ACECOMBAT if ~全く違うzero~ 作:夕霧彼方
3/3
2100hrs
シルバーマーク空軍基地
ウスティオからベルカ空軍派遣部隊に貸されたオフィスで報告書をまとめるのは
「なあ、俺そろそろ女性とのや「逃がしませんよ?」はい」
ヘル・エンジェル隊隊長ギュンターは、本当なら円卓奪還で規則が緩みまくってる隙に基地の外泊許可を取って夜の歓楽街に繰り出す予定が、重装備改造でたんまりと隊長がサイン、またはまとめないといけない武器受領、及び使用武器報告書をたんまりツケてたため。さすがにウスティオ軍からの武器供与分は報告せよと厳命されて、只今土下座して道連れにした部下のユーマと必死に書いている。
「それにしても本当にこんなにため込むなんて・・・隊長、もうちょっと早く言ってもらえません?」
「申し訳ない」
「そして道連れるなら全員巻き込んで下さいね」
「本当に(ry」
他のエルンスト、ステラは夜の歓楽街で美味しい酒かあわよくば女性お持ち帰り中だ。ユーマもウスティオの屋台街を覗きたかったのにこうなってしまい少々不機嫌だ。46の少佐が25の少尉に怒られてショボーンする姿を見る人はここには居ない。すでに全員どこかに行ってるからだ。
ユーマも含めてヘル・エンジェルの結束は固い方だが、面倒事の押し付け合いは一流だ。そして最後はユーマがやられるにもデフォ、もう慣れた。
「そういえば、隊長、ひとつ聞いてもよろしいですか?」
「ん?なんだ?」
お互いのデスクでやってた仕事の手を止め、ユーマがギュンターに聞く。ギュンターも聞き返す
「あの、隊長がいつも持ってるその写真の、子供の方は隊長と分かるのですが、隣の青年が気になりまして・・・」
「写真?ああ、これか?」
ギュンターは胸元から取り出した写真を見せる。古ぼけた写真、色褪せで、よく笑ってる5歳くらいの少年の姿は判別できるが、背の高い青年の方の顔は判別が難しくなってる。
「それです、その人が誰なのかなと、常々気になって」
「そうか・・・そういえばお前に見せたんだっけ」
「そうです、「尊敬する兄貴だー!」て、配属初日にいきなり」
ユーマが苦笑い、ギュンターもつられて苦笑い、そう、ヘル・エンジェル隊で最初の配属は、野戦志望から何故か書類ミスで空軍、しかもパイロットで来て、空軍内で押し付けあいで、たまたま改造機を愛用する問題児、ギュンターの部下にしたのだ。なので一番若い彼女がこの隊での部下では古参である。
「それ以上言わなかったけ?」
「聞いたら秘密だとで・・・」
「ん、分かった、じゃあ答え、これはウスティオのフェルナンデス元帥」
「???!、なんでウスティオ軍の猛者と」
「ん~、まあ・・・聞きたい?」
「このサービス残業の残業代を多く取られたくないなら教えた方がいいですよ?」
彼女はにっこりと笑う。このまえは本気でサーバル105mmを残業代に請求されて、めちゃくちゃ苦労した・・・て、なぜ俺は彼女の為に奔走するんだ?
「・・・・了解した、それじゃ俺の十八番よりもお宝の思い出話の始まりだ」
ギュンターはにやりと笑い、そしてオフィスから見える月を眺めながら
「まあ、話は俺が生まれたころ、ベルカ経済の崩壊が本格化したころだ・・・」
year1964
12/16
0723hrs
ベルカ連邦、リーガル
ここに新しい命が生まれた。その子は大きな、元気な泣き声で両親親類は崩壊して憂う未来しかない中で久々の笑顔になる、そしてその場所に
「フェルナンデス、あなたが待ち望んだ弟よ」
「弟・・・、ふふ、血は繋がらないけど凄い親近感がわきます」
中学生ぐらいの少年と、その母親が微笑む、それこそが、兄貴と呼ばれる、フェルナンデス・ジーリである。
フェルナンデスの父親は、ウスティオ国防省に所属しており、ベルカ国内に居るウスティオ人の安全確保の任務を担当している、ウスティオ大使館駐在武官として働いて、そしてまだ平和なリーガルに家族を住まわせてた。
そして一般市民であるが、家が近いという事で付き合いが深かった、ジーリ家とシェーンコップ家は、ギュンターの誕生に心から喜んだ。
しかし、ベルカ連邦とオーシア連邦のGDPが1:1.8なのにむりやり国防費、インフラ整備にお金をかけて意地を張ったために、ただオーシアの物流をしやすくしてしまって、ベルカはさらに苦しくなるという皮肉なスパイラルに陥った。
これがベルカ経済崩壊を進めた。
