つながり ~君は1人じゃない~   作:ティア

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この頃調子がよく、連続で投稿できています。今回は最初からファイトしていきます。

後、今回の話は、ride11とride12の話を先に見ておくと楽しめるかもしれません。そのような描写がいくつか出ますので。

相変わらず昔のカードばかりですが、懐かしさを感じてもらうことも考えていますので、拙い文章ですがよろしくお願いします。


ride47 同じじゃない

グランドマスターカップ秋予選。そのAブロックの決勝戦が、今幕をあげようとしていた。

 

「「スタンドアップ!「ゴー!」ヴァンガード!!」」

 

暗雲の立ち込める荒野が、フィールドとして選ばれる。そこに並び立つ2人のヴァンガード。

 

「レッドパルス・ドラゴキッド!(4000)」

 

「抹消者 ファーストサンダー・ドラゴキッド!(5000)」

 

相変わらず、ゴーはつけるんだな。どんなファイトになるか……楽しみだ!

 

「俺のターン!ドロー、ドラゴンモンク ゴジョー(7000)にライド!レッドパルスは左後ろへ」

 

レッドパルスがゴジョーに変わり、その左後ろに出現したサークルからレッドパルスが現れる。

 

「ゴジョーのスキル。レストし、手札1枚を捨ててカードチェンジ。ターンエンドだ」

 

ゴジョーが杖を地をつけてスキルを発動する。次はユウトのターンだ。

 

「俺のターンだ、ドロー!抹消者 デモリッション・ドラゴン(7000)にライド!ファーストサンダーはそのまま後ろに下げて、ブーストしてアタック!(12000)」

 

「ノーガード!」

 

「ドライブチェック!暗殺剣の抹消者 スウセイ。トリガーはないな」

 

デモリッション・ドラゴンが突進し、ゴジョーを吹き飛ばす。

 

「ダメージチェック、ヒートネイル・サラマンダーだ」

 

「よし、ターンエンド!」

 

 

ワタル:ダメージ1 ユウト:ダメージ0

 

 

「俺のターン、スタンドアンドドロー。……ユウト」

 

「なんだ?」

 

「楽しいな。前にファイトした時よりも、楽しくて仕方ない!」

 

「へっ、そんなのこっちもだ!」

 

だよな。そんなの、言わなくてもわかることか。

 

「来いよ!おしゃべりしてる暇があるなら、その分楽しもうぜ!」

 

「……おう!ドラゴンナイト ネハーレン(10000)にライド!」

 

以前のユウトとのファイトは、俺が勝利している。だが、俺はユウトの戦術……スペリオルライドによる連続攻撃に苦しめられた。

退却を引き金に発動するその戦術の中心を担っていたのは、他でもないファーストサンダー。あいつのスキルが、全ての始まり。

 

つまり、ファーストサンダーを野放しにすると、またスペリオルライドを狙われる。その前に、どうにかする!

 

「コール!ガトリングクロー・ドラゴン!(4000)」

 

「ちっ……そいつは!」

 

「今からやることは察しがついたか?ガトリングクローのスキル!CB1、ソウルに入れて、ファーストサンダーを退却する!」

 

ガトリングクローが腕のガトリングをファーストサンダーに向けて撃つ。剣を盾代わりにしていたが、受け止められずに消えていく。銃弾を使いきったガトリングクローも、そのまま消えていった。

 

「やるな……!ここでガトリングクローを使うとは!」

 

「手札に来てくれて助かった。こうでもしないと、ファーストサンダーは退場させられないからな」

 

前のファイトでリンチュウを複数枚採用していたことを考えると、ファーストサンダーを余分に投入しているとは考えにくい。スペリオルライドは、完全に封じたといっていいだろう。

 

「ベリコウスティドラゴン(9000)、ドラゴンナイト ネハーレン(10000)をコール!リアガードのネハーレンで、デモリッションにアタック!(10000)」

 

ネハーレンの槍から電撃が放たれる。なるかみを相手に雷をぶつけるのもどうかと思うんだが……。

 

「ノーガード!ダメージチェック……抹消者 スイープコマンド・ドラゴン」

 

「ヴァンガードのネハーレンでアタック!(10000)」

 

「こっちもノーガードだ!」

 

「チェック……魔竜導師 キンナラ」

 

2体のネハーレンの電撃が、デモリッション・ドラゴンに命中する。電気には強いと思うのだが、悶えているのがわかる。

 

