グレモリー家の白龍皇   作:alnas

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どうもみなさんalnasです。
夏イベ、始まりましたね……いろいろと始まってますが、みなさんガチャには気をつけようね。
そしてもうすぐ私の書く話は終わり、相方の話に移ることになるでしょう。
私の執筆もコカビエル戦までか。儚いものね。(そのうちこの言葉はなかったものになるでしょう)
では、始まるよ。


あの決意は劇薬

 ヴァーリ先輩とのまともな共闘……相手はドライグからも聞かされていた大戦を生き延びた堕天使の幹部。

 緊張はあったけど、それ以上に俺の中にあったのは、この町で好きにはさせないという覚悟だったと思う。

 俺たちの戦いは、うまくいっていた。

 新しい力にも目覚め、コカビエルに一撃入れることもできた!

 ヴァーリ先輩やアーサーさん。それに白音ちゃんとの修行で使えるようになった盾の調子もいい。これなら、なんとかなるかもしれない!

「ヴァーリ先輩!」

 着地してすぐ、ヴァーリ先輩の元へと駆け寄る。

「兵藤一誠、この土壇場で力に目覚めるとは思わなかったよ」

「俺もです……でも、なんとかしないとって思ったら、ドライグも力を貸してくれて」

 思ったより、他でもない俺自身が喜んでいるのがわかる。だって、やっと防御に特化してきた俺にも、他になにかできそうな力が発現したんだから!

「喜ばしいことだが、後にしよう」

 けど、話を続けようとする俺を、ヴァーリ先輩は困ったような、嬉しそうな顔をしながらも遮った。

「まずは――」

 その視線が、俺からコカビエルに移る。

 殴り飛ばしたはずの奴は、平然と立ち上がっていた。そうだった、まだ戦いは終わってないんだ!

「はい、まずは!」

 どうにも、俺の一撃程度じゃ倒れてはくれないらしい。やっぱり、俺はまだまだ弱いみたいだ……でも、ヴァーリ先輩と一緒なら俺だって!

「散々コケにされるとはな……侮った俺のミスか」

 これまでより低い声が、校庭に響く。

 倒すまでは終わらないと、俺もヴァーリ先輩も構えなおしたときだった。

「そう警戒するな」

「なっ!?」

 ゾワリと、背筋が凍ったような錯覚。

 瞬間、反射的に後退しようとするが、そのときには遅かった。

「――ガッ!???????」

 凄まじい衝撃が腹部を襲ったかと思えば、全身を強くたたき付けられた!?

 後に届くのは、ガラスが盛大に割れる破砕音。視界の先に、わずかだが校舎だっただろう壁の一部が映る……。

「グッ……いっつ…………」

 久々に味わうな、この感覚。

 ヴァーリ先輩も、アーサーさんも、俺との修行のときは殺意なんて微塵も滲ませない。けど、さっきのは違った。コカビエルには、明確なまでの殺意が宿っていた。

「ガードする時間すらなかったな……」

『奴の速度は相棒を超えていた。無理もない』

「そっか。なあ、ドライグ。俺、あいつの攻撃さ、次は見切れるかな?」

『……難しいな。実力は今代の白龍皇であるヴァーリ・グレモリーと同等かそれ以上。いまの相棒が食らいつくには些か早すぎる』

 相変わらず、ハッキリと物を言ってくれる……こいつの存在を知ったときからそうだ。

 歴代の所有者の中でも最弱だの、このままでは来る日に死ぬだの、好きなように言われたっけ。でも、だからこそ、俺はいまアーシアを守れている。

 いや、守ろうとできているって程度か。俺ってば、吹っ飛ばされたばかりだったっけ……でも、寝てはいられないよな。こうしている間に、コカビエルがアーシアを、仲間に手を出していたら、俺は自分が許せなくなる!

『立つのか、相棒』

「立つさ……力不足? 実力不足? 実戦経験の浅さ? 才能の有無? んなのぜんぶわかってんだよ。けどなドライグ。なにもかも足りなくたって、相手がどれだけ強大だったとしても。それでも、逃げるわけにはいかないんだ。他人任せにはできないんだ」

 ヴァーリ先輩だって、戦っている。

 あの人がどれだけ俺たちのことを大事にしてくれているかなんてわかっているんだ。アーシアのことも、才能抜きで眷属にしてくれた。神器は持っていたけれど、ヴァーリ先輩の実力からすれば見合わないのは察していた。なのに受け入れてくれたんだ。これから強くなればいいって。力だけが正しいわけじゃないって、言ってくれたんだ!

