ACECOMBAT if ~全く違うzero~   作:夕霧彼方

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6/18

2230hrs

ディレクタス近郊高速道路

高速道路の最低限の街灯の下、黒塗りセダンが170km以上のスピードで走っていく。

「いやー、失敗失敗、まさか空軍の警備隊があんなに勇敢だとは」

「笑い事じゃないですよ、これで何人目ですか・・・部下潰しが」

助手席に座るガルーダとそれをツっこむはガルーダの部下。ベルカ空軍特別輸送隊所属、ガーネスト・フレッチャー二等軍曹である。

「んー、忘れた」

「はぁ、俺もこの人から離れたい」

「君の運転は手放せないからね。それに行くあてないじゃん。僕の下で頑張りなさい」

「ああああああぁ」

将官、国賓、果ては国家の重要人物の空輸に携わる、日本の政府専用機に当たる部隊の選抜された警備職兼空港から目的地のドライバーを任されていたガーネストの腕前は超一級品である。

本来なら有能でエースパイロットであるが、階級で言えば下の方の人間に当たるガルーダのものではない、だが、彼は目的に賛同したのではない・・・彼は国境なき世界の捕虜である。

核兵器が使用された日、行方不明になった輸送機のパイロット達が賛同者で全く知らずたまたま便乗してしまったためにベルカに帰れなかったのだ。

拷問されたくなかったためになびいたが信用されず、こうしてガルーダの元に使わされている。

なお、ガルーダは全くこちらに興味なく付き合うガーネストを知りながら面白いという理由で見逃し、こうしてこき使っている。

ガーネストはガルーダのおかげで生かされているのを知り、更になびいた手前軍に戻ることも出来ない。そして裏切ったら確実に殺される。そのくらい国境なき世界の組織は根深く、そして大きな軍事組織となっているのである。

「ねえ、いくらここらへん取締りザルだからと飛ばし過ぎだよね?」

ストレートに続く高速道路だが、さっきから周りの車をどんどん追い抜いて行く。メーターは安定して170から下回らない。

「いやー、早く帰りたいですし、追手居たら面倒ですし、ウスティオの首都警察ザルですし、追いかけられても逃げ切自信しかないです」

「・・・面白い奴だよ」

こいつはやっぱりこっちの人間だ。口には出さないがガルーダにとっては気に入る人間である。

「しかし・・・どうしてあいつを拉致しなかったんですか?貴方なら単体でも骨の一本折って人質にでもするでしょうに」

ガーネストは疑問を持って問いかける。

「んー?自分で考えてみれば?」

「高校もまともに行かず軍人になった自分には難問です!」

「諦め早いね」

ガーネストの言葉にガルーダは苦笑し・・・しばらく間をおいてから

「彼はね・・・恐らく国境なき世界の行ったら使い物にならない・・・恐らくこれからウスティオに残ってもね・・・」

助手席から外を眺めつつ言うガルーダに、ガーネストは次の言葉を待つ。

「エースのスランプじゃない・・・壊れるんだ。ただ壊れて使い物にならなくなるんだ。督戦隊のように無差別に楽しく殺してない、またはベルカのように絶対的忠誠心で動いていない、誰かと依存したり信頼して戦闘していない、純粋に空を好きでなくなっている。そのくせに使命感と無駄に良いスコアを出して若輩者が不相応の階級に祭り上げられて屍の上の王様に立った時・・・どうしたらよいか分からなくなるんだ・・・異世界出身か何かしらないがとにかく「覚悟」が足りない」

「覚悟・・・ですか」

ガルーダは自嘲気味に笑い

「いや訂正しよう。単体の、軍人としての覚悟はあるだろう。証拠に殺人に躊躇いないし・・・よっぽど恵まれたところで育ったのか少し平和ぼけな感じはするがね・・・ただ、仲間や部下を生きて帰そう、失いたくない、信頼して「死んで来い」という言葉もかけられない、何かあれば自分を責め、隊長としては失格だ。まあ単体にしてももう遅いし、単体なら単体でまた面倒な奴になりそうだが」