「ダメージチェック、覇軍の抹消者 ズイタンだ」

 

「レッドパルスのブースト、ベリコウスティでアタック!(13000)」

 

「こいつもノーガードだ!」

 

3枚目のダメージは、伏竜の抹消者 リンチュウ。やはり、デッキ構成は前と同じか……。

 

「ベリコウスティのスキルで、ダメージを1枚表にする。ターンエンドだ」

 

 

ワタル:ダメージ1 ユウト:ダメージ3

 

 

「俺のターン、スタンドアンドドロー!覇軍の抹消者 ズイタン(9000)にライド!続けて、暗殺剣の抹消者 スウセイ(8000)、伏竜の抹消者 リンチュウ(5000)をコール!」

 

次々とサークルが現れ、稲妻と共にユニットが吠えながら姿を見せる。その中にはリンチュウもいるが、もうファーストサンダーは消した。得意のコンボは、もうこのファイトでは使えないぞ!

 

「ズイタンで、ベリコウスティにアタック!(9000)」

 

「ネハーレンじゃ、パワーが届かないからか……。ノーガード!」

 

「ドライブチェック!神槍の抹消者 ボルックス。クリティカルトリガー!効果は全てスウセイへ!(13000 ☆2)」

 

ちっ、クリティカルか。ズイタンの突撃を受けたベリコウスティは、光となって退却する。

 

「リンチュウのブーストで、スウセイのアタック!今度はちゃんとヴァンガードにアタックするぜ!(18000 ☆2)」

 

「させるか!ブルーレイ・ドラゴキッドでガード!」

 

ブルーレイが体当たりでスウセイの攻撃を防ぐが、ブルーレイはスウセイの剣に切り裂かれて退却する。

 

「防ぐか……。ターンエンド!」

 

 

ワタル:ダメージ1 ユウト:ダメージ3

 

 

「俺のターン、スタンドアンドドロー!」

 

前のターン、ユウトがノーガードし続けたのは、手札が悪いと思っていた。だが、リアガードはそれなりにコールしている。手札の問題と決めつけるには早い。

 

(何を企んでいる……?)

 

単に手札の温存か。それとも事故か。どちらにせよ、俺はファイトを進めるだけだ。

 

「進撃せよ、大地揺るがす炎の王者!ドーントレスドライブ・ドラゴン(11000)にライドだ!」

 

ネハーレンが炎に包まれ、そこから巨大な竜が咆哮をあげて現れる。今回は手札事故はしてないし、ベストな状態でファイトを進めることができそうだ。

 

「レッドパルスのスキル!CB1、自身をソウルへ。デッキの上から5枚見て……よし、ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンドを手札だ!」

 

ついている。これでブレイクライドも使えるし、まさにこのデッキの理想の流れに持っていける。

 

「封竜 カルゼ(7000)をネハーレンの後ろにコール!カルゼはコールした時、相手のグレード2のユニットがいるなら、手札1枚を捨ててカードチェンジ」

 

カルゼの包帯が剥がれ落ち、新たなカードが生成される。俺は手札のキンナラを捨てることで、カードをドローした。

 

「バーニングホーン・ドラゴン(9000)をコールし、ズイタンにアタック!」

 

「前と同じだな。オーバーロードじゃないから、パワーは上がらない」

 

「けど、パワーは十分だ。このアタックはどう受けるんだ!(9000)」

 

「抹消者 ブルージェム・カーバンクルでガード!」

 

懐かしいな。前もこんなプレイングをしていたんだったな。

 

「次はドーントレス。スキルで相手よりもリアガードが多いから、パワープラス2000!(13000)」

 

「ボルックスでガードだ!」

 

「ツインドライブ!1枚目、ドラゴンモンク ゲンジョウ。ヒールトリガーか……。回復はできないが、パワーはネハーレンに!(15000) 2枚目、ヒートネイル・サラマンダー。トリガーなし」

 

ドーントレスの振り下ろした拳骨は、ボルックスが雷をまとった槍を突き出して受け止める。その隙にズイタンは離脱し、まさにいなくなった瞬間、ボルックスは耐えきれずに潰されてしまう。

 

「カルゼのブースト、ネハーレンでアタック!(22000)」

 

「ノーガード!ダメージは……スイープコマンド・ドラゴンだ」

 

「ターンエンド。どうだ。俺だって前よりも成長してるんだ。あの時の俺とは、ファイトにかける想いも違う!」

 

 

ワタル:ダメージ1 ユウト:ダメージ4

 

