クインクスがアリならこれもアリ?
○月○日
今日の西尾先輩との一件から“あんていく”でお世話になることになった。
個人的には不本意で無意識での行為の結果とはいえ、芳村さんのおかげでとりあえずは飢えは収まったし、喰種についても教えてくれるとのことなので恩返し代わりのアルバイトとしても頑張ろうと思う。
それと重要なことを記録するのを兼ねて、この日記を書くことにする。この日記を誰かに見られたら、それこそヒデに見られたら大変なので隠すのを忘れないように気を付けよう。
まぁ、ヒデが読まないような難しめの本の中に紛れ込ませておけば大丈夫だと思う。
それと何だかんだ言って助けてくれたトーカちゃんにお礼を忘れないようにすること。
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○月×日
今日からあんていくのアルバイトが始まった。喫茶店業務はなかなかに難しい。
とはいえあんていくで修行を積めば、自宅でも美味しいコーヒーが飲めるので頑張ろうと思う。
店長のコーヒーに比べるとインスタントはやっぱり美味しくない。こんな身体になってから唯一楽しめる飲み物なので、これから少しは拘っていこうと思う。
それに早く仕事に慣れないとトーカちゃんの機嫌が直らない。
せめて慣れていない僕でも出来る掃除とかを頑張ろう。
店長から人の食事を取る演技の仕方を教わったけど、しばらくは真似出来そうにない。でも今後のことを考えたら何とか頑張って覚えなきゃ。
それと二日もコーヒー以外口にしていないのに、まだお腹が空くような感じはない。やはり先日食べたので飢えを抑えられているのだろう。
飢えを抑えられる角砂糖も貰えたけど、そのうちまたあの飢えの苦しみがやってくるんだろうか?
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○月□日
どういうことなんだろうか? やはり朝は寝ぼけていただけなんだろうか?
今日の朝、味覚が元に戻っていないかと微かな希望を抱いてコーヒーにミルクを入れて飲んでみたら美味しかった……ハズ。
あまりの衝撃に放心しちゃって、大学に遅れそうになったからと検証を後回しにするんじゃなかった。というか現実逃避してたかも。
昼に学食で試したらやはり食べられなくて、夜にあんていくの仕事が終わってから試しても駄目だった。
もう一度でいいからハンバーグを食べたい。
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○月△日
朝7時に記入。
やっぱり昨日のは寝ぼけていたんじゃない。現在進行形でコーヒー牛乳が美味しく飲めている。
どういうことなんだろうか? 何で昨日の昼と夜は駄目だったんだろうか?
今日もあんていくがあるから、仕事が終わったら芳村さんに相談しよう。
ぬか喜びになっちゃいけないから時間をおいてまたチャレンジ。とりあえず昼食でも試してみよう。
夜9時に記入。
昼にハンバーグ食べることが出来た。感無量。
昨日みたく食べられるかどうかわからなかったから、他に誰もいないところで一人で食べるために生協で売っているハンバーガーを買って食べた。食べられた。
どうせならちゃんとしたモノを食べればよかったと少し後悔もした。
あんていくの仕事が終わった後に店長に相談した。
とはいえ僕みたいな事例は店長も聞いたことがなかったのでわからないみたいだった。
だけど味覚が戻ったのだとしても、人の肉が不必要かどうかまではわからないから気を付けるようにと注意してくれた。確かにそうかもしれない。
それと今日、店長に僕の血液を少し渡した。
何でも20区の喰種の中には人間社会で地位を築いている人もいるのらしいで、その人にお願いして僕の血液を検査してくれるとのこと。
僕としてもこんな身体になったからには、嘉納総合病院で貰った結果は信用出来なかったのでありがたい。
でもその社会的地位がある20区の喰種の話になったとき、トーカちゃんが嫌な顔というかしょっぱい顔をしてたのはどうしたんだろう?
