また書いてるし・・・作者は何やってるんだ・・・
まあ、吹雪ちゃん可愛いしね、仕方ないね
今回は砂糖少なめです。本当ですよ?
暑かった夏が終わり、季節はようやく、秋を深めようとしていた。山が赤くなるにはまだ早いが、夜は大分過ごしやすくなっている。日中だって、うだるような暑さを感じることはなくなってきた。
そんな、ある秋の朝。俺はいつもより、いくらか早い時間に、心地の良い目覚めを迎えた。
部屋には、カーテン越しに柔らかく朝陽が差し込んでいる。枕元の時計を薄く開けた目で確認すると、まだ六時を十分ほど回ったところだった。
と、そこで俺は、ちょっとした違和感に気づいた。
最近のこの時間帯は、どこか肌寒さを感じたのに、今日はポカポカと温かい。気温が高いのかと思ったが、顔はそんなに温かくないから、どうもそういうわけではないらしかった。
ともかく、心地いい。布団の中で、俺はもぞもぞと寝返りを打とうとした。そこで俺は、さらに気づく。
何かが俺にまとわりついて、身動きが取れない。それと多分、どこか温かいのも、その何かのおかげだ。
・・・まさか。そう思って俺は、ゆっくりと、自分の布団をめくってみる。
天使が、穏やかな寝顔で、スースーと寝息を立てて、俺に抱き着いていた。
まだ冬用になっていない寝巻。降ろした髪。細い腕が、俺にしがみついている。
見間違うなんてことはない。吹雪だ。
しかしまた、なぜ俺の布団に、彼女が入っているのであろうか。
・・・まあ、今更といえば、今更なのかもしれない。二人分の布団を並べて敷いて寝ているのだ。隣の布団に寝ている吹雪が、俺の布団に潜り込んでいても、それほど違和感はない。
とはいえ、寝ぼけた頭には、衝撃が大きすぎたのも事実だ。
起こすべきかどうか。そんなことを悩んでいるうちに、もぞもぞと吹雪が動く。静かな衣ずれの音がして、目をうっすらと開ける。布団をはがして、さすがに肌寒かっただろうか。悪いことをしたかもしれない。
「ふあ・・・司令官。おはようございます」
どこか気の抜けたような朝の挨拶に、まだまだ寝起きの俺の頭も、少しずつ回り始める。それと同時に、吹雪の何気ない一言が、俺の表情から締りをなくしてしまった。
「おはよう、吹雪」
そういったものの、結局二人してすぐには布団から出ることなく、しばしの間ゴロゴロとしていた。枕元の目覚まし時計が六時半を報せて鳴り、ようやく体を起こす。揃って大きな伸びをするところから、俺たちの朝が始まった。
布団の呪縛から逃れた俺は、カーテンのかかった窓に歩み寄り、一気に開く。海に面した窓からは、眩しいくらいに秋の朝陽が差し込んできた。バッチリ目が覚めるというものだ。
「司令官、司令官」
吹雪が背後から俺を呼ぶ。上体を起こした彼女は、まだ寝ぼけ眼を擦って、布団の上に横座りをしていた。その右手が、招き猫みたいにちょいちょいと動く。
「ちょっと、来てください」
「?どうした?」
呼ばれるままに、彼女に近づく。すると、細い腕が伸びてきて、俺の手をしっかりと握った。そのまま布団に引き戻され、俺は慌てて膝をつく。
状況がよく呑み込めない。その間に、俺は吹雪の両腕に抱き締められていた。
「ほ、本当にどうした、吹雪?」
あまりに突然の出来事に思考が追いつかず、俺は思わず聞いていた。
「ちょっと寒いので、暖めてください」
耳元でそう囁いて、少し両腕の締め付けが強くなる。
もしかして。
「吹雪・・・まだ、寝ぼけてるだろ」
「そんなことないですよ」
そう言う声は、何というか、いつもの張りというか、彼女らしい明瞭さのようなものが抜けていた。
季節の変わり目。ここのところ、朝の気温も急に下がりだした。その変化に、彼女の体が、追いついていないのかもしれない。
・・・その前に、俺の自制心が、本能に追いつきそうにないのだが。
可愛らしいことを言いつつ抱き着いてくる吹雪に、俺は気の抜けた溜め息を吐くしかなかった。それから、その背中をさすってやる。
「これでいいか?」
「はい」
このままもう一寝入りしてしまいそうなほど、緩い返事だった。
細い腕を感じる。柔らかい体を感じる。暖かな体温を感じる。彼女の薫りを感じる。
ふとしたイタズラ心が芽生えた。まどろむ吹雪の耳元に、そっと囁く。
「おはようのキスはいいのか?」
「はふ・・・お願いします」
答えた吹雪が顔を上げ、潤んだ唇をすぼめる。俺はそこに、軽く自分の唇を重ねた。
瞬間、吹雪の両目がクワッと見開かれた。先ほどの眠そうな表情はどこへやら、雷に打たれたようにパッチリと瞳が開いていた。
「あ・・・う」
唇を離す。状況をようやく把握したのか、俺の腕の中で、吹雪の顔面がみるみるうちに真っ赤になっていく。吹雪の意識が覚醒したことと、イタズラの成功を、俺は確信していた。
今回は嫁さんに勝てたらしい。ここのところ負け続けだったので、ちょっと嬉しい。
「お、おはようございます、司令官」
そういう声は上ずっている。相変わらず、不意打ちには弱い。
「目は覚めたか?」
「ば、バッチリ覚めました」
答えた吹雪を解放してやると、そそくさと布団から起き上がり、寝巻から制服に着替えに行ってしまった。その背中を、俺は微笑と共に見送る。
こんな朝も、いいものだ。
その日の吹雪は、ふとした瞬間にプシューッと蒸気を上げては真っ赤になるのを繰り返しており、非常に可愛かった。もっとも、それを目ざとく見つけた深雪たちに、質問攻めにされたのだが、それはまた別の話だ。
ようやく秋という感じになってきましたねえ。作者も布団を少し厚めにしました
今度は、冬になってからでしょうか。今年のクリスマスは忙しくなりそうです
それでは、また