グレモリー家の白龍皇   作:alnas

11 / 41
どうも、alnasです。
少し期間が空きましたが、まあ、前のあとがきでもあったように、手こずっておられるんですね。
今回、話は進みません。はい、進みません。
イッセーがお悩み中、ヴァーリがなにを思っていたのかを中心に書いてます。
では、どうぞ。


この日常は番外

 兵藤一誠は、どう出るかな。

 彼との話を終えてから、やけに時間が経ったような気がする。

 念のため時刻を確認するが、時計は午前5時を表示していた。彼と出会ってから、まだ1日も経過していない。

 まさか、この歳で赤龍帝に会うとは思ってもいなかった。だからこそ、彼との戦いには少しばかり不満が残る。

「とは言え、あのまま続けてしまっていたら、一生後悔するところだったかもしれないな」

 彼は強くなる。

 そう確信しているんだ。一年前、彼の奥に眠る激情を感じたときから、ずっと。

 あとは彼の判断次第だが、果たして俺と彼の運命は、どちらに向かっているのだろうか。

 和解か、破滅か。

 選ぶのはキミだ。なあ、兵藤一誠。

「もっとも、できればキミとは、同じ道を歩んでいきたいのだが……」

 赤と白。

 決して理解しあうことのない宿命は、ここで変われるのだろうか。

 ここからが勝負だな。

「それはそれとして、白音を起こしに行こうか」

 彼女はよく眠る。そしてそれ以上によく食べる。成長期なのか、生来のものなのか。どちらにしても、俺にはわからないことだな。

 二階にある自室を出ると、一階の方からなにか音が聞こえて来る。

 そういえば、今日は彼女が担当している日だったか?

 であるならば、当然のことだな。

 居間とつながるキッチンに顔を出すと、そこには予想通り、一人の少女が作業をしていた。

 近くのソファーの上には、魔法使いが被る帽子とマントが綺麗に折りたたまれて置かれている。

「あ、ヴァーリさん! おはようございます」

 俺に気づいたのか、小柄な少女がくるりとこちらに体を向けると、深々と頭を下げてきた。

 ニッコリ笑顔で微笑みかけてくるおまけ付きだ。

「おはよう、ルフェイ。今日も早く来たみたいだね」

 少女――ルフェイ・ペンドラゴンは、俺のお得意様だ。悪魔の仕事をする中で偶然呼び出されたのだが、なんだかんだで長い付き合いをしている。

「はい、早く来ればそれだけヴァーリさんとお話できますから」

 そう。彼女との契約は、週3回、俺たちに料理を振る舞うこと。そして、俺が彼女の話相手になることで決定している。今朝もその都合で出向いてもらっているのだ。

「それで毎回早いのか。まあ、早起きするのはいいことだとは思うが」

「そうですよ。ではヴァーリさん、最近なにか楽しいことはありましたか?」

 話が始まると、ルフェイは作業に戻っていく。

「最近か? ああ、昨日堕天使がこの町に入りこんできたな」

 特に面白みのない相手だった。何事かを企んでいるようではあったが、この町で好き勝手されては困る。

「用事でしょうか?」

「いや、悪巧みの類だろうね。詳細は知らないが、放っておくとこの町にも被害が及ぶ可能性があったから排除した」

「なにをしたかったんでしょうね〜」

 出会った当初は、もっと内気な子かと思っていたが、ルフェイは存外、話してみれば行動的な子であった。

「いまとなっては知る由もない。だが、ロクなことじゃないだろうな。大方、上層部に媚びるための用意でもしていたんじゃないか? 取り入りたい連中がうろちょろしていても不思議はないだろ」

「堕天使さんの業界は大変なんでしょうか?」

「……いや、どうだろうな。あまり詳しくはないから教えようがないんだが」

 とはいえ、堕天使の総督であるアザゼルは積極的に戦争をしたいわけではないと聞かされている。戦闘狂でない者がトップにいるのだから、そこまで権力争いが過激化しているわけでもないだろう。