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○月◇日
今日はあんていくが休みで、大学の授業数も少なかったのでどういう状況になれば喰種の味覚になるのかを検証をしてみた。
でも理由はまだわからない。
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○月◎日
引き続き検証作業を続行。
結果としては、身体が疲れているときに食べたら喰種の味覚になるらしいことがわかった。
思い返せば◇日の昼だって、昼休みの前の授業が体育でマラソンをさせられていたので疲れていた。きっとそのせいで喰種の味覚だったんだろう。
そして夜はあんていくでトーカちゃんに扱き使われて疲れていたからだと思う。いくら下っ端が働き始めたからと言って、業務用冷蔵庫の下を掃除させるのは勘弁してほしかった。一度冷蔵庫を動かさなきゃいけなかったし。
運動した公園帰りにあんていくによってこのことを話すと、店長は何だか思い当たるような節があるような素振りを見せていた。思い当たるというか納得したという感じかもしれない。
それと△日にお願いした血液検査が早くも終わったらしいので、月山さんという方が明日にも結果を持ってきてくれるらしい。トーカちゃんがまたしょっぱい顔をしてた。
それと味覚が戻ったことを知った古間さんが新作パスタを夕食にご馳走してくれた。あんていくで古間さんオリジナルメニューを出すのが夢らしい。
美味しかったけど“魔猿スペシャル”って名前はどうかと思う。
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○月☆日
今日は激動の一日だった。
まず月山さんという方が来ると聞いていたのに、あんていくに来たのは松前さんという女性だった。何故かトーカちゃんがホッとした顔をしてた。
何でも月山さんという人は月山財閥の御曹司で、松前さんは月山家に仕えている執事とのこと。社会的地位を持っている喰種とは聞いていたけど、流石にそこまで凄いとは思っていなかった。
そして来るはずだった月山さんだけど、何でも渡した僕の血液を昨夜に飲んだせいで二日酔いになっているとのことだった。
喰種は腐った人間の血を血酒として飲むらしく、飲んだら人間が酒を飲んだときのように酔っぱらうらしい。
ちなみに僕の血液の味の感想は“濃すぎて無理”らしく、月山さんのお父さんである観母さんが水で割って飲んだらちょうどよかったとのこと。普通の血がワインなら僕の血液はブランデーといったところだろうか?
そして肝心の血液検査の結果なんだけど、Rc値という項目が6000というなかなかの数値が出たらしい。
一般的にRc値は人間で250~500、喰種で1000~8000という値なので、6000を超える値ともなるとかなりの数値。それこそ喰種同士で共食いを繰り返した“赫者”クラスのRc値に匹敵するらしい。
僕の身体はどうなっているんだろう?
松前さんが来たのもこのことが関係しているらしかった。
喰種の強さは基本的にRc値に比例するので、主人である月山さんをそんなかなりのRc値を持つ素性のわからない喰種に会わせるのは危険と考えたようだ。
失礼ながらと前置きされたけど、喰種から見てもRc値6000という値は警戒にするに越したことはないレベルらしい。喰種にそう思われる僕の身体っていったい何なんだろうか?
そしてここからは僕の身体に対する芳村店長の推論。まず店長から質問されたのだけれど、
“人間と喰種の根本的な違いは何か?”
この質問に僕は“人を食べるかどうか”と答え、
トーカちゃんと松前さんは“赫子の有無”と答えた。
だけど店長の考えでは“Rc細胞を体内で分泌出来るか否か”だった。
上のRc値に関連するけど、Rc細胞というのは喰種にとって非常に重要だ。というよりRc細胞が足りないと喰種は飢えて狂って最後には死んでしまう。逆にRc細胞さえあれば、1ヶ月ぐらいは絶食しても生きていける。
そして喰種は人間を食べることによってRc細胞を摂取しているのだけれど、それはつまり人間はRc細胞を体内で分泌しているということでもある。
何でも人間はRc細胞過剰分泌症という病気になることもあるらしい。
少し話が逸れたので戻すけど、僕は元々は人間だ。そして喰種の臓器を移植されたけど、トーカちゃんの話ではどうやら先ほどの話にあった赫子も一緒に移植されているらしい。西尾先輩を倒した触手みたいなアレだ。
それらを移植されたから喰種のようになったけど、店長の推論では僕の人間としてのRc細胞を分泌する機能は失っていないんじゃないかとのことだった。
人間はRc細胞を分泌出来るけど、赫子がないから貯蔵は出来ない。
喰種は赫子があるからRc細胞を貯蔵出来るけど、生成は出来ない。
そして僕はRc細胞を分泌出来るし貯蔵も出来るんじゃないか、ということだ。理屈としてはあってるかもしれないと思う。
疲れていたり怪我をした状態で喰種の味覚になるのは、僕の身体がRc細胞を摂取して早く元の状態に戻ろうとする、運動で汗をかいた後は塩分を取りたくなるのと同じような生理的な反応なのかもしれない。
しかし僕は自分のことを半分人間で半分喰種だと思っていたけど、正確に言えばどうやら人間と喰種を足したけど2で割らなかったような存在だったらしい。それでも確かに半分人間で半分喰種だけど。
というか人間と喰種の良いとこ取り? トーカちゃんがずるいと呟いていたけど反論出来ない。
とはいえ、これはあくまで店長の推論なので、もう少し経過を観察することになった。
その間に僕は戦い方だけでなく、赫子の使い方を学ぶことになった。Rc細胞を貯めこむ赫包、ひいては赫子を自由に使いこなせるようになっていないと、Rc細胞を貯めこみ過ぎることになるであろう僕には何か不都合があるかもしれないらしい。
僕としてもまた西尾先輩みたいに害意を持った喰種がいないとも限らないし、Rc細胞を貯めこみ過ぎたあげく赫子を体内に引っ込めなくなったりしたら大変なので是非もなかった。
学業とアルバイトと訓練と三足の草鞋は大変だけど、これからも頑張ろうと思う。
そして話が終わったら松前さんが僕の血液が欲しいと言ってきた。
検査装置を改良した後に再検査をするためと最初は言っていたけど怪しい。観母さんが気に入ったからじゃないかというトーカちゃんの質問に答えなかったし。
とりあえず保留ということで、検査装置改良が終わったらまた話をすることになった。
そして夕食は昨日とは別味の“魔猿スペシャル2”と入見さんが作ったパスタ。お互いに張り合うようにしていたけど、もしかして古間さんと入見さんはライバル関係なんだろうか?
