっ……!おい、お前!名前は何だ!」
「シオリ……。星野シオリ」
「その名前……忘れないぞ!次は絶対……!」
リベンジを口にしながら、黒瀬はデッキを片付け、その場を離れようとする。
「待ってよ。チームの応援は?」
「そんなもの必要ねぇよ!俺が負けた試合なんだ。あいつらが頑張ったとこほで、勝てる試合じゃねぇよ!」
私が呼び止めるのも虚しく、黒瀬はホールを後にした。チームメイトの努力をも無駄だと言い切って。
ファイトには勝った。けど、黒瀬に改心した様子は見られない。その点で、私は負けた。
どこか晴れない気持ちのまま、私は2人のファイトを見届けることにする。まだMFSは起動しているため、勝敗はついていないはず。
だが、片方のMFSに目を向けた時、そこに写し出されていた映像に息を飲んだ。
苦しそうに肩で息をするグローリー・メイルストローム。その周りに漂っていたのは、5つの黒輪。
「森宮さん……!」
敵対するのは、シュバルツシルト・ドラゴン。森宮さんに残されたのは……孤独なグローリー・メイルストロームだけだった。