ACECOMBAT if ~全く違うzero~ 作:夕霧彼方
オーシアは長い暗黒期がはじまっていた。
まず、絶対勝利を信じていたオーシア軍が、まさかの侵攻失敗、さらに首都まで爆撃を受けての降伏をした。
オーシアの歴史上、奴隷解放などの南西戦争以外では初の外敵攻撃だった。
オーシアの経済はまず、北部の綻びから崩壊が始まっている。北部にある、世界三大自動車メーカーが集結する地域は、爆撃や、オーシア軍の接収で相次いで閉鎖、これにより自動車生産は大打撃を受け、失業者数がウナギ昇りになった。
また首都オーレッドでは、降伏により隠された情報が全て流れ、デモ行進が始まっている。さらに、迫害を続けていた北オーシア大陸西部に済む原住民オーシア人が蜂起して一部小競り合いが勃発。
そしてこれが一番の問題だが、オーシア海軍強硬派が無理やりオーレッド湾に艦隊を集結させて、しかもFCMBの攻撃で多数浅瀬地帯に沈み、掃海しないと、大型船が通れない地域が多数発見される。
とどめは賠償金である。この戦争はオーシアが始めて、オーシアが負けて終わる、完全にオーシアが悪い戦争になっている。ここでは弁解の余地も無く、オーシア連邦はFCMB加盟国に対して、復興費用肩代わりで、推定、年間国防予算2年分を払う事になると言われている。
オーシア連邦議会は未だ機能不全だが、今日の午後にはハーリング大統領の演説で
連邦警察及び警察行政の予算を削減
オーシア全軍合わせて、2万の将校、20万の下士官兵士を解雇、今後6年間、新兵器開発全面凍結、新入隊希望者例年の30分の1に削減
オーシア連邦海軍で損失した空母補填はせず、今後は世界各地の部隊を引き下げを決定、地球全9軍に分けてた組織編成は世界3軍、最終的には総軍として一個にまとめる。
殉職者の軍人恩給一時見送り、旧式武器を全面開放、今後導入する兵器全面キャンセル。
他公共事業、非公式の公的資金凍結、特殊部隊削減方針を打ちたてた。
しかしそれでも、証券会社も混乱で休業、経済が停滞、連邦準備銀行は買いオペレーションを続けるが、長期融資の申請殺到で処理が間に合わず、当面の失業率、インフレ率が急上昇は確定していた。
FCMB諸国も次々と声明を発表する。
ウスティオは、未だ抗戦を唱えるユーク軍、オーシア北部軍との完全決着後、オーシアとは円卓永久不可侵条約締結と5年計画で軍縮を進めると発表した。
具体的には、予備機含め700機以上有してた戦闘機部隊を高齢パイロットのジョブチェンジ推奨と傭兵航空隊縮小で予備機含め450機体制にする。
陸軍は、5個軍団体制を方面軍に改称、准師団、旅団を増加して、今までの兵員の約20%削減を目指す。さらに、機甲部隊はアリエテ次世代のMK3または新世代戦車導入で削減する。
オーシアとの軍事緊張が解けた結果、だいぶ軍事縮小をしたが、今も警戒は解けず、今後も資源輸出の大規模な資金で国力以上の戦力を有する。
サピン王国は、アリシア・ラン。エリーゼの号令で、軍隊は縮小も拡大もせず、戦時前の戦力を今後も維持する事を決定。
オーシア湾の壊滅は、同じ対岸のサピンも早急に対処しないと、海運に影響を及ぼすので、オーシアと共同で掃海を開始する予定である。
今回の開戦が遅かったため、サピンの被害は極小だった。
レクタ、ファトは、ベルカ連邦の国家事業を受け入れ、協調体制に、特にレクタはこの5年間で、GDPは2倍になると試算される。
ファトは、潜在の先進工業力を使用して、急成長を始めている。
最後はベルカ連邦、
ベルカ連邦は大規模な軍事力を世界に派遣、オーシアの代わりの世界の警察になろうとしている。
そして、海軍国家ではないが、大型空母艤装中の1隻から追加で2隻、空母戦闘打撃群構想を発表する。
この増強計画は事実上、FCMB加盟国も自分の国の配下という目論見もある。
ちなみに、5年後のFCMB加盟国が発表する軍備構造は、オーシアを越える軍事力になり世界トップになるとみられる。
3/7
2358hrs
ヴァレー空軍基地
基地内はまた哨戒の部隊以外、完全に静寂になっている。
他はオーシア降伏で、ひとまずの危機が去った反動、またはオーレッドで見た無差別爆撃を忘れたいかのように酒を煽って寝ていた。
1人の男が公衆電話の横で腕組んで待つ。彼はラリー・フォルク
コインを持って、時間を待つ。そして秒針短針長針全て重なった時
「よし」
彼は呟くと、素早くコインを10枚入れて、国際電話、そして1分以内に少し長めの電話番号を打ち込む。これによりある場所に繋がり、そして記録が残らない。
