ACECOMBAT if ~全く違うzero~ 作:夕霧彼方
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1200hrs
北オーシア大陸北方、ファト連邦経済水域25マイル手前
ファト経済水域手前で漂流する艦
オーシア海軍第3国防艦隊、戦時特別編成、北オーシア東方哨戒地域担当旗艦、空母「ケストレル」
この艦はベルカ、ファト連合軍が北オーシア大陸を東に回り、オーレッドに回る首都東廻船ルートの海上封鎖の為に派遣された。
しかし、開戦後西廻船ルートに居た第2国防艦隊壊滅から始まり、徐々に補給や増援が減少、さらに西廻船ルートの封鎖の為に第3国防艦隊はかなり広範囲に人員が割かれ、現在ではこの艦隊も開戦時12隻あったが、現在では、激しい空戦での消耗で既に箱と化した空母、情報収集船「アンドロメダ」、そして警護の駆逐艦、ネベロサーニ級駆逐艦「ダッチャー」、「サーニバル」、コロニー級高速ミサイル艦「ピック」、そして虎の子イージス駆逐艦、ゴンゾーナ級「シークラル」、最後はベルカからどこに密輸するか分からない、戦闘機のパーツを大量搭載した拿捕した大型貨物船、既に中身のほとんど、乗員ははケストレルに移送が完了しているので、放棄可能だ。
そしてそのケストレル艦内
「艦長・・・海軍本部からファト通行同時にベルカへ制圧攻撃作戦を始めろと・・・」
副官のバック・ヒィアー中佐が言う。艦橋で外を眺めていた退官間近の老練な男性、彼は帽子を脱ぎ、綺麗にオールバックで整えられた白髪を撫でながら振り返る。
ケストレルを今まで激戦の中、無傷に導き、圧倒的統率力で例え仲間が空で、海で散って、沈んでも、次の戦いまでには士気を戻して、どんな不利の状況でも戦って来た人。
ケストレル艦長、ニコラス・A・アンダーセン大佐
「負け続けの我々に何を期待してるのかね?そしてここまでの損害を出して労いの言葉無しとは・・・悲しくなる軍隊だな」
決して大声でない、しかし誰もがその言葉に重く感じる。
アンダーセンはどんな時も部下を見守り、オーシアを今も愛している。しかしあまりにも報われない。今ではこの艦での生き残りパイロットは、対潜哨戒機、早期警戒機、そして戦闘機はソーズマンこと、スノー大尉他数人のパイロットだけだった。
「こう電文を返せ、我々はもはや箱の船、飛行機の内空母はただの船です。そんな船は昼寝をしていますと・・・」
遠回しにはっきりと命令拒否、ヒィアーは何も反論せず、ただ
「了解いたしました」
と敬礼して立ち去る。既に戦力が無に等しいのは本部も分かっている。ただ更に上層部がうるさく言ってるので渋々打電をしている。でなければこの4回目の命令拒否はさすがに艦長更迭かそれに類する処罰が下るはずだ・・・。まあ、この艦長の真の実力を知らない者は、ただの腑抜け老人としか見ているのかもしれない。
「さて、我々は本当に昼寝をしていた方がよろしいのかな?」
アンダーセンは艦長席に座る。クルーのほとんどはこの動かない船の為に体を休めている。本当に昼寝をしてしまいそうだ・・・と、うとうとし始めようとしたその時
「艦長!」
「何だね?今度は本当にやらねばならないのか?」
ヒィアーが文字通り転がりこんでくる。アンダーセンは席から立ち上がり聞く。しかし彼の表情は真剣で
「打電です・・・ベルカのザンナル上級大将、及びハーリング上院議員からです!アンドロメダに非常に高度な暗号文で送られてきました」
「敵国から?そして行方不明のハーリングからか・・・」
アンダーセンは驚きながら、打電文を受け取る。打電の内容は艦長級の者にしか教えられてない通称コードEという暗号文。文字を目で追いかけ、理解していくと・・・
