今回はルールを組んでくにあたって、相棒と「あれ? 駒王学園のマップあったっけ?」「え? あーライザー戦のときにアニメでマップが」「ああ! それだ! おや? これマップだと区切れなくね?」「したらここを詰めて」なんて話しながらルール構築してました。おや? マップの話しかしてないような?
なんてことも過ぎ、固まったので更新を続けようかと。
それにしてもシトリー眷属のキャラ掴むために原作を読み直さないと……。
ソーナたちとは別の会場に用意された観客席――とは言っても見ている人数そのものは十数人しかいないので小さな会場だが――でソーナとライザー・フェニックスのレーティングゲームが始まるのを待っていると、グレイフィアのアナウンスにより、とうとうゲームの注意事項や詳細が説明される。
今回のゲームは特殊なものであり、あくまでソーナとライザー・フェニックスのためのレーティングゲームでしかない故に実現したものだ。
もっとも、ライザー・フェニックスが冷静であれば実現したかどうかはわからないものでもあるが。
『それでは、ルールの説明になりますが、今回のレーティングゲームでは駒王学園を4×4の16マスに区画し、そのマス目を獲得していく流れとなります』
ソーナから聞いていた通りか。
ルールに関してはソーナの要望が通ったと思って間違いなさそうだな。
『ゲームはターン制で、合計15ターンによるゲームを構築して頂きます。毎ターン、ソーナ様、ライザー様本人もしくは眷属のうち一人が指揮をとり、誰を、どのマスに進めるかをお互いに決めてから行動を開始します。単騎、もしくは集団での移動が可能であり、移動できるマスは単騎、集団での最低駒価値となります。また、1ターンに移動できる集団は2集団までとします』
ゲームは動かす距離と集団、もしくは単騎の移動者を2チームまで決め、互いに移動箇所が決まったら移動か。
それを15回繰り返すということだな。
『移動したマス目はそのターンに領地宣言をした場合、3ターン目までそのマス目を守り抜けた場合のみ領地獲得となります。なので、3ターン目までに敵にそのマスに侵略された場合は戦闘をおこなっていただき、勝った側の領地と決定します。また、マス目での勝利は、3ターン経過を待つことなく、即座に領地獲得となりますので、ご注意ください』
ふむ……3ターン目までマスが被らない位置を陣取るか、もしくは積極的にマスを被せて相手を倒すことによってマスを獲得するかを選択できるわけか。
『なお、両者「王」については残り5ターンを切るまで移動はできません。それから、一度領地として決まったマスは再度獲得することはできないことと、1ターンを10分として、この時間内に戦闘が終わらなかった場合は、次のターンもそのマス内でもう一度戦闘をおこなって頂きます。どちらかのマスになるまでは移動は禁止とします』
これは……思ったより戦略性の必要なゲームだな。なるほど、ソーナが作戦を立てるのに時間を使うわけだ。その場その場でのみ考えていたのではロクな動きができないだろう。
『なお、ソーナ様、ライザー様は互いに旧校舎と新校舎を最初の領地としてそこがゲームのスタート位置になります。ルールで不明瞭な点があればゲーム開始までの時間でお聞きください。では、ゲーム開始までのしばしの時間を作戦立案にお使いください』
そうしてグレイフィアのアナウンスは終わった。
だいたいのルールは把握したが、不明瞭な点か……その辺りはソーナのゲームメイクを観戦しながら把握していくしかないな。どう考えても、このゲームを最も理解しているのはソーナだ。
それに、唯一の懸念材料であるライザー・フェニックスの参戦が終盤までないとなれば、可能性も広がる。
ソーナも同じ立場になったのは痛いが、現場には匙元士郎がいるならどうにかするだろう。いや、しなくてはならない。
「ヴァーリ先輩、サジの奴だいじょうぶっすかね?」
イッセーがルールをアーサーから教えて貰ってきたのか、心配そうに聞いてくる。