しばらく車内が静まり返る。ガーネストが聞く

「もし、もしですよ。その男・・・ユイカワが何かしらで吹っ切れたら・・」

「いやー、その時はもう、ベルカ最強のエレノア大尉顔負けの狂犬になるんじゃね?」

ガルーダはにやりとしながら答える。実に楽しそうに

「ヤバイじゃないですか!」

「いやいや、そこが面白いだろ?」

助手席を倒しながらガルーダが言う

「目の前で兵卒君が死んだ。ここで壊れるか、一気に目覚めるか・・・単純にこちらに引き込むより数段楽しいことではないか」

「いやしかし・・・あっ」

「ん~?どしたの?」

瞬間、青と赤のランプが交互に照らされ、一気に間を詰める車が接近する。間違いなく警察である。しかも普通のパトカーより排気量が大きいスポーツタイプ三台である。

「あ~、ウスティオ首都警察特別交通隊の奴らだ・・・さすがに最近飛ばし過ぎてついに来ましたか」

「ハハッ・・・面白いじゃないの。捕まりたくないから逃げなよ?逃げれるんだろ?」

「あー、そうっすね・・・逃げなきゃならんですよね、よっしゃ逃げますよ!」

「うーい、寝てるから逃げ切れたら教えてね」

了解ですの言葉と共にガーネストは一気にアクセルを踏む、速度は軽く220を越える。

ガルーダは目を瞑りながら、本当に面白い奴だよと呟き、相棒を信じてそのまま寝る。

 

パトカーとのカーチェイスは最終的にガーネストが山道思いっきり走って無事逃げ切ることに成功するが、それが首都警察を復讐鬼とし交通部隊が大幅に強化されるのは別のお話。

 

6/22

1300hrs

ウスティオ某地方墓場

三人の礼装を着た下士官軍人の綺麗な儀仗。老練の叩き上げ中尉がウスティオ空軍の礼式の旗を持ちゆっくりと歩く。

中尉の向かう先には一個の棺。

先日殉職したタレス・マッキーニ上等兵・・・いや、軍曹の葬式である。

結川を命がけで守り、逃しながらも敵と対峙した人間の軍隊からの最上級の儀礼である。伍長昇格予定だったために、急遽伍長昇格、同日名誉の一階級特進で軍曹となった。

つい二週間前に大掛かりな戦時殉職者の合同慰霊祭があったが、それの後、戦時解除での殉職の為、手厚くなっている。

棺に空軍旗の布がかけられ、牧師が聖書を読み、やがてそれが終わると儀仗隊員が一糸乱れぬ動きで空砲を三発、空に打ち上げる。

周りの親類は泣き、同僚だった者たちは次々と棺をふれ哀悼の意を捧げ、そして棺は丁寧に土に埋められる。

そんな風景を少し離れた場所で眺めるはサザンクロス副隊長のホークである。この場に結川は来ていない・・・いや正確には

「ユイカワは来てないか」

声を掛けられ振り返るとそこには珍しい礼装のオリビエだ。バッカス隊の代表として参加している。

「ええ・・・ご遺族の意向です」

ホークの短い返しにすべてを察する。

戦争が終わった後に突如として息子の命が奪われた。たとえそれが人を守るための死だとしても、受け入れることが出来なかった。繰り返すが戦争が終わってもう命の奪い合いをしなくてよいという安堵から一転しての地獄である。

結川は前日に遺族に対面した、その際怒鳴られ、けなされ、罵倒され、救国の英雄でなく同じ殺人者の扱いを受けたという事は同じ軍隊内では光速を越えて伝えられた。

やはりそんな中でこの場に置くのはまずいとして、一時的に基地に謹慎という形となった

「奴はどうなんだ?」

「・・・・・・」

ホークはオリビエの問いに答えない・・・いや答えられないのだ。あまりにも残酷すぎて、そして自分たちの無能を晒す形になるから・・・

軍隊内部では同情する奴もいるが、重要人物になったのに軽率な行動だと結果論から批判する人間も少なからずいる。

そもそも、ウスティオ人でないのに最高勲章とか、エースとか、若造の中佐・・・と今更ながらの責めを噴出させる見苦しい人間もいる。いや、今だからこそ、ここぞとばかりに声を上げる。だが、それを部下たちはどうしようも出来なかった・・・しようにも彼がどうなっているか分からない、気付いても気付かないふりをしていたのだ。

「ま・・・無理もない。奴は若すぎる。なのに戦い過ぎた、やりすぎた、ウスティオ人以上にな・・・残念ながらな、とりあえず今は哀悼の意を捧げよう。そして酒を飲もう・・・それからゆっくり考えればいい・・・あいつの副隊長としてな」