それに加えて賞味期限が今日までのケーキを店長から貰った。余った食材は店員全員が喰種だった今までは捨てるしかなかったけど、常日頃からそれは勿体ないと思っていたらしい。
人間の食事を食べられるようになってからは、以前より大食いになっていたので有難く頂いた。
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○月●日
今日の訓練で赫子はアッサリと使えるようになった。
むしろ赫子を出している方が開放感があるのはマズいのかもしれない。
それと今日は喰種が食べられない店の人間用メニューを一通り味見させられた。食費が浮いて助かるけど、地味に量が多くて辛かった。
レシピ通りに作って人間の客には出していたけど、味見が出来ないので人間の口に合うかどうかやっぱり不安だったらしい。そんな時に現れた喰種の事情をわかっていて人間の味覚を持つ僕は味見役としてちょうどいいみたいだ。
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○月■日
今日はトーカちゃんが持ってきた料理を食べさせられた。といっても半分はトーカちゃん自身が食べた。驚いたことに普通の人間の食事だ。
口に合わないだろうに高校の友達(依子ちゃん)が作った料理とのことで捨てる気にはならず、貰ったら今までずっと食べていたらしい。これにはトーカちゃんのことを素直に凄いと思ったし、優しい子だと思った。
僕にもその優しさを少しでいいから分けて欲しい。
それはともかくとして、今までは依子ちゃんに感想を求められても“美味しい”としか言えていなかったのを気にかけていたので、僕の食べた感想を依子ちゃんに伝えることにしたらしい。そういうことなら協力したいと思う。
それとトーカちゃんに西尾先輩の一件で僕とヒデを助けてくれたことのお礼を改めて言って、喰種として初めてトーカちゃんに会ったときに酷いことを言ったのを謝った。
人間の食事を出来ることになった今でこそ、あのときどれだけ酷いことを言ったのかがわかってしまう。2回もトーカちゃんは僕のことを助けてくれたのに。
トーカちゃんはムスッとしながらも、これからも依子ちゃんの料理を食べて感想を言うことと、勉強を教えることでチャラにして貰えることになった。少し耳も赤くなってた。
何だかんだ言ってトーカちゃんやっぱり優しいし、ヒデが言ってたみたいに可愛いと思えてきた。ウン。
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○月▲日
訓練してたら赫子が1本増えて4本になった。
思い返せばリゼさんの赫子は4本だった気がするから、これで元に戻ったということかもしれない。
夕食は店長と古間さんと入見さんの新作料理。量が多い。
そして家に帰ってコーヒーを飲みながら寛いでいたら、月山家執事のマイロさんという人がお裾分けと称して高級食材を大量に置いていった。キャビアの実物とか初めて見た。
月山財閥ともなると御中元や御歳暮でこういうものが大量に送られて来るのだけれど、やはり喰種なので今までは捨てるしかなかったそうだ。
マイロさんは“これからは良いお付き合いをお願い致します”と言って帰ったけど、もしかしてこれらを食べて血を寄越せということなんだろうか? そんなに僕の血を気に入ったのか?
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○月★日
あんていくに行くと、松前さんとトーカちゃんが僕の血液の売買交渉をしていた。何でさ?
そして夕食は店長と古間さんと入見さんとトーカちゃんの新作料理。量が凄く多い。でも皆楽しそうというか面白そうに感想を求めてくるので断りづらい。
どうやら僕に料理を食べさせて感想を求めるのが一種のブームになってるみたいだ。
……もしかして皆して僕を太らせて食べようとしてるんじゃ?
