日間ランキング42位だと…。ありがとうございます。
まさかランキングに乗るとは思ってなかったのでうれしいです。
明石教授
時計の針は2時を指していた。
単純計算でもう1時間以上皆は戦い続けている状況だ。
魔法と科学の力によって絶えず麻帆良全域の戦場の情報が送られてくる指令室で全体の戦況を注意深く観察する。
今の私にできるのはこのデータを収集し解析して、戦場全体に伝え、少しでも戦況を有利にすることだけだ。
エヴァンジェリンくんの推測に基づいた対策を全部隊に通達する。
それから戦況が一気にこちら側に流れ込む。西側では高音くんが
その高音くんを中心に陣が組まれ攻撃のパターン化がなされていた。
影の槍により破砕され動けなくなった敵が再生する前に間髪をいれずに佐倉くんや他の魔法使いの魔法で追い打ちをかける素晴らしいコンビネーション攻撃が展開され西側のエリアの戦線を上げ反撃に転じている。
南エリアでは神多羅木先生の風の捕縛魔法と葛葉先生の神鳴流剣術と結界術で数十体の骸骨兵を閉じ込めてそこに集中攻撃を加えて確実に数を減らして行くという骸骨が中心部に進まないと言う特性をうまく使った堅実な方法を取っている。
こちらは西エリアに比べると速くはないがそれでも確実に戦線を押し上げていた。
問題は東エリアだ。
戦力的には問題なく、むしろこのエリアが圧倒的に整っている。
桜咲くん、龍宮くん、長瀬くん、絡繰くんの圧倒的な個人技とエヴァンジェリンくんの魔法と糸のサポート、そして戦いながらそのほかの戦力を指揮するガンドルフィーニの存在で戦場が成り立っていた。
月が出ているとはいえ、魔力と身体能力的にエヴァンジェリンくんがいち早く脱落するだろうと考えていたのだが全く問題なく、むしろ余裕を持って戦っているようにさえ見える。
少しの魔力のはずなのにこんなにも戦えるという事実に驚愕する。
しかし、問題はこちらの戦力に合わせてきているのか骸骨の質が他のエリアに比べて圧倒的に高い。攻撃速度も再生速度もコンビネーション攻撃も攻撃の威力も他のエリアより優れているのだ。
それでも関係なしと暴れまわる中学生5人とガンドルフィーニ先生のような実力者にとってはあまり変わらないだろうが援護に回っている魔法先生や生徒にとってはたまらない事態であろう。
だがこれではっきりした。
この襲撃の首謀者は東エリアにいるのが確実だろう。
その事実をガンドルフィーニ先生に伝える。
彼ほどの実力者だったら戦いの最中に念話で話しかけてもそのまま戦い続けることができるだろう。
『ガンドルフィーニ先生、聞こえますか?作戦参謀の明石です。』
『明石教授ですか。何かわかったのですか?』
問題なく念話が繋がる。
『はい、恐らくですが作戦の首謀者はあなた達の東エリアに居るでしょう。その証拠に他のエリアよりも骸骨兵たちのスペックが高いです。』
『やはりですか。そろそろ援軍に来た子たちが危ないです。何か状況を打破できる作戦があるならばお願い致します。』
本当にギリギリなのであろう。ガンドルフィーニ先生の声には焦りの色が生まれている。
援軍の中には魔法先生のほかにまだ高校生などもいるのだ。
本来なら実力者とはいえ、学生達を戦わせることに抵抗があるのは教師として当然のことだ。
しかし彼女たちを大きな戦力として頼りにしてしまっているのも事実なのである。
偽善なのは承知の上だが援軍の子たちや奮戦している中学生達をサポートしなければという想いが強くなる。
特に東エリアの中学生はまだ自分の娘と同じ年齢、同じ学級なのだ。
自分本位な心情は否定できないが彼女たちの助けになりたい。
『すみません、もう少しだけ耐えて頂きたい。南と西エリアの骸骨兵の掃討がもうそろそろ完了いたしますので、まだ戦える者を援軍に向かわせます。
妙な事に西と南のエリアの敵の数の再生スピードや活動スピードが落ちてきました。
もしかしたら敵は東口から実力者を確実につぶしつつ一転突破をする腹かもしれません。』
『ふむ、首謀者はやはり、このエリアに居るのか?』
エヴァンジェリンが私とガンドルフィーニ先生の念話に介入してきた。
『恐らく…ですがね。なにかわかったのでしょうか?』
先ほどはこの吸血鬼の推測が不利だった戦況を打破するきっかけになったので聞いておいて損はないであろう。
