魔槍先生 ネギま   作:エール@静一閃

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作者はあまり頭がよくないから天才キャラを天才っぽく書けません。ご了承ください。
またUQHOLDER連載再開までにはこの小説も定期的に投稿したいとか抜かしておりましたが目処が立ちません。すみません
プロローグ以来の3人称もどき。読みにくかったらすみません。




6話 部屋と対策と修行

エヴァンジェリンの家に向かう道中、カモミールが小声でネギに話しかけた。

「おい兄貴、大丈夫なのか?あのエヴァンジェリンの家で暮らすなんてよ」

「なんで?」

「何で?じゃねえよ、あの闇の福音だぞ。何されるかわかったもんじゃないぜ?」

「大丈夫だよ。話して見ていい人だなと思ったからね。まあ、仮にそこで何かあっても僕に見る目が無かっただけだと笑って受け入れるさ。」

「兄貴がそれでいいならいいけどよ。」

「おい、聞こえているぞ小動物。それにしてもぼーや、お前は本当に9歳か?先程も思ったが子供にしては達観し過ぎているぞ。」

「まあ、育った環境が環境でしたからね。それにエヴァンジェリンさんの家ならカモくんも下手に悪さできないでしょうし…。」

そのネギの毒舌を受けてカモミールが兄貴〜と情けない声を出すが皆にスルーされる。憐れだ

「ほう、私を利用するか…。ますます気に入ったぞ、ぼーや!!」

「まあ、利用するなんて大層な事ではないですけどね。」

エヴァンジェリンの物言いに苦笑しながら返す

 

 

そうこうしている内に学生街のはずれの森の中にあるログハウスに連れてこられた。

 

「ここが私の家だ。そこそこ広いからぼーや1人くらいなら住むに困ることはないだろう。」

「物語に出て来そうな素敵なお家ですね。」

「ははは〜、そうだろう。」

 

家を褒められてエヴァンジェリンが上機嫌に胸を張る。

 

「では、どうぞ」

 

茶々丸に導かれてログハウスの中に入る。

リビングは中々に片付いていてやっぱり女の子が住む家なんだなと実感させられる。

 

「で、ぼーやが住む部屋だが…、そうだな。その突き当たり右の部屋が物置になってるから、そこを片付けて使うがいい。今日はもう遅い、シャワーはまた明日だな。」

「はい、わかりました。」

 

ドアを開けると目の前に女性型の人形が大小所狭しと乱雑に置かれていた。

これだけ人形があると可愛いというよりも不気味という印象が先に出てくる。

さすがはドールマスターといったところか…。

ネギが感心していると後ろで会話が続けられる。

「マスター、この部屋はマスターの人形置き場になっている部屋ですが、よろしいのでしょうか?」

 

「かまわん、ぼーや。好きに使え」

「はい、整理整頓は慣れてます。部屋を貸していただきありがとうございます。」

「ほう、この光景に物怖じしないのは流石だな。それに片づけに慣れているとは子どもなのに偉いことだな。」

「いえ、僕の師匠がこういうのをやれば出来るのに全然やらない性格でして、それで僕が変わりに片付けていたので自然に慣れてしまったんですよ。」

 

「ほう、セラスはこういうことが得意な方だと思ったのだが…。」

 

「いえ、槍の師匠の方です。まあ、女性ということは共通していますが。」

 

「ほう、それは気になるな。私の知る中でぼーやのような手練れを育てられるような、そんな女傑は私の知る限りいなかったと思うのだが」

 

「それはまた後ほど機会があればお話しますよ。まずはこの人形を片付けないと」

 

