東方春風駘蕩(完)   作:綾禰

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 本日更新分 4/6

 私の中では百歳位のパチュリーって、六十年前の出来事を知っているチルノよりもひょっとしたら年下かも知れない説があったりなかったり。

 原作のパチュリーと今作品の独自設定のフランは似た者同士みたいな感じかも。
 本の知識ばかりで一般的な常識にズレがある所。最近、パチュリーって二次小説で見る性格以上に案外子供みたいかもしれないと思い始めた私です。


大切と寂しさと守ると言う事

 

 

 

 

 

 教える事は難しい。教える事で自分も教わる事があるって話を聞いた事もある。

 だけどまぁ、そんなに難しく捉えなくても良いんじゃないかとも思う。

 考える事は研究者で教師は教える事が仕事だから。

 

 いや、それだけじゃ語弊もあるか。

 原因と過程と結果とそのなかで生まれる疑問を研究者が究明し、発表された事を知識として広める事が教師だと僕は思っている。

 

 そして難しく捉えないと言った理由。教師は研究者じゃないんだからすでに判っている知識を教えれば良い。考える事は研究者だから。

 出来ない事は出来る人に任せて、自分に出来る事をすると言う良く言えば適材適所。

 言っちゃえば人任せ。

 

 もちろん、こんな考え方に反発する気持ちを覚える人も居るかもしれない。

 それも当然な事だと思う。考え方は人それぞれだから。ただ、僕がそうなだけ。

 重たい物は力持ちが運べば良い。細かい作業は器用な人がやれば良い。

 

 そして、今回の出来事は紅魔館の人達じゃやれなかったフランに教えると言う事を僕がやる。

 それだけじゃフランからの紅魔館の皆に良い印象が無いかもしれないけど、そこはちゃんと伝える。

 いや、伝えなければいけない。

 

 僕がフランの部屋に通い初めてから一ヶ月も経っていないながらも見慣れた光景。

 

 丸テーブルの上の色々な絵本と紅茶とお菓子。

 備え付けられている椅子に座るフランと僕。

 傍らには僕が持ち込んだ遊び道具と粉々になったりバラバラなったり真っ二つになっている玩具。

 

 壊れている玩具はフランの能力が暴走した結果。初めの頃は壊れても何ともない反応だったけど、いつしか落ち込んだり泣き出したり。

 僕はそんな反応が嬉しかった。物の大切さ。それをずっとずっとフランに知ってもらいたかったから。

 

 そして、フランは僕にもう来たら駄目だと言った。

 何で? と応えるとありとあらゆるものを破壊する程度の能力で僕も壊してしまうと泣きながら教えてくれた。

 

 

「大丈夫。試しに、僕に使ってごらん」

 

 

 大丈夫と伝えてもフランは必死に反抗した。嫌だ、太助を壊したくないって。

 だけども制御しきれていない(のうりょく)は暴走するもので。

 フランの能力は僕に向かって暴発した。

 

 結果から言えば僕は無事。壊れない僕を見てフランは何でどうしてと混乱やら歓喜やらかなり動揺していたけど、種明かしをすれば簡単な話なのだ。

 

 僕のけわいを感じ取る程度の能力がフランの能力の指向を捉え、その軌道上に身代わりに気と霊力と妖力のハイブリッドエネルギーをぶつけて相殺(そうさい)しただけ。

 後から知ったけど、紫お姉ちゃん曰く「太助に理解しやすい様に言えば、フランドールの破壊しようとするエネルギーに対して太助の生成するエネルギーが同等かそれ以上の値になった事で可能になった現象よ。はぁ……紅魔館の門番の紅美鈴と霊夢に感謝ね。気と霊力が扱えなかったら今頃太助は死んでいた所だったわ」との事。

 

 フランの能力が見えたから、その軌道上に身代わりの壁でも作れば大丈夫かなーっと思っていただけだったからどうやら僕は霊夢ちゃんと美鈴さんのおかげで死なずに済んだらしい。