『いや、ただ敵術師は高い場所にいる可能性が高いと思ってな。』
思わぬ発言が飛びこんでくる。
『なぜ…、そう思うのかね?』
ガンドルフィーニ先生が疑問を問いかける。
当然だ。今まで敵術者に対して何の手がかりもないのだ。
それをこの少女はこのエリアに居るという情報だけで術者のいる場所の答えになるかもしれない回答を導き出したのだ。
『はっ、私は仮にも
だから木や丘の上、もしくは飛行呪文、浮遊呪文を使って遥か上空にいるのが最も可能性が高い。私もよく浮遊呪文を用いて宙に浮きながら人形たちを操作したものさ。
または木を隠すには森の中という言葉があるように自分が使役している軍隊の中に身を隠すという選択もあるが、骸骨ばかりの戦場に人間がいれば、逆に目立つことになるからこの選択は消える。他にも色々方法はあるがやはり敵術者がいる可能性が高いのは上だろう。
つまり高い場所を重点的に探せば術者が見つかるかもしれんぞ。』
私はこの封印されている少女を侮り、足手まといになるかもしれないと少し前まで考えていた自分を恥じた。
こんな姿なので忘れられがちだが大半の力が封じられているとはいえ仮にもこの吸血鬼は600年の時を生き、魔法世界を恐怖に陥れたこともある最強の魔法使いなのだ。
侮っていいわけがない。その知識と経験だけでも恐るべきものだと考えればすぐにわかる物を…。
封印されているから何とかなると言う考えは浅はか過ぎていたかもしれない。
だが的確な助言をして、我々の助けになっているのは事実だし、言葉の中に少し温かみも感じられるような気もする。
演技をしているようには見えない。
どちらにしても今は頼れる味方なのは確かである。
そして先ほどに続いて冷静かつ的確で説得力がある推測だった。
『だが、今はそんな余裕がない…、援軍が来てからだ。それまで持ちこたえねば…。』
『言っておくが大幅に弱体化されている状態の私にこれ以上の事を求めるなよ。』
そういうと念話から抜けて行った。
『恐ろしい知識と頭脳だ。そしてそれを当り前のように使いこなしている。弱体化している状態で念話をしていても敵を遅れ劣らないのはさすがだが私はそれがたまらなく恐ろしく感じたよ。』
ガンドルフィーニ先生が今日だけで何回目になるか、驚嘆の声を上げている。
それと同時に彼女を恐れているようにも見える。
『そうですね。しかし、エヴァンジェリンくんは世間で言われているよりも悪い魔法使いではないのかもしれませんね。』
私が先ほどから思っていた言葉を紡ぐ。
『何を言っているんですか明石教授、彼女がしてきた罪を忘れたわけではないでしょうに!!
少しばかり我らに協力をしたからと言って心を許してしまえば何かあった時に対応が遅れてしまいます。ですので彼女に対して警戒心は解いてはいけませんよ!』
油断していないと言うべきか頭が固いと言うべきか、実にガンドルフィーニ先生らしい言葉が返ってくる。
『わかっていますよ。ガンドルフィーニ先生。
それでは使い魔を飛ばして上空や敵術者が隠れていそうな所を探します。
西と南の戦場の殲滅がそろそろ終わります。その中で警戒のために複数人は残しますが、余裕がありそうな方をそちらの戦場に、無理そうな方でも使い魔ぐらいなら出せそうな人にも動いてもらいます。それと本部からも使い魔を出します。』
『では早急にお願い致します。』
そうして念話をガンドルフィーニ先生とも念話を切る。
さて、攻めに転じさせて頂きますか。
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エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル
戦場にさらなる応援が駆けつけた。
南と西エリアの敵が片付いたのか、そのエリアの実力者である神多羅木、葛葉、高音を中心とした援軍部隊が東エリアに到着、さらに敵術者探査部隊や使い魔共も活動を開始している。
私の予想が正しければすぐに術者も見つかるだろう。
「くっ、東エリアの敵の質が思っていたより高いですわね。」
影の槍で骸骨を屠りながら、砕いても、ビデオの映像を巻き戻した時のように即座に再生する骸骨兵をみて高音は絶句する。
