ACECOMBAT if ~全く違うzero~ 作:夕霧彼方
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0845hrs
ウスティオ
ディレクタス空軍基地
2本の4000m、1本の2800m滑走路は、既に戦地から遠く離れた基地として、今までの所属部隊も前線に向かって、哨戒部隊以外静かになり、のんびりとした雰囲気さえ感じてしまう。
この基地は何度かの戦火の危機に瀕したが、どれも要撃機で全て迎撃したため無傷で、ある意味参戦国の中で一番幸運な基地かもしれない。
しかし、そんな基地内で不穏なメールが来る・・・。
「どういう事だ・・・これは?」
ディレクタス基地で開かれた基地司令会議に出席してた、今回准将に昇進したカロンが、あてがわれた部屋で自分のノートパソコンを見て絶句する。
アドレスはたしかコピー絶対不可のベルカ情報部私設情報部Z情報課[ザンナル直轄諜報課]からの秘密コードでエルジア、ISAF経由で届いてきたメール添付のPDFファイル。
ザンナルとは空軍対地演習で司令階級で共に国防を論じた陸軍軍人だ。ベルカに居ながら騎士道とは少し違う上級大将からのメール内容
「君の部下サザンクロスが危ない、全体的にオーレッド侵攻は仕組まれた罠だ、すぐにサピンレピナースに飛んでくれ。ウスティオや他の事の原因解明は私の指示した人物に任せる。頼む」
たった一文、カロンはPDFのアイコンをクリックして、昔友情の証に教えてもらった特殊パスワードを打ち込んでエンターキーを押す。情報が解凍されて、そして出てくる資料、右上に最高機密の判、見たことのないマーク、どこの部隊章だ?
そしてそこの載ってる内容は・・・
「なっ・・・」
カロンは完全に固まる。内容を頭に入れるだけで精一杯だ。
オーレッド侵攻の真の作戦内容、第3勢力、国境無き世界の中でも異端の戦争拡大派の戦争プラン。
そして絶対確信となったレピナース空軍基地司令ダッケ・べナー准将が完全な国境無き世界の協力者だという事。
「ちっ・・・、これは行くという選択しかないな!」
口調が穏やかでなく、若いころに自然に戻る。確か作戦にはまだ期日がある、今なら働きかければ[オーレッド作戦が早まったのを知らない]・・・手近にあるコピー機でコピーして資料を完全軍機密用ケースに厳重にしまい、すぐに基地内での手伝い役の伍長を呼ぶ
「何でしょうか?准将」
「俺は今から急用ができた。今日の会議はキャンセルの旨を伝えといてくれ!」
「えっ?ちょちょ!」
伍長の制止を振りほどき、格納庫へ向かう。しかしこんな資料見せられた後に、調達する部隊に悩む。
足が長い戦闘機で、そこそこ空戦が出来る部隊・・・・居た。
エウレノが円卓最前線基地指定になり、配属地決定までディレクタス防空に回された部隊が・・・
格納庫でなく、誘導路で談笑しているメンバーに向かう
「バッカス他スタークロス隊!」
「あれ?司令?どうしたんですか早朝から」
スタークロス隊、バッカス大尉が笑顔で言う。彼はまだ尉官だが、それで不満は無い。むしろ責任が軽いから良いと言っている。
「武装と燃料は?!」
「え?ええと、哨戒任務で燃料は増槽付きで満タン、短AAM2本と中AAM2本ですが・・・」
「今すぐサピンのレピナース空軍基地へむかえ!」
「はっ?言葉の意味が分かりません」
「そうですそうです!いくら同盟国でもウスティオ軍機が勝手に入れませんよー![撃墜されたらどうするんだこのネジゆるみ司令!]」
バッカスとアンジェラが抗議をする。しかしカロンは真面目顔で
「今は議論してる暇は無い・・・この戦争が拡大するだけだ!」
「「「?!!」」」
カロンの言葉に隊員全員が驚きの表情をする。そしてバッカスはため息をつき
「理由は・・・話せませんよね」
「済まないがな・・・今はとにかく行きたいんだ」
「・・・了解です、スタークロス隊!出撃準備急げ!」
「隊長!」
バッカスの言葉にクライシスが挟む
「隊長、それは危険な賭けですよ・・・」
「賭けでもなんでも俺はこの戦争を早期終結したい、もしこれに陰謀があるなら、司令をエスコートして活躍も・・・悪くないだろ?」
「そうだな、サザンやバッカス隊なんて部隊に活躍が奪われてんだ!今こそこの部隊が空を翔る時じゃないか?」
ジェニファーがバッカスを援護射撃、そしてクライシスは諦めた表情で
「任務を受けるたびに。これが最後の任務でありたいと願ってました・・・分かりました。再就職先探す覚悟で行きます」
「う~~、分かりましたよ[再就職はベルカ工業廠かニュートラル社がいいな]」
「決まりだな・・・司令、俺達の再就職先と軍法会議で擁護してくださいね」
「ありがとう」
ただ一言言うと、背中を向けたバッカスが手を振る。
