つながり ~君は1人じゃない~   作:ティア

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ride5 嵐の猛攻

朝、1人の少女が学校に行くために準備をしていた。制服を着て、時間割を確認し、最後にヴァンガードのデッキをカバンにいれる。

 

「星野シオリと言ったわね……。トウジが見込んだだけの強さ……楽しみだわ」

 

準備を終えた少女は、家を出て、学校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「……はぁ」

 

今日は月曜日。1週間の中で、最も気だるくなる日だ。2日間の休みが過ぎ、学校に行きたくないな~と思ってしまうことは、誰にでもある。

現在、朝の8時20分。1限目が始まるまで、後10分程だ。

 

「いつまでため息ついてるの?せっかくの学校なんだから、もっと楽しんでいかないと!」

 

「小沢君……。そうは言ってもね……」

 

絶賛友達募集中な私にとって、学校に1人でいることは、苦痛以外の何物でもない。

一応小沢君という友達は出来たけど……どうせなら、女子の友達が欲しい。

 

……今の私にとっては贅沢な願いだとは思うけど。

 

「あの……星野シオリさん?で、いいのかしら?」

 

声のする方を見ると、1人の女子生徒が立っていた。

 

「はい。そうだけど……?」

 

「星野さんって、ヴァンガードやってるのよね?」

 

「始めたばかりだけど……」

 

「やっぱり。最近サンシャインでよく見かけるから、まさかとは思ったけど、やっぱり星野さんだったのね」

 

「サンシャイン……ってことは、あなたも……!?」

 

「えぇ、ヴァンガードファイターよ」

 

シオリは嬉しかった。女子に話しかけられたことよりも、同じクラスにヴァンガードをしていた人がいたことにだ。

 

「今日もサンシャインに行くの?」

 

「行くつもりではいるけど……」

 

「……ん?俺?あぁ、俺は今日は行けないや。家の用事が入ってさ」

 

「じゃあ、星野さん。私も今日はサンシャインに行くつもりだったし……せっかくだから、一戦お願いしてもいいかしら?」

 

「……えっ!いいんですか!?」

 

「どんなクラン使って、どんなファイトするか、気になるしね」

 

(どれだけの強さなのかも……ね)

 

「わかった。……えと、ところで、あなたの名前……悪いんだけど、知らないから……教えてくれないかな?」

 

「あぁそうね。私はリサ。森宮リサ」

 

「じゃあ森宮さん。放課後、よろしくお願いします」

 

そんな訳で、思いもよらず、ファイトの約束をすることになった。

 

贅沢な願いも、願えば叶うものだね……。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

そして、放課後。シオリと女子生徒は、サンシャインにいた。

 

「早速始めましょうか」

 

「はい、森宮さん」

 

サンシャインの中は、やはり平日ということもあってお客さんはほとんどいない。

私達は、適当にファイトテーブルに座り、ファーストヴァンガードを伏せ、デッキをシャッフルし、手札5枚を引く。

 

(見せてもらうわ……あなたの強さ……!)

 

リサは、シオリの力量を見極めようと、ファイトに挑む。

 

「「スタンドアップ!!「ザ」ヴァンガード!!」」

 

「小さな拳士 クロン!(4000)」

 

「士官候補生 エリック!(4000)」

 

ここで、シオリはリサの使うクランを見る。

 

「……アクアフォース?」

 

始めて見るクランだ……。どんな戦い方をするんだろう?