高音の影を使った広範囲の魔法と神鳴流剣士の葛葉刀子、さらに後衛の魔法使い達が合流したおかげで先ほどよりもだいぶ楽になった。
しかしまだ敵の攻撃は続いている。
「いや~、きりが無いでござるな。」
途中参戦してきてこの中で一番体力が余っているであろう長瀬が口を開く。
高音と比べて声に幾分の余裕が垣間見える。
「ふ、もう疲れたのか楓?なんなら休んでいいぞ。」
「なんの、これしき。これくらいの戦場だったら里にいたころに受けていたジジババの修行の方が百倍はきつかったでござるよ。」
龍宮と長瀬が骸骨を迎撃しながら軽口を言い合う。
「しかしまさか魔法使いが実在していたとは…。世の中不思議な事がまだまだあるでござるな。拙者も人の事は言えぬでござろうが。」
「裏の世界を知らなかった楓にこれほどの実力があること自体、私には驚きなのですが。」
戦場が落ち着いたのをいいことに純粋な中学生3人が敵を叩き潰しながら口を開く。
刹那を含めたこの3人はさすがにまだまだ余裕を残していた。
「茶々丸、まだ動けるか?」
「問題ありませんマスター。念のため戦場に出る前に魔力を充電しておいたおかげでまだあと2時間30分以上は全力の戦闘が可能です。マスターこそ最弱に近い弱体化状態なのでご無理はなさらずに。」
「はっ、誰に言っている。自分の限界がわからぬほど愚かでは無いわ。」
茶々丸はまだ大丈夫だ。葉加瀬と超の技術力には恐れ入る。
私も敵の勢いが援軍によって緩和されたおかげで魔力に幾分の余裕がでてきた。
だがこれ以上続くとさすがの私もきつい物がある。
ナギの呪いが無ければ一瞬で片がつく上に、この程度の時間の戦闘など物の数にも入らぬものを…。
ナギへの愚痴が長くなりそうな時にフクロウの姿をした使い魔から明石の声が発せられた
『上空、800mの位置で敵術者を発見しました。我々に見つかったのを悟ったのか空から下りてきます。何をしてくるのかがわからないので気を付けてくだs。』
次の瞬間、その使い魔が何者かによって壊された。
「よくぞ、この戦況の中、麻呂に辿りついたでおじゃる。無能な西洋魔法使いの諸君。」
平安時代の貴族がしていたような服装、烏帽子や狩衣など俗に言う平安装束を身にまとった細見で狐目の男が上空から降りてきた。
そして地上から30m当たりの付近で止まり、我等を文字通り見下しながら発言する。
足袋から小さな翼が生えている。恐らく式神の一種でそれを使って飛行しているのだろう。
骸骨の勢いが収まり、その男に従うかのように後ろへ下がる。
「あの男は…。」
キリッとした目に眼鏡をかけてと白い髪とおそろいのスーツと黒いスカート、ハイヒールをはいた女性、葛葉刀子がその男を見て反応する。
「葛葉先生、あの男を知っているのですか?」
ガンドルフィーニが葛葉に問う。
「ええ、あの男は
葛葉刀子は眼鏡を上げ、その鋭い眼光で男を睨みながら説明をする。
「ほほほ、由緒正しき京都神鳴流でありながら東に就いた裏切り者の恥知らずが麻呂を語ることなど本来許されるべきでないでおじゃるが、これからこの場でお主達全員が麻呂に処断される運命であるのじゃから今は不問としようかの。それに口ばかりで行動を起こさない関西の腰抜け共と麻呂は違う。」
怒りに我を忘れているのか野望が達成すると確信し自分に酔っているのか平安言葉と現代語が混じったような歪な言葉遣いをしながら、男はまくし立てる。
「日本には古来から続く呪術すらあればいいのじゃ。雅さに欠ける西洋魔法なんぞ必要無い。麻呂は貴様ら西洋魔法使いどもを追い出し、呪術大国日本を復活させる。そして麻呂がその『日本呪術協会』の最高位として君臨する。そのために関東魔法協会、そして麻帆良の魔法使い…つまり主らが邪魔じゃ、ここで麻呂に敗北するがいい!!」
男は怒ると同時に、ほほほと人を小馬鹿にしたような笑い声を上げるという器用な事をしながら怒鳴る。
「強気なのはいいが、あとその程度の兵力で我々とやりあえると思っているのか?」
寡黙だが腕は確かな神多羅木が狐目の男を挑発する。
トレードマークの伸ばした髭と黒いサングラスが相まってなかなか迫力がある。
この東エリアの骸骨も気が付けばあと50体もいないくらいまで数が減っていた。
「やはり魔法使いは愚かじゃの。何の策もなしに麻呂がここに下りてくると思うか?
