グレモリー家の白龍皇   作:alnas

39 / 41
みなさまこんばんはalnasです。
ちょっと期間が空きましたがなんなら半年、一年開くこともある作品なのできっとまだ覚えてる人はいる! はい、申し訳ない更新遅くなりました。
匙くんもいいけどそろそろヴァーリ眷属も書きたいけどこの話も大事にしたいのでとりあえず書きたいこと書いてます。
そして気づく。もうすぐこの作品書き出して2年経つことに……え? もう2年?? まだ話数的に全然進んでないんですけど……?


あの特訓は自信

 万全とまではいかなかったが、それなりとは言ってもいいだろう。

 ライザー・フェニックスとのレーティングゲームまで残り1日となった今日は、これまでの修行での疲労をなくすために当てられている。

 まあ、昨日から修行そのものは過激を通り越し、緩やかになっていたんだがな。

「とは言え、本番に万全の姿勢で臨むのは当たり前か」 

 ソーナと匙元士郎は『女王』の椿姫と3人で当日の作戦を立てているらしく、別荘のリビングからしばらく出てきそうにない。

 先ほど休憩がてら外の空気を吸いに行っていたを見てから3時間はこもっているが、だいじょうぶだろうか?

「休むといった本人が根を詰めるのはどうなんだ?」

「それだけ本気なんですよ」

 俺の背中を背もたれにしながら寄りかかる白音は、甘味を食べながらそう答える。

 シトリー眷属が休んでいるということは、俺たちグレモリー眷属も当然自由に過ごしているわけだが、アーサーはイッセーを連れて山の中へ。もちろん修行目的なので、アーシアもそちらに同伴。

 ルフェイは休みであってもできることはあると、シトリー眷属のみんなに連れられ、戦術や魔法、魔力の勉強会をするらしい。

「暇しているのは俺たちだけか」

「です。でも、たまにはいいんじゃないでしょうか?」

「……そうだな。ここ最近は仲間も増えたし、強敵との戦いもあった。こうして休めるうちに休んでおくことも必要か」

「はい。ヴァーリ先輩はただでさえ自分に負担をかけやすいですから、しっかり休んでください」

 耳の痛い話だ。

 戦いに明け暮れるのも悪くはないが、白音に言われたように休むこともしなければ戻れなくなってしまう。戦いに身を落としてはいけないとサーゼクスも言っていたことだ。ここはゆっくりするとしよう。

「ヴァーリ先輩の見立てでは、勝率はどの程度あるんですか?」

 白音の聞いていることがなんであるのかは、すぐにわかった。

 紛いなりにも昨日まで修行していた相手のことを気にかけないはずもなく。明日に控えたレーティングゲームのことが気がかりなんだろう。

「純粋な戦力だけで見れば、ライザー・フェニックスの圧勝だろう。数の理、ライザー・フェニックスという力の存在。傍目から見れば、どちらが有利かなんて語るまでもない」

 眷属がすべて揃っている彼と比べ、ソーナの方はいまだ眷属のいない穴がある。これは俺にも言えたことだが、若い故に交渉相手も、出会いも少ないのが原因でもあるのだろう。眷属の欠けた状態での経験者とのレーティングゲームはそのままハンデとなって返ってくる。

 もうひとつの懸念材料は、ライザー・フェニックス本人の力量。俺たちが相手をするならどうにでもなっただろうそれは、ソーナにとっては相性が悪い。彼女の眷属は傾向としては知略を尽くすか器用に全方位を囲うタイプが多い。力に頼るよりも、戦略でカバーすることを主とするソーナに力の一点突破は向いていないんだ。

 もちろん、彼女に力の一点突破も可能な眷属がいたのなら、それは戦略の向上に他ならない。が、いまここにそれはいない。

「せめて匙元士郎が禁手化に至れれば話は別だったが、それも叶わない」

「あの、結局勝率は?」

「ああ、悪いな。そうだな……良くて1割。贔屓目なしに見れば、ない」

 答えたとき、白音が息を飲むのがわかった。

「もちろん、普通に戦った場合の話ではだ」

 なので、俺はそう付け加えた。

「普通に?」

「ああ。今回のレーティングゲームはルールそのものがソーナに一任されているからな。一応公平性は見られるようだが、ルールそのものはほとんどソーナが考えるか、傾向を伝えればその手のゲームを用意してくれるらしいからね」

