優しい世界を望んだら   作:ガスキン

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D×D小説に行き詰ってムシャクシャして書いた。後悔しかない。たぶん、数話で終わります。


第一話 自覚

―――どうやら俺は転生していたらしい。

 

五歳の誕生日。両親、そして姉と妹に盛大に祝ってもらったその翌日。ベッドから起き上がろうとした途端に激しい頭痛と共に知らないはずの記憶が流れ込んで来た。それによると、俺は前世で酷く情けない死に方をしてしまい。それに同情した神様の一人が転生させてくれたらしい。所謂「神様転生」ってヤツだ。こんな事、所詮空想の中の出来事だと思っていたが、まさか自分が経験する事になるとは思わなかったなぁ。

 

ちなみに、死因は正月に餅をやけ食いし、喉に詰まらせての窒息死。あの神様(パンチパーマのオバちゃん)も、こんな死に方をした俺をよく拾い上げてくれたものだ。なにせ、やけ食いの理由が、友人達を初詣に誘ったら、全員彼女や妻と行くからと断られた事による僻みだったのだから。思いっきり自業自得だ。

 

さて、そんなしょうもない原因で死んだにも関わらず、転生させてもらった俺なのだが、記憶を思い出した事により、自分の置かれた状況がとんでもないものだった事に気付いてしまった。

 

まず、俺の名前は織斑 一夏。・・・そう、前世で良くも悪くも有名だったライトノベル「インフィニット・ストラトス」の主人公と同じ名前だ。どうやら、俺はその主人公として転生してしまったらしい。おかしい。俺はあの神様に「織斑 一夏に転生してハーレム作ってやるぜぐへへ」なんて一言も言っていない。俺が願ったのは「登場人物達が幸せになる世界」だったはずだ。

 

神様からどんな世界に転生したいと聞かれ、俺はISの世界と答えた。特に深い理由は無い。強いて言えば、年末の大掃除で本棚の奥からISが出て来たので久しぶりに読んだ事でつい引っ張られてしまったからだろうか。

 

何年かぶりに読み返しての感想は「この作者、主人公達に恨みでもあるのか」の一言だった。特に家族関係については不憫過ぎる。失踪、離婚、確執、その他諸々。キャラの過去に重いものを背負わせるのを悪いとはいわないが、それにしたってみんながみんな同じ様にしなくたっていいんじゃねと思ったりもした。

 

そこで、俺は神様に「別にハーレムとかチートとかいいんで、登場人物達がもう少し幸せになれる様にしてください」と願った。そりゃあ、ISに乗れたら・・・なんて思ったりもしたが、トラックから女の子を庇ったわけでもない死因:餅なのに転生させてもらった俺が大それた願いを口になんて出来ない。

 

そういうと、神様はいきなり泣き始めた。「アンタ、ええ子やなぁ! まるであの子みたいやわぁ!」とか言われたが、ひょっとして俺以外にも転生させたりしているのだろうか。・・・そういえば、転生させられる直前「アンタ自身も幸せにならなアカンで。その為に、ウチから色々プレゼントしたるからな」なんて聞こえた様な・・・。

 

そういうわけで、俺は織斑 一夏になりたいと願っていない。なのに、現実はこうして織斑 一夏になってしまっている。ならば、織斑 一夏として生きていくしかない。

 

気合いを入れる様に頬を叩き、俺はベッドから降りて家族達が揃っているであろうリビングに向かう途中、またしても違和感に襲われた。

 

織斑 一夏は物心つく前に姉と共に両親に捨てられている。記憶と共に思い出した原作知識の中ではそうなっている。

 

「おう、起きたか一夏」

 

「おはよう。もう朝ご飯出来るから先に顔を洗って来なさい」

 

だが、リビングに入った俺の目の前には、俺に対して笑顔で挨拶して来る両親が存在している。今の俺には過去の記憶だけでなく、生まれてから五年の間の記憶もある。その記憶の中で、両親は俺の事をとても大切に育ててくれていた。とても、子どもを捨てていなくなる様な親では無い。

 

「一夏、どうかしたのか?」

 

キッチンの方からコップを持って現れる女性。彼女こそ織斑 一夏の姉にして、後に世界最強の名を称する事となる織斑 千冬その人である。性格はまさに“凛”という言葉が相応しく、こうして俺を見つめて来るその目も非常に蕩けて・・・あれ、おかしいな。鋭いつり目が特徴のはずなのに、何でそんな大好きなスイーツを前にした女子の様な目で俺を見つめてるの?

 

「体調でも悪いのか? よし、私が膝枕をしてやろう」

 

そう言って、千冬姉さんはソファで新聞を読んでいた父さんをどかし、自分が代わりに座った。そして自分の膝をポンポン叩き俺を呼ぶ。途中、父さんが抗議の声をあげるが、千冬姉さんの一睨みで黙りこんでしまった。父さんェ・・・。

 

「さあ、遠慮せず来い。私の膝枕はお前だけのものなのだからな」

 

キラキラした目で俺を見つめて来る千冬姉さん。どうする。ここは素直に行った方がいいのか?

 

「・・・お姉ちゃんの膝枕なんかで寝たら首を痛める」

 

どうしようか悩む俺の背後から突然そんな声が聞こえて来た。振り返ると、そこには千冬姉さんに良く似た少女が無表情で立っていた。

 

「おはよう、お兄ちゃん・・・。今日も朝からお兄ちゃんの顔が見れてマドカ嬉しい・・・」

 

彼女は、俺の“双子の妹”である織斑 マドカ。そう、原作では敵として登場するあの“M”が俺の妹になっていた。

 

「・・・どういう意味だ、マドカ?」

 

「お姉ちゃんのガチガチ筋肉のそれは膝枕とは呼ばない。お兄ちゃん、体調が悪いのならマドカのおっぱいでも吸う?」

 

いや、体調悪い=おっぱい吸うってどういう式ですかマドカさんや。

 

「はん、そんな平原で一夏が喜ぶものか。一夏、吸うなら私の方にしろ。揉んでもつついてもいいんだぞ」

 

「ちょっと待って。何で俺が吸う事が決定事項みたいな感じになってんの?」

 

「「?」」

 

吸わないの? と言わんばかりに首を傾げる二人。え、何で俺がおかしいみたいな感じになってるの?

 

「ふふ、朝から仲がいいわねあなた達」

 

「最近、千冬の態度が冷たすぎる件について」

 

「一夏」

 

「マドカとお姉ちゃん、どっちにするの・・・?」

 

この状況を仲がいいの一言で済ませる母さん。床の上で一人体育座りでブツブツ呟く父さん。そして、明らかに性格が変わっている千冬姉さんと、存在しないはずのマドカ。

 

そんな家族四人の姿を見て、俺はこう言わずにはいられなかった。

 

「・・・なぁにこれぇ」




ノリとしては拙作「騎士(笑)の日常」の弓弦学園編みたいな感じで書いていこうと思ってます。

なお、メインは他の小説なので更新は超不定期になる模様。
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