オンキリキリ、オンキリキリ」
真っ赤な札を取りだし呪術の呪文を唱える。
すると赤い札に塵に等しい白いかけらが麻帆良の西と南、そしてここ東から集まってくる。
それは再生できなくなるほど砕いた骨の欠片だった。
「させるか、ディク・ディル・ディリック・ヴォルホール、」
「神鳴流奥義 斬空閃」
神多羅木と葛葉をはじめとした魔法や気の使い手が呪文と技を、ガンドルフィーニ、龍宮などの銃火器使いが麻酔弾を垂金川に放つが下で待機していた50体の骸骨が飛びはね、盾となりそれらを防いだ。
砕かられたそれらは再生せずにそのまま赤い札に集まっている。
まずそれだけで8m以上はある大きな骸骨の掌が出現する。
その掌も垂金川を守るようにしているので攻撃が全く通らない
「よくぞここまで、麻呂の骸骨兵を壊してくれたでおじゃる。それだけは感心に値するの。
じゃが、お主らの最大戦力が不在、神鳴流と言っても青山宗家の神鳴流剣士でない使い手がいる程度のお主らに勝ち目はないぞよ。」
狐目の男が尊大な態度を取りこちらを挑発してくる。
もう勝ちを確信しているようだ。
こちらは技後膠着、弾切れで動けず追い打ちができない。
そうしている間にも白い光が次々と集まり腕が、肩が、胴体、足が、そして頭蓋骨が瞬く間に構築していく。
そして50mはあろうかという巨大な骸骨が出現した。
「まほネットにアクセス、検索完了、敵術者使役妖怪を
茶々丸がいち早く動き、敵妖怪の名前を看破した。
「貴様こそ勉強不足だな、呪術師よ。この学園でそのような巨大な戦闘力を持つ魔物は活動できないのだよ。」
ガンドルフィーニが勝ち誇ったようにいう。
うん?
ガンドルフィーニの言い分を信じるのなら私が封じられているのはどうやらナギの呪いだけでないらしい。
そのことは後でじじいを問い詰めるとして、この場では置いておこう。
だが垂金川は余裕の表情を崩さない。
「ほほほ、麻呂を甘く見たな魔法使い。この学園にはどういう原理かはわからんが特殊な結界が張ってあることは確認済みでおじゃる。そしてこの術はお主ら麻帆良の魔法使い共を蹂躙するためだけに麻呂が10年かけて作った呪術じゃ。麻呂は定期的に使い魔と召喚魔を放ってこの結界の情報収集を続けていた故、その結界は麻呂の餓者髑髏には通用しないぞよ。」
ほほほと笑う。
垂金川が餓者髑髏の上に浮遊する。
そしてその言葉通り餓者髑髏の巨大な体が動いた。
拳を振り上げ、我々に向けて振り下ろしたのだ。
その強大な一撃を我々は散開してかわす。
地響きとともに地面にはクレーターができていた。
その質量による攻撃はもはやミサイルや中上級魔法と変わらない
戦況を決めかねない一体がここに降臨した。
「馬鹿な、なぜ動けるのだ…!! それに弱体化した様子もない!!」
結界の効力を知っている魔法先生達が驚愕の声を上げる。
「この麻帆良全域に張られてある結界はある程度以上の戦闘力を持つ妖怪の能力を封じ込める能力が付与されておる。じゃが、麻呂の長年の研究によりその判定を
また嫌がらせも兼ねているでおじゃるがの。どうやってこの巨大なかしゃどくろと戦闘音を無かったことにするのかの?ほほほ。」
余程自信があるのか垂金川は自慢げにこのかしゃどくろの解説と挑発を行う。
今頃、明石を始めとした参謀チームと情報操作チームは必死になってこのかしゃどくろの情報隠蔽を行っていることであろう。
まあ、知ったことではないが…。