「個人的な目的、か」

「はい?」

「昨日の堕天使は個人的欲求を満たすために駒王町に来た可能性が高いと思っただけさ。雑魚の群れだったのがその証拠になるかもしれないね」

「ヴァーリさんからしたら、そこらへんにいる相手は基本格下になっちゃいますよ」

 ルフェイが笑いながら言うが、そんなことはない。

 俺の周りは思いの外強者が多い。

 たとえば、いま目の前にいる彼女、ルフェイ・ペンドラゴン。魔法関係であれば、俺は彼女に遠く及ばないだろう。禁術に関してもだ。

 他にも、最近成長が著しい白音。

 身近なところでいけば、ソーナだっている。彼女の作戦立案、手際の良さはぜひとも見習いたいところだ。

 そして、昨日出会った赤龍帝・兵藤一誠。

 まだまだこれからではあるが、彼ほど先が楽しみな相手はいない。

「フッ、やはり強者は多いほどいいな」

「楽しそうですね」

「そうだね。昨日、堕天使の相手をした後にもうひとつ、いい出会いがあったからかな」

 話すと、言葉にこそしないが、ルフェイはどんな相手ですか? と表情に出ていた。

 ここまで言っておいて、黙っているのもかわいそうか。それに、じきに彼女も知ることだろう。話てしまっても、問題ない。

「赤龍帝に会ったんだよ。ついでに少し戦ってみたけど、因縁の対決にはならなかった」

「もう出会ったのですか? でも頂上決戦にならなかったんですか……」

 残念そうだな、ルフェイは。

「今代の赤龍帝はちょっと変わり者でね。俺との――白龍皇との勝負は重要ではないようだ。どちらかというと、因縁なんて関係なく、守りたいものさえ守れればそれでいいらしい」

「それは相当の変わり者ですね。ヴァーリさんといい勝負というか」

 彼女の中では、俺も変わり者なのか。なんとなく察していたことではあるが、あまり気にはならないしいいか。

「結局、彼とは話し合いの場を設けることになってね。最終的には俺の眷属にしようかと思っている」

「白と赤が仲間同士になるんですか! ちょっとわくわくします!」

 赤龍帝と白龍皇の戦いは歴史から見ても、各陣営で知らない者はいないほどに有名だ。

 それは当時関わっていた天使、悪魔、堕天使だけではない。

 魔法使いも、吸血鬼も、妖怪も、皆々が把握している。それが今代でいきなり手を組んだとなれば、どれだけの騒ぎになることか。

 兵藤一誠は、その辺りは考えていないだろう。最悪、今日も女の子を追っかけているかもな。

「ところでルフェイ」

「はい?」

 料理を作り終えたのか、エプロンを外しながらこちらを向く。

「例の件だが、答えは出たかい?」

「……迷っています。私の中では、どうしたいのか答えは出ているはずなんですけどね」

 困ったような笑みを見せるルフェイ。

 そうか、まだ早いか。

「困らせて悪かった。さっきのは聞かなかったことにしておいてほしい」

「あ、いえ……私こそすいません……その、兄の問題もありますから」

「そうだったな。ひとつ言えることがあるなら、キミは周りを気にしすぎだ。たまには、自分のやりたいようにやってみるのもいいのかもしれない。ああ、俺が言うとフェアな意見じゃないからよくないな。これも聞かなかったことにしておいてもらいたい」

「フフッ、はい。じゃあ、朝食にしましょうか?」

 彼女に笑顔が戻ったところで、そう提案があった。

 っと、そういえば。

「忘れていたな。ルフェイ、すまないが待っていてくれ。うちのお猫様がまだ起きてこないんだった」

「白音ちゃん、来てませんもんね」

 気づいていたのか? なら早くに言ってくれてもよかったものを。

 白音にルフェイを紹介したのは、もう随分前になるが、料理が上手いということから好いている部分もあるように見える。

 結果だけでいえば、ルフェイと契約を結べたのは幸いだったな。白音には友人ができたわけだし、俺も魔法の勉強になる。彼女の話は面白いものが多いからな。特に、彼女の兄の話はいい。一度彼にも会ってみたいものだが、実現するかどうか……。