ホークは知らず知らずの内に泣きだしていた。オリビエはホークの肩を叩きながら、

「大丈夫だ、お前らは無能じゃない、あのバカが悪いんだ、お前らの隊は十分強い・・・そしてお前も十分な実力者だ」

とりあえず秘蔵のウィスキー飲ませてやろうと考えた。そして語ろうじゃないか、未来の真の強い部隊の為に

 

ホークはオリビエが

三兄弟はスターたちに

干物はバッカス隊の餌食に

コーノは姉のエリーゼが何とかするだろう

そしてアリチェには・・・仕事をしてもらおう・・・勝手に孤独になる馬鹿を叩きのめしに・・・

 

?????

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「・・・・・」

目を開ければそこは白い世界、まーたここに来たのか。

結川は辟易としながら周りを見渡す。必ずいるはずだ。元凶が

「そんな目で見ないでよ。私がしたことじゃないし」

そう、妖艶な漆黒の悪魔、ラーズグリーズだ。

「あんたが部下に反乱されたからだろ・・・いつまでこんなこと演じなきゃいけないんだ?」

「・・・・・、残念だけどまだよ・・・まだ戦争はある」

「いい加減にしてくれ、これ以上俺に何を期待するんだ?」

「期待はしてないわ・・・もうあまりにも世界が動きすぎているもの。ただあなたには戦争を生き延びてもらってこの世界の柱になってもらうしかない」

「勝手すぎるだろ・・・」

結川は頭を抱える。ラーズグリーズもやれやれという表情を浮かべる。

改めて話を整理すれば

ラーズグリーズはこのエースコンバットの箱庭世界において、元は死をもたらして生態系を見守る魔神にして管理人

大きな力を使って眠っていた内に部下に反乱されて、ベルカ悪、オーシア正義のいわゆる正史から離れたこのベルカ正義、オーシア悪の外史世界が作られる。

たまたま日本で殉職した結川が変な調子でこの不安定な外史の箱庭世界の柱にされて、戦争をやらされる。

結川の任務はひたすら戦い、柱が崩れないようにしてこの外史を正当化、もしくは正史の世界とすり合わせる。

出来なければこの箱庭世界は崩れて、結川始めこの世界すべての人類、生態が消滅し、並行世界にも転生出来ずに魂はただ輪廻せず彷徨う存在になる。。

全く以てふざけた話であるが、事実そのために彼は空を飛んでいたのだ。

「全く、確かに私は貴方に勝手な押し付けはしたわ・・・しかしここまで駄目だとは思わなかったは。孤独ぶって一丁前に飛んじゃって」

「ああ?!」

結川が睨む。それに対してラーズグリーズは涼しい調子で続ける。

「確かにあなたは死んだ。だがどこに輪廻するか分からない冥土よりも、己のスキルと最高の環境で戦うことが出来るものを用意した。それは日本で決して味わえない貴方の実力を発揮できる場所を」

「俺が・・・望んでいたと?」

「ええ」

あっさりと答える魔神様

「そうじゃなきゃこんな大きな仕事を受けれるわけないでしょ。手近に居たというプラス点を除いても貴方には適役だった。同時に殉職した人間が居たら貴方を選ぶ、その程度には決まっていたのよ」

「・・・・、違うだろ」

「違わないわ。まあそう言い続けるなら呪詛のように唱え続ければいいわ・・・でもね」

ラーズグリーズは微笑する。

「案外、こんな縛りでも世界は広いものよ・・・狭いなんて言葉を使うのが勿体ないくらいにね」

次の瞬間世界は戻って目が覚める。

 

1300

 

デジタル時計はきっかりその時間を表し、持ち主である結川に暗に寝過ぎだと咎められたような気がする。

いつの間にか寝ていてそしてこの時間まで寝ていたみたいだ・・・。夢に遠慮なく召集掛けるラーズグリーズに辟易するが嫌ではない。体はちゃんと休まってるし。

10時間以上眠ることは少ないので体を軽く解してから部屋を出る。

結局今日、助けてくれた上等兵・・・いや軍曹に挨拶は出来なかった。彼のご両親に責められ、来ないでくれと言われたらそうするしかない。

「世界が広い・・・ねぇ」

自分自身どうなのか分からない。世界は確かに広いが、視野に収められる範囲は意外に狭い。そして今の自分は更に狭いのだろう。自覚しつつも抜け出せない。

食欲は少なく、食堂に行くより外の空気を吸いたい。

彼の足取りは自然に屋上へと向いていった。

 

