ACECOMBAT if ~全く違うzero~   作:夕霧彼方

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新しき平和?

3/13

2200hrs

その日その時間、オーシア国内、いや、世界中の全ての人間が歴史的瞬間を見ようと、テレビに、ラジオにすべてにくらいついていた。

「オーシア、ユーク、そしてFCMBの将兵の皆さん、銃を置いて聞いて下さい」

オーシアの暫定大統領、ハーリングが切り出す。

「我々オーシア、ユークは、一部の人間の暴走により、大陸に、世界を巻き込んで戦争を起こし、核を自爆させてしまった・・・」

ハーリングは淡々と事実を述べていく。

「我々は過ちを犯し、正しいことも述べられない状態になっていた。しかし、素晴らしい友人と理解ある勇敢な者たちの協力により、今、こうして皆様の前に姿を現し、そして・・ユークのニカノール首相、FCMB代表でベルカのヤルタ大統領に来ていただいています、私と、彼らが手を取り合う姿を見て下さい」

ニカノール、ヤルタ、そしてハーリングが手を取り合う姿を見て、更にフラッシュの焚く量が増える。

「オーシアは、北オーシアで抵抗する野戦軍全軍の武装解除を命令します」

「FCMBは直ちに戦闘解除を命令、自衛以外の攻撃は一切許されない」

「ユーク首相より、直ちに全軍の武装解除、戦闘停止を命令する。これ以上攻撃を続ける狼藉は・・・平和と融和の前にひれ伏したまえ!!」

ニカノールのしめの言葉により、全ての国民が沸きたった。

 

ベルカ戦争は未だ軍事政権の息かかったナグファルムの撃沈をしていないので正確には終結していないが、近いうちに完全に終結すると確信している。

 

 

しかし、これから外交の場で戦いが始まり・・・その前に事件が発生し、魔の数か月が始まる。

偽りの平和が始まった・・・。

 

 

3/14

0730hrs

<<エマージェンシー!エマージェンシーだ!どこかの部隊応答してくれ!>>

なんだ・・こちらは停戦監視で徹夜なんだぞ・・・、心の中で管制官はぼやく。

「こちら空中管制、ヘイジン、所属を応えよ、どうした?」

その無線は急に来た、哨戒任務からの帰投の途中であった、E-3が傍受をする。

<<こちらベルカ空軍第226戦術航空隊、ネルター1!緊急通報を受けてイエリング鉱山空軍基地に急行、基地が燃えているのを確認している!>>

「なっ・・・」

管制官の眠気が吹き飛ぶ、そして同時に最悪なものを想定する。

「フレスベルクは?フレスベルクは確認できるか?!」

<<それが・・・妨害電波を飛ばしていた無人機を叩き落として地上の奴らと交信したら、武装勢力に3時間前に奪われたと・・・あと>>

「他にもあるのか?!」

管制官がまくし立てる。ネルターのパイロットは震えた声で

<<鉱山の・・・「ゆりかご」の封印が解けているのが確認できた・・・>>

「・・・その・・その情報は間違いないか?」

<<はい>>

パイロットの確信ある声に、管制官は目の前が真っ暗になりかけた。

イエリング鉱山特別保管庫、通称ゆりかご・・・1980年代の困窮した冷戦時期に開発された戦術核V2の保管場所の一つである。E-3機内はお通夜の雰囲気になる、しかしそこで思考停止してはいけない。

「ネルター1!ただちに空域を禁止空域にする。また、これはベルカ上層部報告まで連合含め緘口れ<<おいこりゃどうゆう事態だ!!>>!!?」

割入る無線、それは

<<こちらファト所属、ブレファーより、緊急通報受けたら、なんでこんな領内奥地が燃えているんだ?!早く通報を!>>

若いパイロットの声、他国の奴にばれた!

