グレモリー家の白龍皇   作:alnas

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どうもみなさんalnasです。
はやくコカビエル戦を終わらせたいと思いつつ簡単には終わらせないという矛盾をしている作者です。
そしておそらく近々書き手がまた変わることでしょう。
ひとますコカビエル戦までの担当は私ですがね。その後の本編は相方に任せつつ、私は番外編でも書きましょうかね。まあ、すべてはコカビエル戦が終わってからですが!
では、どうぞ。


その闘争は偽り

 撃ち出した魔力の塊はコカビエルの光の槍と相殺し合い、小さな爆発を辺りに誘発させた。

 このまま撃ち合いに持ち込んでも、結果はさして変わらないだろう。

「兵藤一誠、俺は突っ込む。好きに動け」

 彼の答えを待たず、俺はコカビエルへと一直線に空を駆ける。

「ほう。勇敢にもほどがあるな」

 口ではそう言っているコカビエルも、こちらに向ける顔にはわかりやすいほどの笑みが浮かんでいる。あの顔はただの戦闘狂の顔だ。

 戦うことを、壊すことを、傷つけることを楽しむだけの笑み。

「ますます負けられないな。ただ強いだけの相手に、守るものもない相手に、俺は屈せない。もう、二度とな!」

「ならば俺を倒して証明してみせろ! その年でなにを見てきたかは知らぬが、弱ければなにも成せんぞ、白龍皇!!」

 互いの叫びが、校庭に響く。

 強く、強く。

 ああ、わかっているさ。俺たちグレモリー眷属の求めている力は、確かに守り抜くための力だからな。

「フッ!」

「遅い! ズアッ!」

「ぐっ!?」

 容赦なくコカビエルの顔面にストレートを入れようとするが、奴の背に生える黒い翼が俺の拳を受け止め、なおかつ視界を遮ることで死角からこちらにカウンターを放ってくる。

 それを受け止めきれず、鎧越しに殺しきれない膂力が俺を襲う。ついで、背中に衝撃を感じた。

 地面まではたき落とされたか……大したダメージはないが、一瞬視界に入らないだけでこのざまとは。やはり直接戦闘ひとつ取っても単純な戦闘力が高いな。まさか己の拳を翼ごときで止められようとは。

「ヴァーリ先輩、だいじょうぶですか!?」

「問題ない。兵藤一誠、キミも好きにしかけるといい。ただし、あまり無茶な作戦は取るなよ」

「わかりました。俺らしくやってみます」

 ひとつにかたまっていてはいい的だ。

 迫ってくるいくつもの光の槍に対して、こちらも魔力の弾を何発も撃ち込んでいく。

「ここは任せろ。キミはコカビエル本体を」

「任せてください!」

 校舎の方へと走り出す兵藤一誠を見送りながら、目の前の相手に意識を集中させる。いまのところまでの攻防はほんの遊び。そう言いたげな顔をしているが、挑発に乗る必要はない。

「この程度の攻撃では、俺を倒すどころか隙さえ作れないぞ」

「だろうな。では、こいつはどうかな!」

 これまでより巨大な光の槍。大きさだけなら、今日最大のものだ。そいつをこの校庭に放つつもりか! まずい、あんなものが落ちれば、駒王町ごと吹き飛ぶぞ!

「フハハハハッ! なにを焦る、白龍皇。力を求めるが我らが本懐。こんな場所に縋るようでは、弱く脆くなるぞ」

「んなわけねえだろ!」

 こちらに囁く声が聞こえた直後、コカビエルのさらに上空から力強い叫びが届く。

「――いましかないか!」

 その声が耳に入るが早いか、宙に飛び出し、加速をかける。

 視界の先には、右の拳を振り上げた兵藤一誠が、コカビエルに向け急降下してきていた。

「なに!?」

「俺たち、ヴァーリ先輩の意志を笑うんじゃねえよ! 守るものがあるってのはなぁ、凄え嬉しくて、そんで! 身体の中からどんどん力が湧いてくるもんなんだよォッ!!」

「兵藤一誠の言う通りだ。コカビエル、貴様にはわからないだろう。守ることを意識したとき、明確に変わる世界が、どれだけ素晴らしいものかを!」

 俺はそれを、他ならないサーゼクスに教わった。あの背中が、俺を受け入れてくれた手があったからこそ。

「おのれ! だが、二人とも打ち落とせば済む話だ!」

 両手をそれぞれ、俺と兵藤一誠に向けてくるが、展開が遅い。

「やらせるか」

『Divide!』

 鎧の宝玉から音声が聞こえ、コカビエルが展開していた魔力が半減する。

 完全に消すことは叶わないが、これなら。

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉっっ!!!」

 左の籠手に展開されている盾で、半減されたコカビエルの攻撃を受けきる兵藤一誠の姿。

 俺も、自分の鎧に幾度となく攻撃が当たってはいるが、気にするほどの威力ではない。

「くっ、赤龍帝! 貴様が邪魔をしなければ!」

 そして、不用意に兵藤一誠へと拳を握るコカビエル。思い出されるのは、最初に彼に会った日のこと。俺の拳を、いとも容易く受けきり、魔力の弾さえ防いだ盾の名手。

「しゃあ!」

 鋭いストレートを放つコカビエルだが、動きを読んでいたとしか思えない速度で、兵藤一誠との間を遮るように盾が拳を阻む。

「むっ……なに? まるで効かないだと!?」

「当たり前だろ! おまえなんかの攻撃が、俺に効くとでも思ってんのか! ただの戦争屋に、俺たちが負けるわけねえだろうがぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 そうだ。それがおまえの力だ、兵藤一誠。