経済が苦しくなり、財政赤字は年5%上昇、GDPはどんどんとマイナス成長を続けてた。しかしそこでくじけないのがたくましいベルカ国民、最後の最後まで、国が崩壊してもこの地を離れない覚悟を持っていた。しかし、そんな国民の健気な姿を、騎士道精神をただ説くだけの政府はそんな事に見向きをしなかった。
彼らは国土保全の名目上、武力を以て、属国に近いレクタ、ファトなど現FCMB加盟国に対して離反の動きありなら即刻排除を起こした。ひどい時期は、1年、1万の生命が亡くなる。
そんな苦しい中でも経営が傾き早々に見切りをつけて会社を辞めてリーガルで小さな商店を作ったギュンターの親父は、彼の二つ下の弟と、家族4人が生活できる程度の収入があり、貧しいながらも幸せに暮らした。
そしてギュンターは物ごころ・・・いや、記憶には無くても、体に染み付くぐらい慕った兄貴分、フェルナンデスとよく遊んだり、パーティーに誘ったり誘われたりでその関係も以前にまして絆が深まった。
「元帥とそんな事が・・・それは良い兄貴だったんですか?」
「ああ、学校から帰って来た兄貴を捕まえては遊んでもらって、やりすぎた時はベランダからひもでつるされたりつるされたりつるされたり・・・」
「あはは・・・」
ギュンターが軽くトラウマモードに入り、ユーマが笑う。そして立ち直った彼が
「話を戻そうか、そして・・・俺が7歳・・・うんそうだ、突然彼らは居なくなった」
「・・・え?」
「レクタ憂国戦線連続テロ事件、知ってるか?」
「え・・・確か、レクタ国内最大の武装勢力で西部軍閥主導と後に分かった組織で、それがベルカ各都市で爆破テロ起こした事件ですよね?」
「ん、まあそのくらい知ってればいいか、それじゃ本編戻るか」
この時ウスティオ政府は、国家事業か公務員以外の邦人のベルカ渡航禁止と、強制執行でウスティオ国民を避難させたんだ。その中に兄貴達もいた、最初は国防省駐在武官の家族として、そしてみすみすベルカ人を見捨ててまだ治安のよい地域に行けるかと猛反発したそうだが、やはりお上の決定には逆らえなかった・・・
最初は何も言わずに消えたとして、小さい子供の考えながら、本気で恨んだよ、しかし数年後に母親からちゃんとした真実と、届く確率が低い兄貴からの国際郵便を見て本気で昔の自分を殴りたかった。
そして兄貴は、父親の影響で、今度は最前線で戦いたいと、戦場の真実、本当に守るものを見極めるために、士官学校に入学して卒業したのも知った。
そこから自分も、兄貴や、他の人を助けたい、ベルカ空軍に入って騎士道精神その幻想をぶち壊す!中学卒業後と意気揚々と航空学校及び空軍入隊志願書にサインしたのさ。
「それが空軍入隊のきっかけなんですか?」
「そう、まあそれからが大変だったんだ」
現実入ってみれば、そこは安定した職を目指してとにかく這い上がろうとする猛者たちの集まりだった。騎士道精神というより、ハングリー精神の方が遥かに高かったな。うん
とにかく入隊してから暴れる事は無かった・・・・というより出来なかった。
騎士道精神にただ頷くだけの生活、出来なければ不名誉除隊、そしてその時親父が倒れて、弟が商店を引き継いで、治療に専念したけど、病が肝臓の長期入院で多額の治療費が必要と分かり、給料の良いパイロットコースは絶対になり、上官の言葉は首を縦に振らないといけない現状になっていた。
「あの・・・そのお父さんは」
ギュンターは女の話をしても他に関してしないから、家族事情もユーマ含めてほとんどの人は知らない。恐る恐る聞いてみる
「2年前にな、肝臓じゃなく今度は心臓を悪くして・・・な・・・」
「・・・申し訳ありません、立ちいったこと聞いてしまって」
「いやいいさ、君たちに話さなかっただけだし、まあ葬儀も家族だけで秘密で出してたからな、まあいいや、話、戻すか?」
「お願いします」
航空学校は、対地試験で首席卒業で、配属はノーマルのA-10を扱う部隊だった。その時は19歳だった。
その翌年、1984年、突如ノーマークだったラティオで大規模な軍事作戦が行われた。
「知ってます、確かラティオ事変、レクタの支援でしたよね?」
「そうだ、それでベルカの右腕的存在、ウスティオがまさかの進軍に蜂の巣つついたように上から下まで大騒ぎ、そして一つの機甲大隊がラティオ狙撃師団に包囲されたのを救援要請が来て俺の所属してた部隊が行ったんだ。そして最前線で戦ってたのは、当時中佐になりたての、アリエテ前世代戦車、べリヌウスを扱って大隊長だった、兄貴だった」
「!、戦場の再会・・・ですか」
「そうだ、その時はな・・・」
その時は、驚きと、嬉しさと、助けなければならないな!という使命感の色んなものがごちゃまぜでとにかく対地に攻撃をした。