 

「知らない?アクアフォース」

 

「えっ、まぁ……始めて見ました」

 

「じゃあ教えてあげるわ。アクアフォースの戦い方、このファイトでね!」

 

未知なるクラン……気を引き締めていかないと。

 

「……じゃあ私からだね。ドロー、ライド!疾駆の解放者 ヨセフス!(7000) クロンは左後ろへ」

 

「解放者か……」

 

シオリは、アルフレッドのスキルをフルに活用するために、デッキのほぼ全てのカードを解放者にかえたのだ。

 

「これでターンエンドです」

 

「私のターン、ドロー。ティアーナイト テオ(8000)にライド!エリックは後ろへ。続けてティアーナイト キプロス(7000)をコール!キプロスでアタック!(7000)」

 

「ノーガード。ダメージチェック……王道の解放者 ファロン」

 

「次にエリックのブースト、テオでアタック!(12000) トリガーは……戦場の歌姫 ドロテア」

 

「再びダメージ……未来の解放者 リュー」

 

「2ダメージ、上々ね。ターンエンド」

 

 

シオリ:ダメージ2 リサ:ダメージ0

 

 

「私のターン…ドロー!ライド!ブラスター・ブレード・解放者!(9000)」

 

シオリは新たに、アルフレッドの盟友とも呼べるユニット、ブラスター・ブレードを入れていた。

 

元ロイヤルパラディンであり、シオリも好んで使っていた。好まれるのは、アニメで使っているキャラにもよるが、そのスキルにもある。

CB2、これにより、ゴールドパラディンのユニットにはほとんど行えないスキルによるリアガード退却が出来る。

 

「スキルは……今は使わない。さらに横笛の解放者 エスクラド(9000)、小さな解放者 マロンをコール!そしてクロンのスキルを発動。CB1、自身をソウルへ。デッキの上から5枚見て……グレード3はゲットできなかった……」

 

クロンのスキルは失敗することもある。それは、単にCBを無駄にするだけではなく、リアガードも1体欠けてしまうことになる。

 

「……クロンがいたところに解放者 フレアメイン・スタリオン(6000)をコール。マロンでブーストし、エスクラドでテオをアタック!(16000)」

 

「ノーガード。ダメージは、翠玉の盾 パスカリス」

 

「ここでエスクラドのスキル!CB1で、デッキトップのカードをコール!……疾駆の解放者 ヨセフス!(7000)」

 

ヨセフスをコールできたのは運がいい。何故なら、

 

「ヨセフスはデッキからコールされると、SB1で1ドロー出来ます。そのヨセフスでキプロスをアタック!(7000)」

 

「ここは、アクセラレイテッド・コマンドでガード!」

 

「じゃあ、フレアメインのブースト、ブラスター・ブレードでアタック!ドライブチェック!……よし、霊薬の解放者。ゲット!ヒールトリガー!パワーはブラスター・ブレードに(14000) ダメージを回復」

 

「私のダメージは……輝石通信のラッコ兵、ドロートリガー。パワーはヴァンガードへ(13000)、1枚ドロー」

 

「ターンエンドです」

 

 

シオリ:ダメージ1(裏1) リサ:ダメージ2

 

 

「私のターン、スタンドアンドドロー……ライド!ティアーナイト ラザロス!(10000)」

 

そこからリサは、リアガードを一気に展開していく。

 

「キプロスを後列へ下げ、前にストームライダー バシル(8000)、右にティアーナイト ラザロスをコール。(10000)そしてエリックのスキル。クロンと同じで……あった。蒼嵐覇竜 グローリー・メイルストロームね。エリックがいたところにドロテア(6000)をコール」

 

エリックのスキルも成功させ、次のターンにグレード3にライド出来るのは確実となった。

 

「さて、星野さんに教えてあげるわ。アクアフォースの戦い方……」

 

シオリは息を飲む。どのような戦い方なのか……。

 

「まずはバシルだけでブラスター・ブレードをアタック!バシルのスキル、アタックした時、このターンで1回目のアタックならパワープラス2000!(10000)」

 

「……攻撃回数でパワーが上がる……。これがアクアフォース……。武装の解放者 グイディオンでガード!」

 

「パワーが上がること以外の効果もあるけど。……でも、アクアフォースはこれだけじゃない。バシルのスキル、同じ列のリアガードを入れ換える!」

 

「入れ換え!?……じゃあ、前列に来たキプロスはスタンドしているから…後3回アタックが来る……!?」

 