 

「くっ、俺のターン!スタンドアンド……ドロー!」

 

勢いのあるドロー。厳しいこの状況を振り払おうとしているようにも見える。顔は俯き、そこに映る感情はわからない。

 

「……ワタル」

 

「何だ?話している暇があるならファイトを楽しもうといったのは、ユウトだぞ?」

 

「話じゃねえよ。この状況を目の前にして、言いたいことがあるんだよ」

 

それって話じゃないのか?だが、そんな野暮なことを口にできる雰囲気ではなかった。目の前の平本ユウトという男から感じる想いが、俺を黙らせる。

 

「俺は……あの時負けたな」

 

「ああ、そうだな」

 

「俺は思ったんだ。あの敗北の時、次こそはお前に勝ちたいってな。こいつに全力でぶつかったら、どんなにいいファイトができるかってな」

 

「ユウト……」

 

「それからは、お前との再戦ばかり考えてた。またファイトしたい。リベンジしてぇって……ずっとな!」

 

と、ユウトが顔を上げる。真っすぐに俺を見つめるその瞳には、激しい闘志が宿っていた。

 

「ミズキと一緒なんだよ。あいつも、シオリちゃんと再戦するためにここまで来てる。もっとも、あのイベントの時にグランドマスターカップに参加するとか言い出した時は、俺も正直何考えてるんだって思ったぜ」

 

だが、そのリベンジにユウトは乗り……今こうして、リベンジの夢を果たしている。

 

「でも、今ならわかる。こんな大舞台で、MFSまで使ってファイトするんだ。燃え上がらない方がおかしいだろ?」

 

「そうだな……。俺も燃えてる」

 

「だろ?だから……まだ終わらねえよ!不利な状況が何だ。それがどうした!せっかくこんなところでリベンジできるんだ。勝つ……!この燃える気持ちをファイトに乗せて、絶対リベンジしてみせる!」

 

俺は息を呑む。ユウトの気迫に、思わずあとずさりしてしまうほどだった。だが、そこまでの想いをこのファイトに込めているというのなら……!

 

「……あぁ、来い!ユウト!!」

 

「行くぞ!ライド!」

 

ズイタンが黄色く輝き、近くの岩山にサークルが出現する。サークルから爆発が生じ、砕けた岩山から瓦礫と共に現れたのは、以前のファイトでは見ていないユニット。

 

「抹消者 エレクトリックシェイバー・ドラゴン!(11000)」

 

スイープコマンドとは違う……新たなユニットか。あのファイト以降に投入したのだろう。

 

「抹消者 スパークレイン・ドラゴン(9000)をコール!こいつでヴァンガードにアタック!抹消者を含むヴァンガードがいることで、パワープラス3000!(12000)」

 

「ノーガード。ダメージチェック、バーサーク・ドラゴン」

 

「エレクトリックシェイバーでアタック!スキルでパワープラス2000!(13000)」

 

「ノーガード!」

 

「ツインドライブ……1枚目!蠱毒の抹消者 セイオウボ。ゲット!ヒールトリガー!ダメージを1枚回復し、パワーはスウセイ!(13000) 2枚目!抹消者 イエロージェム・カーバンクル。ゲット!クリティカルトリガー!」

 

「何!?」

 

この局面でダブルトリガー!?しかもヒールとクリティカル……攻防一体のトリガーだ。ユウトの想いが、トリガーを引き寄せたのか!?

 

「パワーはスウセイ(18000)、クリティカルはエレクトリックシェイバーへ!(13000 ☆2)」

 

2発の電撃がドーントレスに襲い掛かる。威力のすさまじさに、ドーントレスは片膝をついてしまう。

 

「ちっ!ダメージチェック……ドーントレスドライブ・ドラゴンと、ワイバーンガード バリィ……」

 

逆にこっちはトリガーなし……。運はあっちの味方かよ!?