そして当時「ウスティオの最高突撃兵」と呼ばれてた兄貴との最初の軍事交信は
「助けに来たぜ!兄貴!」
「ありがとうな、弟」
だった。本当に助かって心の底から安心した。そして後に知ったが、自分の身を顧みず携帯SAMを持った兵士から順に倒して、空の俺達に間接支援してた事実を知ってなおさら尊敬の念が深まった。
そしてなによりうれしかったのは、彼からの指名で、俺は常に兄貴の上を飛んで支援爆撃専属部隊になれた事だった。俺は嬉しくて、しばらくは騎士道精神をぶち壊すじゃなく、本気で守りたい人を守ることに専念した。
「それはすごい話ですね、でも同性だと・・・」
「そこで引くなら続きは話さないぞ?」
「大丈夫です、友情ですね、理解しました」
「ったく、まあそのラティオの軍事行動も沈静化してから、兄貴と飲む機会があったんだ」
俺が所属してる基地に、ウスティオベルカ共同使用の重要物資をここに大量に置くという事で、急遽前線から配置転換された兄貴が、基地警備の歩兵と戦車部隊を一手に指揮することになって、たまたま貴重な休暇が重なり、一緒に基地の酒屋で飲んだんだ。
兄貴は、ベルカから急に離れた事を謝り、そして俺達家族の事は片時も忘れなかったと言ってくれた。俺も同じだった。
兄貴の父親は無事駐在武官の任を全うして定年退官、母親は無駄に元気に出稼ぎしてる母親から子供を預かってたりして忙しいという。
共にこれからベルカ、ウスティオはまだまだ暗中模索の戦いが続くけど、必ず晴れる日は来ると信じて、戦い、国を守り、国民を守ろうと誓い合った。
「それで、どのくらい一緒に戦ったんですか?」
「佐官なのに突撃兵フェルナンデスのお付き人と言われるまで戦場では一緒だった。空と地、片方が来ればセットでもう一人だ」
「それはそれは・・・変な噂たちません?」
「立つ前に全力を以て潰した」
「・・・・・」
ユーマの顔が思わず引きつる。なんとなく想像が出来る・・・。
「そして1988年、世界を震撼させたバレンタインが届いた」
ギュンターはその意に介さず続ける。
1988年、円卓と呼ばれる地域から、膨大な、膨大な資源が発見される。これを受けて、ベルカなどFCMB諸国は生き返った。
GDP成長率28%を達した異常事態に、皆が沸き立った。そして自分も階級は大尉だし、魔がさしたてか、幻想をぶち壊す計画がスタートした!
「で、今がこの改造機集団を作り上げたわけだ」
「そうなんで・・・ん?隊長、その当時大尉って・・・」
「まあな、オイタのしすぎで勤続年数制限で強制不名誉除隊を避けるためにしぶしぶ少佐に昇進なったが、これから上がる事はないだろうな」
「・・・・・・」
かなりもったいないことしてないか?この人という怪訝な表情をする彼女を置いてけぼりにして、ギュンターは
「そうしてあんなこんなでこんな地獄気質の天使部隊を作ったわけだ。おしまい、と」
彼がしめくくると、ユーマは拍手をする。そして
「今も元帥とは?」
「文通程度だな、もうそこまで執着しない・・・とは言えないが、まあ本気の危機が来たら駆けつけるよ」
その真剣な目で、ユーマは圧倒される。本気すぎるよ
「さて、話しこんだわけだが、仕事が一つも終わっていないな」
「え?私終わりましたよ」
「うそぉ?!」
ユーマは聞きながらもしっかり書類を書いてて、ギュンターは熱く語りすぎて手がお留守だった。
「さすがに置いてけぼりはないな~・・・」
「うっ・・・・」
ギュンターは中年とは思えないほどの子どもの様なショボーンの仕方で、ユーマはため息をつき
「分かりましたよ、隊長、半分下さい」
「ありがとう!任せた!」
「・・・・・」
半分・・・確かに半分ですよね?この量、明らかにさぼってたのが丸見えだ。
「隊長・・・はあ、これは徹夜ですね・・・もう」
「済まないユーマ、あとで何かおごるから?」
「はいはい、終わってから口説いて下さいね」
「そんな事言わないでよ、あ~、熱くなってきた、少し、窓開けるよ」
「寒いですよそれ」
熱く語りすぎたギュンターは酸素を求めてふらふらオフィスの窓際に向かう、ユーマは少し口元を綻ばせて、残業の同情で報告に来た整備士が置いてった未開封の缶のプルタブを上げて、少しぬるくて刺激の強いコーラを飲む。
隊長の秘密を知った優越感と、どこかのふっきれた清々しさを感じ、そして窓からは綺麗な月、ギュンターが開けた窓から風が入って彼女の肌に少し冷たく、気持良く感じる。
彼女は彼に見えないようにクスリと微笑み、
まあ、こんな夜もありかな?
と思っていた・・・。