ACECOMBAT if ~全く違うzero~ 作:夕霧彼方
2/23
1700hrs
オ―シア連邦
ノヴェンバ―市ノヴェンバ―スタジアム
約7万の人間が観客として収容出来るスタジアム、そこにはノヴェンバ―市民で埋め尽くされ、真ん中の試合会場はステージがあり、多数のオ―シア将校、さらに現在実質大統領のアップル・ルル―スの姿。
スタジアムには大音量のクラシックが流れ、上空を展示飛行で呼ばれたル―パ―隊の姿。
今、クラシックの終了と共に、美しいダイヤモンド編隊でスタジアム上空を駆け抜ける。
平和な空ならここで拍手と歓声に包まれるが、今の状況ではノヴェンバ―市民はあまり喜ばない。
何故なら戦争の泥沼化の厭戦気分が、少しずつ少しずつ増加してるからだ。彼らがここに来たのは副大統領の演説は聞きたくないのに、半強制的に連れて来られたからだ。
しかし副大統領は市民より、ル―パ―隊の素晴らしい飛行に私の演説演出を自画自賛してたため気付いていない。
そして演説が始まる。ちなみにこれはOBCを通じて全国生中継である。
「オ―シア国民の皆様!そして今日この場に集まって下さったノヴェンバ―市民の皆様!どうか私の言葉を聞いて下さい!」
スタジアムは無言の空気が流れる。
それが白けとは知らずにルル―スは続ける。
「我が祖国は、何十年との間、国の大事な資源地帯を憎きベルカ、ウスティオ、他FCMB連合国に搾取されていました!
我がオ―シア軍、議会はこれを怒り、何度も抗議して警告しました!
しかし彼らは私達を見くびり、あまつさえ軍事強化して我が国を脅してきました!
我々の我慢はここまで!遂に我がオ―シア軍は国民の怒りの意志を汲み、戦争を決意しました!
しかし!我が軍は情けなく南ベルカ侵攻軍の゛一部゛の部隊が降伏するなど、超大国の恥さらしをして、ベルカ他連合国に押されてしまいました!
しかしオ―シア軍の本気はこれからです!
この間から既にユ―クトバニアと結託!既にまた敵連合国を貫く矛が出来ようとしています!
さらに、サピン王国の宣戦布告を受け、首都オ―レッドに軍を集結、ネズミ一匹も侵入出来ない絶対国防を約束し!国内絶対安全、憎きベルカ共を北の谷へ閉じ込めてみせましょう!
そこでオ―シア国民の皆様にお願いがあります!
憎きベルカ他連合国に対して勇ましく戦うオ―シア・ユ―ク将兵を勇気づけて欲しい!
ますばノヴェンバ―市民の諸君!ここにいる将校、更には前線の将兵の為に惜しみない声援を!!!」
アップル・ルル―スは自分のスピーチは満点とばかりに笑顔になる。
しかし、南ベルカ侵攻軍の壊滅、国防海軍第2艦隊敗走、更にはレクタを利用してFCMB内部を混乱させてるのを隠蔽した嘘で塗り固められた演説に誰の心にも響かない。一部右翼を除きほとんどの人が黙る。
その時…
「The journey begins,Starts from…」
一人の小学校低学年の男の子が声を張り上げて歌う。
最初は驚いたその子の家族も歌い出す。
それは伝播して周りに広がる。
「「「The song of the bird…」」」
遂には右翼の者達を黙らせ、スタジアム全体はその歌声に包まれる。
「皆様…その曲は…止めなさい!今すぐ止めなさい!!」
アップル・ルル―スは止めにかかるが止まる筈がない。
男の子が歌った曲、平和を願い、反戦の曲。
The journey home
その曲は結局最後まで歌われ、アップル・ルル―スは絶望感から既に会場から消えていた。
結局、この顛末は、録画放送予定だったオ―レッド以外には流れる寸前で即座の報道規制が取られたが、生中継のぶつ切りの不信感から流出は時間の問題だろう。
一応他国には流れてない事になってるが、ある所からは既に漏れていた。
