本編です。
本編です(重要)。
アーシアが兵藤家に迎え入れられてから数日経ったある日。
「アーシア、出かけないか?」
「お出かけですか?」
俺はアーシアにこの街の案内をしようと提案をした。
「おう!アーシアがウチに来てから数日経ったけど、ちゃんとこの街を見て回ったことなかったよな?」
「はい……そうですね。お母様のお手伝いをしていたので外に出られなかったです……」
アーシアはここ数日、不慣れな手付きながら母さんの家事の手伝いを進んで行っていた。
俺がアーシアのエプロン姿をばっちり脳内メモリーへ保存しておいたのは言うまでもないだろ?
「アーシアも足りないものがあるだろうし、俺も欲しいものがあるからさ。それらの買い物ついでにこの街の案内でもしようかなって思ったんだけど…どうかな?」
「いいんですか!?」
とても嬉しそうな表情をしてこっちを向いた。
「もちろん。というか提案してるの俺のほうだからな?」
「あ……でも私お金ほとんど持っていません……」
さっきとは真逆でとても悲しそうな顔へと表情が変わった。
アーシアは表情がコロコロ変わって見ていて楽しいなぁ……
まぁでも……いつまでもアーシアを眺めているわけにはいかないか……
「大丈夫、俺が出すからお金なら気にしなくていいって」
「そんな……悪いです……」
「気にするなって…情けないことだけど別に全部俺のお金ってわけじゃなくて、両親からいくらか貰ってるから。」
「お父様とお母様からですか?」
「そうそう、だから一緒に行かないか?」
「……甘えさせてもらいます!」
少し申し訳なさそうにしながらもなんとかアーシアから了承をもらうことができた。
よしよし……経緯はどうあれ家族になったんだから、家族に対して少しずつでも遠慮がなくなってきたのはいい傾向だな。
「よし、それじゃあ早速行こうぜ!……って言いたいところだけど準備もあるだろうし、もう少しゆっくりしてから行くことにしようか。」
「急いで準備します!!」
「いやいや、そんな急いで準備しようとしなくて大丈夫だぞ?まだ時間もたっぷりあることだし。」
「でも……少しでも長くイッセーさんといろんなところ見て回りたいです……」
「…っ?!」
……アーシアは時々こうやって不意打ち入れてくるから油断できないんだよなぁ。
まぁでも、それだけ俺に心を許してくれているってことなの……か?
もしそうだとしたら家族として、それと男としても冥利に尽きるってもんだよな。
「……アーシアは少し自分の発言を意識したほうがいいと思うぞ?」
「私何か変なこと言ってしまいましたか……??」
これが計算して言っていたなら、少しは耐性もできるんだが……
アーシアは天然で発言するもんだからどうにも動揺を抑えられん……
「いや……気にしてないんだったらいいんだ。」
「??……イッセーさん顔が赤いですよ?」
「そこは触れないでくれ……よし!じゃあのんびり準備してから出かけるか!」
「はい!」
先の会話から数十分後、日も高くなってきた今日この頃…
私、兵藤一誠は準備をしてリビングにてのんびりしていたところを、母さんの手により家から叩き出されました。
いや、お母様……なんでなのでしょうか……私何か気に障るようなことしましたか?
「イッセーさん!お待たせしました!!」
「いや、大丈夫だ……よ……」
振り返った先にいた少女は、いつもの落ち着いた服装とは違い、活発な少女という印象を与えるボーイッシュな服装をしていた。
「……アーシアそんな服持ってたか?」
「いえ、お母様が用意してくださったんです。」
なんで母さんがアーシアにぴったりの服を持っているのかを盛大にツッコミを入れたいところだが、ここは何も言わないこととしよう……
母さん……グッジョブ!!!!
「そ……そうか……」
「はい!」
「……あれ?」
そこで俺はちょっとした違和感を覚えた。
「………」
「あの……イッセー…さん?」
んー……服装が違うのはもちろんなんだけど……
あ、髪型が違うのか!
