ちっちゃくなっちゃった、ゆーのくん。   作:形右

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 凄く凄く久しぶりの投稿です。
 ハーメルン復帰一発目の投稿って感じでしょうか。いや、その前に放置するなって話ですけれど……すみませんでした。
 その上この小説に関しては仕様変更などもあったりするので、読者様方には本当に面目有りません。

 そんな中ですが、今回すずか編の投稿と相成りました。

 このシリーズの作風を忘れていなければいいのですが、また一から頑張るつもりで書いて行こうと思うので、こんな駄作者ですが、どうかおtき合いくだされば幸いです。

 それでは本編の方をどうぞ。


『月下流麗、妖艶な眼に映るのは Bloody desire for you.』

 

 

 それは、またしても夜……月がやけに輝く夜更けのことだった。

 

 きいぃ……っ、という音と共にドアを開けて入ってくる人影は非常に小さい。しかし、その纏った雰囲気はとても幻惑的で、妖艶なものだった。夜闇に映えるその紅の双眸は、前にここを訪れた閃光の名を冠する少女よりも深い色――真っ赤な鮮血の如き色に染まっていた。

 

 だがその妖しげな雰囲気に反し、瞳の持ち主はその大きな瞳をとろんと蕩けさせながら目の前にある目的のものへと向かって行く。

 そのまま辿り着いたベッドの中へとのそのそと潜り込んでいったその者は、その中で眠っている目的の〝者〟の元へと向かって行く。

 

 さすがに寝床へ入って来られたこともあって、やっとこさその侵入者に気づいたその者は、もそもそとうごめくそれの正体を高めるべくかぶっていた毛布をめくりあげた。前にも似たようなことがあり、その時は気づかなかったため朝起きたときに驚いたものだが、さすがに二度目ともなれば落ち着くというもので――

 

「――ん……だれ……? フェイト……?」

 

 そう呟いた者の顔を、月の光が照らす。長く濃いめの金髪と、翡翠の瞳。明るいその色彩は侵入者の持つものとはちょうど対照的の様でもあり、穏やかで包み込むような雰囲気を纏った可愛らしい少年を照らし出す。加えて、その月明かりは彼だけでなく彼の方へ這い寄ってくるものも映し出しており、少年が寝ぼけ眼を向けると……そこには、漆黒のような艶を持った闇に映える紫の髪と紅に染まった瞳の少女がいた。

 

「は・ず・れ♪」

 

 楽しそうに節をつけ、その少女はその少年の呟きに応える。

 

「す、すずか……?」

 

「うん。ゴメンね、ユーノくんのところに来たくて……来ちゃった♡」

 

 すずかと呼ばれた少女は、ユーノと呼ばれた少年に向けてそう返すと少年のおなかのあたりにふわりと抱き着く。

 ぎゅっと抱きつかれた少年は、どうしたらいいのか対応に困った。

 

「ふふふ~♪ ゆ~のくぅん……」

 

「す、すずかぁ……」

 

 赤面しながらすずかを押しとどめようとするユーノ。だが、すずかはその細腕からは想像もできないような力を込めてユーノにさらに強く抱き着いてすり寄る。その恍惚とした顔はちょっとアブないような感じさえ抱かせるようで……ユーノはとにかくすずかを止めようとするのだが、すずかは止まらない。

 

「やぁー……っ」

 

「ちょっ……!?」

 

 すずかはユーノの首のあたりに顔をうずめ、首筋のあたりをペロっと舐める。その感触にユーノは「ひやぁっ!?」と悲鳴にも似た声を上げる。そんな彼を見てすずかは愛おしそうに口を緩め、目を細めてユーノの耳元に囁き掛ける。

 

 その様は彼女の好きな猫そのもののようだ。

 

「うふふふ……ユーノくんってば、かわいい♡」

 

「かわいいって……というか僕男だし……と、とにかくすずか。落ち着いて――」

 

 ユーノはそう嘆願するが、

 

「……むぅ、ユーノくん。いやなの?」

 

「え、別にいやとかじゃ無いけど……」

 

「だったらいいよねー♪」

 

「…………」

 

 どうしようもない。

 

 ユーノはその事実をようやく飲み込むに至った。まあ普段は大人びているし、穏やかな彼女が今こんなに……なんというか、どうにも盛ってるようにしか見えないような状況はあまり認めたくない。とりわけ、今彼女は自分たちと同じく幼児化しているのだから。

 

 ただ、この状況に心当たりがないわけでもない。

 

 すずかは地球出身だが、ミッド出身の自分たちでいうところの『リンカーコア』に似た器官を持っている。だが、そこまではいい。そもそも、『リンカーコア』の有無はさして重要な問題ではない。