一体目の小型の人形を手に取る。その瞬間、その人形がしゃべり出した。

「ン?オ前ハ誰ダ?」

「あ、今日からこの家に暮らすことになったネギ・スプリングフィールドです。あなたは?」

「茶々ゼロダ。俺ノ姿ヲ見テモ動ジナイトハ、ナカナカ見所ガアルガキジャネエカ。」

「はぁ、ありがとうございます。」

まあ、この程度の事で驚いていたら生きていけないような環境にいたから動じなかっただけであるが。

「あ〜、そういえば一昨日、生意気な口を聞いたからこの部屋に閉じ込めて頭を冷ますように言っていたのを忘れていたぞ茶々ゼロ。」

どうやらやはり、このホラーチックな人形はエヴァンジェリンさんの所有物であるようだった。

 

「ヒデェゼ、御主人、俺ヲ忘レルナンテ。」

「だったら主に対して生意気な言動を避けるべきだな?」

 

「オウヨ、ワカッタゼ。ソレニシテモ、家ニ男ヲ連レ込ムナンテヤルジャネェカ御主人。」

 

「ほう、まだ反省が足りてないと見える。ちっ、まあいい茶々丸、茶々ゼロを連れてこっちに来い。」

「了解しました。姉さん、こちらへ。」

「今日はもう遅い。これからの方針などの話はまた明日だな。」

 

「はい、ありがとうございます。」

「ふん、私を悪の魔法使いだと言う事を忘れない事だな。礼を言うのは早いかもしれないぞ。」

「気にしないでください。マスターはお礼を言われ慣れていないので照れているだけです。」

「兄貴、俺も大丈夫な気がしてきた。」

「でしょ?」

「お前らなぁ、あまり私を馬鹿にすると家から追い出すぞ。」

「ではネギさん、おやすみなさい。」

「はい、茶々丸さん。エヴァンジェリンさん。おやすみなさい。」

「こら、離せ茶々丸!まだ話は終わってないぞ。」

「マスター、夏休みとはいえ夜更かしをし過ぎました。寝た方が良いと忠告致します。」

茶々丸が茶々ゼロを頭に乗せ、エヴァンジェリンを抱きかかえながら器用に片手で扉を閉めて物置部屋兼今日からネギの寝床を後にする。

「なあ、兄貴。吸血鬼って夜行性じゃなかったか?」

「多分、魔力の殆どを父さんに封じられたせいで普通の女の子と変わらない体質になってしまったんだと思うよ。」

「なるほど…。もしかしたらそれを解く手伝いをさせられるかもしれないぜ?」

「何もしないで厄介になり続けるのも気が引けるし、それが家賃の変わりになるなら安いものだよ。」

「そんな事したら麻帆良にいるほぼ全ての魔法使いを敵に回すんじゃねえか?まあ、兄貴がそれでいいなら俺っちはついて行くだけだけどよ。」

「まあ、そこら編は詳しい話を聞いてから決める事にするよ。何もないとは考えられないしね。心配してくれてありがとう、カモくん。あと魔力の大半が封じられてるとはいえ、何かしらの武芸を納めた感じの隙のない歩き方をしてるから悪さはしない方がいいよ。」

「マジでか?」

カモミールが図星を疲れたのか固まり、ネギから告げられた事実に身を震わせる。恐らくは何も知らないで下着泥棒をしていたらどんな罰が待っているのかという事を考えているのだろう。

「いやいやいや、ここに来る道中結構転びかけてたぜ?」

「まあ、信じないならそれでもいいけど、何かあっても助けないからね」

「お、おうよ。相変わらず兄貴は厳しいぜ。」

カモミールが大げさに肩を落とす。

ネギはその姿に苦笑する

 

「今日は遅いし、もう寝ようか」

 

こうして長い夜は終わりを告げるのであった。

 

 

 

*****************************

 

所変わって麻帆良学園某所

 

「あれは何の魔法ネ、私のご先祖様があんな魔法を使えるなんて聞いてないネ」

お団子三つ編みとほっぺの丸印が印象的なチャイナ服に身を包んだ少女=超鈴音(チャオ・リンシェン)がパソコンに同機されたスクリーンに映る赤毛の少年を見て頭を抱えて呟いていた。

