ACECOMBAT if ~全く違うzero~ 作:夕霧彼方
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ベルカ[現オーシア占領地]ウスティオ国境線
ウスティオ国防陸軍前線統合作戦司令部
最前線から離れているのに時折砲撃の音が聞こえるここも、今は静かだ。陸軍は奮戦し消耗しながらもこの三日間何とか耐えてた。
しかしこちらには限界点が来てた。敵はいくらでも補給が来るが、こちらは人員、金、備蓄物資、全てが戦時での想定消耗量を超えていた。ウスティオ自慢の備蓄物資量もオーシア・ユークから見れば少ない。
陸軍はもう最後の決死の突撃以外血路は見出せない・・・
そんな中で一人の上級将校が満面の星空を眺めながら熱いコーヒーを飲む。
広域即応防衛軍団[第四軍団]軍団長、フェルナンド・ジーリ大将である。彼は定年退官間近の老兵で、ベルカ経済崩壊時代の今のFCMB加盟国の小競り合い仲裁の高い指揮能力で軍団長になった。今までの平和時代、彼の好々爺ぶりや、非常に甘い所から「軍一番の平和ボケ軍人」と言われてた。ふと後ろから人影。
「こんな所いらっしゃいましたか」
「満面の星空眺めるのも中々乙なものだ。平和ボケの軍人と呼ばれる私にとってはね」
「またまた御謙遜を・・・」
後ろから出たのは、軍団副将で高機動歩兵師団師団長シルヴァーノ・レリオ少将が言う。52歳という年なのにそれには見えないほどの若づくり。一見40代前半それ以下、物腰柔らかい丁寧な言葉遣いで、周囲からはもっと若く連想させてしまう。
「レリオ、私は明日は定年退官前の晴れ舞台だ」
「ええ、ちゃんと反撃して軍団長にきれいな花道を「そうじゃない」・・・え?」
シルヴァーノはフェルナンドの顔を見て背筋に寒気が走った。今までの好々爺の姿は見えず、鬼に見えた。これが本性か・・・彼の昔のあだ名・・・
「グランスラッシュ」
おとぎ話ラーズグリーズに匹敵する。神から悪魔に落ちた冥界の重罪人。確かその悪魔を擁護したベルカに似た王国を恩返し含めて守るために周辺国の人の魂を食らいつくし破壊の限りを尽くした。ベルカ擁護派で、反対派と対立してたウスティオで一番活躍した男。まさにベルカを守り、周辺国を破壊してた。
「レリオ、私が先陣を切る、遅れるな」
いつの間にか横に立っているフェルナンド、気配を感じなかった・・・・まさかこれほどとは・・・
「分かりました。全力で守らせていただきます」
「うむ」
フェルナンドは満足したように笑みを浮かべ、司令部の中に戻る。シルヴァーノはどっと汗が噴き出た・・・、笑みの中の決意とも殺意ともとれる気迫に、体は震えてた。
「さてと・・・軍団長が本気だし、やるか!!」
彼は気合いを入れ直し、司令部に戻る。
それより2時間前
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ソーリス・オルトゥス市郊外野戦基地
「これをこーすれば・・・・よし、完成だ!!」
マッドサイエンティスト、第2整備班班長ゴードンが声を上げ、協力してた班員が拍手する。そこにあるのはサザンクロス隊のF-15UFX,8機である。
「なんだか俺達の戦闘機が消えてると思ったら・・・ここか何してたんだ?」
丁度良くサザンクロスメンバーが表れる。屋外の定位置ポイントから消えてたので、探してたのだ。
「グッドタイミング少佐殿!それじゃあお披露目するか・・・」
「だから何を?」
「少佐殿のサザンクロス隊の部隊章の絵柄、あれ仮でしたよね?」
「ああ、申請した翌日から戦争突入でこれがしばらく部隊章だ」
ただ、みなみじゅうじ座が書かれてるだけの仮の絵柄の部隊章、さすがに寂しいものがある。
「そこで、我が第2整備班は、秘密裏に軍本部に申請して、新しい部隊章を戦闘機尾翼に書きました!どうぞ!!」
「え・・・ああ」
8人はその部隊章を見て、驚いた。
黒い背景に、右下にみなみじゅうじ座、その左上に筆記体で一行目にSouthern二行目にCrossと筆記体で書いてある。
