ACECOMBAT if ~全く違うzero~   作:夕霧彼方

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諜報戦 1

皆が平和をむさぼっている間に水面下ではゆっくりと、しかし着実に事は起き、それを起こすもの、防ぐものの静かな攻防は続く。

 

一人の、ラフな格好をする男が廊下を歩く。

この場所は非常に人が少ないが、その分精鋭揃いである。彼らの主な仕事は「聞きだし」と「スカウト」である。

 

「オルネ班長!探しましたよ!」

機密性確保のため無駄に広く、内線も限定的なこの場所では緊急警報以外は自分の足でお目当ての人物を探すしかない。

「どうした、新しいおもちゃを見つけたか?」

「いえ・・・、今回はおもちゃはまだです」

部下の答えに心底うざそうに舌打ちをするオルネと呼ばれた男。しかし部下は気にしない。

「しかし、面白い男・・・スカウト要員は見つけました」

「ほう」

オルネは怪しく口角を上げる。

「それはそれは興味深い。いったい誰かな?」

「こいつです」

資料が手渡され、それを数枚めくり・・・

「おい、情報が少ないぞ・・・ああ、なるほど」

合点がいったオルネはさらに笑みを凶悪にする。常人なら耐えられない程に

しかし部下はおくびも出さない。出せば死ぬ。

「奴は何かこの世界についても知っている面白い奴です。少し難題でありますが・・・スカウトでもおもちゃでも・・・」

部下の言葉にうんうんと何度もうなずくオルネ

「人質条件としても中々うま味あるな・・・よし。こいつ拉致しろ」

「はっ!」

敬礼した部下はそのまま駆け足で廊下を去っていく。

なるほど・・・本当に面白そうだ。

そのまま笑みを浮かべたまま、また廊下を歩く。そして目的地には

無数のやつれたり筆舌に尽くしがたい状況になっている人、人、人、それらは全員FCMBに忠義を誓い、脱落しても、ここに収容され一部はスカウトされても毅然に拒絶した、自分たちにとって頭数にも、情報にもならない、捕虜でも戦死者にもカウントされていないオルネの嗜虐を満たす「おもちゃ」たち

「さあ、お時間だよ」

それは笑みというより、心から嗜虐に対する愉悦を伴った壮絶なものであった。

決して殺さず、しかし絶対に逃れられない程に傷める・・・

 

 

現在国境なき世界所属、元最凶と称される王室直轄サピン王国特別諜報部隊、その中でも爪はじきにされた最悪の尋問拷問官、オルネ・ラリオットの遊びが始まる。

 

「さて、動き出したぞ奴ら」

「ああ、だが誰を拉致するかは分からねえな・・・」

少しの音も集音する超高性能レーザマイクを使い、中での音声を聞き出した。誰かを狙い、そしてここで残虐非道な拷問が行われている。

二人の男が会話する。

「見つけたと思ったら想像以上にひでぇことしやがる・・・」

「任務が最優先だ・・・とりあえず上に報告上げるぞ」

それは同じくサピン王国の特別諜報部隊、オルネの元の所属する人間たち。優秀な諜報力を持って、スカウトの屋敷にたどり着いた。

彼らとて元の人間が身内を傷つけるのを見過ごせないが、まずは生きて情報を持ち帰ることが先決だ。

「さぁ、人材流出やおもちゃのように愚弄するあいつらもこれで終いにしてやる」

女王陛下より厚き信頼を得ている我らが絶対にこいつだけは殺す。そう胸に誓い、二人は施設近くの林の奥へと消えていく

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