この少女は実は未来人であり、ある目的を果たすために過去へと渡ってきたのである。

また自らも才女で中学生にして麻帆良最強の頭脳とも言われ、北派少林拳も嗜む、文武ともに天才的で極大魔法すらも使いこなす魔法使いでもあり、ついでに言うとモニターに映ってる赤毛の少年の子孫に当たる人物である。

麻帆良に攻めてきた敵を利用して、それを迎撃する魔法先生や生徒の戦力を分析するために飛行可能な超小型カメラを飛ばし麻帆良各地を監視していたのだがその敵をあっさり倒した少年=ネギ・スプリングフィールドを見て絶句していたのだ。

 

「大体、ネギ・スプリングフィールドは行方不明というのもおかしいことネ。でも私が生きていることから死んでないことはわかっていたがこれほどの力を持っているとは…、これは敵対するより味方につけた方が利口な相手ネ。」

未来の知識ではこの時期のネギは魔力は圧倒的だが技術は一般魔法使いよりも少し高い程度の力量だったはずなのである。本来なら敵対しても抑え込める相手だったのである。

だがしかし実際に見ると魔力も技術も圧倒的で、ネギが本来使えるはずのないわけのわからない未知の魔法すら操っているのである。

 

(私が過去に来た事によって過去に起こるはずだった出来事が大幅に変わっているのか…?)

もう少なくともネギに関しての未来の知識は通用しないであろう。

心の中でそうつぶやくと背後に見知った気配を感じた。

「ふむ、超をしてそこまで言わせるとはな…。あの少年の実力はそこまで卓越しているということか…」

先ほどまでその少年と敵を迎撃していた龍宮が超に話しかけた。

「龍宮サン、お疲れ様ネ。うむ、計算外の力を持ってるヨ。戦闘のプロである龍宮さんから見てこのネギ少年の力はどう映るヨ?」

「ふむ、難しいな。おそらくだがこの少年は1割の力も出してないだろうな。その場から一歩も動いていないし、あの大槍も本来の武器ではないだろう。」

「なぜそう思ったヨ?十分使いこなしているように見えたし、あの武器もエヴァンジェリンさんの言うことが事実だとしたらとんでもない武器ネ」

龍宮の言葉に疑問があるのか、情報を多く収集するためなのか、龍宮に質問する。

「うまく説明できないんだが、槍を振るう動きにかすかな違和感を感じたのと、武器に対する愛着みたいなものが少ないと感じたんだ。刹那が刀に向けるそれとはまた違った意識を向けている気がする。」

「そうか…。味方にするにしても無効化するにしてもかなり大がかりな対策が必要になりそうネ。」

「まあ、まだ時間はある。焦らずに計画を進めればいいんじゃないか。それにしても何にそんなに驚いているんだ?あの炎の魔法は確かに脅威だがあの程度、科学にしても魔法にしてもお前には容易く出来る程度だろ?」

龍宮にしてみれば至極当然な疑問だった。滅多に使うことはないが炎の魔法を得意とし、茶々丸を作ったその魔力と技術力があれば再現不可能な程のものではないと思うのは当然、なぜその超がネギが炎の魔法を使ったシーンを見て頭を抱えて考えているのかの方が疑問なのだ。

「スナイパーで目がよく、さらに元魔法使いの従者であった龍宮さんにも気がつかせないとは…恐ろしい程の腕ネ。そしてなんと隙の無い魔法ヨ」

「ふむ、というと。」

龍宮が続きを促す。自分が気が付けなかったと超が言った。それは自分の力が至らなかったということだがこの年にして数多くの戦場を越えてきた龍宮はそのことに心揺れたりしない。むしろ至らない所を改善し、次の戦場に活かす意気込みで続きを促す。