「俺は歴代最弱の赤龍帝かもしれない。もっとも平凡な宿主かもしれない。そこは変えられないし、いままでの俺も嘘にしたくない。だから俺は、俺のままで立ち続けるよ」

 破壊された壁の先。

 月に照らされた校庭では、仲間のみんなが自分にできることをやっている。

 寝てられるかよ。

 負けたままで、いられるかよ!

「どうした、白龍皇、赤龍帝! 貴様らの力はこの程度か? 先までの威勢はどうした? 俺を倒さねばすべて失うぞ!」

 ヴァーリ先輩すらも吹き飛ばしたコカビエルが吼える。

 正直に言えば、あんな奴と戦うのは怖い……どうしようもなく、恐ろしい。いまにも意識をなくしたくなる。このまま寝ていたくなる。

 なのに――。

「守るものができると、逃げてばっかりでいられないんだよな」

 ――体は勝手に地面から離れていき、腰が浮いていく。立ち上がろうと、体に命令が送られる。

 アーシアを守ると誓った。

 強くなると、そう心に決めた。

「逃げて、防いで……生き延びるためだけにできることをしてきたこれまでとは、お別れだ」

 一人だった。ドライグのことを話せ人はいないし、いつ襲われるかもわからないから、逃げる努力を積んできた。俺だけが助かる特訓をしてきた。

 なのに、こんな俺でも、守りたい人ができた。

「……アーシア」

 実力差が開きすぎてるのは、さっきのでわかった。

 あいつにとっては、俺程度の奴はただの雑魚だってのも理解した。なにがいけるかもしれないだよ……結局、格上にまで油断して、なにやってんだよ!

「守るんだろ、兵藤一誠! アーシアも、仲間も、この町も!」

 完全に立ち上がり、窓の縁へと立つ。

 こんな俺でも、守りたい人たちが、大切な人がいるから。

「なお立つか。もうわかっているはずだ。俺はもう手加減などしないぞ」

 コカビエルの目が、俺を捉える。

 なにか、面白い事を思いついたような目をしながら。

 でも俺には仲間がいる。信頼できる、強い先輩がいる。だいたい、あいつを倒すのに理由があるのなら、立ち止まれないだろ!

「――元よりそのつもりだ。手加減されて勝ちを拾ったとしても、意味がない」

「どれだけ強くたってな、やることはひとつなんだよ!」

 俺たちが、必ず!

「フハハハハッ! そうだ、それでいい! フッハハハハハハハハハハハッッ!!」

 ヴァーリ先輩の、俺の言葉すら楽しそうに聞き、迎え撃とうと言わんばかりに両手を広げてみせた。

「ならば決死の思いを抱いてこい! ――闘争を、始めよう」

 俺とヴァーリ先輩の視線が重なる。

 嬉しそうに笑ったヴァーリ先輩が即座に駆け出すと、鋭い拳を前に打ち出す。けど、難なく受け止め、カウンターに持って行こうとするコカビエル。一瞬の間に攻防が入れ替わり、互いに攻撃を重ねていく。

「どうした、白龍皇! 動きが俄然よくなっているじゃないか!」

「どうということはないさ。貴様が本気を出したように、俺も、カッコ悪いところばかりは見せられないというだけだ!」

 二人の声が、ここまで聞こえて来る。

 ああ。でも、俺だって!

「なんにもできないままで、貴方の『女王』が務まるかってんだ!」

 接近戦じゃコカビエルに及ばない。

 魔力戦でも敵わない。

 元より、俺単体ではコカビエルとは戦いにすらならないだろう。

「できること……俺にできるこは――」

 ヴァーリ先輩は笑っていた。俺が戦う意志を見せたことを、止めはしなかった。なら、いまの俺にできることは!

『Boost!』

 籠手の宝玉から音声が流れる。

 俺にでいることは、この倍化……自分を強化してあの戦闘に飛び込んでも、返り討ちに遭うビジョンだけが頭を過ぎる。うかつな行動に出れば、ヴァーリ先輩に迷惑をかけるだけだ。

 だから、よくわかる。

 狙うべき瞬間も、やるべきことも!

「小賢しい!」

 視線の先で、コカビエルが光の槍を手に握り、ヴァーリ先輩へと振りかざす。

「チッ、それはまずいな」

 光は悪魔にとっては相手にしたくない攻撃だ。

 すかさず距離を取ろうと後退するヴァーリ先輩。

「ここだ!」

 その挙動を見て、俺も走り出す。

 コカビエル――ではなく、ヴァーリ先輩の元に!

