「ほれ。太助、あーんだ」
「いや、恥ずかしいよ藍姉さん」
片手を取り皿の代わりに添えて、箸で摘んだおかずを僕に差し出してきた。
朝食の時間、僕と藍姉さんは二人で並んで食べている。紫姉さんは白玉楼に泊まりで遊びに行っていて、不在なのである。「お土産話が多くて楽しみだわー」と家を出る際にちらっと見えた片手に持つ『太助観察日記』なる謎の手帳はとりあえず記憶から消したい。
因みに、お姉ちゃんは流石に幼すぎるかなと最近二人の事を姉さんと呼び始めたんだ。最初の頃は大変ショックを受けた様で、紫姉さんと藍姉さんの二人に雷が落ちた光景を幻視してしまった。
「別に恥ずかしがる事はない。昨日見たテレビのアニメなる物によれば恋人同士や夫婦の仲では当たり前の親愛行動らしいじゃないか」
そう言って嬉しそうな笑顔をこちらに向けて、その手を更につき出してくる。
あー、昨日見たアニメねぇ。幻想郷において唯一視聴が可能なテレビが八雲家に存在する。壊れたテレビなら香霖堂にあった気がするけど……。
家事の合間や幻想郷の管理の仕事を当日分終わらせた後にテレビを見る事が最近の藍姉さんの楽しみ。そして、紫姉さんと藍姉さんは二人揃って家族や恋人の絆を題材にしたドラマやアニメが好きらしい。次点で閃き系のクイズ。
ほら、アレ。外の世界の歴史の出来事や偉人の名前とかどこそこにあるあれこれは何でしょうとかじゃなくて、なぞなぞとか連想ゲームとか間違い探しとか系統のクイズ番組のこと。正式な分類は判らないから閃き系って勝手に僕は言っている。
そうそう。僕はクイズは苦手だったけどあれが好きだったなぁ。何だっけ、“マジックバナナ”だっけか?
――っと、そんな事は置いといて。
「あーん」
少し躊躇ったけど、口を開けた。
「うん、素直で可愛くてよろしい」
普通だったら綺麗な女の人にやってもらってデレデレになるのは僕の方の筈なのに、やってる藍姉さんの方がデレデレと言うか、すっごく緩んだ感じの嬉しそうな笑顔。
うん、何だかんだで素直に甘んずるのは僕は知っているから。断り続けると泣いちゃうって。そして僕は紫姉さんと藍姉さんに泣かれるのが凄い苦手。だからって訳じゃないけど、二人の姉の前だけなら甘えん坊になっても良いかなとも少し思ってる。
これからもずっとこの笑顔を見ていたいから。僕は二人の子供で……弟で……僕にとって偉大過ぎる二人と肩を並べられるとは思っていないけど、二人が安心出来る家族で居たい。漠然とだけどそう思ったんだ。
「美味しいね」
「そうかそうか。最近大人びてきてかっこいい部分も多くなってきたが、やはり太助はかわいいなぁ。どうだ、紫様を差し置いてなんだが、私と
……僕って二人の弟だよね?
今回あーんしてから食べるまでのシーンだけで書きましたが私の腕前では千文字ちょっとしか書けませんでした。……すまぬぅ。
しかし、紫or藍を相手にする回って基本短い気がする。いや、そもそも私の作品自体文字数多い話は無いのですが。