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×月○日
トーカちゃんから初めて一本取れた。
でも腹いせに指折られた。最近のトーカちゃんの僕の扱いはぞんざい過ぎると思う。
まぁ、その気になれば5秒で治るからいいけど。
それにしても折れた指を治すのに最長で20分か。これ以上回復速度を遅らせるのは難しいのかもしれない。
怪我が早く治るのはいいけれど、人間と過ごしているときに何かの拍子で怪我をして人間にこの回復速度を見られるのはマズいから、もっと怪我の回復速度を遅らせたいのだけれどそうそう上手く行かない。
怪我を治さないようにする訓練と称して、トーカちゃんにサンドバックにされるのはいい加減勘弁してほしいんだけどなぁ。
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×月×日
遂に僕の血の販売が決定。でも1000円/mlって流石にぼったくりじゃないでしょうか、トーカちゃん。
そして定期購入する月山財閥も月山財閥だよ。というか月山財閥の人しか買わないんだけど。
ちなみに取り分は僕:トーカちゃん:あんていくで6:1:3。交渉役のトーカちゃんと後ろ盾のあんていくだから、取り分としてはこれで適正なのかな?
まぁ、さすがに大金を家に持ち帰るわけにはいかないし、銀行に預けるのも出所が疑われそうだから、元から僕の取り分のお金はあんていくに預けるつもりだったからちょうどいいかもしれない。
とりあえずは週ごとに100mlのお買い上げ。
量的に少ないと思ったけど、酒精が強すぎるのであまり量は飲めず、寝かせすぎると癖が強くなり過ぎるらしいので、今後は少量を定期的に購入するとのことだった。
それとRc値が遂に1万の大台に乗った。
僕の身体はどうなるんだろうか? 特に異常はないけど。
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×月□日
これからはトーカちゃんにも僕の血液をあげることになった。
どうやらトーカちゃんは僕から一本取られたのを気にしていたけど、四方さんからは「ちゃんと食事しろ」と言われるだけだったみたいだ。
トーカちゃんとしても食事をすれば強くなれることはわかっているけど、やはり生きていくためではなく強くなるためだけに食事をするというのは抵抗があるらしい。
トーカちゃんのその気持ちはわかるし、依子ちゃんのことを知っている僕としては、むしろトーカちゃんがそういう考えをしてくれるのが嬉しい。そういうことならトーカちゃんを応援したい。
だから僕の血液ならトーカちゃんとしても罪悪感を抱かずに摂取出来るだろう。
どうせ僕の血液の元となっているのは普通の人間の食事だし、Rc細胞量も豊富だから一石二鳥だ。
ゴメン。実はそろそろ僕のRc値を減らしたいと思っていたから一石三鳥です。
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×月△日
西尾先輩と再会した。再会したというより共食いされそうになっているところを助けた。
そして家に送っていったら、どうやら西尾先輩には人間の彼女がいるようだった。しかも西尾先輩の彼女、西野貴未さんは西尾先輩が喰種だということを知っていた。
これには正直驚いた。
西尾先輩は僕との一件で負った傷が治っておらず、西野貴未さんにどうにかしてほしいと頼まれてしまった。
あいにく肉の持ち合わせがなかったけど、西野さんが肉を求めて何か仕出かしそうなぐらいに必死な形相だったので、あんていくに火の粉が降りかかってきそうで怖かったから、とりあえず僕の手首を切って血を飲ませておいた。
みるみるうちに傷が塞がっていくのはいいけど、次第に何だか西尾先輩がビクンビクンと痙攣し始めた。もしかしたら飲ませた血の量が多すぎたのかもしれない。
安静にするように言っておいて、店長に相談すべくあんていくに向かったけど、あいにくと店長は留守だった。
まぁ、一日ぐらいだったら僕の血でじゅうぶん持つだろう。
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×月◇日
西尾先輩の家に様子を見に行ったら、部屋の中から嬌声が聞こえてきた。
持ち直した途端にこれかよ、とも思ったけど、彼女がいるのなら仕方がないかもしれない。
とりあえず何かあったら連絡するようにと、連絡先を記したメモ帳をポストに投函しておいた。
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×月◎日
いつもの床屋で髪を切ったら髪質が変わったと言われた。しかも硬くなっているらしい。
もしかして髪の毛にもRc細胞が回り始めたのかもしれない。
シャンプーを変えたから、と言い訳をしておいたけど、これ以上硬くなったらマズいかもしれない。
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□月○日
今日は久しぶりの激動の日だった。
切っ掛けはヒナミちゃんに頼まれて、お父さんのアサキさんの様子を確認しにいったことだった。
アサキさんからヒナミちゃん宛に手紙を書いて貰うか、それこそ僕の携帯から電話でもかけて貰えれば少しはヒナミちゃんの慰めになるかもと思い、トーカちゃんと一緒にアサキさんの診療所に向かった。
しかし診療所にいたのはアサキさんだけでなく、CCGの捜査官2人と白スーツを着た喰種がいた。捜査官の叫びでわかったけど、その白スーツはジェイソンと呼ばれる喰種らしい。
僕たちが診療所に着いたときには既に捜査官と喰種が戦っていて、アサキさんが腹に穴を開けて倒れていた。
とりあえず捜査官と喰種の戦いを尻目に、物陰に隠れた状態から僕の赫子でアサキさんをフィッシュ。そのままアサキさんを担いでダッシュで逃げた。
アサキさんはかなりの重傷だったようだけど、僕の血を飲ませることで無事復活。でもしばらくは安静にしていた方がいいだろう。
その後は四方さんに車で迎えに来てもらってあんていくまで帰った。
アサキさんが怪我をしたのは残念だけど、僕たちが偶然間に合ったのは不幸中の幸いだ。
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□月×日
僕が悪いのだろうか?