アクアフォースの特徴。それは、同じ列のリアガードを入れ換えるスキルを筆頭に、連続攻撃を決めるデッキだ。

その上で、決められた回数でのアタックでスキルを得ていく。速攻力の高いデッキだ。

 

「キプロスでヨセフスにアタック!(7000)」

 

「……ノーガード」

 

「ドロテアのブースト、ヴァンガードのラザロスでブラスター・ブレードへ!ドロテアのスキル、3回目以降のアタックなら、パワープラス4000!(20000)」

 

「ドロテアはブースト時にスキルを……ノーガード!」

 

「ドライブチェック、ストームライダー ダモン。トリガーなし」

 

「ダメージは……横笛の解放者 エスクラド」

 

「じゃあリアガードのラザロスでブラスター・ブレードを!(10000)」

 

「させない!リューでガード!」

 

「あら、ターンエンド」

 

 

シオリ:ダメージ2(裏1) リサ:ダメージ2(裏1)

 

 

「よし、スタンドアンドドロー!ライド・ザ・ヴァンガード!仲間の力を束ね、孤高の頂へ!!孤高の解放者 ガンスロッド!!(11000)」

 

シオリは新たにデッキに入れたグレード3、ガンスロッドにライドする。

 

「マロンのブーストで、エスクラド!(16000)」

 

「バトルシップ・インテリジェンスでガード!」

 

「ならガンスロッド、フレアメインのブーストで、ラザロスにアタック!ガンスロッドのスキルでパワープラス2000!(19000)」

 

リサはこれをノーガードする。

 

「ドライブチェック……1枚目、王道の解放者 ファロン。2枚目、希望の解放者 エポナ。ゲット、クリティカルトリガー!効果は全てガンスロッドに与える!(24000 ☆2)」

 

「ダメージ……1枚目、蒼嵐竜 メイルストローム。2枚目、スーパーソニック・セイラー。トリガーだけど、もう関係ないわね。効果は一応ヴァンガードへ。(15000 ☆2)」

 

「ターンエンド」

 

 

シオリ:ダメージ2(裏1) リサ:ダメージ4(裏1)

 

 

「私のターン、スタンドアンドドロー。……ダメか。まぁ仕方ない。ライド!蒼嵐覇竜 グローリー・メイルストローム!!(11000)」

 

リサは先ほどエリックのスキルで引き当てた、グローリー・メイルストロームにライドする。

 

「バシルとキプロス、位置を入れ換え、キプロスのスキル。CB1でパワープラス1000するわ(8000)。 ……やっぱりメイルストロームにライドしたかったわね……」

 

リサの独り言がシオリに聞こえる。グローリー・メイルストロームは、メイルストロームのクロスライドユニット。

パワーが13000になると言う点から、ライドしたいと思ったのだろう。

 

「まずラザロスでエスクラドをアタック!(10000)」

 

「ファロンでガード!」

 

「ドロテアのブースト、グローリーでアタック!(17000)」

 

「ノーガード」

 

「トリガーは……1枚目は戦場の歌姫 ドロテア。2枚目はスーパーソニック・セイラー。クリティカルトリガー。パワーはバシル、(13000)クリティカルはグローリーへ!(17000 ☆2)」

 

「……ダメージチェック、1枚目、孤高の解放者 ガンスロッド。2枚目、ブラスター・ブレード・解放者」

 

トリガーが出ないな……。

 

「キプロス、ブースト!バシルでアタック!バシルのスキルは発動しないけど、キプロスがパワーアップしてるから、シールド要求値は上がっているわ!(21000)」

 

シールド値を計算に入れ、更に要求させるようにしたのだ。これにはシオリも、

 

「ノーガード。ダメージチェック……猛撃の解放者。クリティカルトリガー。一応ガンスロッドにトリガー効果を(16000 ☆2)」

 

「ターンエンド」

 

 

シオリ:ダメージ5(裏1) リサ:ダメージ4(裏2)

 

 