コール音は1回、すぐに繋がる。
「はい、ニストラクチャー、推進事業部です」
無機質な女性の声、ラリーはすぐに
「天は開かれた、今こそ世界に線を無に、片羽だ」
「・・・・、ようこそ、少々お待ち下さい」
女性は少し和らいだ声で電話に待機のコールが鳴る。
しばらく流れてたら、
「ようこそ、部長のブンナーだ」
「茶番はよせ、魔術師、俺は早く済ませたい」
「まあまあ・・・とにかくオーレッドは御苦労だった」
「ちっ、あんな腐った作戦、俺は大嫌いだ」
ラリーは心から嫌悪感を吐きだす。
「それで・・決心したか?」
「ああ、今すぐアジトを教えろ、行ってやる」
「それは駄目だ」
魔術師は即答
「君は少し焦り過ぎだ・・・これからの作戦行動中に君を絶対に迎えに行く。だから待て」
「・・・信頼していいのか?」
「ああ」
ラリーは怒りを我慢して冷静に言う。とにかくもう失望した。
「・・・・分かった。出来るだけ早く来てくれ、魔術師」
「了解した。これからもわが社を御贔屓に、それでは」
魔術師は電話を切る。最後までしらじらしい奴だ。
ラリーは受話器を置くと、ため息をついて
「ふっ!」
ごっ!壁を殴りつける。
「今は我慢だ・・・国境を消すまでの我慢だ・・・」
ラリーは静かに呟く。
3/8
2415hrs
北オーシア大陸、ベーリング海深度400m
超深い海の中、月の光も入らず、変温もとっくに過ぎた冷たい海の中。そこに無音航行をする超巨大潜水艦。
シンファクシ、リムファクシを遥かに上回る大きさ、しかし人員は、通常動力潜水艦並の人数の世界最強の第3番艦、ナグファルム
この艦は、複雑に見えて、非常に簡素である。ソナー、操舵、VLSからの弾道ミサイル巡航ミサイル、人工衛星と通信する装置、それだけだ。本当に照準は人工衛星任せの超大型潜水武器庫である。
その中で、艦長、グリス・メナット少将が発令所に座る。そこに
「艦長」
「なんだ?」
副長がナグファルムの解読装置以外では読めないメモリーを渡す。
「ユーク中央海軍本部からの緊急らしいです」
「どういうことだ?」
グリスはメモリーを解読装置に入れてロードする。そして、グリスしか読めない暗号文が浮かぶ。
「・・・・!」
グリスの顔が少し驚く。
「艦長、なんと書いてあるのですか?」
「ふむ・・・君にも見せるか」
指紋認証で、ユークの文字に代わる。
「これは・・・この命令は?!」
「もうオーシアは死にかけてる。北オーシア軍も、続けようにも兵士が動かない・・・これをカンフルに最後の突撃敢行をさせるつもりだな、我々もオーシアが動けず、資源二大産出国の片割れが倒せないなら、最後ぐらいトラウマを植え付けようというわけだ」
「しかし・・・ばれませんか?」
「うちの武器はこいつみたいにステルスの高い奴だ、まあやるしかない」
グリスは伝令通信機を持つ
「発令所より、我が艦はこれより北オーシアにカンフル剤を打ち込む。全クルーに告げる。これは最大にして最悪の作戦になるだろう。しかし我ら誇り高きユーク海軍、中央の命令を完遂することを誓う。同志よ付いてきたまえ!以上!」
グリスは通信を置くと
「さて・・・忙しくなるか・・・」
これからの作戦に戸惑い少し、興味を沢山心に秘めて、発令所から出る。
時を巻き戻して・・・
3/8
0900hrs
エウレノ空軍基地
中隊規模のハンガーには、2人の姿
「だから~!これじゃ強化の意味ないじゃないですか?!」
「揚力と機動性が確保できない前進翼を提供するつもり?」
「今世紀最大の技術革新レベルと断言しても遜色ない仕上がりを?!」
「まだよ・・・あなたは詰めが甘いわ・・・」
敬語と暴言が混じってるセアラに軽く返すジャスミン。
彼女の愛機、SU-47で議論は白熱をしている。
元は技術職だったため、セアラは気を抜けばすぐにジャスミンに論破されるので、必死の攻防が繰り広げられていた。
とは言っても、明日にはベルカ西部国境線、北オーシア軍最前線に投入されるために、今日には改修を済ませないといけない。ジャスミンはこの4日間、話続けて、楽しいと実は思っている。なので・・・
「とにかく今日までには片を付けませんとね!」
「別に今日までじゃなくていいのよ?」
「はい?」
セアラが傾げる。そして思いっきり嫌な予感しかしない
「私が申請して・・・ほら」
ジャスミンが出してきたのは、IDカード、しかしただのIDカードでない。なぜベルカ空軍紋章?