いいや、僕は悪くない!
今朝、西尾先輩から連絡があった。怪我は治ったらしいけど、相談したいことがあるとのことであんていくで待ち合わせ。
そして訪れた西尾先輩はまさかのいきなりの土下座。
いったい何事かと思ったけど、衝撃の事実が発覚。どうやら貴未さんが妊娠したとのことだった。
おめでとうございます、とは言ったものの、以前にイトリさんから聞いた話によると、このままでは貴未さんのお腹の中にいる胎児は栄養不足で死んでしまう。
西尾先輩もそのことを知っていたようで、僕に血をわけてくれと頼んできた。
流石に貴未さんに人の肉は食べさせられないようだ。それに対して西尾先輩の怪我をあっという間に治した僕の血なら、貴未さんにそれほど負担をかけずに済むんじゃないかと考えたらしい。
話を聞くと見捨てるのも心苦しいし、店長とも相談の上でこれからの西尾先輩の食事を含めて、西尾先輩があんていくで働くことを対価に2人を助けることとなった。
それにしてもやけに店長が親身になっていたのが気になる。
まぁ、ここまではいい。問題ない。
人と喰種のカップルは結構大きな問題かもしれないけど。
問題は貴未さんが妊娠した経緯、というか原因だ。
何でも怪我を治すために僕の血を飲んでからしばらくすると、西尾先輩は急激にムラムラッとしてきたそうだ。我慢出来ないほどに。そして怪我がある程度治って動けるようになってから翌々日の昼まで貴未さんとベッドイン。
どうやら逆算するとその日に当ったらしい。
でもそんなことで文句を言われても困る。助かったんだからいいじゃないかと思ったけど、ふと思い出した。
昨日、アサキさんに僕の血飲ませたじゃん、と。
アサキさんは昨晩から、四方さんが用意した港のコンテナハウスで安静にしていた。
アサキさんを救出した後、とりあえずはヒナミちゃんには心配をかけさせたくないので、リョーコさんだけに事情を伝えた。
しかしリョーコさんが様子を見に来た時には既に傷が塞がっていたとはいえ、アサキさんは腹に大穴が開くような傷を負っていた。そこでまず一晩は様子を見ることにしたので、リョーコさんがアサキさんの看病をしている間はトーカちゃんがヒナミちゃんを預かっていた。
そして夜中に様子を見に行った四方さんの話だと、一晩休めばヒナミちゃんと会えるぐらいには回復しそうとのことなので、今頃トーカちゃんがヒナミちゃんを連れてリョーコさん達に会いに行っているはずだった。
背中に冷や汗がドッと噴き出すのを感じながらも僕は走った。
走って、走って走って、走って走って走って、リョーコさん達がいるコンテナハウスに着いたときに見たのは、ギシギシと揺れながら中からくもぐった声が聞こえてくるコンテナと、そのコンテナの前でお互いに抱きしめ合いながら真っ赤な顔をしてへたり込んでいたトーカちゃんとヒナミちゃんだった。
何だかそれ以降、トーカちゃんとヒナミちゃんが赤い顔しながら僕をチラチラと見てくる。
僕はこんなことになるだなんて知らなかったんだ。
間違っているのは僕じゃない。
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□月□日
ヒナミちゃんが家出した。
正確にはアサキさんとリョーコさん達の手から離れて、トーカちゃんの家でお世話になりながらあんていくの手伝いをすることになった。
アサキさんはCCGの捜査官に顔を見られているので、ヒナミちゃんまで一緒にいるのは危険だ。ほとぼりが冷めるまでは別行動を取るらしい。
身の安全のためだからシカタガナイヨネ。
とりあえずアサキさんは月山財閥のお世話になることになった。
松前さんに話してみると医者の真似事を出来るような喰種は希少なので望むところらしく、CCGの目に付かないような月山財閥の中での仕事を用意してくれるとのことだった。
それとそろそろ僕の人柄も掴めてきたので、近いうちに松前さんの主人の月山習さんをあんていくに連れて来るらしい。月山さんが僕と出会ってどう反応するかわからないけど、とりあえずはお互いに顔は覚えておいてほしいとのことだ。
でもそれを聞いたトーカちゃんがしょっぱい顔をしてた。
僕と目があったら顔を赤くしてそっぽ向いたけど。
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□月△日
僕の血が一体どのような効果を発揮するのか調べるために、あんていくの皆に僕の血を飲んでもらった。
僕の血を飲ませたことのあるトーカちゃん、そして西尾先輩とアサキさんで効果が違ったので、もしかしたら効果に男女差があるのかもしれない。
試飲してもらう直前に出した新鮮な血と、前日のうちに出して常温保存で腐らせておいた2種類で男女それぞれ試してもらった。
トーカちゃん(新鮮) → 特に変化無し。
ヒナミちゃん(新鮮) → 特に変化無し。
入見さん (腐敗) → 酩酊した。
古間さん (新鮮) → トイレに籠って出てこなくなった。
店長 (腐敗) → ほろ酔い気分。顔が赤くなってた。
四方さん (腐敗) → 泥酔してマシンガントークを始めた。
……四方さんってトーカちゃんの叔父さんだったんだ。トーカちゃんも知らなかったらしくてビックリしてた。
それと明日出勤する前にトイレの消臭剤を忘れずに買い足しておかないと。予想していたとはいえ古間さんには悪いことをしてしまった。
それにしてもどうやら僕の新鮮な血は男性には飲ませない方がいいみたいだ。あんな悲劇を二度と繰り返してはいけない。僕の血はスッポンの生き血か何かか?