「髪も服装に合わせて結ったんだな」
「はい、お母様にこの格好ならこの髪型がいいから!と言って結ってもらいました!」
アーシアは普段の髪型とは違い、長い髪を後ろで一つにまとめている。
アーシアが現状している髪型はいわゆるポニーテールと呼ばれるものである。
「いつもの落ち着いてる服装もいいけど、今日みたいな明るい感じの服装もやっぱり可愛いな。」
「か……かわいいだなんて……」
「やっぱり元が綺麗で整ってるから、どんな格好してもよく似合うんだなぁ……」
「あ……あぅ……」
褒められることに慣れていないのか、アーシアは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「ごめんごめん、じゃあそろそろ出掛けることにするか。」
「は……はい……」
こうして、俺とアーシアの休日デートが始まった。
「とりあえずは昼ごはん食べてないことだし腹ごしらえからだな。アーシアはなんか食べたいものとかあるか?」
「街にはどんなごはんがあるんでしょうか……?」
「まぁ大体のものはあると思うけどな。んー……健康にはあんまりよくないけどファストフードでも食べに行くか!」
まぁ外食をしようとする段階で健康的ではないと思うんだけどな。
「ファストフード……ですか?」
「まぁどんなものかは着いてからのお楽しみってことで。」
そんな会話を交わし、俺らは某有名ハンバーガーチェーン店へと向かった。
イラッシャイマセー!!
「ここで昼ご飯でも食べようか。」
「ハンバーガーですか…?」
「そうそう、これなら手軽に食べられるからな。あー……もしかしてだけど、食べられないとかあったか?」
もしそうだったなら申し訳ないな……
「いえ、それは大丈夫です。ただ……」
「ただ?」
「私こういったものを食べたことがないんです……」
なんだ、そんなことか……よかったよかった。
「そんなのこれからは食べる機会なんてたくさんあるから気にしなくて大丈夫大丈夫。」
「そうでしょうか……?」
「俺はこれからアーシアといろんなところに行ってみたいと思ってるんだけどなー?」
「本当ですか?!」
「もちろん!」
だいぶ立ち話をしちゃってるな……とりあえず注文して座ってから話すか。
「そろそろなんか注文しようか。」
「あ、そうですね!」
ゴチュウモンハオキマリデショウカー!!
「……??」
アーシアは店員の言葉を聞くと困ったように、助けを求めるようにこっちを見た。
……あ、さっきまで普通に話してたから忘れてたけどアーシア日本語わからないのか。
んー……少しずつでも教えてく必要があるなぁ……
「アーシアはどれ食べてみたいとかある?」
「よくわからないのでお任せしてもいいですか……?」
「おっけー」
ソレジャアコレトコレノセットデ、ノミモノハ…マァオチャデイイカ…オチャフタツデオネガイシマス
ソレデハ1140エンニナリマス!!…チョウドイタダキマス!!ソレデハショウショウオマチクダサイ!!
「そういえばアーシアって何が食べ物何が好きなんだ?」
「……何が好きなんでしょう?」
「わかんないのか?」
「あまり自分の好きにご飯を食べるということがなかったものですから……」
「あーなるほど。じゃあなんか好きな食べ物見つけられるといいな?」
オマタセシマシター!!