精鋭の中で対地爆撃という地味ながら活躍している部隊の隊員の背中はどの部隊よりも誇りにあふれてると思った・・・。
1015hrs
レピナース空軍基地
「おい!ウスティオ軍機の到着なんて聞いてるか?」
「部隊№233照合・・・出ました!F-2航空隊スタークロス隊だ!」
「何で今まで気付かなかったんだ!」
「恐ろしいまえの熟練された低空飛行にレーダーが引っ掛からなかったんだ!」
基地の管制塔は、大規模出撃の仕事が一段落して、落ち着きが戻った時に、まさかの同盟国からの領空侵犯、混乱してるその時
<<こちらスタークロス隊よりコントロール!燃料がない!強制着陸する!>
有無を言わさず、強制着陸を決行する。滑走路上に居た誘導員が全員退避する。
完全に停止すると、コックピットからカロンが降り立つ。
「・・・おい!ここはウスティオじゃなくサピンだぞ!拘束させっ・・・准将?!」
基地警備兵はカロンを見て固まる。そしてカロンは何も言わずに強行突破する。
「よ~し、燃料再補給して帰らせて!とは言えないね・・・」
「とりあえずお前らだけでも来い!」
「へいへい、よ~し、サピン基地見学だぞ~」
「「「おーー!」」」
完全に気が抜けてるスタークロス隊は警備兵に連行される。しかし後悔は無い・・・はず。
「何で准将がここに来てるんです?!司令会議は?」
ウスティオの准将の襲来を聞きつけ、同じ国のミナーがカロンの元にやってくる。司令会議で何度か顔合わせた美人司令、しかしそんな事を考えてる暇は無い
「なぜここまで基地が静かなんだ?!」
「え・・聞いてないんですか?敵の集結が予想以上に早く、作戦は前倒しで発令されましたが・・・」
「ちいぃ!!間に合わなかったか!!」
盛大な舌打ちとともに歩きだす。
「え?一体全体何が?」
「フラッチェ大佐、これは罠だ・・・俺達は今掌の上で踊らされているんだ!付いてきてくれ!」
尋常でない事態とだけは感じたが、それ以上の詳しい説明がないまま、ミナーはカロンの後を付いて行く。
「どういう事ですか?ここから先は司令の部屋ですが・・」
「構わない、簡潔かつ的確に言うならば、作戦自体が全ての爆弾だ」
「はい?!」
ミナーはとにかく行ってみる事にした。
「そうだ、その前に・・・」
「何をしているんですか?」
カロンは突然歩くのをやめて、基地廊下各所にある内線電話に近づく、これはもしもの時には、基地全体へのマイクにもなる
「もしもの為の保険だ」
「保険?」
カロンは素早く内線を取り、端末に細工をするそれが終わるとまた歩き出し、そしてカロンはノックもせずに
「失礼します」
司令室に入る。司令のダッケは笑顔で
「おやおや、どうしてここにウスティオの准将が?」
「いやあね、その笑顔爺さんの裏の顔を暴きに来たんですよ、ダッケ・ベナー准将殿?」
2人ともにこやかだが、雰囲気は明らかに異質だ。
「いやー驚きました、とある所の情報ですが・・・単刀直入に窺いましょう。どこまで国境無き世界と関わってる?」
カロンがいきなりの先制、ダッケは笑顔を崩さない
「随分と切り込みが早いですね~、というより、それはどんな組織でしょうか?」
「ボケるのには年がいささか早くないか?貴方がベルカ国内の使用されるはずのない電話に何度も通話記録が残っており、さらに今回のオーレッド侵攻作戦・・・実はアピート市は攻撃対象外だったのを、あなたが作戦書決定前日に無理やり入れたというネタも上がっています」
「・・・・はははは!随分と面白い事を言うじゃないか!それはアピート市の国際空港が、もしかしたら軍事転用されるのを恐れて今回のさ「航空燃料60000ガロン」!!」
ダッケの言葉を立ち切るように、カロンは静かに言う。それを聞いたダッケの饒舌が止まる。
「航空燃料は、ここ3年、ベルカからの安定供給などで価格変動はほとんど起きてなかった。しかしな准将殿、あなたがここに着任したこの2年間、輸送機基地としても多すぎる備蓄燃料予算、毎月少しずつ上昇してる購入費、これはどうでしょうか?」
ダッケの机にケースから取り出した資料を叩きつける。たまたまひらりと飛んできた一枚の資料に目を通したミナーが
「なに・・・これ、ウスティオとサピン空軍は絶対に航空燃料費は一緒になるのに、私の基地の購入費より1ガロンあたりが明らかに高い!!」
「さらに、最近は備蓄庫も満杯で、本当なら不要分の購入費が、またどこかに消えている。さすがにあなた1人が横領するには明らかに多いお金が消えてるんですよね」
「ふざけるな!でたらめを言って!貴様はこの国では不法侵入者なんだぞ!私の権限があればお前なんか潰すなんて容易いんだ!」
「ふざけるのをやめろと言いたいのはこっちだ!!!」
「ぐうぅっ!?」
カロンが場を圧する大声を出す