「・・・、なるほど・・・、負け続けの我々にも、勝機の気が見えてきたようだな」
「・・・え?」
アンダーセンは艦橋にある通信機の通話口を持つ。ここに居る友軍艦全クルーに聞こえるように通信転送もして用意する。そして
「ケストレル艦長にして、この艦隊司令より命令を発す、その前に・・・特殊無線であるため、ブラックを止めろ」
この言葉にクルーがざわつく、特殊無線でブラックを停止とは、非常に高度な、友軍にも漏えい絶対防止の超絶対命令、ブラックボックスの停止をして、作戦記録すらも残さない。同時にその艦に関して、その時の発令いかんに関しても本国が察知してないという完全自己責任というシステム。
全艦からブラック停止の報を受けると
「今から伝える任務は、君たちがいかなる状況下におかれたとしても、絶対に他言してはならない命令である。それを心してから聞いてくれ」
アンダーセンは間を置いてから
「アンドロメダに秘密通信が入った。発信はハーリング上院議員、そしてベルカ陸軍地域軍長、ザンナル上級大将からだ」
クルーのほとんどが驚きに包まれる。
「通信内容はこうだ、今より我が艦隊はオーシア海軍より離脱、北オーシア大陸に接近する、ユークトバニア海軍ナグファルム撃沈、及び、国境無き世界に拉致をされている、ニカノール元首首相を救出する秘密部隊を支援する。具体的にはベルカ経済水域内で待機、秘密部隊が救出成功次第、その部隊も回収する。
ベルカ領域内では、ザンナル上級大将の圧力で、そして絶対に近い未来、オーシアは降伏をする作戦は展開を開始している。危険性は大分低くなるが国境無き世界、ナグファルム、そしてユーク軍・・・負け続けの私だが、それでも信じてきてくれる戦士たちよ・・・どうか、私に力をくれないか?」
アンダーセンが言い切る。通信機からはだれからも無言だ。しばらくの沈黙が続き、3分たったころ
ギュオオオ・・・
重低音なガスタービンエンジンが轟く。最初に動いたいのは、一番機動力あるピック、そしてその後ろから次々と動き始め、ケストレルを囲いこむように、デフコン1レベルの重装甲体制に移る。つまり、全員参戦・・・。
アンダーセンは目を閉じ、そして通信機を持ち
「ありがとう、君たちの働きは後世に語り継がれることは無いかもしれない、しかし歴史の一部に、縁の下での活躍は絶対に残るだろう」
通信を置くと
「全要員に告ぐ、我々は今より作戦を開始する。針路2-8-5!速力20ノット、ファト領海を迂回しつつ、対空警戒、そしてベルカに入る、以上」
「針路2-8-5!速力20ノット!対空警戒~!」
「対空警戒~!!」
「船起動開始せよ~!!」
クルーが一斉に動き出す。生き残り5000名あまりが目の輝きを取り戻して、働き始める。
「艦長、こんな放送したら・・・」
「ふむ、そろそろだろう」
ヒィアーは声を出し、アンダーセンがにやりとする。
その時、艦橋の梯子、廊下から走る音、そして
「「どうしてそうなったーーー?!?!」」
「おお、ジャスト」
突入してきたのは、海軍航空隊、マーカス・スノー大尉、そして、サンド島取材の対象、ジャック・バートレットが行方不明で、急遽ケストレル従軍取材に変わった、アルベール・ジュネットだった・・・。
私はいくつかの激しい戦いをケストレル甲板から見た。艦は12隻の内、撃沈2、中破、航行不能2、曳航兼護衛帰還担当で2、残りは6隻、そして戦闘機は10機も満たない数字になっている。
従軍取材を通して、私はこの戦争の見えない部分をたくさん知る。
そして忘れられない3月4日、アンダーセン大佐の言葉で、作戦は始まる。
私にとって忘れられない、絶対に世間に出ない、一代スキャンダルの軌跡、ここに記す。
オーシアタイムズ、非常勤契約フリージャーナリスト
アルベール・ジュネット