2/24
1100hrs
ウスティオ共和国某所
「という事がありまして、今やアップル・ルル―スの政権支持率は限りなく失墜の一途です」
「とうとうボロが出ましたか…、それで今日の話は何ですか?」
とあるビルの一室、口の堅いウスティオ国防陸軍機動隊員によって完全警備の部屋に二人の人。
ハ―リングとオ―シア空軍総司令、ニルチェ・ス―ン元帥だ。
「単刀直入に申し上げます。我々オ―シア陸海空軍総司令はハ―リング上院議員の大統領進出の為に、近く必ず起きるFCMB連合国のオ―レッド侵攻に乗じて、臨時大統領にします」
ニルチェの言葉にハ―リングは唸る。
「う―ん、出来れば戦いは避けたいが…、それに賛同してる人は?」
「首都防衛部隊の約4割は掌握、残りは混乱に乗じて黙らせます」
ニルチェは淀みなく応える。
「しかしオ―レッドは…」
「遅かれ早かれ、どちらにしても、あなたが大統領にならなければ、アップル・ルル―スは止まりません、そして首都侵攻も…」
「……」
ハ―リングは目を閉じて思案する、そして目を開き
「もし私が大統領になれば、軍縮を必ず行うだろう。君たちにとっては不快に見えるが」
オ―シアは世界の警察と自負する伝統のもと、常に超大国の大軍事力を有していた。
正直ハ―リングは驚いていた。ウォ―ドッグなどの平和を愛し、付いてきてくれた部隊も居るが、必ずしもそうでない。
しかしニルチェは怒りもせず、女性特有の微笑を浮かべ
「私は国を守りたくて軍に入りました、あえて戦争に行くのは私は嫌いです。他の総司令も同意見でそれ以上でもそれ以下でもありません、ただ国が独立していられる軍事力があれば、軍縮は賛成です」
まさかの総司令クラスからの賛同、ハ―リングはまた目を閉じて…今度はすぐ開き、
「それでは…私達オ―シアが誇り高く、理想に近づく国の改革に協力してくれるかな?」
「ええ…もちろんです!」
ニルチェとハ―リングは握手を交わす。
これでハ―リングは強力な関係を結び、アップル・ルル―スは孤独になっていった……。
1100hrs
ベルカ国防省空軍総司令室
「連合特殊航空団計画…ですか」
大きなデスクの椅子に座る、ベルカ空軍総司令、ナッツ・リニ―ク元帥の目の前の男が言う。
「そうだ、我々FCMB連合国軍は極秘電話会議で昨夜、国境越えて空軍、海軍航空隊選りすぐりの精鋭部隊を集結させ、各地の戦場を転戦、味方を即応で支援する計画だ。これが厳しい実績選考で採用された部隊だ」
ナッツから書類を受け取る。男は目を通す。
「第一戦隊が、ベルカンエ―ス、ロトやシュネ―、グリュ―ン、ヴァルキュ―レなどで、第二戦隊はFCMB及び海軍からで、レイピア、サザンクロス、バッカス、トゥルブレンツ、トランプ他なん部隊かで、第三戦隊は外国人部隊、メビウス、イエロー、ガルム…よりどりみどりもここに極まりですな」
男は驚き、笑みを浮かべる。
「さらに君を筆頭に各隊隊長を選抜、隊長だけの最精鋭部隊、精鋭特殊戦術航空隊を設立、絶対不利の戦場をひっくり返す部隊として用意する」
「それはそれは…もうチ―トを超えてますね」
「ああ」
男は呆れてナッツはニヤリとする。
「しかし私はもう引退の身、全盛の15年前は比べれば役立てれるか…」
男の不安にナッツは笑い飛ばし
「安心しろ!お前なら回復は遅くても実力は最高だ。頼めるか?」
ナッツの言葉に男は意を決して
「分かりました、私がひよっこを引っ張りましょう」
「良く言った!それでは君を今日付けで大佐から少将に昇進、航空団の総司令に任命する。頼むぞ、凶鳥」
「懐かしい愛称だ…了解しました!」
凶鳥フッケバインと呼ばれた伝説のパイロット、ピ―タ―・N・ピ―グルが敬礼する。