「兵藤一誠!?」

「すいません、ヴァーリ先輩。俺はまだ、コカビエルには敵わない。一緒に戦おうとすれば、どうしても俺のせいで隙が生じる! でも、俺ができることは!」

 眼前にいるコカビエルの手が動く。

 無数の光の槍が、こちらに迫る。

「悪魔に光は辛いだろう。前のように撃ち払えるなどとは思うなよ? 白龍皇の近接戦闘は目を見張るものがあったが、それまでだ」

「いいや、コカビエル。おまえはひとつだけ、考慮していないことがある!」

 俺は自身の手を、ヴァーリ先輩の背へと触れさせる。

「なにをするつもりだ?」

 怪訝な顔をするコカビエルだが、おまえが一人を相手に夢中だったのが悪いんだ。

「俺の倍化がもし俺じゃなく、他の人に使えたら、おまえどうなるだろうな? 例えば、こんな風に譲渡できるとしたらなぁッ!」

『Transfer!!』

 宝玉から発せられる光が俺からヴァーリ先輩へと移り、絶大な魔力の波が肌にピリピリと感じる。

「これは……相変わらず、キミは面白いことばかりを考えるな」

「す、すいません。本当なら自分の力だけで勝ちたいかもしれないっすけど、俺にできる精一杯がこれなもんで……」

「いや、いいさ。キミの力、ありがたく使わせてもらおう、兵藤一誠」

 一言、そう残したヴァーリ先輩は光の槍の中、コカビエルへと突っ込んでいく。

 槍をものともせず弾き、消しとばし、やがてコカビエルへと光速で到達し、魔力をまとったままの拳を顔面に撃ち込む。それでは終わらず、コカビエルの振ってきた腕を掴み、もう片方の手に生まれていた強大な魔力の塊がコカビエルを包んだ。

 瞬間、辺り一面を白光が覆い尽くした。

「まったくもって凄まじいな」

 辺りを白く染めた光が収まると、ヴァーリ先輩は俺の隣に戻ってきていた。

「倍化か。俺とは正反対の力だが、いいものだな。気分が高揚したぞ、兵藤一誠」

「おかげでドライグの機嫌はよくないですけどね」

「それはアルビオンもだ。お互い、面倒なパートナーを持ったものだな」

 微かに笑みを浮かべたヴァーリ先輩。

 俺もつられて笑顔になるが、眼前で、黒い塊が動いた。

「…………侮ってなどいなかった。力の差は歴然だった。現に、白龍皇との近接戦闘でさえ、わずかだが俺が優位に立っていたはずだ」

「コカビエル!?」

 くそ、まだ意識があるのか!? いいや、それどころか、なんだよこれ……感じる力が、高まっている!?

「赤龍帝か? ああ、そうに違いない。奴の力がなければ、俺は白龍皇にここまでやられることはなかった! ハァー、だがいいことを思いついたぞ。フハ、クハハハハ! なあ、赤龍帝。おまえ、守るものがあるとは言っていたな」

 憎悪に、歓喜に満ちた瞳が、俺に向けられた。

 決して同時に浮かんでいいはずのない感情が、悪意となって俺を貫く!

「貴様の力、確認しないのは惜しい……もったいない! さあ、白龍皇と共に、もっと俺を楽しませろォォォォッッ!!」

 ヴァーリ先輩の一撃をまるで気にしない、血だらけの堕天使。

 ダメージさえも考慮せず、戦いを望む狂人。

 すでに重症のはずだ……戦っていい状態なはずがない。なのに、あいつはまだ戦いを望む。

「危険だ……」

 すぐ隣で、そんな声が漏れた。

 俺でさえわかる。あいつの声は、目は、危険をはらんでいる。

「赤龍帝」

 コカビエルの手が持ち上がる。

 俺たちではなく、俺たちより下がった位置にいる、アーシアたちに向けて!

「おまえっ!」

「貴様の悔しがる顔が見たくなった。憎しみ、狂い、泣き叫べ。憎悪を持って俺と戦え!」

 直後、おぞましいほどに口角を釣り上げて笑ってみせたコカビエルの手から、先ほどのヴァーリ先輩の一撃に並ぶほどの光線がアーシアたちに向け放たれた!?

「――え?」

 微かな声が、アーシアから漏れる。

 ふざけるな、ふざけるな! なんのための力だ! あの誓いはなんだ? 俺が戦う理由はなんだ! 好きな女の子一人守れないで、どうするんだよ!!

「うおおおおおおああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!」

 激情が渦を巻く中、気づけば俺は、アーシアたちに迫る光線の前に立っていた。

「イッセーさん……」

 視界の端で、俺の名前を呼ぶ、アーシアを見た気がした。

 その光景が最後だと言わんばかりに、俺の体を、光が包み込んでいった――。

 




実はこの話には相方の考えたサブタイがしっかりと存在していたのですが、少しばかりあかんサブタイだったので使用しませんでした(相方に使用禁止にされました)。
同様に次回予告も没になりました。
けれど、次回のあとがきでならその話をしてもいいよね!
では、また次回。
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