1305hrs

ディレクタス基地滑走路

3200m滑走路の外周を走る数人。

先方はサザンクロスのコーノ、追いかける形でハートと姉のエリーゼが走る。

軍隊は体力がなんぼ。空気が重いのでハートが姉弟を誘う形で走っているが

「さすがに男性パイロットね。案外体力あるじゃない」

「コーノはあんな暗い感じだけど常に体力検定は上位よ、舐めない方がいいわ、それよりタバコ吸いの貴女は大丈夫なの?」

「空挺舐めるなこのブラコン、あと私の煙草は特別な時だけだ」

挑発するように言うエリーゼに苦笑しながら反論するハート。二人も既に3分の2周5km近く走っていて余裕で会話できる当たり既に域を超えている。コーノに至っては黙々とひたすら走り続ける。恐ろしいまでにペースが変わらず、同じく走っている隊員を追い抜かしていく。

「で・・・隊長を見に行かなくて大丈夫なの?」

ハートが問う。

「まあ、アリチェが何とかしてくれるでしょ・・・とりあえず彼女も何か吹っ切れたみたいだし。見に行かなくても大丈夫よ」

「おや、いい自信ね。ちなみに彼女は最初に何をすると思う?泣く?ハグ?」

「殴るんじゃない」

「殴るのか~」

ハートは走りながら遠い目する。

「彼女の・・・結構強いよ?」

酒の席でふざけた際にアリチェと戦った経験のあるハートだから言える。あの子、細いくせして結構いいこぶし持ってると。

「まあ・・・隊長ですから大丈夫です」

「ユイカワも面白い評価だわ」

二人が話しながら男どもすらも追い抜いて男性隊員たちの心をへし折っていた時

 

「ちょっと階級忘れて殴ります」

「え?」

結川はエリーゼの予想通り、屋上に付いてきたアリチェによってぶん殴られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




初めましての方は初めまして、いつもいらっしゃる方はこんにちわ。
夕霧彼方と申します。

現在進行形で就活で心折れてます。
そして色々あって心折れてます。

さて、そんな話は置いといて、タイトル通り100話目だそうです。
正確には年賀のあいさつ話や削除したお話もあるのでその通りではありませんが、ハーメルン様に掲載してる現時点で100話目です。大台です。

この作品は約5年前、ベルカ最強、オーシアざまぁな作品ないかなと探して、無くて、無いならとりあえず書いてみようとして書いた中二病二次創作でした。
二次創作に関する規約は年々厳しくなり、小説家になろう様→にじファン様→すぴばる様と変遷し、今はここに落ち着いたという形となっております。

今更見返してみると、楽しい作品で、安易な発想で書き始めた高校二年の自分を思う存分血祭りに上げたい気分です。今も成長してない言われたらそれまでですが。

ですが、エースコンバットシリーズ純正品でここまで頑張る人間も中々いないですよ!時代によってはIS、東方、ガルパンにレールガンかクロスさせているなかの純正品ですよ?!

↑読者の言葉につられて飛魂出したり、各作品のいいとこだけ取って煮詰めて、ZEROの世界観をぶち壊すこいつが何か言っています。

さて、置いてきたお話を戻しますが今後についてです。
こんな内容薄い100話に5年ほどの歳月をかけている。お察しですが、一時期は筆を折って、現在もパソコンに向かっても書けない状態が続いています。
高校時代オタク部のくせに無駄に大学デビュー体育会系頑張ったら三年時に目を回してカウンセラー送りになったり、部活内紛したりして楽しい日々を送りました。三年途中から主将代務になりましたし。
現在も夢の企業が大手病企業ばかりで、無い内定になりそうです。
そんな厳しくも素敵な状況でありますので、今は現実にまい進しつつ、何とかこの作品も畳んでいけたらと思います。
素敵な部隊、キャラを作成して下さった方々の好意を無にすることなく、果たしていければと考えています。

最後に
初っ端から除名不可避の利用規約違反を犯し、それに関して猛然とご指摘して下さいました方々、お気に入り、高評価に入れて下さる方、低評価に入れます方、とりあえずの一見様、全ての読者様に感謝を示して後書きを締めさせて頂きます。

ありがとうございました。
またの機会がありましたらよろしくお願いいたします。

夕霧彼方

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