匙元士郎ならば早々負けることはないだろうし、おそらくソーナは積極的に攻撃に出るような作戦は立てていない。
「だいじょうぶだろうさ。ライザー・フェニックスが出てくるのは後半のうえ、一度領地にしたマスは奪えない。なら、ライザー・フェニックスとの直接戦闘ももしかしたら避けられるかもしれないしな」
答えつつ、それはないだろうと直感が告げている。
せめて、その時が来なければいいのだが……。
「だといいんですけど……サジのやつ、妙にやる気に満ちてたっていうか、ドライグがコカビエルと戦ったときの俺に似た雰囲気を感じたって言っていたんですけど」
「なに? そうか、それなら本当にわからなくなるな」
戦術に富んだ戦いを見るのは嫌いではないが、やはり胸踊る戦いは正面からの一騎打ちだ。もしかしたら――。
ルール説明が終わり、俺たちは一箇所に集まり4×4の16マスに区切られた駒王学園の地図を見る。
端と端で対角線を描いて設置されている俺たちとライザー・フェニックスのスタート地点。つまり、互いのひとつめの領地ということにもなるそれは、新校舎と旧校舎とでわけられている。
俺たちのいる旧校舎では、既に作戦は立てられているので一通り段取りを確認した後に各々準備をしているところだ。
先ほどグレイフィア様に問い合わせたのだが、別れていた2チームが同じマスに合流した場合のみ、揃ったメンバーを再度1チームに編成してもいいそうだ。また、逆もいいと言われた。つまり、一箇所にいたメンバーを2チームに編成して散会させてもいいわけだ。
これはかなり戦略性のあるゲームになっちまったな。望むところだけど、複雑になっていくとルールの裏を取られかねないのはやっかいか?
「サジ、作戦の件ですが」
「はい、会長。わかってますよ。こういうのは、眷属唯一の男である俺の役目です」
会長にとって今回の作戦でどうしても必要な役割を、俺は自ら引き受けた。
わかっている。ルールを立てた際にどうしても避けられないことがあるのは、わかっているんだ。
「やはり、サジだけでなく他の子も一緒に……」
「いえ、会長たちは勝つことに集中してください。それに、序盤で面を埋めちまえばどうにかなる可能性もありますしね」
「……そう、ね。ごめんなさい、サジ。いまは勝つことに集中するべきよね」
「はい。必ず勝ちましょう、会長!」
そうだ、勝つんだ。
やることは変わらない。
『お時間になりました。これより、ライザー・フェニックス様とソーナ・シトリー様のレーティングゲームを開始します』
そして、ついにゲーム開始のアナウンスが鳴る。
出現した魔法陣に足を踏み入れると、以前として景色は変わらないが、異空間に作ったらしいうちの学校へと転移したみたいだ。
『みなさま転移したようですね。それでは、残り15ターン。これより最初のターンを開始します。それは、ゲームスタートです』
鳴り響く学校のチャイム。
さあ、やりますか。
「では、最初にサジと桃、憐耶と翼紗に留流子の2チームを出すわ」
俺と花戒――つまり『兵士』と『僧侶』の組み合わせと、草下と由良、仁村の『僧侶』と『戦車』それに『兵士』の組み合わせだ。
俺たちは現在、全員合わせても8人しかいない。
集団戦になればライザー・フェニックス率いる眷属チームの方が圧倒的に有利なのは間違いないだろう。でも、一度に全部出しても意味がないって会長は言ってたっけ。
「本当は全員を2チームに振り分けるのが一番なんだけど、こうするしかないわね。みんな、もし私の読みが外れたらごめんなさい。でも、そのときは無理しなくていいから――」
「いえ。死ぬ物狂いで勝ちますよ」
――リタイアして。
そう言おうとしただろう会長の言葉を遮り、代わりにそう宣言する。
「会長、もっと信じてくださいよ。俺たちは貴女のために戦うんです。だから、負けてもいいみたいに言わないでください。勝って、勝利を収めましょう」
「――……ええ。ごめんなさい、みんな。もし読みが外れたとしても、必ず勝って!」
「「「「「はい!」」」」」
これから移動する俺たち全員が会長の言葉に応える。