「貴様の履歴は見させてもらったさ!貴様は軍需企業と手を結び、戦争という最高の特需を長引かせる事を見返りに多額の報酬を貰ってるという事例を既にベルカ経済崩壊時代に行われてた形跡がある!その時は部下になすりつけたみたいだがな・・・今度は違う!今度はちゃんとした証拠もある!大人しく認めやがれ!」
「ちがう・・・」
カロンが言い切ると、ダッケは少し緩んだ表情で
「ちがう・・ちがうんだ!私はこの国を守るために・・・守るために国境なき世界から守るた「戯言もいい加減にしろぉ!!!!」ひぃぃ!」
本気の怒声、ミナーはあの穏やかなカロンがどこに行ったのか固まっている。
「お前が守りたいのはなんだ!国か?違う!己だ!貴様がすでにこの案件がこんな状況で明るみになった場合を除いてばれたら、天下り先も用意して、秘密を知った者を排除して、さらに悠々自適に生きようとしてるんなんざお見通しなんだよ!軍が守るものはなんだ!己でない!国土、財産、そしてそこに住み、私達金食い虫を有事では信頼してくれる国民!!これを守らないで軍人なんてぬかすんじゃねえ!お前みたいな血税を横流して、オーシアとFCMBの間の憎悪を膨らませ、守るべきものを荒廃させる奴はなあ!売国奴って言うんだよ!!さらに言えば、罪なき市民を無用に巻き込む虐殺者ともいうんだ!!」
「罪なき市民?それはどうゆう・・・」
「こいつらはな、既に金で操ってるか、国境無き世界の戦争拡大派が既に動いていて、オーレッド無差別爆撃の用意も出来ている」
「??!」
作戦と全く違う内容で、ミナーは愕然とする。
「さあさっさと作戦中止命令を出せ!今なら間に合う!」
「ははっ・・・もう遅いよ」
「なに?」
カロンが聞き返すと、むかつくほどに晴れやかな表情でダッケが
「もう遅いんですよ、既に作戦は展開された、大下克上作戦(笑)はね。もう止められない」
「ふざけるな!!」
「ふざけるわけないでしょうははっ!しかし不法侵入したので、これの証拠能力は犯罪者の持ち物として限りなく低くなりますが、野放しだと貴方達は面倒です。ここでは拘束されて、そして消えてもらいましょう・・・」
「随分悪役らしいセリフですね。しかしそれは必ず負ける合言葉なんだよクソ野郎!別に俺達が証人じゃねえよ!ただ部下が聞いたらどうなるだろうなぁ?なあお前たち!」
「司令!今までの話し本当なのかで緊急逮捕をします!」
扉をけ破って入ってきたのは、この基地の警備兵、全員アサルトライフルかハンドガンを構える。
「な・・・なぜだ!お前ら!捕まえるのは奴らのほうだ!はやく「観念するんだな」貴様どうやって・・・」
カロンがにやりとして、ダッケが慌てる。
「最近のマイクというのは、実に小さく、高集音なんですよね」
カロンは軍服の襟の内側からマイクらしきものを取りだす。
「これは無線式で近くの内線電話に仕掛けた受信機、そしてそこから内線電話を介して、全てのスピーカーからね・・・」
「ま・・・まさか最初から?」
「ええ、最初から最後まで、一言一句残さず全部ダダ漏れ!」
「ああ・・・あああ」
「ダッケ・ベナー、国家反逆罪で緊急逮捕します!」
すぐに元味方に囲まれるダッケ、彼は
「助けてくれ~!ウスティオのみなさん!不法侵入取り消しますから!今までの暴言を撤回しますから!」
「見苦しいな、言い訳は冷たい空気漂う軍法会議で聞きましょう。連れて行け!」
「はっ!!ほら歩け!貴様みたいが司令とは反吐が出る!」
元から嫌われてたのか、警備兵に罵倒されながらダッケは叫びながら連れ去られていく。これで一段落か・・・その時、カロンはミナーを見ると
「申し訳ありません、カロン准将、私は・・・」
「いやいや、君はこの事件に全く関わっていない。それよりも早く現在進んでしまってる作戦を止める事をしよう」
「はいっ!」
カロンとミナーは、この基地の作戦指揮室に行く
1040hrs
作戦指揮室
「おい!この作戦担当者は!すぐに作戦中止させろ!他の基地にも連絡しろ!理由は俺が話す!」
カロンが入るなり、宣言する。しかしその前からすでに仕組まれた戦争としてみなが作戦中止に奔走している。その光景を見てた時
「ああ、准将殿!大佐殿!大変です!」
「どうしたの?」
パソコンを覗いてた隊員が大声で呼ぶ、2人は駆け寄り
「さっきから情報部隊としてオーシア軍などの国防省ホームページを観察してたのですが、ここに、アピート市が・・・」
「・・・なっ?!」
「どうゆうこと?これ?!」
パソコン上に載ってた衝撃
アピート市空襲など有事発生時避難場所
アピート国際空港滑走路
最大の危機がアピート市民に迫ってた。そして特殊戦術航空団は、緊迫の戦いを繰り広げていた・・・。
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