「なるほどな。私もこの学園の結界については初耳だが、そのかしゃどくろの戦闘力は一個体としてではなく、その妖怪を形成する骨の一欠けらの大群として判断されるわけだな。だから弱体化もしなければ、止まるわけでもないと言うわけだ。
はっ、まさに塵も積もれば山となると言うやつだな」
つまり一個体で圧倒的な力を誇る私は力を封じられ、雑魚共がより集まって形成されているあのでかい妖怪は通常通り動けると言うわけだ。
言っていてさらに腹が立ってきた。とりあえずナギとじじいはぶん殴る。
結界の穴をついた見事な呪法と言えるであろう。
無論簡単な術式じゃないはずだ。ただ戦闘力の足し算をするだけでこの学園の結界は破られるほど甘くはないだろう。
私ですら苦戦しているのだ。この学園の結界の優秀さは身をもって体験している。
そしてこの男の10年にわたる妄執が形となった結果があのでかい妖怪なのだろう。
「ほう、幼い少女の癖になかなか物分かりがいいでおじゃるな、西洋人。その通りじゃ。これで麻帆良自慢の結界は攻略したでおじゃる。近衛近右衛門、高畑・T・タカミチがいない今の麻帆良の戦力で麻呂のかしゃどくろをどう倒すでおじゃるか見せてもらうとするかの。
ほほほ、あやつらが意気揚々と外国から戻って来た時には帰る場所が無くなっていると考えると想像するだけで笑いが止まらないでおじゃる。」
その言葉とともにかしゃどくろの肩に降り立つ。
すると垂金川を守るように骨が隆起する。
まるで檻を思わせるような防御壁が展開される。
なるほど、この麻帆良を占領したらわざと情報を海外の魔法協会に流し、情報隠蔽の失敗の責任をじじいとタカミチに押しつけて最大戦力と戦わないで日本の協会から追放させるつもりだな。つまり戦わないで勝つということか。
「くっ、未熟な魔法使いたちを下がらせろ、下手をすれば死人が出るぞ。」
ガンドルフィーニがこの戦いについていけそうにない魔法使い達を下がらせる。
それと同時に反撃を行う。
16人に分身にした長瀬が撹乱し、高音の影と龍宮の銃で援護、そして隙をついて刹那と葛葉の神鳴流で攻撃を行うコンビネーションが取られていた。
私も
刹那の攻撃と龍宮のRPG、茶々丸のガトリング銃により相手の骨の一部が欠ける。が次の瞬間、時間が巻き戻るようにかけた骨がかしゃどくろの体の一部へと戻る。
規模は違うが先ほどの骸骨兵と同じ呪術がこいつにもかけられていると言っていいだろう。
やっかいな…。
純粋な戦闘力は魔法を使わない竜種以上で比較的弱い質の悪い鬼神兵と同等以下と言ったところか。
それだけならこの戦力でもなんとかなりそうではあるが、再生能力が邪魔すぎる。
そして無駄に機動力が高い。
慣れてきたのか中級魔法やRPGなどの中距離・遠距離攻撃も対応し始め回避しているほどだ。
攻撃力も高く蚊を払うような腕の一振りで凄まじい風圧が起こり、威力の弱い私の魔法や拳銃程度なら簡単に弾き飛ばされてしまっている。
振り下ろす拳は一撃一撃が小型のミサイル並みの威力だ。
それが地響きを立てて歩きながら学園に向かってきているのだ。
じり貧だった。
詠春が使う神鳴流の弐の太刀であれば、骨の防御壁を無視してあの狐目を屠れるし、タカミチの七条大槍無音拳や千条閃鏃無音拳並みの火力を安定して出せてそれを叩き込めれば、そう手ごわい敵ではないであろう。
というか私の凍結魔法なら再生も許さず一瞬で片が付く相手だ。
ええい、忌々しい。相手に結界が聞いていないのだからさっさと結界を解いて私に戦わせればいい物を!!