後ろで控える副会長と巡も頷く。
『それでは両者、1ターン目の移動を開始してください』
グレイフィア様からのアナウンスで、目の前に魔法陣がふたつ現れる。
会長が事前に渡されていた端末を操作すると魔法陣が光りだしたので、これで問題なく移動先のマスへと飛べるだろう。
「さあ、勝つわよみんな」
会長の声を聞きながら、俺と花戒は魔法陣へと入る。
『各々移動しましたね。確認しましたが、1ターン目の移動ではマスが重なることはありませんでした。端末に各移動マスの位置を適宜送りますので、ご活用ください」
俺たちには知れないが、会長の持つ端末には敵側の位置が映し出されているんだろう。
「ひとまずは敵との遭遇はなかったな」
「そうだね。でも油断してると負けちゃうからしっかりしててよね、元ちゃん」
「あいよ。っていうか、その元ちゃんって呼び方どうにかならないのか?」
「なりませーん。元ちゃんは元ちゃんで決定してるのでだーめ」
花戒は当初俺のことを元士郎と呼んでいたんだが、最近なぜか元ちゃんと呼ぶようになった。本人の中でなにか変化があったのか、それとも俺が正式にシトリー眷属の一員として認められたからなのか。前に一度、ヴァーリ先輩から会長にはぐれ悪魔の討伐を頼まれたときに助けたことがあったが、それで認められたのか? 原因はわからないが、眷属の仲が良好なのはいいことだよな。
『サジ、桃。あなたたちはそこから更に右に1マス、その後2マス前進してもらいます』
「「了解」」
俺と花戒のチームは駒価値がそれぞれ4と3なので、移動できるのはチームの最低値というルール上、毎ターン3マスの移動ができる。いまはグラウンドにいたので、このまま進むと駐車場に出ることになるだろう。
『あなたたちの向かう先には、おそらくライザーがこのターンで進めたチームが陣取っています。敵はそれぞれ端から進んでいるので、こちらを挟み込んでプレッシャーをかけたいのかもしれないわね』
「このターンで落としますか?」
『可能であればお願いするわ。戦力を各チームに割く余裕のあるライザーのチームなら、相手の「戦車」か「騎士」がいるはずよ。油断しないように』
「はい、わかりました」
敵の『戦車』か『騎士』……俺たちは『兵士』と『僧侶』の二人のみ。あとは相手の人数次第ではあるが、まあ作戦には織り込み済みだ。
『これより2ターン目を開始します』
「行くか、花戒」
「うん、元ちゃん!」
アナウンスと同時に、俺たちの視界が切り替わる。
教師の車が何台か停められている駐車場。
その一角に、3人の影が映る。
『移動先のマスが重なったことを確認しました。ライザー様、ソーナ様のチームが1チーム、駐車場にて接触。これより10分間の戦闘をおこなってください』
空中にタイマーが出現し、残り10分から減り始める。
真ん中にいる仮面の女性……集めた情報の中にあった、ライザー・フェニックスの『戦車』だ。それだけじゃない、両隣にいるのはそれぞれ『騎士』と『僧侶』じゃねえか!
「花戒、後ろに下がってろ」
「うん。後衛は任せて」
素直に後方に下がっていく花戒とは逆に、俺は前へと進む。
向こうも一人が下がっていくが、残りの2人は残っているところを見ると、あちらさんは前衛2人ですか。当然だよな。やっぱり数の差は変えられねえか。
「ソーナ・シトリーの『兵士』か」
「ああ。そっちは『戦車』と『騎士』だな」
「そうだ。3対2なうえ、前は2対1になるが、悪いが遠慮も手加減もしないぞ」
「はっ、元から期待してねえよ」
こちとら地獄の修行ですら化け物と2対1、もしくは3対1だったんだ。それこそ多対1には慣れっ子になっちまったよ。ああ、泣きそうだぜこんちくしょう!!
「では、時間も惜しい。いくぞ! ソーナ・シトリーの『兵士』よ!」
相手の『戦車』の掛け声とともに、『騎士』を伴って走りだす。
でもなあ、こっちも負けてられないんだ。
「俺は、会長を勝たせるためにあんたたちを倒す!」
俺は右手を掲げ、こちらに襲いかかってくる3人へと向ける。手には黒い炎を出現させて――。