大人でもほとんどの人が自分の力量を否定されれば憤るものだが龍宮はこの年にしてその境地はとうに超えているのだ。

別アングルからの映像がスクリーンに映る

「この映像をよく見るヨ、ネギ少年は宙に文字を書いているだけ、それも詠唱なしでそこから膨大な熱量の炎の魔法を発動しているネ。こんな魔法聞いたことも見たこともないネ。しかもそのことにエヴァンジェリンを含めたその場にいた一流の魔法使いたちや従者が気付いてないと言うことも異常ネ。」

「確かにそう言われると凄まじい技量だな。これは私が敵対したとして何分足止めできるやら…」

そして恐らくであるがネギ・スプリングフィールドはこの小型監視カメラに気が付いている。

他の魔法使いも万全であれば気が付くであろう程度の隠蔽しか出来なかったのだ、あれほどの実力者が気がつかないわけがない。

その上でこの魔法を発動させたのだ。つまりあまり見せたくはないが見られても大しては困らないという自信の現れと見て取れる。

あの場でカメラの存在に気づいているのは茶々丸とネギと龍宮くらいであろう。

力と技術に裏打ちされた慢心の無い自信程厄介なものはない。

味方に引き入れるにしても無効化するにしても情報が必要だ。

つまりは仲良くなって損はないだろう。それに自分のご先祖様がどんな性格をしてどんなことを考えながら生活しているのかにも興味があった。自慢の肉まんも食べて貰いたいとも考えていた。

 

焦りと好奇心がないまぜになった心情を胸に超はネギを味方に引き入れる為に龍宮を交えて作戦を考えるのであった。

そうして深い夜はさらに更けて行った

 

 

*****************************

 

翌日の昼

 

麻帆良学園から少し離れた川が流れる森の開けた所でネギは昨日助けた楓と刹那と対峙していた。

何回も何十回も挑みかかってはネギに吹き飛ばされているので、もう二人は息も切れ切れでボロボロだった。

馬鹿レンジャーと呼ばれる楓の夏の補講が終わるのを待って、昨日約束を取り付けていた手合わせを早速することになったのだ。

ネギは木でできた棒を持って構え、楓と刹那はそれぞれ自分の獲物を手にしていた。

龍宮とエヴァンジェリンと茶々姉妹、カモミールがその様子を見ている。

もう何十回目の立ちあいになるだろうか…。もう何回地面にたたきつけられただろうか…、それでも二人は意地を見せ立ちあがる。

 

そして楓が16体に分身して8方向から2体ずつ同時に襲いかかる。

次の瞬間、ネギが視界から消え去ると同時に分身の2体がやられ、気が付いたら楓本体を含めた分身全員が空中を舞っていた。

 

その瞬間、ネギは動じず、手前の2体を刺突で一瞬のうちに迎撃すると自身をとらえきれていない本体の楓の姿を確認し、1歩のバックステップで14体の包囲網を振り切った。

そして着地と同時に手に持つ棒を高速で回転させながら今度は逆に楓の群れに突っ込み、残りの14体を殲滅したのだ。

作戦の成功を確信した思考の隙をついた見事な動きだった。

そして何より思考の回転と基礎動作の素早さの差がつぶさに出たのだ。

たった2歩で甲賀忍者の頂点の中忍に位置する楓を吹き飛ばしたのだからその選択の精確さと実行速度は凄まじいものだとわかるであろう。

 

「動きはいいですが集中力がまだまだ甘いです。人数を活かして取り囲み、常に敵の死角を取るまでは悪くない作戦ですけど、だとしたら囲み続けないと意味がないですよ。囲んだ時点で安心しないでください。忍者の足は確かに脅威です。思考の速さも悪くないです。ですけどかすかに思考や集中力に隙があります。もっと研ぎ澄ました状態を維持したまま戦いに臨まないと格下が相手でも足元を掬われかねませんよ。」