 

「リンチュウのブースト、スウセイでアタック!(23000)」

 

「……まずい!ゲンジョウ!ヒートネイル!!」

 

リンチュウのブーストを受けたスウセイの剣は、ゲンジョウとヒートネイルによって防がれてしまう。

 

「ターンエンド……!これで逆転だ!」

 

 

ワタル:ダメージ4 ユウト:ダメージ3

 

 

「俺のターン、スタンドアンドドロー……!」

 

思わぬ逆転だ。ブレイクライドのためにダメージは4点にするつもりだったが、一歩間違えていたら危なかった。というのも、さっきのダブルトリガーと、そのトリガーの乗ったスウセイのアタックがあったからだ。

 

スウセイは、ヴァンガードにアタックがヒットすればCB2で前列のリアガードを1体、リンチュウはブーストしたアタックがヴァンガードにヒットすればCB1とソウルインで、グレード1以下のリアガードを1体退却できる。

 

もしガードできなかったら、リアガードは2体消され、攻撃力が弱まってしまうところだった。もっとも、ダブルトリガーがなかったら、手札1枚でガードできたのだが。

 

「……すごいな、ユウト。それが、お前の覚悟なんだな」

 

「覚悟……なんてかっこいい言葉で言い表せるかわかんねぇけど、俺の気持ちは本物だ!次のターンで、ワタルを追い詰めてやるぜ!」

 

本当にそんな気がしてならない。たった1ターンで、流れを自分のものにしてしまったのだから。

 

「そうか……。けどな、俺だって!このまま終われない!見せてやる……これが俺の覚悟だ!」

 

ずっと切り札として使ってきたカード。あの時も、そしてこのファイトでも、俺に力を貸してくれ……オーバーロード!

 

「終焉を告げる灼熱の龍!秘めたる闘志を解き放て!!ブレイクライド!ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド!!(11000)」

 

赤いサークルがドーントレスの足元に現れ、帝国の大君主へと変化する。このファイトに終焉をもたらすため、エレクトリックシェイバーの前に降臨した。

 

「ブレイクライドスキル!ジ・エンドにパワープラス10000!(21000) さらにスキルを与える!」

 

手札3枚を捨てることで、ヴァンガードがターンに1回再アタックが可能になる。強力なスキルを得たジ・エンドなら、このターンで勝負を制することも、あるいは。

 

「バーニングホーンでアタック!オーバーロードを含むヴァンガードがいるから、今度はスキル発動だ!パワープラス3000し、エレクトリックシェイバーへ!(12000)」

 

「スウセイでインターセプト!」

 

バーニングホーンの吐いた炎は、スウセイが鮮やかに剣で受け流して、近くの岩山に向けて進路をそらす。

 

「なら、ジ・エンドでアタック!(21000)」

 

ユウトは手札を一瞥すると、

 

「ノーガード!」

 

「決める!ツインドライブ!1枚目……槍の化身 ター。ゲット!クリティカルトリガー!効果は全てジ・エンドへ!(26000 ☆2)」

 

「…………」

 

「2枚目……ガトリングクロー・ドラゴン。ゲット!ドロートリガー!1枚ドローして、パワーはジ・エンドだ!(31000 ☆2)」

 

装備した重火器を惜しげもなく撃ち放ち、エレクトリックシェイバーに致命傷を与えていく。もはや、風前の灯火だ。

 

「……そういうことか。ダメージチェック、送り火の抹消者 カストルと、抹消者 ブルージェム・カーバンクル。ドロートリガー!1枚ドロー、パワーはエレクトリックシェイバーだ!(16000)」

 

トリガーを引いてパワーを上げてきたか。けど、こんなものでジ・エンドは止められない!

 

「ここでブレイクライドスキル!手札3枚を捨てて、ジ・エンドをスタンドする!」

 

ター、ガトリングクロー、そして元から手札にあったベリコウスティを捨てて、ジ・エンドは再び力を得る。立ち向かうものがいない戦場に、王者の咆哮がこだます。

 

残る手札、ドロートリガーで引いたカードを見て、奇しくもあの時と同じ状況に苦笑する。勝負を決める一手、俺はジ・エンドに手を伸ばし、もう一度同じ道を辿る。

 

「再びアタックだ、ジ・エンド!対象は……スパークレイン!!」

 

「スパークレイン……やっぱりか。ワタルが狙おうとしていること、もう気づいているぜ」

 

「さすがにわかってたか」

 

ジ・エンドにはアタックがヒットした時に、CB2とペルソナブラストで自身をスタンドできるスキルがある。

そして、俺がドロートリガーで引いたのはジ・エンド。このアタックをヒットすることで、もう一度アタックが可能になる。

 

初めて俺たちがファイトしたとき、勝敗を決めたのはこのジ・エンドのスキルだった。今回もまた、同じシナリオが繰り返されようとしている。

 

「あの時と同じように……これで勝つ!悪いがまだリベンジは早い!」

 

「…………」

 

「これで決めろ!ジ・エンド!!(31000 ☆2)」

 