もしかしたら弟妹が出来るかもしれないと言ったらヒナミちゃんは喜んでいたけど。
僕自身が僕の血を飲んでも、それが新鮮な物でも腐敗した物でも特に何ともないんだけどなぁ。
え、ヒナミちゃんも今度から僕の血を飲むの?
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□月◇日
トレッビアーーーンッ!! でエルドラァッーーードッ!!な日々だった。
……トーカちゃんが苦手な顔してたのがわかった気がする。
そしてトーカちゃんは相変わらず僕をチラチラ見ながらも、目があったらそっぽ向くことを繰り返している。
正直、その反応は困る。
それと月山さんは……個性的な人だと思う。ウン。
トーカちゃんが僕のことを食べようとすんなよ、と揶揄していたけど、月山さんに“いや、彼はちょっと無理”と真剣な顔をして言われた。
そういえば松前さんに昨日実験してわかった僕の血の効果を伝えておいたんだよね。
月山さんは血酒に弱い上に、何というか自分なりのポリシーを強く持っているような人だから、新鮮な血で前後不覚になるのも腐った血で二日酔いに苦しむのもゴメンなんだろう。
それに月山さんのお父さんの観母さんが僕の血を気に入っているということだし、金の卵を産むガチョウ……いや、胆汁を搾り取る熊を殺さないのと一緒なのだと思う。でも嬉しくない。自分で書いていて比喩が悪すぎた。
あと“血抜きしたら食べられるかも”と真剣な顔で検討するのは止めてください、月山さん。
月山さんが何かしそうになったら松前さんに相談することにしよう。
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□月◎日
ウタさんから僕用のマスクが完成したとの連絡があったので取りに行った。
なかなかのパンクなマスクだと思う。
先日のアサキさんをCCGから助け出したときは、マスクがなかったのでとっさに赫子を全身に巻き付けて正体を隠していたのだけれど、これからはこのマスクがあれば大丈夫。
でも左目ぐらいしか人相がわからないとはいえ、わかる人が見ればわかるかもしれない。トーカちゃんみたくウィッグも付け加えてみようかと思う。
それにせっかく口の部分が隠れているので、ボイスチェンジャーなんかをつけるのもいいかもしれない。
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□月☆日
僕の髪の毛を切ろうとしたら鋏がボロボロになった。いくら100円ショップで売っている工作用の雑な鋏とはいえ、刃が見るからにボロボロになってしまっている。
床屋に行く前に試してみて良かった。
これから髪の毛の手入れをどうしよう?
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□月●日
髪の毛のことを皆に相談してみたところ、喧々囂々の騒ぎの末に店長が赫子で切ってくれることになった。
皆してそこまで必死にならなくても……。
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△月○日
トーカちゃんから鱗赫が生えた。
え、もしかしてこれも僕のせい? っていうか、もしかしてヒナミちゃんもそのうち生えるの!?
