何でか霧が発生しやすいこの場所は、霧自体は今日は少し薄めながらも幻想的で不思議な気持ちになる。
庭先で周囲をキョロキョロと見ていたら、屋内の方から気配を感じて振り返る。
「太助様!」
案の定、橙ちゃんだった。周りに猫は居なかったが、いつも通りの嬉しそうな笑顔を向けてこちらに近寄ってきた。
靴を履いて庭に降りてこようとしていたが、弁当を食べる目的もあって部屋に上がるから橙ちゃんを止める。二度手間だしね。
「藍お姉ちゃんが弁当を作ってくれたんだ。一緒に食べよう」
巾着を強調する様に僕の顔らへんまで持ち上げると、はいと元気良く返事を返してくれた橙ちゃんが部屋……と言うかちゃぶ台の上を片付け始める。
相変わらず、良く判らない物が集まる場所みたいだった……。
二つの弁当の中身が違ったので、一口分ずつ交換したりしながら食べ終えて一息つく。
「美味しかったですね、太助様!」
「そうだね。橙ちゃんも早く一人前になって、一緒に暮らせる様になれば毎日でも食べれる様になるから頑張ってね」
楽しみです。といつもの嬉しそう笑顔で応えてくれた橙ちゃんだったが、ふと少し考える様に視線を上に向けた。
「どうしたの?」
「えっとですね……。今日は美味しいお弁当を食べさせてもらえましたので何かお返し出来ないかなって……」
「なるほど……」
何も思いつかなかったのか、同じ笑顔でもへにゃっとした困った様な笑顔になる橙ちゃん。
そこで以前、妹紅さんと出会った事を思い出した。何故か咲夜と喧嘩を始めたけど何だったんだろう。
「そうだ。この前妹紅さんがね」
「妹紅……?」
「ああ、会った事無かったね、ごめんね。とりあえず、妹紅さんって言う慧音先生と仲が良い人なんだけど、その人が筍でも取りに来なよって言ってたからさ。僕達で筍を収穫して藍お姉ちゃんに渡そうよ」
「筍ですかぁ。美味しそうです」
「だよね。で、その筍で夕飯を作ってもらおうよ」
「なるほど! 美味しそうです!」
二回目の美味しそうが力強かったのでついつい笑ってしまったけど、出かける準備――まぁ靴を履く位だけど――を済ませて、庭先に出た僕は指に妖力を少し
緊急時にはこんな動作をしなくても出来るんだけど、その分安定性が無くて良くて位置ずれ、最悪の場合知らない場所に繋がってしまうので、移動先を念じながらスキマを作る為の線を引く動作はまだまだ未熟者な僕には重要な動作なのである。
スキマを広げて、とりあえずは慧音先生の元へ。実は妹紅さんの住んでる所を知らなかったりする僕だった。
里の中にスキマを開くとちょっとした混乱になると先生に言われていたので、里の入口の近くに出る様にする。
先に行って安全を確保しますと元気よく行った橙ちゃんを先に潜らせて僕も向かう。
「待ってたわ、太助さん」
何で
書き始めた頃は登場キャラを時系列順に出そうかどうかとか気をつけてましたが、四話目とらへんで諦めて思いついた順で書いている私です。