ACECOMBAT if ~全く違うzero~ 作:夕霧彼方
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1700hrs
ベルカ国防省全軍指揮作戦センター会議室
「い、一体全体・・・どうゆう?!」
「驚かせて申し訳ない、色々と事情がありましてね。現在は空母ケストレルにお世話になっています。フェルナンデス元帥、配慮に感謝したい」
「もったいなきお言葉です、閣下。同時にこの場での情報提供、一同を代表して感謝します」
フェルナンデスを筆頭にザンナル、ダーダも恭しく頭を下げる。
「いやいや、君たちが派遣してくれた・・・おっと、これは秘密だったな」
「ええ、できれば墓場まで他言無用で」
ユーク元首首相、ニカノールが笑い、三人もつられて笑う。
「ケストレル・・・てオーシア空母の・・で、ユーク元首・・・でFCMB本部と交信・・ええ?!」
全く追いつかないベリーはただただ首を左右に振り狼狽する。
「ど・・・どうゆう」
「まあ追いつかないのはわかるよ。簡単に説明しよう。今回の戦争、ニカノール首相閣下は全く関与していない。そのまえに書記長クラスの好戦派に幽閉されたからな」
「はいぃ?!」
立場を忘れて叫ぶベリー、はっとして口を閉ざす。ザンナルは笑いながら
「いやいや驚かない方がおかしいものだ。さてベリー君、司会進行を再開したまえ」
「は・・・はっ!」
すぐさま通常モードに戻るように努める。
「そ・・・それでは、潜水艦について、閣下の情報を頂戴したいのですが」
「うむ分かった・・・といいたいところだが、詳しい説明は彼女がしてくれる。頼んだぞ」
「はっ、閣下」
画面上からニカノールの姿が消えて、代わりに出てきたのは妖艶な女性。寒いのかコートを羽織っている。
そのコートはユークの佐官官給品、バッジやワッペンの特徴、首相と共に居るところを見ると情報部政府高官付の少佐か中佐・・・これでも情報本部士官、このくらいの特徴は見抜けなければ失格だ。
しかし、サングラスを外した彼女からあふれる魅力は正直怖いものがある。
「なんとお呼びすれば」
「謎の女一号で結構よ。ベルカの情報士官さん」
「はっ・・・はい」
さらに謎が深まったよ・・・まあそんな私用はどうでもいいとして。
「では謎の女さん、改めまして、此度の潜水艦についてを」
「ええ、いいわ。その前に閣下たちに一つお願いがあります」
「なんだ?」
ダーダが代表して聞く。
「私たち同胞の汚点は私たちとケストレルに同乗する協力者達で片付けさせてください」
「つまりは手出し無用と」
「はい」
ザンナルの問いかけに彼女は即答する。
「どうする?」
そのまま彼はフェルナンデスに問いかける。
彼はしばらく黙ってから
「俺たちは反攻作戦を頓挫させられ、同胞を千人単位で死傷した。ケストレル、確かに貴艦艦長及び周りの艦も優秀だ。しかし私がつかむ限り、白い鳥も居ないし、エクスカリバーを頼りにしないなら圧倒的に火力が足りない、更に有能でも情報艦はアンドロメダ一隻だけだ。それなら我がFCMB軍の総力の方が遥かに強く探索力も高い、多くの将兵を納得させられる。違うか?」
「・・・おっしゃられることはもっともです閣下。しかし、私たちは私たちで既に位置をある程度つかみ、作戦も完成しつつあります。どうか、我々にチャンスを」
「・・・・・」
スクリーン越しでしばらくにらみ合い、やがて
「くそ、女とにらみ合うのは趣味じゃない!たく、じゃあこちらから特殊航空団一部隊を派遣、これを受け入れるのならば後はお前らの好きにやってくれ」
「配慮、感謝します」
彼女は頭を下げる。
「ああ~、なんか物足りん!」
「おい、どこ行く?」
「少し遊びにいってくる、勝手にやっててくれ」
「ああ、行ってらっしゃい」
「えっ?!どこに?」
フェルナンデスを二人は見送り、またベリーだけ取り残される。
「まあ気にしない、それじゃ本題に行くよ」
「えぁ、はい![俺ってここに居る意味あるのか?]」
段々と意気消沈するベリーであった。
「では本題ですが、単刀直入に言いますと、あの潜水艦は「存在すらしてはいけない」代物です」
「・・・簡潔に説明してくれ」
「はい、時代は1980年代にまでさかのぼります。当時、ユーク政府は核搭載B-52を常時飛ばすオーシアの威嚇に対して、策を練っていました。結論は空がオーシアなら海と、超弩級核搭載潜水艦による超報復構想にたどり着きました」
「それは軍の教本にらら当たり前に載ってるな」
確か1982年に計画がスタートしたはずだ。