後退しながら少しでも足止めをしつつ、攻撃をすることしかできないでいる。
かれこれもう1時間30分以上戦い続けていて
影の魔法で殲滅戦では大活躍した高音も疲労困憊の様子で、パートナーで中学1年生の佐倉愛衣も同じような状態である。
さらに後から応援に来た二集院も日頃の運動不足が祟ってか息が切れてしまっている。
ガンドルフィーニも魔力が足りなくなってきたのか後衛の魔法使い達の指揮に集中している。
今も変わらずに戦えているのは、刹那、龍宮、長瀬、茶々丸の中学生4人衆と神多羅木、葛葉ぐらいであろう。
魔法先生達は巨大な魔法陣で敵の動きを止めることも考えたみたいだがこのメンバーの火力では決めきれるか不安なので魔力を節約するために使わないようだ。
かくいう私も魔力が切れてきて前線に立って戦えるのか怪しくなってきたので、中衛に下がりつつサポートを行う。
これだけの質量差のある敵が相手だと糸も全く効き目がないし、合気柔術も全く意味をなさない。
魔力も少ないので、かしゃどくろが動くたびに私は狐目男に氷の
「ほほほ、無駄でおじゃる、無駄でおじゃる。その程度の火力では足止めにすらならんぞよ。」
肩の防御壁の中で扇子を開き自分を扇ぎながら垂金川は馬鹿みたいに笑っている。
「餓者髑髏とやらも厄介だがあのしゃべり口調も腹が立つな。」
「確かに随分とけったいな喋り方をする御仁でござるな。逆に話し辛そうに思うのでござるが…。」
龍宮と長瀬が軽口をたたき合う。
「世の中には無意識に人の感情を逆なでる天才がいると言うことだ。」
アルビレオ・イマとのやり取りでいくらか耐性が付いている私でさえも、うざいと感じる話し方だ。
「マスター、そろそろ実弾も魔法弾も弾切れしそうです。それとマスターの煽り耐性は元々高くないと思われますが。」
「む、そうか。じゃあ、後ろに下がって銃弾を節約しながら私と同じように奴本体を狙え。効果は薄いだろうが多少の妨害にはなるだろう。それと心を読むな。」
「了解しました。」
無理もない、格闘術も交えて戦ってあまり無駄弾を消費しないように戦っていたのだがもう1時間半以上戦っているのだ。むしろ今回の急な召集で良く持ったといっていいであろう。
「戯れにも飽いたの。そろそろお主らを本気で突破させてもらうでおじゃる。」
扇子をパシリと音を立てて閉じると、空洞だったかしゃどくろの目の部分に赤い光が灯る。
「刹那、少しでも長く足止めをするために機動力を奪います。足に向けて雷光剣を。」
「はい、刀子さん。」
『雷光剣!!』
刹那と葛葉刀子が同時に両足に向けて神鳴流の奥義を繰り出す。
気を雷に変え、雷光にして剣から放つその技は神鳴流の中でもかなりの威力を誇っている。
そのまま、足に当たるかと思った瞬間、かしゃどくろの姿が消えた。
空中に跳躍して回避したのである。
「ほほほ、このまま学園に行かせてもらうとするかの」
高さにして5m程度の跳躍だが、まさかあの巨体が中を舞うとは思っておらず、思考外の事が起こったことにより多くの魔法使いが硬直する。
「隙ありにござるよ。楓忍法 爆鎖爆炎陣!!」
その中でも常識的な思考に捕らわれず動けるものはいた。
虚空瞬動も浮遊魔法も使えないにも関わらず、足止めをかわし一気に麻帆良に進軍しようとした浅はかな考えで空中に飛び出し、身動きが取れないかしゃどくろに向けて長瀬が分身しながら鎖と大量の爆符付きの手裏剣を複数投擲し、かしゃどくろ全体を包囲するように鎖で包み込む。
「な、何でおじゃるか?」
「ナウマク・サマンダ・ヴァジュラダン・カーン」
不動明王の真言とともに爆符が炸裂した。
「今日はこれが最後のRPGだ。くらって逝け。」
さらに追い打ちと言わんばかりに龍宮がRPGを撃ち込む。
「神鳴流奥義 剣風華爆焔壁!!」
技後硬直が終わった刹那も空かさず剣技と気で作った風と爆炎の嵐でできた壁を餓者髑髏に叩きこむ。
爆発が連鎖し、大爆発を引き起こす。
大きな地響きを引き起こし、かしゃどくろは地面に落下する。
爆炎と砂ぼこりにあたり一面包まれる。
「やったのか?」
ガンドルフィーニが呟く。
煙の中で赤色の2つの光が揺らめいた気がした。
こんなにこの戦いが長くなる予定はなかったんや…
この話で蹴りがつく予定やったんや。
筆が無駄に乗った結果こんな感じになってしまったんや。
かしゃどくろの戦闘力はラカン風に言えばイージス艦と同程度の1500です。
麻帆良に居る高位魔法使いの平均は300と言われていますが、(この内の小説の場合、ガンドルフィーニや神多羅木、明石あたりの戦闘力がこれに当たる)
楓や真名や神鳴流剣士二人は300以上の戦闘力を確実に持っているだろうと作者が独断で判断しています。ですのでそれらが合わされば何とかなりそうじゃねとエヴァに言わせています。
あと作者的にエヴァちゃん視点書きやすいからこれからも増えるかも…。
(こんなのエヴァじゃないと言われればそこまでですが(笑))