楓を吹き飛ばしながらアドバイスを与える。このようなことがもう何十回も行われているのだ。

そこに雷を野太刀に纏わせてサイドポニーテイルの少女 刹那が突っ込んできた。

楓を迎撃した直後の隙をついての雷鳴剣による攻撃、スピードもパワーもキレもタイミングも申し分ない一撃を刀の腹を横から高速で薙ぎ払うことで防いだ。

そして逆に技を防がれ、かすかに動揺した刹那の腹を前蹴りで蹴り飛ばした。

「いい攻撃です。しかし思考を止めるのは頂けません。戦場では何が起こるかわかりません。そのたびに思考を止めていたら生きていけませんよ。常に思考を止めないで思考を纏うようなイメージを持って行動してください。」

 

麻帆良でも屈指の実力を持つ楓と刹那が魔法剣士タイプの魔法使いとはいえ、魔法を使わない魔法使いに傷一つ付けられずに一方的に弄ばれているのだ。

それも明らかに手を抜かれていると言うのがわかる。

 

力の差を改めて感じながら楓と刹那は立ちあがり、再びネギに向かって走り出した。

 

「改めてみるとぼーやの技量は半端ないな。動き一つ一つに全くの隙を感じない。近接戦じゃ万全状態の私でも勝てるかわからんぞ。」

「本当なら一歩も動かなくても倒せるくらい差があるんじゃないか?それなのにあえて動いて自身の欠点を見つめさせているのか?」

「本来ナラ一瞬デ細切レニ出来ルクライノ実力差ガアルナコリャ。」

「いや、あの二人も十分凄い実力だろ…兄貴相手にここまで立っていられるんだもんよ。」

「お二人とも大丈夫でしょうか?(オロオロ)」

5人がそれぞれの反応を見せる。

するとまた二人が吹き飛んでいた。

 

「ひとまずはここまでにしておきましょう。」

ネギの合図で休憩を取る。

ネギは呼吸一つ乱しておらず、汗もあまりかいてはいない。

対する刹那と楓は息も絶え絶えでボロボロで同じ組手をしていたとは思えないほどの差が出ている。そしてボロボロなのに大きな怪我はしていない。

それほどまでに実力に差が開いているのだ。

 

「ふふふ、わかっていたがここまで差があるとは…、それに自分の至らなさが次々とわかって、これまで積み上げてきた自信が崩れてしまいそうです。」

「そうでござるな~。世界は広いということなんでござろう。しかしこの手合わせで拙者たちはもっと上にいけるでござるよ。そのように考えるとそう悲観するのもではないでござる。」

「ああ、そうだな。」

「お二人とも筋は悪くないですよ。現段階でも一般的な上級魔法使いくらいならあっさり倒せてしまうくらいの実力は持っていますね。このまま成長すれば世界でも屈指の使い手になれる素質はあると思います。」

落ち込み気味の二人を励ますようにネギが声をかける。そしてこの言葉にウソはない。

 

「ふっ、刹那も楓も見事に昨日の戦闘よりボロボロだな。こんなお前達を見るのは初めてだよ。」

龍宮がからかうように話しかける。

「面目ないでござる。しかし地面に倒れ伏して起き上がるごとに成長できている気がするでござるよ。」

楓が充実した表情を浮かべながら龍宮に言い返す。

「ネギさんはどのような修業を積んでその実力に至ったのですか?」

刹那がネギに問いかける。

「僕ですか…。」

 

次の瞬間、修業の風景がネギの頭を過っていた。

 

**********************************

 

 

「よいかネギよ、今から一呼吸の内に10撃、ほぼ同時に刺突を放つ…。防がないと死ぬから心せよ。」

「ちょっと待ってください、師匠」

「問答無用だ。ではいくぞ」

「うわああああああああああああああああ」

 

 

 

「ネギよ、ルーンの魔術を全部覚えたみたいだな。」

「はい、師匠。」

「では今からこのゲイボルクをお前に向けて全力で投げる。18の原初のルーン全てを使い、この一撃を防いで見せよ。完全にマスターしていたら苦も無く防げるはずだ。」

「ちょ、待っ、うわああああああああああああああああああ」

 