「お、きたきた。それじゃあ食べよっか。」
「はい!」
「「いただきます!」」
「ところでイッセーさん……これってどうやって食べるんでしょうか……?」
「これは、これをこういう風にして、こう食べる。」
アーシアへ手本としてハンバーガーの食べ方を見せた。
「そんな風に食べるんですね!!――あむっ」
アーシアは小さな口を精一杯開きハンバーガーを頬張った。
よく味わいながら口に含んだものを飲み込み、カルチャーショックを受けたような表情をした。
「こんな食べ物があったのですね……」
「もしかして口に合わなかったか?」
かく言う俺もそこまでファストフードが好きなわけではない。
たまに出掛けて人と話しながら食べる分には全然構わないのだが、こればかりを食べて生活をするというのは正直考えられない。
人の手料理を食べられるというのは幸せなことなんだと思っている。
これからも母さんやアーシアに感謝しながら日々の食事を食べることとしよう。
俺もある程度は自分で作れるように練習するべきか……少しずつでも母さんに教えを乞うべきだな。
「いえ、そんなことないですよ?ただこればかり食べて生活するのは……」
「やっぱりアーシアもそう思う?」
「はい!イッセーさんやお母様、お父様と一緒にお話ししながらご飯を食べるほうが私は……」
どうやらアーシアも俺と似たような感想を持ってくれたらしい。
なんか自分と同じような考えを持ってくれているってわかるとちょっと照れくさいな……
「俺もそう思うなぁ……まぁ友人とかとたまに行くからこそ、昼食を取るにはお手軽だから良いんだろうな。」
「そう……ですね。」
俺の返答に対し、アーシアは少し暗い顔をしながら返答した。
そういえば…教会にいた頃は進んで話しかけてくれるような人がいなかったんだったか……
やっぱりアーシアにとってはトラウマになってるみたいだな……
今すぐには無理だろうけどどうにかして少しずつ思いつめなくて大丈夫なようにしてあげたいな……
とりあえず今はこの雰囲気を壊すところからだな。
「よし!食べ終わったことだし、そろそろ街の色んな所を見て回るか!!」
「……そうですね!」
アーシアも俺の意図に気付いてくれたのか、気分を切り替えて返事をしてくれた。
向こうがそう思ってるのかはわからないけど、アーシアとの初めてのデートなんだし楽しく一日を過ごしたいからな。
「んじゃあ、早速行こうか!」
「はい!!」
そうして俺たちは――――
「イッセーさん!イッセーさん!この子たちとっても可愛いです!!」
「……だとしても……少し懐かれすぎじゃないか?」
「えへへ……大人しくていい子たちばかりです~」
「大人しくしてる……か?どう見ても大人しくしてるように見えないんだけど……」
埋め尽くさんばかりの数の動物にすり寄られ、とても嬉しそうなアーシアを横から眺めたり――――
「お、これなんかアーシアに似合うんじゃないか?」
「これですか?!……もう少し落ち着いた雰囲気のお洋服じゃだめ…ですか?」
「まぁ着るだけならタダなんだし試しに着てみようぜ?」
「あぅぅ……恥ずかしいです……」
「おぉ……」
アーシアに似合いそうな服をたくさん着させてみたり――――
「そういえば、ウチにアーシア用の食器とかってなかったよな。」
「普通に使わせていただいてますよ?」
「いや、あれはあくまでお客さん用だから……お、これアーシアに似合いそうだな……これとかどうかね?」
「とっても可愛いです!――あっ!これイッセーさんにとても合ってる気がします!」
「お、このデザイン結構好きだな。せっかくだし、俺もアーシアが選んでくれたの買うかな。」
「私はイッセーさんが選んでくれたのにします!」
雑貨屋でお互いの食器を選びあったり――――
「あ……可愛い……」
「ん?アーシアそのぬいぐるみが気に入ったのか?」
「はい……」
「んー……ちょいと待ってな?」
これなら何回かやってずらしていけば取れそうかな?
……お、いい感じいい感じ……よし!取れた!
「いやー取れてよかった。アーシアにこのぬいぐるみをプレゼントだ。」
「え!?良いんですか!?」
「アーシアが欲しそうにしてなかったら、そもそも取らなかっただろうからな。欲しい人が持ってたほうがそのぬいぐるみも幸せだろうさ」
「ありがとうございます!イッセーさん!大事にしますね!!」
ゲーセンでアーシアにぬいぐるみを取ってあげたりした―――
――――そして
「あ…アーシア……少し休憩しないか……?」
「はい!そうしましょう!」
俺は力尽きていた。
おかしい……普段から筋トレとかしてるから体力には自信があるんだが……
母さんとかもそうだが、女性は買い物になると無尽蔵に体力が湧き続けるのか……?
……もっとトレーニング内容増やしていかないとまずいなこれは。
「ちょうどよく近くに公園があることだしそこで休憩するか。結構綺麗なところだぜ?」
「そうなんですか?楽しみです!」
そうして、俺らはゆっくりとした足取りで公園へと向かっていった。
――――それが俺の想いを決める出来事に遭遇するきっかけになる行動だとは、この時誰にも予測することはできなかった……
どうもjiguです。
更新遅くなって申し訳ないです。次回こそはもう少し話が進むはずです。
更新は年を越す前までに投稿できるよう頑張りますので楽しみにしていただいてる方、少々お待ち下さい。