無防備なエレクトリックシェイバーではなく、スパークレインに砲撃を始めるジ・エンド。自身が狙われるとは思っておらず、回避するにも間に合わない。

 

無数の砲弾がスパークレインを貫く。その時だった。

 

「……同じじゃない」

 

「……!?」

 

低くつぶやき、1枚のカードを手札から取り出す。それは……。

 

「同じようには、やられねぇよ!抹消者 ワイバーンガード ガルドで完全ガード!コストはデモリッション・ドラゴン!」

 

ガルドが雷のフィールドを展開し、降り注ぐ砲弾を全て受け止める。これで、ジ・エンドのアタックはどれだけパワーを上げても届かない。

 

「な……完全ガードだと!?リアガードにも使えるのか!?」

 

「知らないのか?ヴァンガードへのガードの使い道が一般化して、知らない奴もいるみたいだが……完全ガードは、リアガードに対しても有効なんだ!」

 

そんな……。完全に決められたと思った。フィニッシュに持ち込む形だったのに……。

 

「ワタルがこのやりかたで来るのは予想してたぜ。だから、最初から完全ガードだけは手札に持っていたんだ」

 

序盤に頑なにガードしなかったのは、完全ガードを温存していたからか……!

 

「……っ!ツインドライブ!1枚目、ワイバーンガード バリィ。2枚目、バーニングホーン・ドラゴン」

 

くそ!トリガーが出ない……!

 

「カルゼのブースト、ネハーレンで……!(17000)」

 

「ガード、セイオウボだ」

 

「な、く……!」

 

防がれた……!後1歩が届かなかった……!

 

「ターン、エンド……」

 

 

ワタル:ダメージ4 ユウト:ダメージ5

 

 

「俺のターン、スタンドアンドドロー。……ワタル、1つ言わせてもらう」

 

俺の返答を待たずして、ユウトは言葉を続ける。

 

「むやみにトリガーをヴァンガードに与えるもんじゃない。完全ガードを持ってた時のことを考えないとな」

 

「その言葉は……!」

 

ユウトとファイトした時、俺のプレイングを指摘して言った言葉だ。

 

「前と同じプレイングで、同じ結末を辿れるとは限らない……。そう何回も、策が通用するとは思うなよ!」

 

その通りじゃないか。あいつは俺へのリベンジのため、対策は万全の状態でここに来ている。しかも、その結果前に指摘された通りの結末になっている。

 

同じ結末を辿れなかったわけじゃない。見えなかった裏側の結末が、表側に出てきただけだった。

 

「く……」

 

それよりもまずい。このターン、俺はユウトのアタックを防ぎきれるか?手札にあるのはジ・エンド、バリィ、バーニングホーン。加えてネハーレンとバーニングホーンのインターセプト。ハッキリ言って心持たない。

 

「……本当はスペリオルライドしたスイープコマンドのパワーの低さを克服するためのエレクトリックシェイバーだったが……こんな形で役に立つなんてな」

 

「何……!?」

 

「剣を掲げよ!迸る雷光と共に、今こそ勝利を!!ブレイクライド!」

 

倒れこみ、動くこともままならないエレクトリックシェイバーが、光に包まれる。代わりにジ・エンドの前に立ちはだかったのは、オーバーロードと同じ黙示録の名を持つ剣を持った龍。

 

「抹消者 ドラゴニック・ディセンダント!!(11000)」

 

ここでブレイクライド……。しかもブレイクライドということは、かなりヤバい。

 

「ブレイクライドスキル!ディセンダントにパワープラス10000!(21000) さらに、相手リアガードが退却した時、その同列の相手リアガードを退却できるようにする……けど、このスキルは今はいらねぇな」

 

ディセンダントには退却を行うスキルはない。だが、スイープコマンドなら別だ。あいつなら、ライドした時とリミットブレイクを発動した時に相手を退却させるスキルを持つ。

パワーを克服するためと言いながら、コンボを狙うことも考えているじゃないかよ……!