「それで勝率が変わるんですか?」

「変わるさ。ゲームが力押しでないのなら、ソーナの戦術は勝率を大きく変えるはずだ。俺も詳しくは聞いていないけど、もし勝利条件が『王』の打倒や陣営の全滅にならなければ、きっといいゲームが観れるはずだ」

 今回のゲーム、ライザー・フェニックスの欠点があるとすれば、ゲーム前にある。

 あとは、匙元士郎のあの異例の神器次第か。

「修行の成果は確かに出ている。匙元士郎は強くなった。いままでよりも、神器の扱いはもちろん、基礎も十分向上した」

 ソーナへの忠誠は本物で、覚悟を持って臨めている。

 神器が本来の姿を現したのがその証拠だろう。まさか、これまで見ていた神器がそのほんの一部だったとは誰も思うまい。

 少ない日数でやれることはやった。

「問題は、慢心がないかということだが……」

 控えめに言って、俺の眷属たちは強い部類に入るだろう。現段階でも世界で4桁から3桁には入るはずだ。

 その相手と修行し、自信もつけたソーナの眷属たちに慢心がないとは言い切れない。ソーナの作戦をしっかりと実行できるかどうかは不安要素だな。

 緻密な作戦を練るだろうソーナと、前線での指揮官になるだろう匙元士郎。この二人がいてなお、指揮しきれなくなったとしたら、確実に――。

 なんにせよ、あとは明日を待つしかない、か。

 俺は一抹の不安を感じながら、その日は白音とゆったりとした時間を過ごした。

 

 

 

 

 

 来た、来ちまった……。

 ヴァーリ先輩の配慮で使わせてもらってる旧校舎の一室で、俺――匙元士郎は一向に落ち着かない雰囲気の中、室内をぐるぐると回ることで自分の中の焦りを誤魔化しながら時間が来るのを待っていたのだが、ついにその時が来たみたいだ。

 今日までヴァーリ先輩と兵藤、たまにアーサーさんと地獄のような修行をしてきた。

 ヴァーリ先輩にはボコ殴りにされ、兵藤にはこっちの体力がなくなるまで攻撃したのに一発も入らないし鋭いカウンターを食らわされる始末。アーサーさんはなぜか聖剣持ってるしマジで死ぬところだった…………なんで俺生き残ってんだ?

 っていうか毎日のようにこれを潜り抜けてきた兵藤が純粋に凄え。

「って、んな場合じゃねえな」

 頬をひとつ叩き、気持ちを切り替える。

 相手は格上も上。レーティングゲームの内容は会長と練りに練ったし、作戦も昨日まででなんとか形になった。フェニックスの方にも一週間前にはゲームのルールは送られているからそれなりに作戦を立ててくるだろうが、それでも俺たちが勝つ!

 あの辛い特訓の中で、俺の神器は本来の力を取り戻したみたいだし、できることもこれまで以上に増えた。

 今回のレーティングゲームで核を担うことはないけど、ゆくゆくは俺がみんなを支える支柱になれたらって思ってる。

「失礼する」

 これからゲームが始まりそうな時間になって、ヴァーリ先輩が姿を見せる。

「ヴァーリ!」

「やあ、ソーナ。ゲームの前に激励をと思ってね。眷属のみんなで来たんだ」

 そう続けたヴァーリ先輩の言葉通り、兵藤やアーサーさん、白音ちゃんにルフェイちゃん、アーシアさんが教室に入ってくる。

「よお、サジ! 今日のゲーム、頑張れよ!」

「おまえに言われるまでもねえよ。俺の勇姿を観客席でしっかり見とけよ!」

 兵藤とは、最初に会ったときよりも格段に仲は良くなった気がする。

 同じ地獄を見た者同士か、それとも俺が兵藤を認めてきてるのか……ああ、噂に流されすぎてたのも考慮して、きっと両方だな。

「へっ、じゃあしっかり見てるからな。女の子を守る戦いとあっちゃ、男は負けられないしな」

 自分にも思うところがあったのか、笑顔を浮かべながらも真面目な目をする兵藤。そういや、アーシアさんを守るために戦うことを決めたって聞いたっけな。

 俺も、会長をあの焼き鳥野郎から守るために勝たないと。

「兵藤、ありがとよ」

「ん?」

「なんか、緊張とかそういうの、全部おさまったよ」

 こっちの心情なんて知らないだろう兵藤は、やっぱりよくわかってないみたいだけど「そっか、なら良かった」なんて言ってくれた。

 視界の端では、アーサーさんとルフェイちゃんに話しかける巡と花戒、草下の姿。なにやら楽しそうに話しているので、3人の緊張や不安も払拭されてるに違いない。

 他の場所では、アーシアさんと白音ちゃんが由良と仁村の二人と話していた。なんだかんだで俺たちと兵藤たちグレモリー眷属の仲は深まったわけだな。聞けば、ヴァーリ先輩は白音ちゃん以外のみんなはここ最近で眷属に迎え入れたらしいから、俺と同期になるわけだ。