 

 

「師匠、城の外に出て何をするんですか? え?、跳ね橋あげちゃうんですか?」

「今からお前に鮭飛びの跳躍術を授ける。この城壁をジャンプで昇れ。特殊な結界もあるが頑張ってすり抜けてこい。杖は没収してあるから魔法は使えんぞ」

そういうと師匠は跳躍して城壁の上に飛び乗った。

凄まじい跳躍だがそれだけではない。影に国に救う化け物達を一切いれない結界を簡単にすりぬけて着地したのだ。その跳躍にはスカサハの持つ技術の粋が詰まっていた。

「この通りだ。時間が経つと今のお前では倒せないような猛獣共や神のなりそこないの連中が来るから早く昇るか飛び越えるかしてこい。」

「ちょ、師匠、せめてコツくらいは教えてください。待ってえええええええ」

 

 

 

「ネギよ、オガム文字を覚えたみたいだな。」

「はい、師匠。嫌な予感がしますが覚えました。」

「ふむ、では音と姿を消す術式を使い、神のなりそこないが無断占拠している廃城からある宝を奪ってこい。宝を持ってくるまで戻ってくるなよ」

「師匠、ちなみにその神様の実力は?」

「今のお前では相手にしない方が得策であろうな。」

「やっぱり…」

 

 

 

「ネギよ。あそこにいるのは低級だが竜種の一体だ。この槍を投擲して急所を突き一撃で仕留めて見せよ」

「師匠、それ普通の槍ですよね?どうやって鱗の堅い竜を倒すんですか?」

「クー・フーリンはあの程度のドラゴンは素手で心臓をわし掴みにして一撃で倒すぞ。武器を使ってるんだからお前にも出来る。ちなみに不意打ちの一撃で仕留め切れなければ今のお前では逆立ちしても勝てないレベルの実力だからしくじるなよ。手は貸さんからな」

「ちょ、師匠。根拠はどこ、せめて話を聞いてください師匠おおおおおお」

 

 

 

「あれはこの前お前が宝を奪った神のなりそこないだな…、ふむ、宝を取り返しに来たと見える。

あれはルーンをくらうイノシシだな…、なかなかに育っているいい猪ではないか。

あれはこの前お前が槍で殺した竜が所属していた群れのボスだな。ほう、なかなか強そうだ。本来であれば私が戦いたいが今回はお前に譲ってやろう。

あれはもう死んでいるのに死に場所を求めて彷徨っている亡霊の群れだな。全身呪いみたいなものだが…

よしネギよ、あれ全部と戦ってこい。何、今のお前の実力なら大丈夫だろう」

「うわああああああああああああああああああ」

 

 

****************************************

 

 

「地獄のような修業でした…。気を抜けば一瞬で死ねる修業と実戦の中で、生き残るために必死で槍を振ってたら自然に身に就いていたという感じです。」

一瞬でこれまでの修業の一部を思い返し、ネギがいい笑顔を見せながら明るく何事でもないように語る。

その明るさが逆に不気味だった。

 

「ま、また壮絶そうな修業を経たようだな」

エヴァがどのような修業内容かはわからないがそのハードさを察しつつ少し引き気味な笑みを浮かべながら突っ込む。

 

「まあ、それを他の人に強要したりはしませんよ。」

 

ネギの言葉に楓と刹那はほっとしたような、残念がるような何とも言えない表情を浮かべる。

 

「でも鍛えるのなら、中途半端は嫌ですし、修行不足が原因で死んでほしくないですからビシビシ行きますよ。それに教えることで僕自身、何か見えてくることもあると思いますし、真剣にやらせて頂きます。」

「お願いします(するでござる)」

 

数十分後、また麻帆良の森に剣戟音が響き渡っていた。

その音は日が暮れるまで続くのであった。

 




