東方紅創曲 〜the septet of scarlet devil〜 作:霧雨 湊
漣様が戦うところを見るのは久しぶりだ。 ここに来る前にはよく、お嬢様と遊んでいた。
正直言って、彼女は強い。見ていないうちに、それに磨きがかかっているように感じる。
「くそ、しぶといな!」
魔理沙が必死に応戦しながら、叫ぶ。
「ほらほら、あんたの本気はそんなものなの?」
彼女はいざ、戦うとなると口調はそのままだが、性格が好戦的になる。
「うむむ……これじゃらちが明かないわね。」
霊夢が私の隣で唸る。
「そろそろ、マスタースパークとか撃ってきそうだけれど。」
私たちの会話を聞いてたようだ。
「恋符『マスタースパーク』!」
魔理沙のもつ、ミニ八卦炉から極太のレーザーが放たれる。
このスペルカードの長所は純粋に威力が高いこと。
そして短所は命中率が極めて低いこと。
しかし、『極太』のレーザーであるため、大体の場合は当たる。そして、ノックアウトだ。
私もこの一撃には流石にひやっとした。
しかし、レーザーは宙を切っていた。
「威力が高いのはいいけど、命中率が低いのが申し分ね。それじゃあ、あたしのターンだ。」
「月符『Light of the moonlit night』」
突然、辺り一面が暗闇に包まれた。
と思ったら、ぼんやりと光る、淡い光が空に上がった。
満月だ。
しかし、今は日中の午後三時のはずだ。
「なによ、あれ…」
霊夢が驚いた声を出す。
「漣様の能力よ。」
「能力?」
「ええ。名前は『幻想を作り出す程度の能力』、だったかしら。」
「幻想? じゃあ、今、見えている月って…」
「そう、偽物よ。と、いっても本物に限りなく近いけどね。」
流石の霊夢もこれには驚いたらしく、開いた口が塞がらないようだ。
それに対し、魔理沙は構うことなく、彼女のほうに突っ込んでいこうとする。
ところが、その動きが急に止まった。何かを感じ取ったようだ
そして、一番威力の低い弾を展開する。
その弾はある程度進んでいったのち、突然、空中ではじける。
「いやな気配がしたけど…やっぱりそうか。」
魔理沙は自分たちの周りに、透明な弾幕が広がっていることに気付いたようだ。
そう。このスペルは幻影の月を出したのち、無数の透明な弾幕をそこら中に張るのだ。一個一個の威力自体はそこまで高くないが、食らい続けたら、ダウンする可能性がある。
そして、それと同時に極至追尾性能が高い、無数のレーザーも展開される。
「うぉ、あっぶねぇ…」
自分の周りに弾幕の結界を張りながら魔理沙は必死にレーザーから逃れている。
「ちょっと、咲夜。これチート性能じゃない。」
「あんたの夢想天生のほうがチートよ。」
そんな会話をしている間も魔理沙は逃げ回っている。
「どうしたの? 逃げることしかできないのかしら?」
漣様が相変わらずの挑発を魔理沙に仕掛ける。
流石の魔理沙も、頭にきたようだ。無言で八卦炉を取り出した。
「悪夢『ナイトメアスパーク』」
ここで出したのは彼女の夜限定技であるスペル。
夜にしかない魔力を八卦炉に集め、撃つ技だ。どちらかというと黒に近い、紫の極太レーザーとともに、悪霊の塊のような弾が、飛び出している。
この弾はよっぽどのことがない限り絶対に相手にあたる。レーザーの方もかすっただけで、しばらくの間、定期的にダメージを受け続ける。まさしく『悪夢』である。
「ちっ。目障りね。」
漣様は迫ってくる弾を必死に弾で相殺する。
しかしきりがなく、数発当たってしまう。そして、動けなくなっているうちにレーザーを少し食らう。
「決まったわね。」
霊夢が安心したような声を出す。
私もこれは…と思い魔理沙の方を見る。
彼女も弾を食らっていた。
おそらく発動中に弾幕結界が緩んでいたのが原因だろう。
これで勝負の雲行きはわからなくなってきた。