 

 問題は、ここからだ。

 

 地球では基本的に『人間』に分類されているのは一種類だという話なのだが……実は、希少な『血筋』を受け継ぐ人種がいくつか存在しているのだという事を、ユーノはおおよそ十年ほど前に知った。

 ミッドチルダをはじめとした次元世界にはこうした事例は珍しくはない。基本的に、大体の世界が人間という形を好むらしく、人間としての姿をとることが多いし、そこでも様々な力を宿すことはよくある。

 これと同じことが地球でもあり、その内の一つである『夜の一族』と呼ばれる血をすずかが受け継いでいるらしい。

 それを十年ほど前にあった『色々』の結果知り、奮闘の末……すずかやアリサとの間に出来てしまった隔てりを解消することができた。だが、その際にまた一つ余計なことを知ってしまった。

 それは――

 

「ふふ……っ(にへらぁ)」

 

「…………」

 

 それが、このすずかの態度の元――俗にいう『発情期』というやつである。

 

 『夜の一族』という種族には、この『発情期』が伴っているらしい。どうにも時折こういったものが、周期的に訪れるらしい。

 勿論、対処法はある。『夜の一族』というのは、所謂吸血鬼の一族。ただ、日の光などに弱いとかニンニクに弱いとか鏡に映らないとか、そういった弱点的なものはないらしい。身体能力や自然治癒が人間以上であるという力の代償に、体内の鉄分の比率が変わりやすいため、鉄分を得るために人間の血を吸うようになったとか。そのきっかけ作りのために、その対象である人間――とりわけ気に入りの異性――を誘惑するためにこの発情期が周期的に訪れる。

 

 そんな訳で、発情期的なこの情緒不安定な状態を解除するには、まずはその力の高ぶりの元である鉄分バランスを戻してやれば正気に戻る。まあ要は『吸血』させてあげればそれでよいのだけれども……ここまでデレデレとしているすずかを見るのは実に久しぶりであるため、ユーノは少しばかり動揺と誘惑にさいなまれてしまい冷静さが失われていた。

 

 因みに、前にユーノが発情期(これ)を見たのは、丁度十年ほど前――美しい漆黒の月夜の下だったのだが……まさかこのタイミングで来るとは正直思っていなかった。

 今現在の互いに幼児化しているこの状態を差し引いて尚、ユーノはすずかに魅惑されている。

 

 精神は既に大人で、自分の身体もすずかも子供に戻っているのに、だ。

 

「ゆぅ~のくーん♡」

 

 すずかから漂ってくるその色香のようなものがユーノの心を彼女に縛り付け――目が、離せなくなっている。

 どくどくと高まり続ける心音と、顔に集まり続ける熱。どうしてなのかと何度自身に問おうとも、互いに今は子供なのにと思っても、そんな思考など軽々超えて……彼女の魅力は簡単に彼の心を縛り続ける。

 

「……ぁぅ……」

 

 喉の奥が詰まるような感覚。

 

 すずかのさらりとして、つややかな漆黒にも似た紫の長い髪からふわりと漂うその香りにくらくらする。

 

「……だ、め……だよ……」

 

 そんな弱々しい制止など、寧ろ情欲を引き立てるようなものでしかない。益々興が乗ったように、すずかはユーノのことをぺろぺろと舐め続ける。

 ぞわり、とユーノの背筋に悪寒が走る。しかしそれは恐怖よりも、初心な彼の中にある熱情の高ぶりと言い換えてもいいのかもしれない。もともと奥手な方だが、ユーノとて男なのだ。こんなかわいくて、今は色気たっぷりな同い年の幼馴染な女の子に迫られてしったら、まいってしまうのも無理からぬことではないだろうか。

 

 せめぎ合う理性と欲望。

 

 高揚する心と、羞恥にも似た感情が、混然となり混ざり合う。

 

 

 ――いったい、どう動くべきなのだろうか。

 

 

 ユーノは、再度自身に問う。だが、そんな自問自答など、自分の中に定まった答えが無ければ何の意味もない。自分から何かをできなければ、なされるがままなのは必然。すずかになされるがまま、ユーノは流れに流されるままになっていた。

 

「ふふふ~♪」

 

 すっかりご機嫌と言った感じのすずかに頬ずりをされていた。

 

 恍惚とした表情の彼女は、幼くなっても失われない妖艶さを醸し出しながらユーノに迫る。

 幼くなってしまっても、その夜に生える美しい姿は前に見たときのまま――いや、むしろそれ以上かもしれない。ユーノは、鮮血のように染まった真紅の双眸に吸い込まれそうになりつつも、迫り来る少女をなだめようとするが……それを聞いてくれるほど、深夜の彼女は昼間の彼女とは打って変わって優しくあっても甘くはない。