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△月×日
今日は危なかった。CCGの捜査官とニアミスをしてしまった。
しかも□月にアサキさんを襲っていた二人組だ。
事の始まりは、昨日の訓練の最中に突然トーカちゃんから鱗赫が生えてしまったんだけど、その際に鱗赫がトーカちゃんの服が突き破ってしまった。
それの責任を取れとトーカちゃんの服を買いにショッピングセンターへ行ったところ、あの時の捜査官二人組と鉢合わせしてしまった。
しばらく何も事件が起こらない平和な日々を過ごしていたせいか、この突然の出来事に僕も流石のトーカちゃんも咄嗟の反応をすることが出来なかった。いや、正確に言うなら知らない振りをすることが出来なかった。
しかし幸いにも鉢合わせした場所が、よりにもよってランジェリーショップの入り口だったので、男性捜査官二人組は思わずビクついてしまった僕達の反応を別の意味で捉えたらしく、
「いや、違うんだ。娘の買い物に付き合っているだけなんだ」
「そっ、そうなんだ。俺も…………って、そういえば何で俺もここにいるんだ?」
「待たせたな、二人とも。……ん? どうかしたのか?」
と、何だかCCG捜査官にも複雑な都合があるようなやり取りをしていた。父親と彼氏同伴でランジェリーショップ?
でもとりあえずあの物々しいコートを着てランジェリーショップに行くのは止した方がいいと思う。
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△月□日
出勤したらいきなり赤い顔したトーカちゃんに殴られた。
昨日、僕を連れてランジェリーショップに入ったところをクラスメイトに見られていたらしい。
店を選んだのはトーカちゃんなんだから僕は悪くないと思う。
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△月△日
依子ちゃんからのトーカちゃんへの料理の差し入れの量が倍に増えた。
僕と一緒に食べてと言われたらしい。
いや、そもそも以前のも一人暮らしの差し入れにしては量があったんですけど?
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△月◇日
私だけじゃ不公平だ、と言いながら、トーカちゃんが僕に羽赫を無理矢理食わせてきた。しかも羽赫といっても攻撃用に硬化させて発射する奴だ。
トーカちゃんの身体から離れたらあっという間に気化するとはいえ、気化する前はまるでガラスを食べてる気分になる。食べるにしてもせめて付け根の柔らかそうな部分にして欲しい。
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◇月○日
激動の一日再び。
今日一日でたくさんのことがあったので、まずは箇条書きにして纏めようと思う。
①万丈さんがリゼさんの情報を集めにあんていくへ来店。
②万丈さんが“彼女”という言葉に反応して暴れる。
③店内で暴れられるのは困るので取り押さえて地下行きに。
④閉店後、店長が戻ってから話を聞くことに。
⑤トーカちゃんの弟のアヤトくんがテラス戸から来店。暴れる。テラス戸割れた。
⑥トーカちゃんキレる。
⑦ヤモリさん+ニコさん来店。暴れる。テーブル一式壊れた。
(ヤモリさんはアサキさんに怪我させたジェイソン)
⑧トーカちゃんブチギレ。僕も怒った。
⑨トーカちゃんがアヤトくんフルボッコ。
⑩僕がヤモリさんを“半殺し”。ヤモリさん幼児退行?
⑪トーカちゃんマウントポジションに位置取り。
⑫トーカちゃん!ねぇトーカちゃん!!もうアヤトくん意識ないよ!!
⑬3人の財布から現金徴収。弁償には足りない。
⑭トーカちゃんにアオギリの樹からカツアゲしてくるよう命令される。
⑮アヤトくんはトーカちゃんから説教。
⑯万丈さん達を案内人としてこれから殴り込み。
いくら何でもアオギリの樹の拠点に殴りこむのは危ないんじゃないかと反論をしてはみたけど、帰ってきた店長から“ついでにどんな喰種が参加しているか見てきてくれ”と頼まれた。
どうやら店長はちょうど最近アオギリの樹について調べていたみたいだった。
それにしてもRc値が10万を超えた頃から、皆の僕への扱いがぞんざいになり過ぎていると思う。
まぁ、CCGからSSSレートの認定をされている店長でさえも僕に勝てなくなったぐらいなんだから、喰種から見ても僕は強いんだろう。僕の血を飲むようになったトーカちゃんが四方さんより強くなったぐらいだし、いろいろと僕の身体は便利すぎると思う。
でもあまり暴力は好きじゃないんだけどなぁ。
じゃ、とりあえずアオギリの樹に行ってきます。
アオギリの樹に行ってきた。
×日の0時を回っているので×日の日付で書くのがいいのかもしれないけど、わかりやすさ優先で○日の日記に書くことにする。
拠点に到着して幹部の人達に会って早々、タタラさんという人が僕のお腹に貫手をかましてきたけど、僕のお腹を突き破れずに逆にタタラさんの指が折れてた。僕にダメージを与えたいのなら最低でも四方さんの本気の蹴りクラスの攻撃をして欲しい。