「もう・・どーにでもなれ!!」

管制官はヤケになって手元の書類は空を舞った。

 

同日

1000hrs

ベルカルーメン空軍基地

この空軍基地は、元は対オーシアの為の国境基地として用意されていたが、更に前線の基地が出来てからは任務の重要性の低下と同時に、戦闘機の爆音に対して寛容[補助金狙いともいう]な地域のため、戦闘機パイロットの高等教育部隊、そして選抜されたパイロットによる実験戦闘団なども在籍する。

その基地で離れた格納庫に歩く二人の姿。

「いやしかし、君も随分と有名になったものだ・・・いや、前から色々と有名だったか」

「どういう意味ですか」

一人はヴァルキューレ隊のジャスミンである。そしてもう一人が、ジャスミンが唯一尊敬する上官であり、SU-47に乗り方を叩き込んでくれた、カルヌ・メッカー中佐である。

この猛者ぞろいの訓練教官をいなす隊長にして、アカデミーに負けぬエリートパイロットを輩出してきた有名な教官である。

彼の前ではジャスミンでも敬語になる。今回は見せたいものがあると聞いて、後送される途中で下車した。

ヴァルキューレ隊は今回での戦闘機全喪失により、別の機体受領と、休暇になった。まあ、昨晩の内に停戦の合意がなされ、ベルカとユークの兵士が握手したり、抵抗する残党軍が、核の真実を徐々に受け入れて瓦解と降伏、停戦しているとして、大分前線は静かになっている。

ナグファルムに関しては、オーシアユーク、FCMB連合艦隊、空軍によって撃滅作戦を展開するという話は聞いている。この協同作戦は融和の良い宣伝になるだろう。

「それで・・・見せたいものとは・・・基地の随分端ですが」

「まあな~、前線にも出さない予定だったから・・・着いたよ」

N-4格納庫と称される小さい格納庫、カルヌがそのシャッターを開ける、そこには・・・

「これは・・・」

「どう?驚いた?」

ジャスミンはその光景に言葉を失う。

 

独特の前身翼、細長く、けがれなく輝くその機体

X-02ワイバーン

「なぜ海軍の航空機・・・以前にこれはエルジアでは」

「先のユリシーズの救援と同時に結んだ相互条約で青写真をもらい、南ベルカ工廠が作っていたらしい。ただし、これは艦上戦闘用でなく、空軍仕様に改造されている奴で、足回り軽量と、翼の工夫で弱点である戦闘行動半径を伸ばした要撃タイプだであり、2機の予算で3機買える・・ただ整備性と脆弱性に難がありだが」

それにマルチロール主流の時勢なのにな・・・とカルヌは苦笑する。そしてジャスミンは気付く

「もしかしてこれを・・・」

「ああ、君たちの隊なら使いこなせる。そういう上層部の判断だ。残念ながら制式導入は見送りになったが、ここで不良在庫になるなら君たちのような腕の良い人に扱ってもらいたい」

カルヌの言葉に彼女は微笑み

「是非とも・・・我がヴァルキューレ隊が使いこなせてみせましょう」

自信を持って言う。彼もその言葉に満足して頷き

「そういってくれると嬉しいものだ・・・時にジャスミン君」

「なんでしょう?」

上官であるカルヌの問いかけに反応しつつも、ジャスミンは嫌な予感がした。彼の特有のからかおうとしている笑みだ・・・。

「君、随分優しい顔が出来るようになったが・・・男でも出来たか?」

「なっ・・・ま、まさか」

「図星だな」

カルヌに自信を持って言われてしまう。ジャスミンは珍しく狼狽しながら

「あ・・いえ、まあ」

「どっち?」

「気に入ってるやつは・・・」

尊敬する元上官の前では彼女も形無しである。ほほう・・・と呟くカルヌ

「どれ、その話、もう少し「お話中失礼します!」ん?」

格納庫に飛び込んできたのは、若いパイロット訓練生

「なんだ、人がせっかく楽しい話を・・・」

「申し訳ありません、しかし、特殊戦術のジャスミン中佐殿、および教官隊長殿に緊急招集が・・・」

二人は顔を見合わせる。なにが起きたのか

「とりあえず行くしかないか。ジャスミン君、続きはまた今度な」

「できれば掘り返されたくありませんが・・・」

苦笑をうかべるジャスミンに、色々成長した部下を嬉しく思うカルヌ、この時はその緊急招集の重みを知らなかった。

 

そしてこの時より、堂々としたパイロットの脱走事件が相次ぐようになり、戦術核V2を巡り外交は混乱することになる・・・。

 

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