 

「ディセンダントのスキル。CB2でパワープラス5000!(26000) さらに送り火の抹消者 カストル(7000)をコール!」

 

カストルは相手リアガードが2体以下でスキルを発動するが、今回は3体のため発動しない。単純に攻撃役を用意するためか。

 

「さぁ、スパークレインでジ・エンドをアタック!抹消者のヴァンガードがいるなら、パワープラス3000だ!(12000)」

 

「バーニングホーンを、手札からガードに使う!」

 

「リンチュウのブースト、カストルでアタック!(12000)」

 

「リアガードのバーニングホーンでインターセプト!」

 

バーニングホーンが守りに徹するが、本当のアタックはここからだ。

 

「ディセンダントのスキルは知っているな?」

 

「それは知ってる。そうじゃなかったら、立て続けにガードなんてするか」

 

ディセンダントには、アタックがヒットしなかった時に、CB1と手札の抹消者3枚を捨てて、クリティカルを上げたうえでスタンドするリミットブレイクがある。俺の手札には完全ガードのバリィがあるが、そうなると、スタンドしたディセンダントにやられる。

 

俺のダメージは4.つまり、この状況で可能性のある選択は……。

 

「だったら、ディセンダントのアタック!このアタックは、どう受けるんだ!(26000)」

 

「当然、ノーガードに決まってる!」

 

ユウトがクリティカルトリガーを引かないこと。あるいは、俺がヒールトリガーで持ちこたえること。この2択だ。

 

「トリガーにかけるんだな」

 

「その通りだ」

 

「だったら、ここで勝負を引いてやる!ツインドライブ!!」

 

俺のターンまで回れば、今度こそ俺の勝利で間違いない。ユウトの手札では、十分なシールドは残ってないはず。

 

つまり、このドライブチェックは、勝負の結果に直結する。

 

「1枚目!抹消者 エレクトリックシェイバー・ドラゴン。2枚目!抹消者 イエロージェム・カーバンクル!」

 

「……!」

 

「カーバンクルは、クリティカルトリガーだ。効果は全てディセンダント!(31000 ☆2) これで俺の……勝ちだああああ!!」

 

ディセンダントが剣を袈裟懸けに振るい、ジ・エンドの鎧を砕くほどの深手を負わせる。そのまま横なぎに振るい、ジ・エンドを切り伏せた。

 

「ダメージチェック、1枚目……封竜 カルゼ」

 

次だ。次でヒールトリガーを……!

 

「2枚目……!」

 

勝負を決めたそのカードは……。

 

「ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド。俺の……負けだな」

 

ダメージにジ・エンドを置き、俺は敗北を宣言する。儚げにジ・エンドが消えていき、MFSが機能を停止する。

 

後一歩だった。惜しかった。悔しさがこみあげてくるが、それ以上にすがすがしい気持ちだった。こんな負け方は初めてだった。

 

「勝った……ワタルに、俺が……ははっ!」

 

「あぁ。ユウトの勝ちだ。見事にリベンジ決められたな」

 

ユウトは興奮を抑えきれないみたいで、体が小刻みに震えている。その気持ちを一気に解き放つように、両手を天に突き出した。

 

「よっしゃあ!!やった!やったぞ!!俺がワタルに勝った!勝ったんだ!!」

 

「う、うるさいぞユウト。まだ他のファイトは続いているみたいだし――」

 

俺は言葉が止まる。俺に勝った。たったそれだけのことを成し遂げるためにここまで来たユウトは……涙を流して喜んでいたから。

 

「うっ、あー何だよおい!嬉しいのに、悔しくも何ともないのに……なんで涙が止まんねぇんだよ……」

 

その喜びを、空気の読めない言葉で壊してやることはできない。抱えた想いは今、形になったのだから。

 

「何見てんだよワタル!男が泣いてるところ見られるなんて、恥ずかしいだろうが!」

 

「嫌でも見てしまうんだよ。ユウトがそんなに喜んでくれるなら、俺が全力で相手になった甲斐がある」

 

「何で上から目線なんだよ……うぅ」

 

勝利への想いは、俺だって強かった。が、ユウトの想いはそれを上回っていた。今思えば、最後のトリガーも必然だったのかもしれない。

 

「……次は俺がリベンジする番だ」

 

「そうか、つまり俺はワタルを迎え撃つことになるんだな!」

 

「待ってろ。すぐにまた、ユウトに勝ってやる。だから、約束だ」

 

俺は手を差し出す。再戦の誓いを立てるために。

 

「またファイトしよう、ユウト」

 

「へっ、言われなくてもそのつもりだぜ!」

 

涙を拭い、ユウトは俺の手を握り返す。

 

「次は俺が勝つ!」

 

「次も俺が勝ってやる!」

 




そう言えば、この話と同時刻に投稿した時空の先導者も、ファイト相手がなるかみ使ってたね……。もう全然違うな……。
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