ダメージが逆転され、追い詰められる状況となる。

 

「……まだ諦めない!スタンドアンドドロー!」

 

(そうでなくちゃ。こんなところで終わるようでは……)

 

「……ライドもコールもなし。マロンのブーストで、エスクラドがアタックする!(16000)」

 

「ノーガード。ダメージは……虹色秘薬の医療士官。ヒールトリガーね。ダメージは回復出来ないけど、パワーをグローリーへ。(16000)」

 

「エスクラド、スキルでCB1、デッキトップから……っ!?……スペリオルコール、円卓の解放者 アルフレッド(11000)」

 

よりにもよって、一番来てほしかったアルフレッドを、リアガードとしてコールすることになってしまう。

 

「……まだ、フレアメインのブースト、ガンスロッド!(19000)」

 

「スーパーソニック・セイラーでガード!トリガー2枚で突破よ」

 

「2枚か……ドライブチェック!……1枚目、武装の解放者 グイディオン。ゲット!ドロートリガー!!パワーは……ガンスロッド!(24000)そしてドロー!」

 

一瞬迷ったが、ガンスロッドにパワーを与え、勝負に出る。そして2枚目は……

 

「……横笛の解放者 エスクラド。トリガーなし。でも、アルフレッドが残っている!バシルにアタック!(11000)」

 

「ノーガードよ」

 

「ターンエンド。決められなかった……」

 

 

シオリ:ダメージ5(裏2) リサ:ダメージ5(裏2)

 

 

トリガーも上手く乗らず、欲しいユニットも手札には来なかった。

それどころか、このターンで使わせた手札はたった1枚。シオリに焦りの色が見え始めていた。

 

「スタンドアンドドロー。バシルがいたところにダモン(9000)、ラザロスの後ろへドロテアをコール。(6000)さらにキプロスのスキルを2回使ってパワープラス2000。(9000)」

 

「不味いかも……」

 

「まずはダモンだけでガンスロッドをアタック!(9000)こちらの方がパワーが低いから、アタックはヒットしない。けど、目的は別にある!ダモンのスキル!CB1で、キプロスと位置を入れ換え!」

 

ダモンにもそのスキルが……。

 

「キプロスでエスクラドをアタック!(9000)」

 

「……ノーガード」

 

これで、インターセプトは潰された。

 

「ドロテアのブースト、グローリーでアタック!3回目のアタックだから、パワープラス4000!……さらに、アルティメットブレイク!!」

 

「アルティメットブレイク……!?」

 

リミットブレイクは、ダメージ4枚以上で発動するスキルのこと。アルティメットブレイクとは、ダメージ5枚の時のみにしか発動できないスキルのことだ。

その分強力な効果をもたらすが、このアルティメットブレイクを持つユニットは、まだ3体しかいない。

その中でも特に強力なスキルを持つのが、グローリーだ。

 

「CB1、グローリーのパワープラス5000!さらに、グローリーのアタックは、グレード1以上でガードされない!(26000)」

 

「そんな!?」

 

たった1枚のダメージを裏返すだけで、アタック回数の指定もなく発動出来る。発動のしやすさも1つの魅力だ。

 

「さぁ、どうガードするの?」

 

「……グレード0でなら、ガード出来る!猛撃の解放者、希望の解放者 エポナ、霊薬の解放者でガード!トリガー2枚でも、突破出来ない!」

 

「なっ……!?トリガーチェック!1枚目、バトルシップ・インテリジェンス。2枚目、輝石通信のラッコ兵。クリティカルとドローのダブルトリガー……」

 

まさか、ここでダブルトリガーを引くとは思っていなかったが、一応余分にガードしておいてよかったと、シオリは内心ホッとした。

 

「トリガーの効果は全てラザロスへ!(20000 ☆2)1枚ドロー!」

 

だが、安心は出来ない。まだラザロスが、ドロテアのブーストをつけてアタックしてくる。

 