「あなたは正式に、北オーシア鎮圧の期間中、私の専属整備士になるのよ」
「・・・・・、はい?えっ?ちょぉお」
「光栄に思いなさい、私があなたをいじめてあげるから・・・」
ジャスミンが妖艶な笑みを浮かべ、高い身長から低身長のセアラを見下し
「理不尽だーーー!!!!」
セアラは叫んでいた。
さらに、この専属という話を聞いた、紳士さんがた暴走、セアラはさらに理不尽な目に遭ったという・・・。
1000hrs
サピンウスティオ国境線、シルバーマーク基地方面
空には、武装を最低限にしかしていない、平和そうに見えて大編隊が飛ぶ。
アピート市を吹き飛ばそうとするのを防いだ前代未聞の航空部隊、特殊戦術航空団所属の、サザン、トゥル、バッカス、メビウス、そして226大隊を運ぶ輸送機だ。
彼らは祝勝会を開く暇がなかった。
帰還した直後には、アピート市での事を朝から晩まで延々と話して、終わったら、すぐに北の守りに投入されることが決定していた。
巡航ミサイルとアピート国際空港に用意されてた、大量の空中給油機、中には航空燃料でなく、特殊揮発性のいわゆる燃料気化爆弾系統の材料が詰まっていたと判明した。もしそれに着火すれば、空港はおろか、市街の7割が爆風で崩壊する試算が出た。
調査中言われているが、実際にはどこまで調査が出来るか分からない。
これはカロン司令から教えてもらったが、この多国籍軍は、国境をなくし、全ての国を統一、融和させようとする、国境無き世界の仕業と推測される。そしてそのクーデター組織は強大で、今回の戦争の張本人、アップル・ルルースをそそのかしてから始まり、多数の国の上層部を操作したと言われている。
そして北オーシア軍も、最近は活動が活発になり、ハーリング政権の軍事凍結制裁を受けてないレベルにまで軍隊の再編成が出来てると聞いている。しかしまだ士気が高いわけでないので、なんらかのカンフルが必要だが・・・。
そのため、ベルカを中心に特殊戦術航空団は全機北オーシア警戒、及び国境無き世界に柔軟に対応する即応命令が発令された。
俺達は特別に南部のシルバーマーク待機、場合によって重要物資運搬護衛や哨戒飛行が決定している。
「「はあ~・・・」」
ため息ついてるのはトゥルの2人、相も変わらずの密集編隊。
グレンのSU-50の愛称がエレンシルフィード。
こいつの機体のエレンの部分、皆様、おわかりだろうか?ヒントはエレノアの愛称・・・・とりあえずどうしようもない・・・。査問会の合間も愛を育んでたらしいので・・・たまたま呼びに行かせたホークが扉前で骨抜きになっていた。
「祝勝会!戦勝会!慰労会!どの口実が一番OKかな?サザンリーダー?!」
「ん~、とりあえず、特殊戦術航空団に来た今、どの口実も即却下の可能性しか感じないが・・・」
厳戒体勢だし・・・。
「それじゃあ航空団初戦果会!」
「この戦いは緘口令敷かれてるぞ!」
「くぅぅぅ・・・」
オリビエは引かない・・・その時
「おい、バッカスリーダー、これ以上の発言はゆ・る・さ・ん」
言葉の一語一語に力をこめる女性、ミナー司令
「え・・・いやあの!」
「言いわけ聞かんぞ?最後通牒だ」
「サーーイエッサー!平和になるまで禁酒します!!」
オリビエ即座に変更した?!