「……俺の同期半端ないな、おい」

 神器が十全に使えるようになったからって気は抜いてられないな。

 ほんと、ヴァーリ先輩率いるグレモリー眷属を見てると気が引き締まるってもんだぜ。

「ソーナ、眷属を信じて、ときには判断を誤らないようにな」

「ええ、わかっているわ。でもだいじょうぶ、私には私が信頼するみんながいるもの。それに――」

 と、ヴァーリ先輩と話していた会長と目が合う。ひとつ微笑んだ会長は、再びヴァーリ先輩へと向き直し、

「頼れる『兵士』がいるわ」

「……そうか、そうだったな」

 なにかに得心のいったらしいヴァーリ先輩が頷くと、会長の横に控える副会長も同じように頷いていた。な、なんだったんだ? っていうか、いまの会長の笑顔可愛すぎたんですけど!? くっそお、もう一回見れねえかなぁ……写真撮りたいんですけど!

「さて、もう時間か。あまり長居して最終確認の邪魔をするのも悪いし行くとするよ」

「そう。ありがとう、ヴァーリ。私、勝つわ」

「ああ、勝ってくれ。しっかり見ておくよ」

 互いに視線を交わした先輩たちはあいさつを終え離れていく。

「じゃあな、サジ。またレーティングゲームが終わったら会おうぜ」

「はいよ」

「相手の『王』の面、しっかり殴ってやれよ」

 兵藤が拳をこちらに向けるので、ついつい拳を重ねちまう。

「おう! 思いっきり殴ってくるぜ。男の意地ってやつを思い知らせてやらねえとな!!」

「その意気だ!」

 最後まで激励してくれた兵藤も、先に部屋を出て行ったアーサーさんたちに続いて行ってしまう。

「匙元士郎」

 最後に、ヴァーリ先輩が俺の前に立つ。

「キミは強くなった。戦い方を覚え、神器を使いこなし、知略をめぐらせて。誇っていい」

「ヴァーリ先輩……」

「だから、勝ってこい」

「はい!」

 それだけ言い残し、ヴァーリ先輩も教室から出て行く。なにやら「キャラじゃないんだがな……」なんて呟いていた気がするけど、きっと気のせいだろう。

 なにはともあれ、ゲーム前にグレモリー眷属のみんなと話せて良かった。

 ヴァーリ先輩、兵藤。みんなから勇気を貰えて良かった。これで万全の状態でレーティングゲームに挑めるってもんだぜ。

『皆さん、開始十分前です。これから展開する魔方陣から戦闘フィールドへ転送されます。場所は異空間に作られた戦闘用の世界ですので、どんなに派手にやってくれても構いません。存分に力を発揮してください』

 グレイフィアさまからのアナウンス。

『今回の「レーティングゲーム」は両家の皆さまも他の場所から中継でフィールドでの戦闘をご覧になります。さらに魔王ルシファーさま、レヴィアタンさまが今回の一戦を拝見されておられます。それをお忘れなきように』

 レヴィアタンさまだけでなく、ルシファーさままでかよ。グレイフィアさまがいるから当然と言えば当然だけど、見られてると意識するとやっぱり緊張はするもんだな。

『それから、今回のレーティングゲームは当初の予定を変更し、ソーナさま、ライザーさま両名の同意の元、変則ルールで行います。それでは、まずはルールの説明から致します』

 グレイフィアさまの言葉は続き、会長先導の元発案された今回のレーティングゲームの特殊ルールが発表される。

 いよいよ、ゲームが始まる。

 勝つんだ、絶対に!

 




書きたいこと書いてたらルールは次回にもつれ込んだよ……だいじょうぶ、ルール決まったからもう書ける。
展開……? 決まってるよ、決まってる。なあに、だいじょうぶですよ、ガハハ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。