「これで……!ドロテアのブースト!ラザロスのアタック!!(26000 ☆2)」

 

さっきのグローリーと同パワー、しかもこちらはクリティカル持ち。ガード制限がないとはいえ、ピンチに変わりない。

 

「……なら、ここは光輪の解放者 マルクで完全ガード!!コストにグイディオンをドロップ!」

 

なんと、シオリは新しく完全ガードをデッキに入れていた。しかも、解放者の名称持ちだ。

 

「完全ガードが手札に……ターンエンド」

 

 

シオリ:ダメージ5(裏2) リサ:ダメージ5(裏5)

 

 

「私のターン……スタンドアンド……」

 

守りきったとはいえ、手札2枚。前列は1体欠け、相手の手札は6枚、インターセプトが2枚ある。

この状況を打開するためには、ここであのカードを引かないといけない。

 

「お願い来て……!ドロー!」

 

力強くカードを引く。……そのカードは、

 

「……来た!世界の平和を願いし王よ!未来を導く光となれ!ブレイクライド・ザ・ヴァンガード!!円卓の解放者 アルフレッド!!(11000)」

 

ギリギリでアルフレッドを引き当て、さらにガンスロッドのブレイクライドスキルを発動することに成功する。

 

「ブレイクライドスキル!アルフレッドにパワープラス10000!(21000) さらに、リアガード3体にパワープラス5000!」

 

シオリのリアガードは、アルフレッド、フレアメイン、マロンの3体。その全てにパワーを与える。(アルフ 16000)(フレア 11000)(マロン 12000)

 

「さらにアルフレッドのスキル、CB2……スペリオルコール!解放者 フレアメイン・スタリオン!(6000)リアガードのアルフレッドの後ろへコール!このスキルをもう1度……王道の解放者 ファロン!(9000)」

 

アルフレッドにライドしたことで、シオリは一気に調子づいていく。

 

「アルフレッドのリミットブレイク!解放者は5体、フルパワー!パワープラス10000!!(31000)」

 

ブレイクライドと合わせ、パワーは30000を越えていた。が、それだけではない。

 

「フレアメインのブースト、ヴァンガードのアルフレッドでアタック!フレアメインのスキル!円卓の解放者 アルフレッドをブーストした時のみ、SB1でパワープラス5000!」

 

「……つまり、11000+10000+10000+6000+5000+5000……47000!?」

 

リサの手札に完全ガードはなく、このアタックを防ぐことは出来ない。

 

リサは、ノーガードを宣言した。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「……負けたわ。始めたばかりとは思えなかった」

 

「いや……まだまだだよ」

 

正直今のファイト、危ない場面はいくつもあった。最後も、アルフレッドを引けていなかったら勝てなかったかもしれない。

 

「あの……森宮さん。その……」

 

「何?」

 

「……また、ファイトしてくれる?」

 

「当たり前じゃない。この借りはいつか返すわよ!」

 

「あ……!ありがとう!!」

 

森宮リサ。それはリサにとって、初めて出来た女子友達だった。

 

「……あ、私もう帰らないと……」

 

「そうね、もう遅いか……」

 

店の時計は、6時30分を回っていた。

 

「じゃあ、森宮さん。また明日学校で!」

 

「えぇ、また明日!」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

『どうだったっスか?星野さんは』

 

「強かったわ、トウジが言うだけのことはあるわ。……私負けたし」

 

『リサさん、負けたんスか!?』

 

その日の夜、リサは自分の家の部屋で、トウジと携帯で話していた。

 

「あれだけの強さのファイター、なかなかいないわ。彼女に決まりよ。……明日の放課後、この事を星野さんに言うわ。もちろん、トウジも来るのよ」

 

『わかってるっス。……ていうか、俺がいないと話になんないっスよね?』

 

「それもそうね。……じゃあ切るわ。おやすみ、トウジ」

 

『おやすみっス』

 

通話を終え、リサはベッドに横たわる。

 

「これで、ようやくスタート地点ね……」

 

 


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