「たく・・・まあしばらくは査問会続きだったから・・・慰労程度は・・な」
「はい・・・、てことは?!」
「ああ、いいだろう。しかしこれ以上口出しは厳禁だぞ!」
ミナーさんはやはりツンデレだった!バッカス隊全員無線封鎖して喜んでるよ。こんなの無線で流したらパンクする。
結川が笑った時
「メビウスよりサザン、バッカス・・上」
アイノから冷静な声、無線を止めて聞こえないオリビエに向けてハンドサインで上を向かせる。
「なんだ・・・あれは?」
バッカスの声が真剣に戻る。どの機体でもない、見たことがない特殊な機体・・・いや、F-15にも見えなくもない機体が俺達の上を飛んでいる・・・。
「レーダー感知なし・・・4、どうだ?」
「・・・駄目です、高性能なECMか・・・それともなにかの撹乱システム?」
「というよりいつの間に来てたんだ?!」
「知るか、サザンリーダーより、各リーダーはあの航空機を囲むぞ、他は広範囲警戒と輸送機護衛だ、UC-2部隊!緊急!高度を2000フィートまで下げろ!」
<<了解した>
「護衛に回ります!」
次々と散開していく部隊、そして高度を上昇させる隊長機たち、全員エース、最精鋭特殊戦術航空隊の仮結成だ。
高度12000フィート
かなり高い高度にそいつはいた。
「マークは?」
「確認できない、国籍不明・・・場合によっての交戦許可は?」
「ウスティオ領内侵入であとでシルバーマークにごり押しすれば行ける。なので必然的に俺か、バッカスリーダーが攻撃開始する、緊急無線オープン」
結川は機体を眺める。・・・これ、エースコンバットのどこかのステージで・・・とにかく
「こちらウスティオ空軍である、ウスティオ他FCMB空軍なら貴機の所属、階級を答えよ、そうでなければ相応の処置を取らせてもらう」
相手からは無言、後ろにつく結川とオリビエはレーダー照射を開始する・・・刹那
「ん?HUDがおかしい?」
いきなり目の前のHUDが歪む。
「・・・!特殊妨害電波!ブレイク!ブレイク!」
「「っ・・・!」」
増援に来たエリーゼの言葉に、囲ってた4機が一気に散る。
「危なかった・・・あれはX-47でも使用されてる特殊マイクロ波に似ています!」
「あんにゃろう!」
グレンが切れる。確かX-47のさっきの攻撃でやられやんだっけ。
「敵逃げます!」
「ちっ・・・サザンリーダー!ウスティオ領内緊急撃墜対象発見をみなしこれを排撃する!セーフティーアウト!FOX2!!」
結川が宣言すると、2本のAAMが空を翔る・・・しかし
「なっ・・・」
信じられない光景だった。AAMが完全にどっかの方向に行く・・・てか
「サザン!1本地上に行った!」
「自爆させるぞ!」
緊急自爆ボタンで爆散させる。
「くそ!追撃を許可してくれ!叩きおと「やめろやめろやめろ!!!交戦中の部隊に告ぐ!今すぐ戦闘を中止しろ!」??!」
いきなり警戒レーダーサイト群からの緊急無線、グレンがすかさず
「しかしあれは国籍不明の奴だ!敵ならどうする!」
「ベルカから緊急入電が入ったんだ!試験機をそちらに飛ばしてると!対IFF反応、レーダー反応極小隠密装置の試験飛行だと!」
「んな話聞いてるかぁ!!落とされかけたんだぞ?!」
「俺達も聞いてねえよ!!しかしな!これはベルカ政府からの直々の通達だ!今の攻撃は、不明機に対する立派な処置として水に流すが、これ以上は法廷に行くぞ!完全ベルカ有利のな!」
管制官は冷静をなくしてまくしたてる。
「・・・・くっ・・了解した・・・通常に戻る・・・」
「理解に感謝する」
通信が切れる。
「トゥルリーダー・・・落ち着いたか?」
アイノが聞く。彼女は落ち着きすぎだと思うんだ。
「ああ・・・バッカスリーダー、今日は呑むぞ!!」
「待ってたその言葉!この怒りは今は酒で沈めて、あとであの機体を沈める!サザンももちろん?」
「参加するよ・・・俺も今最高に腹が立ってる」
結川は言いながら、あの機体はなんなんだ・・・と去っていく際残した敵の飛行機雲を眺めて考えた・・・。