ACECOMBAT if ~全く違うzero~ 作:夕霧彼方
核が起爆された後、十分たたずに北オ―シア全域に一斉にラジオ放送が流れた。
北オ―シアに七発の核が起爆された、犯人はもちろん敵連合で唯一核保有国ベルカの仕業である。
罪無き市民を殺す鬼畜ベルカを許せるか?否、我々は報復すべきである。
ベルカを許すな、同じ苦しみを与えろ、銃を取れ、手段を選ぶな、殺せ、踏みにじれ、蹂躙せよ。
綺麗事を叫ぶな、考えるな、ただ殺せ。
諸君らの奮戦に期待する。
全く事実と異なり、オ―シアの自作自演は歪曲され、ベルカのせいになる。
しかしこのおかげで北オ―シア残党軍、及び州兵、自衛用に小銃を持つ市民はラジオ放送が真実と信じ、負傷した兵士は殺し、銃が持てるなら前線に立ち、約4万の混成軍[軍と呼べる程命令系統も作戦もない]が怒号を上げて北オ―シアベルカ国境線で人海戦術で3日間に渡り突撃が敢行された。
少ない所は3日間で5波、多い所は大小あわせて30波を越えた。
対してベルカもFCMB諸国から将軍を召喚する。
機甲を率い、兵士を命知らずの馬鹿者にする事が出来るウスティオの猛将フェルナンデス元帥
防衛戦と兵站術の指揮に関しては世界に比肩する者は居なく、後進国にもったいないレクタの智将ダ―ダ元帥兼暫定大統領
精鋭無比で薫陶を受けた部隊はどんな不利な状況においても作戦を成功する化け物にして、世界に通ずる直轄情報部を保有、実質陸軍元帥のベルカの名将ザンナル上級大将
以上の3人の指揮は完璧で、全戦線に渡り急場凌ぎの防御ラインにも関わらず3日間の猛攻を耐え抜いた。
そしてそれ以上に戦ったのは、上の指示を聞いて手足のように戦った兵士達である。
これは3日間で三大激戦と称された場所の兵士達の奮戦と苦悩である…。
3/12
1005hrs
ベルカオ―シア国境線
「敵襲―――!!!」
臨時で作られた物見櫓から監視兵が叫ぶ、やっと朝飯を胃に収められた奴らはまた地面に献上決定の瞬間でもある。
そう言う自分も飯は食べれても、睡眠不足体は疲弊して、もう何波目か分からない敵の攻撃に頭はボ―っとしながらも手にはG-3を持ち、足は持ち場に駆け出している。
俺の名前はシクリア・サルス、階級は上等兵、高校卒業後就職先が無く、仕方なくベルカ陸軍で18から3年間任期軍人を二期経験ののちに予備役登録除隊。その後はここから真逆のファト連邦に近い街の百貨店の正社員で販売営業をしていた。
しかし先月から始まったこの戦争にベルカは任期二期経験以上の予備役全投入を決定したので、戦場にただいまだ。
目の前にはついこないだ戦争とは全く関係なく先週、上流で起きた土砂災害で川がせき止められてしまい、深さ1.5m川幅120mの川は完全に干上がった。
支流には対処能力はあるが、雨が降れば増水で支流か、最悪本流決壊の鉄砲水可能性は高い。
既に工兵部隊が開通作業をしているが、まだ時間がかかりそうだ。
渡河も難しいので今まで自然の防衛線となっていたが、今はそれが無いから目の前に敵がわらわら。
緊急事態の為に、戦線が長いが、一応はとシクリアが所属する連隊がここの防衛にまわされた。
背後には数個の村と人口10万の街が一つ。
だから死守をせねば街の人間が蹂躙される。
今はその激励だけでこの連隊だけでは戦線が長すぎる地域でも、吐こうが仲間が死のうが戦っている。
「規模は中隊規模だ!」
「戦車は無いな…対戦車兵器は使うな」
「なにそのきつい縛り、また小銃だけか!」
「悲しいけどそうみたい!」
敵が迫る、監視所から全員が土嚢の陰に隠れて待つ。
「300m…200m…」
監視員の声に一同が覚悟する。そして
「川の土手を越えた!射程圏!」
「構え!!てぇ――!!!」
「Yheraaa!!!」
一斉に土嚢から体を出し、G-3を構えて引き金を引く。