修業解説
・一呼吸で10撃…敏捷Cのアーチャーが音速での戦闘が可能だと言われております。ランサーはそのアーチャーが目で追えないほどの速度で刺突を繰り出しています。てか体すらも捉えきれてなかった。
ですのでその入門編みたいな感じでこのような修業をしているのではないかという妄想

・18のルーンでゲイボルクを防ぐ…HFのハサン戦で兄貴が泥を防ぐために張ったルーンの結界、泥には難なく破られたがあれは例外。自分のB+ランクの宝具はもちろん、エクストラのドラマCDではAランク対城宝具である呂布の宝具を防ぐ程のスペックを持つ破格の結界。そして師匠だったらこれくらいの無茶ぶりはしそうだと勝手に妄想

・鮭飛びの跳躍術…影の国でクー・フーリンが習得したと言う跳躍術。スカサハの住む城に入るために必須な技術らしい。型月の影の国は原典以上に修羅の国っぽいのでオリジナル設定で化け物どもを城内に入れないために城壁に結界がはってある設定を勝手に追加
これがあるのでネギは飛翔魔法が使えなかった頃からある程度の空中戦は可能だった。
またこの小説では瞬動術の一種であるとセラスは分析しているがこちらの方がはるかに速い。(一般的な瞬動術は音速以下であることがUQHOLDERで判明したので。ただ完全体の楓が縮地で宇宙をまたにかけて活動したり、雷速瞬動時のネギと互角にやり合うフェイトやラカンみたいな化け物もいたりするので一概には音速以下とは言えない。)


・音と姿を消すオガム文字…クー・フーリンは戦車にこのオガム文字を刻んで無音不可視の戦車を操り、敵の軍勢を蹂躙・殲滅したことがあるエピソードに従って、ちなみにマントに刻んでクー・フーリン自体がその効果を得たこともある模様。
型月ではスカサハもクー・フーリンも使えるか不明だがこの小説内では使えることとする。
ちなみに師匠はルーンの方が実戦向きなのでそっちを好むとマテリアルにあった気がするので使えないことはないと思う。
ルーンの魔術と合わせてさらにチートになる模様(作者は馬鹿だから後先考えてない)

・竜種相手に修業…クー・フーリンは飛んでいる竜を相手に素手で心臓を鷲摑みにして余裕で打ち取ったエピソードから、ちなみに腐っても型月における幻想種の頂点なのでその当時のネギが真正面から戦って勝てる可能性は一切ないがFateは相性ゲーな部分も大きいので策を巡らせた不意打ちなら何とかなるとしている。それでハサン先生が遥か格上のアルトリアと兄貴を撃ちとってるのでありかなとの甘い考え(Fate/goでは主人公パーティーがホイホイ倒してるけどあれはカウントしないこととする。てかgoの竜種の扱い雑すぎぃ!!ちなみにネギまでも古龍種はエヴァと並んで最強格だが普通の竜は神鳴流5人掛りで倒されたり、修業中の楓に目隠しありで倒されたり、魔法騎士学校を卒業してない未熟な4人の魔法使いに一杯食わされたり、ラカンの表で結構下位いたりするので差が激しい。てかその古龍も実は扱いは雑、同等の力らしいラカンにWパンチでぶっ飛ばされたり、エヴァに一瞬で凍結されてりして散々な扱い。)


また超はこの時点では並行世界の分岐を理解していないので行方不明だったネギが生きているということを信じ切っていました。

麻帆良祭編までの1部の構想を練ろうとしていたはずなのになぜか2部の魔法世界編の構想ばかり先に浮かんでしまう…
1部の方が好きなのに2部の方が個人的に書きやすそうな気がする。
書いてて思ったけど展開遅すぎる…。もっとサクサク時系列を進めないと本編に入れないぞこれ…。
そして結局、ギャグと恋愛の描写の苦手さは克服できていない模様。

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