グレモリー家の白龍皇   作:alnas

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どうもみなさんalnasです。
アニメがもうすぐ始まる時間でしょうか?
今回は合宿直前のソーナの視点だったり、そんな彼女とヴァーリの出会いの話だったりを書いてます。
これが終わったら、おそらくライザーとのゲームになるかと。
修行? うん、修行は終わったんだよ(本編でゲーム中に回想はあるだろうきっと)。
ってことになるかもしれないし、一話修行の話を組み込むかもしれません。
そんなことは置いておいて、どうぞ。


その回想は無関係

 私が彼を初めて見たのは、姉に連れられて行った、グレモリー家の方々との会合のときだった。

 これまで何度も訪れているはずの場所に、見慣れない少年が増えていたのをよく覚えている。

 最初は、他の上級悪魔の子かとも思ったが、ここにはグレモリー家の方しかいるはずがない。例外として、少数のシトリー家の者がいる程度だ。

 この会合は、互いに魔王を輩出した家同士ということもあり、定期的に開かれている。

 それはいい。けれど、突然現れたあの少年は、いったい誰なのだろう?

「あの、お姉さま……」

 私はつい、隣にいるお姉さま――現四大魔王の一人・セラフォルー・レヴィアタン――に声をかけてしまった。

「ん? なあに、ソーナちゃん」

 嬉しそうに微笑みながら、自分の目線を私の目線の高さまで下げ、目を見ながら反応するお姉さま。

 その顔はそれはもう幸せそうに、緩みきった表情が視界いっぱいに広がっている。

「あの、お姉さま」

「なあに、どうしたのソーナたん」

「あの人……」

「んー?」

 お姉さまが首を傾げながら、指を差した方向へと向く。

 濃い銀色の髪を持つ、どこか尖っていて、そして暖かさを感じる男の子。グレモリー家の人ではないだろうとは、直感的にわかっていた。髪の色も、雰囲気もまるで違っていたから。

 なにより、あの鋭い目。どうしようもなく近づきにくい。

「ああ、サーゼクスちゃんの言ってた例の子かな? うんうん、確かにあの子には魔法少女の寵愛が必要かもしれないねぇ」

 一人で納得してしまうお姉さま。

 完全に置いてけぼりだ。

「お姉さまは、あの子のこと知ってるの?」

「知ってるよ。サーゼクスちゃん……お姉ちゃんと同じ魔王の一人からお話を聞いてるからね!」

 サーゼクスさまからのお話? どうやら、あの銀髪の子はサーゼクスさまと関係があるらしい。

「どんな子なの?」

「…………とても難しい子、かな。あの子の存在は多くの悪魔に影響を与えるかもしれない。力を持つ皆々を惹きつけるかもしれない。忌み嫌われるかもしれない。でも、それ以上に誰かを愛し、愛される存在になるって思う。だって、あのサーゼクスちゃんがお父さんになったって言っていたくらいだもの!」

 お姉さまの口から出てくる言葉に不穏なものを感じていたら、最後の最後にとんでもないものが出てきた!?

「お父さん!?」

「そう、お父さん!」

 私の驚きなんか関係ないように、笑顔を浮かべるお姉さま。

 よほど、サーゼクスさまのおこないが気に入ってるみたいだ。

「どういうことですか!」

「う〜ん、ちょっと難しい話になるんだけど、あの子――ヴァーリちゃんはとある悪魔の子どもなの。でも、いろいろあっておうち飛び出して走ってたらサーゼクスちゃんと出会ってね。そのままサーゼクスちゃんが持ち帰って、養子にしたみたい」

「おやおや、それでは私がとんだ誘拐犯みたいじゃないか、セラフォルー」

「あら、サーゼクスちゃん!」

 お姉さまの説明を聞いていたら、背後からサーゼクスさま!?

「ソーナか。久しぶりだね。その様子だと、ヴァーリのことが気になっていたのかな? ヴァーリはね、まだ人との距離の取り方も、接し方も知らない困った子でね。ああ、でもその不器用さがまたかわいくて! たまに見せる笑みや、物事を知っていく楽しさなんかはすぐ顔に出るんだよ。しかも最初は野良猫みたいに警戒心が解けなかったのにグレイフィアを会わせてみたら案外素直になってね。いやぁ、これもやっぱりグレイフィアの母性って言うのかな? やっぱり素晴らしい女性だよ、グレイフィアは。それはそうと、ヴァーリくんの話なんだけど、彼はここ最近でどんどんグレモリー家に馴染んできていてね。ミリキャスの面倒も彼が見ていたりするんだよ? ミリキャスの小さな手に指を掴まれたときなんか、もう優しい顔しちゃって……あの顔を私にも向けてくれるようになったらと思ったりもしているんだけど、さすがにまだ早いかな、なんて思っていてね。ああ、執務中なんかにたまに来てくれては散らばっている書類を拾って片付けて出て行くんだけど、さりげなく他者を思う気持ちを持っていたとは驚いたよ。でも、きっとおかしなことでも、不思議なことでもないんだろうね。それだけ、彼の中には優しさも、強さも宿っていただけの話なんだから。彼のこれまでの環境を考えれば、よく普通の感性が残っていたものと思える。これはひとつの奇跡だ。だから私は、あの子を守らなければいけない。これから晒されるかもしれない悪魔の悪意から、力の暴力から、彼を取り巻く世界から、あの子を守らなければいけない。彼を私たちのこどもとして迎え入れた、私の義務であり、責任だ。まあ、もっとも。仮にそんな大層な義理がなくても、私はきっとヴァーリを守るためならどんなことでもしてしまうんだろうね。ヴァーリだけじゃない。グレイフィアも、ミリキャスも。キミたちだってそうだ。私は私の守りたい者たちのために、これからも頑張らないといけないからね」