 

「ゆ~のくぅーん♪」

 

「す、すずかぁ……」

 

 その細腕には、相も変わらずどこから沸いてくるとも知れぬ力が宿る。そこらの男の豪腕など、その辺の葦のごとくへし折ってしまいそうなほどに感じられる。

 

 こうなってしまうと、もはやユーノにはすずかをとめる方法はひとつしかない。

 

 『夜の一族』の発情期とは元来、子孫の生まれづらいという側面から来るものだと話に聞いた。故に、いとしい人との愛ある営みによってそれは解除(みた)される。ただ、それをするわけにはいかない。子供の体であるということはもちろんであるし、それに加えて別にすずかとユーノはそういう関係ではない。

 

 そんな女性に、その上に幼馴染で大切に思っている相手ならそんな不義理を働くわけにはいかない。

 

 ……まぁ、彼女からすれば()()()()()()()()のかも知れないが。

 

 ともかく、ユーノはもうひとつの手段に出る。

 押さえつけられている体だが、すべてを封じられたわけではない。まだ、有効な手段として用いることのできる部分の自由は取り戻せるはずだ。

 

 そう決意したユーノは、迫るすずかの顔をまっすぐに見据える。

 

「――――っ、…………ぁ」

 

 その美しさに、決意が揺らぎそうになる。

 

 しかし、ここで折れてしまうというのは間抜けな話だ。せっかく、彼女を傷つけないと、守ると決めているのだから。

 

「――――すずか」

 

「なぁに~、ゆーのくぅん?」

 

 やっとユーノの注意が自分に向いたからか、それともあきらめて自分の『お相手』をしてくれると思ったからか、すずかはこれまで以上に甘い声を向けてくる。

 

 そんな彼女とは裏腹に、ユーノは自分の指を無防備に開いているすずかの口に入れる。

 

 その際、彼女の伸びた牙に、指を擦るようにしながら。

 吸血鬼、という生物のモデルになったことから分かるように、『夜の一族』と呼ばれる彼女の牙は確かな鋭さを持ち、ユーノの指の薄皮を切り裂き、血を滲ませる。

 

「あ……ぅ――――そんなぁ……ず、ずるいよぉ……!」

 

 血を一度口に含んむことで、すずかの本能に刻まれた優先順位が入れ替わってしまう。

 

 赤子のように指に吸い付き、その血の味を舌に馴染ませていく。

 

 味が馴染み、その味わいがつたわるたびに、すずかの内に秘める吸血衝動が意識を締めていき……目の前の少年の首筋の辺りに、熱を伴った視線が注がれだし――そして。

 

 

「――あむ……っ――」

 

 

 首元に、牙が突き立てられた。

 

 んぐ、んぐっ……と血が吸われて行く。その感覚に、ユーノは意識が少しずつ遠のいていくのを感じる。

 生気を吸い取られるような、その不思議な感覚は、ある意味で自分の命を搾り取られて行くようなものではなるが――それでも、目の前にいる彼女が自分の命を奪い去る悪鬼になることはない。

 

 それだけは、揺るぎない確信だと言える。……時たま、さっきまでのようにタガが外れるようなことを除けば、その認識に傷はない。

 

「……ちゅ――ぅ、ん――っ」

 

 暫し、そんな声だけが静かな夜更けに響き渡る。

 永遠であるかのようなそのひと時。時間にすれば数十秒にもみたない、まさに文字通りの〝一時(ひととき)〟であったのだが、二人の体感には容易く永遠を感じさせた。

 

「ぁ…………ん……っ」

 

 恍惚とした表情を浮かべ、蕩け切った様子でびくびくと小刻みに体を震わせているすずか。

 しかし、その震えが次第に収まっていき、血の様に染まった深紅の瞳が、夜闇の様な紫色にも取っていく。

 

「……もぅ。ホントに、ずるい……よ」

 

 こてん、とユーノの身体に倒れこみ、すずかはそのまま眠ってしまった。

 その姿を確認し、ユーノは「……ふぅ……」と安堵の声を漏らす。

 

 

 ――どうやら、不義を働かずに済んだようだ。

 

 

 いささか的外れな安堵だが、それでもユーノの奥手な心は少年の頃から――というより、今はもっと幼くなっているが――ちっとも変っていない。

 そんな彼が、こんなところでなし崩し的に彼女を貪ることはしないだろう。

 そうしてすっかり夜の静寂を取り戻したことで、どこかホッとした思いのまま、ユーノも布団の中に溶け込み、眠りに落ちた。

 

 優しい闇が二人を包み、安穏とした夜の中に消えていく。

 