 格上とも言えるアーサーと毎日のように修行を重ね、苦手だった攻撃への転換さえも白音と学び、吸収していった。成果はきちんと、出ているんだ。

「がっ!? 貴様、俺の翼を……おのれ、おのれおのれおのれおのれぇっ!!」

 攻防一体となった盾は、コカビエルの拳をかわし、そのままの勢いで彼の羽を三対断つ。

「おまえの好きにはさせない!」

『Boost!』

 神器も呼応したのか、ちょうどいいタイミングで兵藤一誠の力が膨れ上がる。

「くらえ、コカビエル!」

「貴様、赤龍帝! 下級悪魔風情が、この俺をぉっ!」

 足掻きとばかりに、落下しながらも魔力の弾を弾幕にして張るが、最低限を盾で防ぎながら落下スピードまで利用しコカビエルへと突貫していく俺の「女王」。こんな光景、他の悪魔に見せれば「女王」の戦いではないと言われるかもしれないな。だが、俺の認めた彼は、こういう男だ。

「いけ、兵藤一誠」

「おりゃああああああっ!!」

 渾身の一撃が、コカビエルへと振るわれる。だが――。

「貴様らは揃って甘い!」

 残った二対の翼が、先ほどのように盾となり、直撃するはずだった拳を阻む。

 このまま攻防が終わってしまうかに見えたが、しかし。

「届かないっていうなら、力が足りないっていうなら、持ってくるしかねえよなぁ! ドライグゥゥゥゥッ! 俺はおまえを信じているぜ! だからおまえも、俺に力を貸してくれ!」

『相棒――ああ、いいだろう! 使え!』

『Transfer!!』

 初めて見る現象だ……ここにきて、キミは更に進化を遂げようと言うのか!

「なるほど……右の籠手に力を譲渡だッッ!」

 何事かをドライグに伝えたのだろう。彼の右手に強大な力の波が流れていく。どういうわけか、盾のない右の籠手から、左の籠手と寸分違わない……いや、それ以上の力を感じる!

 Transfer――そうか、そういうことか!

「譲渡したとでもいうのか!? 赤龍帝、貴様はどこまで俺を――ウゴオォァァッッ!?」

 これまでの倍以上の力で押し込まれ、とうとう耐えきれなくなったコカビエルが、地面へと激突する。

 すぐに起き上がってこないところをみると、冷静さを取り戻しているのか、またはダメージを負ったか。どちらにしても、時間を置こうというわけか。

「ヴァーリ先輩!」

「兵藤一誠、この土壇場で力に目覚めるとは思わなかったよ」

「俺もです……でも、なんとかしないとって思ったら、ドライグも力を貸してくれて」

「喜ばしいことだが、後にしよう。まずは――」

「はい、まずは」

 視線を下に向けると、何食わぬ顔でコカビエルが立ち上がってくる。

 翼こそ6枚ほどなくしたが、それ以外は服が汚れているだけだ。まさかとは思うが、あれでノーダメージか?

「散々コケにさせるとはな……侮った俺のミスか」

 あちらもやる気だろうと、再び構えを取った瞬間だった。

「そう警戒するな」

 力んだ様子のないコカビエルは、そう一言告げ、

「警戒するだけ、最早無駄だ」

 次に声が聞こえたのは、俺のすぐ近くだった。

「――ッ!?」

「なっ!?」

 兵藤一誠と共にすぐさま後ろに飛び退こうとするが、それよりも早く、魔力の弾で兵藤一誠が弾かれる。

 盛大な破砕音を立て、彼の体が校舎へと突っ込む。

「貴様!」

 これ以上追撃させないためにも、コカビエルに挑みかかる。

 兵藤一誠の容体が確認できない中でこいつを自由にさせるわけにはいかない!

「少し、俺は自分を抑えすぎていた」

 俺の一撃は容易くかわされ、カウンター気味に顔面に一発もらってしまう。

「ガッ!?」

 ただの一撃で兜は破壊され、俺自身も、数十メートルと吹き飛ばされた。

 ぐっ……まさか、いままでのすべては。

「どうした、白龍皇、赤龍帝! 貴様らの力はこの程度か? 先までの威勢はどうした? 俺を倒さねばすべて失うぞ!」

 兜を修復し、再度立ち上がる。

 校舎の方を見れば、ところどころ怪我をしながらも、兵藤一誠も立っていた。その瞳には、諦めなど感じさせない強い光が宿っている。

「なお立つか。もうわかっているはずだ。俺はもう手加減などしないぞ」

「――元よりそのつもりだ。加減されて勝ちを拾ったとしても、意味がない」

「どれだけ強くたってな、やることはひとつなんだよ!」

 俺と兵藤一誠の言葉を聞き、コカビエルはひとしきり笑った後、見せたこともない獰猛な、深い笑みを向けてくる。

「そうか。ならば決死の思いを抱いてこい! ――闘争を、始めよう」

 

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