「ええ、そして建造4年を費やし、遂にシンファクシ級原点シンファクシ、更に3年後リムファクシが完成しました。しかし完成時にはすでに冷戦、共和国と名のつく独裁体制が同時に崩壊、オーシアと合意のもと核軍縮も始まり、同時に軍事で傾いてた我が国の経済援助の密約でシンファクシ級追加建造、改修を禁止をこの潜水艦構想は潰えたと周りは思っていました」
「と・・・いうと?」
「大体の開発者は研究を放棄しましたが、一部の好戦派、それと研究者により艤装手前で封印された超大型潜水艦を核ではなく巡航ミサイルタイプで開発を再開していたのです。それが今回の艦、コードネームは「ナグファルム」、文句なしの世界最大、最強、原潜内なら一番の静粛性を誇る潜水艦です」
「確かに密約上、「存在してはいけない艦」だな。歴史はもういい、どんな性能だ」
ザンナルが催促する。
「簡単に言いますと、自衛は最少、ただ我が国で、これも研究中止とされてたはずの、燃料気化爆弾より広範囲でナパームよりも性質の悪い特殊固形爆薬搭載の巡航ミサイルをこれでもかというぐらい搭載してる艦です。目標設定は人工衛星ですが、それがなくても、おそらくはFCMB領内の主要データマップはインストールされているはずなので、独断でも目標座標にある程度正確に投射出来ます」
「ちなみに・・・残りは」
ベリーも聞く
「どこまで生産できたかはわかりませんが、もし100発以上残ってるなら簡単に一つ、二つの都市・・・いや国家機能奪うくらいなら簡単にできます。もちろん前線軍にも大打撃です」
「そこまで・・・」
彼女の言葉に言葉を失う。
「とにかく敵は静粛性が高く、ソナー吸収も完備、自衛は最少と言いましたが、場合によってはこのミサイルを海上で爆破すれば、今の最新鋭艦、航空機は簡単に目潰しされます」
「それならばお手上げじゃないのか?」
「いいえ、幽閉されても私は折れない主義ですので。人脈は大事ですね」
「ああ」
彼女が強気な理由がわかった。確かにFCMBで血眼になって探すより、本国の事情通にノックして聞けばいい。
「しかし場所がわかっても海上に出さなければいけない。秘策があるようだが」
ダーダが問いかけると、彼女は微笑みながら
「目には目を、歯には歯を・・・です。ともかく、私たちは二日後に作戦決行を予定しています。増援を寄越すなら早めに決定をお願いします」
「わかった。すぐに返信をする」
「了解しました、それでは、私はこれで失礼します」
「うむ、ご苦労だった。それでは私の方からも話すことはないので失礼させてもらうよ」
「はっ!有益な情報ありがとうございました!」
スクリーン越しで敬礼する謎の女とニカノール首相閣下、ベリーを先頭にザンナル、ダーダも返礼する。
そしてスクリーンの映像が途切れる。
「さて、私たちは情報もらっても仕事がなくなったので防衛戦に集中しますか。ああ、ベリー君、君は特殊航空団にパイロット選定を申請してきてくれ」
「了解しました。それで・・・あの」
「ん?なんだね?」
「あの、失礼は承知でお聞きしますが、フェルナンデス閣下は・・・」
「「ああ~」」
二人は笑いあってから
「「彼はね・・・」」
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0600hrs
国境最前線
多数の戦車が一糸乱れぬスピードで平地を駆け、その後ろには装甲車、トラックととにかく載せれるだけの兵士を乗せている。
その最前線、ベルカ最新鋭サーバル3A2の戦車長席を占領する御仁、通信機を強く握り息を吸い
「貴様らああ!騎士道とは!」
「「「誇りを持つもの心得!!」」」
「自国民を」
「「「愛し!」」」
「弱者は」
「「「救済し!!」」」
「強者を」
「「「粉砕する!!」」」
「貴様らあ!国際法に反するものを許すか?」
「「「否!!」」」
「人間の心を忘れ、同胞を捲き込み凄惨な殺し合いを進める無法の動きをするものを許せるか?」
「「「否!!」」」
「雑魚にわき目振らず、憎しみにかられず、ただまっすぐ突き進められるか?」
「「「応!!!!!」」」
ひときわ大きい声に満足すると
「よろしい、ならば電撃戦だ!補給を考えるな!ただ走れ!こんなバカげたことをする者たちに我らの怒りを浴びせろ!!我慢しなくていい、行け!誰になんと言われようと正義は我らにあり!」
「「「「「「YAHAAAAAAAA!!!!!!」」」」」
4時間後、フェルナンデス元帥によって率いられた一個旅団は野砲の支援射撃も追いつかない怒涛の攻勢により憎しみを作るオーシア、ユーク残党司令部を総攻撃、これを見事に壊滅、ただでさえ足並み揃わぬ残党軍はさらに烏合の衆と化す。
そしてこの日、有史史上最も華麗に成功した電撃戦としてのちに教本に記録されることになる。