「真っ先に解決するべきは兵藤一誠なのは間違いないがな」

 最優先はなにをとっても赤龍帝だ。そこだけは変わらない。彼ほど俺の興味を引く者はいなかった。

 きっと、将来揃う俺の眷属にも、いい影響を与えてくれると思うのだが。

「白音、入るぞ」

 一言いれ、ドアの扉を開く。

 わかっていたことだが、彼女はまだ起きていない。

 ルフェイとの会話が長引いたこともあるが、6時を回ってしまった。普段なら、修行も終わりに近づいている時間だ。

「赤龍帝との接触もあったから今日は休みにするとは言ったが、そうか。本来は眠っていてもおかしくはないのかもしれないな」

 白音は姉のために自分を鍛えている。

 家族さえ無事でいたなら、こうして無防備に寝ていてもいい日々が続いていたかもしれない。

「こうしてここで暮らすことを、おまえはどう思っているんだろうな……」

 目の前でワイシャツ一枚を羽織って寝ている少女。

 この子と出会った日に見た目は、確かな意志が宿っていた。あの目を疑ってはいないし、日々努力しているのも承知している。けれど、心の奥底ではなにを感じているのかなど、わかりはしない。

「平和に、戦わずに生きる道も、サーゼクスなら作れたのだろうが。生憎、俺にはこの道しか示してやれなかった」

 いまでも、たまに思う。

 この生き方に、後悔はなかったのかと。俺は、もしかしたら、酷な選択を強いているのではないのかと。

 自分の眷属を信頼し切れていない自分が片隅にいることを知っている。

「もう変えようがないが、それでも俺はおまえが楽しいと思えているなら、救われているんだろうな」

 あの人なら、と考えるのはやめておこう。俺は俺のやり方を見つけていかなければ。

 願わくば、この先の眷属のみんなが、笑っていけるように。

「俺が強くならないとな。いずれ姿を表すだろう、あいつを殴るためにも」

 さて、考え込んでしまったが、あれこれ抱え込むのはやめにしよう。ひとまずは、白音を起こすところからだな。

 余談だが、彼女を起こすのにかなりの時間をくったことと、ルフェイの助けを求めたのは、また別の話だ。

 

 

 

 ルフェイとも一度別れ、白音も自分のクラスで授業を受けているだろう、高校の一コマ。

 もうじき最後の授業も終わり、自由な時間となる。

 さすがに、昨日の今日で兵藤一誠が会いに来ることはないだろう。だが、彼は赤龍帝だ。堕天使側の動きもあったのが気にかかるな。

 まさか、今代の赤龍帝が誰なのか突き止めているのか? であれば、彼の身が危険ということも……いや、やめておこう。

 雑兵程度なら相手にできるだろうし、中級堕天使からでも逃げ切れるはずだ。

「俺がわざわざ影から守る筋合いはないな」

 敵が来るなら、退ければいい。もしかしたら、戦闘の中で進化することもあるかもしれない。

 授業終了の鐘が鳴るのとほぼ同時に教科書類の片付けを始める。

 すべてをカバンにしまい、教室を後にする。

「一応、堕天使たちを消した場所も見回っておくか」

 あの雑魚ども単独の行動ならよし。先遣隊なら、話は別だ。もっとでかいモノが引っかかりでもしたら事だからな。

 と、町のためにも歩いていると、昨日会ったばかりの兵藤一誠が、シスター服をまとった金色の少女と二人でいるのが目に入った。

「ほう……異国の少女か。兵藤一誠、中々やるじゃないか。邪魔をするのも悪いし、見つかる前に去るとしよう」

 さあ、何事もなく済めばいいが。

 俺はこの先、彼の選択を聞くことになる。彼の決意と共に。

 このとき、兵藤一誠の隣にいる金色の少女が絡んでくるなどと、まるで思ってもいなかった。

 赤と白。二人の選択は――。




次は本編に戻るんじゃないですかね? と、プレッシャーをかけておく。
こうしておくときっともうじき本編が更新されますね。
感想なんか貰えるときっとやる気を出してくれるんじゃないかと思われます。
では、また次回!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。