幾重もの火線が敵を引き裂き、時には急所にあたり即死し、またはいくつもの穴を作っても突撃しようとする奴もいる。
敵からも走りながら乱射してくる
「くそっ!ジンがやられた!穴の分頼む!」
「おい!なに銃を空に向けて……死んでるのかよおい!」
「ラァァァ!!!」
1人のオ―シア兵が駆け上がり、土嚢の前に来ると
「怨むなよ!!!」
シクリアは銃床で思いっきりそいつの顔に一撃を食らわす。
嫌な骨の砕ける感触を感じたあとに、敵は来た道をズルズルと滑り落ちる。
20分程度であっけなく敵は全滅した。
こちらの損耗は犠牲者3、後方へ搬送が1、他は引き金引けるからここで治療する。
しかし随分と数を減らした。
監視所のテント群中央の集会場で水筒の水を少し飲み
「次は保つか……」
「悩むな〜、禿げるぞ〜」
「……、なあ、お前のその気楽さ、いくらで売っている?」
「天性という名の至高なものさ!非売品だ!」
「……そうか」
若干引く答えをするシクリアと同じ連隊に所属し、戦時緊急徴集の民兵にしては肝が据わっている男、ホルシア・ネックである。
まあどの戦線でも同じ所を担当してるので、軽口叩き合える仲でもある。
「まあ未来の分隊長は大変ですな?」
「……いつ知った?」
「結構有名だぞ?」
シクリアが視線を集会場に移すと、全員が目を背ける。
おい…お前ら…
「まあ教えたのは俺…が!」
「よ〜し、死ね、一度ならず二度死ね」
「ちょっ!おい!シクリア!ホルシア締まってる締まってる!」
「当たり前だ!本気だからな!」
「シクリア分隊長ご乱心だ〜ホルシア助けるぞ〜(棒)」
「お〜(笑)」
「よ〜し、お前ら覚悟しろぉ!!」
シクリアはこの戦争終結後、正式に軍に入隊して分隊長の後に小隊長候補にならないかと誘われている。
彼は特別知略に優れたり、または特殊部隊レベルの特技は無いが、彼に関わった兵士は基本士気が維持され、発狂しないで、こんな漫才に笑えるのである。
これは凄い事であり、他の兵士は吐いたり、自殺か脱走したいと思っている中でなのだから。
しかしシクリアは断ろうと思っている。それをする柄ではないし。
この戦争が終わったら軍人恩給貰って平和に暮らすんだ…と死亡フラグ立ちまくりの考えをしている。
しかし、こんな逸材を失いたくないベルカも結構粘り強く交渉に来る。
そんなじゃれあいをやっていたら
「お―い、ちょっと聞け―」
間延びした感じの声は、この監視迎撃地域の隊長で直属の中隊長、パリセル・キッカ―である。
全員一時争いをやめ[ホルシアダウン]そちらを向く。
「隊長自らとは…どうしましたか?」
「うん、悪い知らせと最悪な知らせと死にたくなる知らせがある」
「「「…………」」」
どれに転がっても絶望じゃないか…
「じゃあ軽い方から」
「よし、悪い知らせは、やはりヘリ部隊も地上補給部隊も、核の影響や他の激戦地域に回されて、まだ余裕のある私達は後回しになった」
「ああ…」
弾薬は確かにかき集めればそれなりにあるが、食料が無い。補給が無いのは正直辛いが仕方ない。
「次、最悪な知らせは工兵部隊が攻撃受けて、さらに野戦攻撃で決壊寸前のこの川上流が明日にも決壊して鉄砲水が来る」
「「「………」」」
鉄砲水が来れば、近くの村の人は既に街に逃げているので大丈夫だが俺達が大丈夫じゃない…。
「戦線を後退して新しい防御陣地の構築は?」
1人が言う。
確かにそうだ、鉄砲水が来るなら、盤石な体制を放棄するのはきついが、後方に陣地を置く方が…
そしたら中隊長は…
「そして死にたくなる知らせは、この監視地域から真っ直ぐ15km先に一個大隊と野戦部隊、そして戦車数両が接近中、明日会敵予定だからこの防御陣地を捨てて新しいのにしたら自殺行為、だから本部は鉄砲水が来るギリギリまで戦え!!」
「「「………………………」」
言葉に出来ない…。