 長い、とても長い話の最後を、サーゼクスさまをそう締めくくった。

 最後以外ほとんどわからなかったけど、サーゼクスさまがお姉さまと並ぶ人というのは実感できた。おうちでのお姉さまとそっくりだ。

 特に、夢中になって誰かのことを話す様子はよく似ている。いつか、二人で私と銀髪の子――ヴァーリの話を長々とされないことを祈ろう。

「さて、ソーナ」

 サーゼクスさまの大きな手が、私の頭を撫でる。

「キミにひとつ、お願いがあるんだ」

「……お願い?」

「そう、お願い。あそこにいるヴァーリくんと、お友達になってくれないかい? 彼は他人との距離を測りかねている。関係性の持ち方を知らないまま育ってしまってね。だから、どうかキミに頼みたい」

 サーゼクスさまからのお願いを聞いて、私は再度、ヴァーリへと視線を移す。

 どこか寂しそうな、それでいて遠慮がちな顔。なのに目つきだけは何者からの接触も拒むように鋭くて。

 ああ、確かに彼はなにも知らなそうだ。けれど、知らないということがどれだけ損をしているかも、きっと知らないんだろう。

 ダメだと思う。

 このままは、彼のためにならない。

 だから私が、教えてあげなければならない!

「私、行ってきます」

「え? あ、ソーナ!?」

 決めた途端、足は前へと動きだす。

「あら、だいじょうぶよ、サーゼクスちゃん。貴方の信じてるヴァーリくんも、私の信じてるソーナちゃんも、二人ともいい子に決まってるんだから」

 後ろで、お姉さまとサーゼクスさまの声が聞こえるのすら気にならない。

 視界に銀色が揺れる。

 疑問を浮かべた瞳に、私の緊張した顔が映る。

 私は彼の前に手を差し出し、言葉を綴った。

「ねえ、私と友達になってくれないかしら?」

 その後の言葉は、きっと私の中で、忘れることはないだろう。

 

 

 

 

 

 

 随分と、懐かしい夢を見た。

「もう何年前になるのかしらね。ヴァーリったら、昔と今じゃ大違い。本当に、良くなったわ」

 私の友人。

 白龍皇であり、悪魔であり魔王の息子であり、人間。彼の立場は複雑で、彼を狙う者も多いと聞く。そんな中でも、ヴァーリは自分の強さを見失わない。

 だからなのだろう。彼の眷属になる人たちも、とても強い。

 純粋な力のことではなく、在り方の話だ。彼らはみんな、強い。揺るがない自分を持っている。

「ライザー……」

 あと10日。それで私の運命が決まる。

 私も、ヴァーリのように強くなりたい。強くなって、ライザーとの婚約を破棄して、そして――。

「やっと眷属にしたのだもの。やっぱり、このままっていうわけにはいかないわよね」

 今日の会談の中でも彼は私に勇気をくれた。

『俺たちみんな、貴女のことを気に入って、好きになって眷属になったことを忘れないでください』

『会長と俺の二人がいて、貴女に忠実な俺たち眷属がいるのに、あんな頭悪そうな鳥一匹、策にかけられないとでも?』

 私にも、彼のような強さを持ち得る眷属がいる。

 私には、優しく、強くなった友人がいる。

 だから、だいじょうぶ。

「ありがとう、ヴァーリ。貴方のおかげで、私は戦える。前に進める。だから、私の友達として見守っていて。この先の、私の在り方を」

 ライザー、私たちは貴方に勝つ。

 サジの言葉が、ヴァーリの在り方が、私に勇気をくれるから、私は貴方とも戦える。

 待っていなさい。必ず、必ず勝つわ。

「……そうね。勝ったら、勇気を出してみるのもいいわよね」

 窓から見える星空。

 その星々に、私はひとつのお願いをすることにした。




ちなみに、ソーナはヴァーリのヒロインではありません!
ライザーはちょうどソーナ回だからヴァーリとの出会いも取り上げていますが、違います。
さあ、頑張るんだよ匙!
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