 眠りの世界は、酷く穏やかなもの。

 

 それは決して悪い事ではなく、人が侵すことのできない領域の一つであるともいえる。

 

 そんな夜に、夢の中。

 

 彼と彼女はどんな思いをその儚い世界に託すのだろうか――。

 

 

 

 

 

 

 *** おまけ そのいちっ

 

 

 

「…………」

 

「えっと、すずか……さん?」

 

 怒っている。

 凄く、不機嫌だ。

 そんな雰囲気を放ち、すずかは布団にくるまりながらモヤモヤした霧を放っているように見えるのは気のせいではないかもしれない。

 そう思えるほど、今の彼女は機嫌が悪い。

それはそうなのかもしれないが、二人とも幼くなっているため其処までの迫力や本気の恨めしさを出しているというほどに見えないのは幸いといったところだろうか。

「むぅ……」

でも、だからと言って、不満であるということには変わらない。

すずかはムッとしながら、ユーノの足の辺りに這い寄ると、土いじりでもするかの様に弄り始める。

脹脛や膝の辺りはまだ良いが、さすがにそれより上まで来られると地味に痛い。

つねられるのはまだ穏やかな方であるが、何だか地味に痛いのでどうやって宥めたものかと距離を測りかねてもいる……。

どうしたものだろうか。

 

「えっと……えっと」

「…………(つねりつねり)」

 

「あの……ごめん」

「……(ぎゅっ)」

「いてっ」

「ぁ……(離し)」

 

それからしばしの沈黙の後――

 

「……本当に、狡いよ」

「えっ?」

「フェイトちゃんの時は、お姫様とかって言って頭撫でてたのに」

「い、いや……アレはその……」

「ホント、ユーノくんはずるいね」

 

ニコッと笑い、すずかはまた猫の様にすり寄って言った。

 

「だから……優しくしてくれたら許してあげる♪」

 

その後、静かにしっとりと――紫の猫と翠の少年が戯れた。

甘えた小さな猫の姿を、少年が愛おしげに見つめる姿が、衆目に晒されるまで、後少し。

 

 

 

*** おまけ そのにっ

 

 

 

しっとりタイムをしていた頃の、他の方々。

 

「あれ? すずかちゃんは?」

「そういえばおらんなぁ……何処やろか?」

「まさか……フェイトの時みたいに」

「えと、あれはその……」

「まずいの! ユーノくんが食べられちゃうの! アリサちゃんの時より激しく!!」

「なっ……べ、べつにあらはただ悪ノリしただけよ! ま、まぁ? そうしたいってユーノがいうなら……その、こっちもやぶさかでもないんだけど……もにょもにょ」

「もにょもにょはなのはの特権なの!」

「なによ! 良いじゃない、少しくらいさせてくれたって。私たち人間の時のユーノ撫でてないのよ」

「わたしだって小説版での描写くらいしかないの!」

「まぁまぁ、落ち着きぃな二人とも」

「け、喧嘩は良くないと思うよ……」

 

そんなことしながら、彼女らが本来の目的に気付くまであと数分。

 

 

 

*** おまけ そのさんっ

 

 

 

 半ばお知らせですが、このシリーズで募集してたステージシフトの方を、もう少し応募条件を変えるというか、具体的にしたいと思います。

 これまで、パロ元の原作だけを選んで頂いていましたが、どうにも原作だけを指定して頂いた場合、その原作で一話から長期小説を作る様な形になってしまいましたので『ガイアパロ』の様に全然投稿できていない状態に陥ってしまいました。

 なので、誠に勝手で申し訳ないのですが、パロ元の原作と共にそのパロをやって欲しいシーンまでを出して頂きたいです。

 ステージシフトの立て直しをするので、少しばかりシリーズとしては休止しますが、はやて編やなのは編についてはそのうち上げますので、そちらの方を楽しみにしてくださっていた方はそちらの方もお読みいただければ幸いです。

 ハーメルンでは、読んですぐにアンケートといくには活動報告かメッセージしかなく、仕様の関係上広くは取りづらいので、これをピクシブの方にも移してそちらでのアンケートも作ろうかなとも思いますが、その辺りはまだ検討中といったところです。

 そのため、暫く間を置いてその辺りを決めたら、またステージシフト込みでこの小説を動かして行こうかと思いますが、詳しくは小説情報の方で見て頂ければと思います。

 

 ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。

 

 

 

 




 はい、こんな感じでした。
 かなり不安ですが、ここから先は読者様方の反応待ちですね……。
 こんな感じで再開が始まりましたが、今後も読んで楽しんでいただければ幸いだと思っておりますので、頑張っていきます。

 それではまた次回お会いできればと思います。 
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