 

 

「確かに、フランの能力に対抗出来なかった皆はフランに物事を教える事を出来なかったかもしれないけどさ。逆にフランの能力に対抗出来る僕には生活が出来る環境を与える事は出来ないんだ」

 

「私が生活出来る環境?」

 

「うん。僕は今やっているみたいに教える事は出来ても、フランの服を用意出来ない。フランのご飯を用意する事も出来ない。フランが住むこの部屋を用意する事も出来ない」

 

「それは……うん」

 

「だから、判ってあげてほしいんだ。レミリアさんも、パチュリーさんも、咲夜も美鈴さんもフランに何もしてあげてないんじゃない」

 

 

 フランの服がいつも綺麗なのとご飯が食べられるのは主に咲夜のおかげ。

 

 フランの部屋の空調が快適で、妖精が侵入出来ずいたずらをされた事がないのは主にパチュリーさんのおかげ。

 

 フランに危害が加えられない様に、紅魔館に悪人が侵入出来ないのは主に美鈴さんのおかげ。

 

 そして、そんな心強い皆を一つにまとめあげて紅魔館の平和を築き上げてきたのは主にレミリアさんのおかげ。

 

 

「そう。皆がそれぞれ出来る事をそれぞれ取り組んで……メイド長の咲夜、魔法使いのパチュリーさん、門番の美鈴さん。そして、お姉さんのレミリアさんが自分の出来る事でフランの事を大切に守ってきたんだ」

 

「…………」

 

「フランは今までずっと独りだと思っていたかもしれない。だけど、それはこの部屋の事だけ。少し外に出てみれば」

 

「……私の家族は」

 

 

 すぐそこに居る。その一言がフランと僕の口から同時に発せられた。

 

 するとフランの瞳からポロポロと、そして段々と激しく涙がこぼれ始めた。

 

 生きた年月に相応しくない、まだ幼い両手を使って涙を拭うも止まらない雫で頬を降らし続けるフラン。

 

 

「会いたいよ……お姉様に会いたいよ……。咲夜にも、パチェリーにも、美鈴にも……」

 

 

 家族に会いたい。四百九十五年と言う歳月を過ごす中で磨り減った感情。

 

 ずっと独りだと思って、これからも独りだと当たり前の様に考えていた少女は今、寂しさを知った。

 

 

「うん。家族に会おう。フランがもっと笑って、もっともっと幸せになる為に」

 

 

 椅子から立ち上がった僕は泣きじゃくるフランを抱きしめた。こんな小さな子が寂しさや不安に押しつぶされない様に。

 

 フランを守る様に。

 

 絵本なんて幼稚かも知れない。玩具なんて幼稚かも知れない。僕が何とかしたいと思った感情も幼稚かも知れない。

 

 だけど、壊したくない気持ち。寂しいと言う気持ち。それらを手に入れる事が出来たフランを見れた僕は、もう大丈夫だと思った。

 

 きっと、それは間違いじゃないから。

 

 

 

 

 




 咲夜と輝夜と永琳の関係とか、紅魔館メンバーが紅魔館の住人になる経緯とか考察や仮説を見るのも面白いですよね。
 美鈴の種族とかも考えちゃいます。中国語でメイロンは眠る龍って意味らしいんですけど、メイリンと一字違いで似てるってのはこじ付けすぎるか。
 気を操る所も気の流れ=竜脈で龍繋がり。
 紅山文化時代の遺跡にあった翡翠の龍のお守り→紅山文化から紅、遺跡にあった事から眠りについていた龍=メイロンを人名っぽくしてメイリンと凄い解釈と居眠りネタ、翡翠の龍から緑色の服装、お守りから門番。
 こういった龍に纏わる言葉やら歴史上の物やら見ていって美鈴の種族が龍説を唱える私ですw
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