そして左上から右下斜めに平行線で4つの星が絵柄を囲うように2列ある。星は俺達の中隊戦闘機の数。さりげなく輪郭部分にウスティオ国旗。
部隊章の下には第2航空師団第12戦術航空中隊を表す「212」もきれいにペイントされてる。
「きれい・・・」
アリチェが感嘆を漏らす。整備班のペイント技術が意外と高い。
「そーだろーアリチェちゃん!どう?ほれ「ません」がく、ウォーーン!(泣)・・・」
一人の整備隊員の言葉をいつもの表情で返すアリチェ。整備隊員は嘘泣き、周りが笑う。
「このデザイン・・・・班長ですか?」
三つ子のダノが聞く
「おうよ!ゴードン・ヘルトの傑作だ!」
「「「意外だ」」」
「にゃろう!この三つ子?!」
また笑う。
「俺以外は知らないか、ゴードン准尉はエウレノ基地を中心に結構エンブレムとかデザインしてるんですよ。マッドサイエンティストでその評価は相殺どころかマイナスですが・・・」
「ホーーーーーーク!!!」
隊内エウレノ基地に配属では最年長のホークの言葉でゴードン発狂、周り大爆笑。意外とこの二人は親友だ。
「は・・・腹痛い・・・ホーク、楽しいな」
「黙れ干物」
「ひど?!」
グラッド涙目、彼は禁酒破りで干物にされた後、これがあだ名になった。
「ゴードン准尉、サザンクロス中隊を代表して感謝します」
結川はピシリと敬礼。ゴードンも返礼したのち
「それで少佐殿、お礼代わりに「だが断る」まだ言ってないよ?!」
「いや、あのマンタ爆弾以降、あなたの提案に条件反射で断る体質に・・・」
「ひどいですね・・・、マンタ爆弾はしょうがないです。で、今回は空対空戦闘(ファイター)担当になると聞いたんで、勝手にAAM変えました」
「ひどいのはお前だ!!事後承認かよ?!どうせなら干物の機体にしろよ!」
「隊長もそのあだ名で言うの?!」
「とりあえずもう交換は出来ないから、よろしくです少佐殿!」
「・・・・[ニコ]」
満面の笑みのゴードン、結川は何も言わず笑みを浮かべ思いっきりぶん殴る。
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同基地使用ホテル結川部屋
「・・・・・眠れない」
結川は目が覚めてしまい、電灯を点ける。明日は総力戦、ウスティオ5個航空師団に加え、ベルカのウスティオ管区防空部隊、B7Rのエースも集まり、確か・・・
ロト、グリューン、シュネー、インディゴ、ゲルプ、あと別の基地から傭兵、ここにウォードック・・・・あれ?リアルチート?
明日の日の出、ウスティオの大反撃、俺達は南ベルカ占領空軍の足止め、及び対地攻撃部隊の護衛で、アウトバーン国境道144号線解放作戦が主力、地上には確か平和ボケ軍団長率いる第四軍団だ。早く寝ないと、とにかく体を横にしようとしたとき、不意に部屋の備え付け電話が鳴る。
「だれだ・・・」
電話を取ると
「お~!隊長!一緒にさけ・・・ばたん!「神妙にしろ!懲りねえなお前ら?!」ちょ、助けt「かちゃり」ツーツー」
即座に切る結川。
「干物が・・・、不名誉除隊だぞ。俺も始末書だ・・・報告書富士山一つ増えました~」
遠い目しながら呟くと・・・・また電話・・・逆探されたか?恐る恐る受話器を取ると
「はい、もしもし」
「あ、起こしてしまいましたか?」
「アリチェか・・・大丈夫だ、丁度眠れてなかった。どうした?」
相手が分かり安堵する結川。
「いえ・・・私も眠れなくて・・・明日の戦い、今までになく犠牲者が出ると考えてしまって、不安に」
「自滅するなよ。安心しろ、他は賄えるか分からんが、サザンクロスは全員守る。隊長として、仲間としてな・・・・」
「信頼してます。隊長の背中はお任せ下さい。1番機を落とさせわしません」
「ああ、帰ったら祝勝の酒を浴びよう。負けは考えない」
「ええ」
アリチェと話すうちに落ち着く結川。
「落ち着いたか?」
「はい、ありがとうございます。それでは明日」
「ああ、お休み」
受話器を静かに置くと、眠気が襲ってきた。そのままベットに突っ伏し
「明日はこの世界の歴史にのる戦争・・・だな」
そのまま意識は闇に沈んだ。