どうやら僕が殴り込みに来たのではなく、ヤモリさん達に連れて来られたのだと思ったようだ。考えてみれば普通はそう思うかもしれない。
そうじゃなくてヤモリさん達が壊した店の備品を弁償して貰いに来た、それとアヤトくんはトーカちゃんのご機嫌を取るために生贄としてしばらく貸してほしいと言ったら、全身包帯巻きのエトって人が吹き出していた。
しかしそのエトさんと変なマスクをしたノロって人以外の喰種はその言葉に怒ったらしく、タタラさんはブチギレてコメカミに血管を浮き上がらせていた。
遂にはビン?兄弟という幹部の二人組が襲ってきたけど、でもごめんなさい。例え僕の鱗赫相手に強い尾赫で攻撃されたとしても、今の僕はちょっと身体に力を込めれば大抵の攻撃は防げてしまうんだ。古間さんとも訓練してるし。
とりあえずビンさん達の気が済むまで攻撃をくらい続けていたけど、身体は無事でも服がボロボロになってしまった。仕返しに少し強めにビンさん達を殴ってしまったけど、死んでいなかったのでセーフ。
その後は少し話をして店の備品代と僕の服代を弁償してもらった。
タタラさんが赫眼になってまでブチギレていたけど気にしない。仕掛けてきたのはアオギリの方なんだから。
そしてその時の話の中に、嘉納先生の話題が出てきた。
マズい。あんていくの居心地が良くて、嘉納先生のことすっかり忘れてた。
でも今は別に困ってないんだよね。
そりゃあ、この身体になった直後は混乱してたけど、普通に食事も出来るようになったし身体能力も凄いことになった。CCGにバレたらそれは流石にマズいけど。
それと僕はRc細胞を分泌出来るし貯蔵も出来るんじゃないか、という店長の推論を話してみたところ、エトさんが「ないわー」と呆れていた。
まぁ、それはそれとして、思い出してしまったからには嘉納先生のことを調べてみようかと思う。
エトさんから僕の血液を少しくれたら嘉納先生の情報が手に入ったら教えてくれる、と言われて少し迷ったけど、西尾先輩やアサキさん達のような悲劇が繰り返されてもアレだし、嘉納先生の情報なら松前さんを頼ればいいだろうからとりあえずは断った。
何故僕の身体をこんな風にしたのかの理由は知りたいし、よくよく考えてみれば僕以外にも嘉納先生によって半喰種にされた人がいるかもしれない。
それらを知らないふりをして放っておくのはいくら何でも夢見が悪い。
トーカちゃんの勉強やらあんていくの仕事やらで忙しいけど、何とか時間を見つけて調べてみよう。
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◇月×日
あんていくに万丈さん達がいた。
そういえば昨日アオギリから一緒に戻ったのをすっかり忘れてた。これからは四方さんの手伝いをしながら今後のことを考えていくらしい。
それとアヤトくんもウェイターの格好をして店内の掃除をしてた。万丈さんが笑ってた。
どうやらトーカちゃんはアヤトくんが割ったテラス戸の代金を働かせて弁償させるようだ。……あの、僕がアオギリから貰って来たお金は? え、迷惑料?
まぁ、文句をつけながらもトーカちゃんはアヤトくんの面倒を熱心に見ているので、離れ離れになっていた弟がすぐに出て行かないようにしているんだろう。
そういうことなら余計な口を出さずに黙って見てようと思う。
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◇月□日
アヤトくんに四方さんが叔父さんだということを教えたら驚いていた。
そしてアヤトくんが時給250円で働かさせられていることを知って僕が驚いた。確かに喰種に法律は適用されないし労基なんかないんだけどさ。
……きっと、離れ離れになっていた弟がすぐに出て行かないようにしているんだろう。
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◇月△日
トーカちゃんとヒナミちゃんがそれぞれ僕の左右の手首に噛みついて血を飲みながら、僕がトーカちゃんの羽赫をガリガリと食べているところを、アヤトくんがボケっとした顔で見ていた。
確かに事情がわからないと意味不明の行動に見えるだろうなぁ。
とりあえずアヤトくんに僕の身体の事情を話し、トーカちゃんに鱗赫が生えたことを伝えたら益々訳のわからないような顔をしていた。
まぁ、普通の喰種の常識とはかけ離れているから仕方がないだろう。共食いで赫子を食べたならともかく、血だけ飲んだだけで新たな赫子が生えるなんてのは店長ですら聞いたことがなかったし。
その後、アヤトくんが真剣な顔して「俺でも」と言いかけたけど、トーカちゃんに殴られて止められた。
きっと「俺でもお前の血を飲めば強くなれるのか」と聞こうとしたのだろう。でも僕の血は男が飲むのにはちょっとした不都合がある。特にヒナミちゃんの前では話すことが出来ないような不都合が。
だからアヤトくんには僕の血はあげない。
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◇月◇日
アヤトくんがヒナミちゃんに負けて落ち込んでいた。
以前にアサキさんがCCGに襲われたこともあって、最近ヒナミちゃんは僕達との戦闘訓練に参加していた。そして何よりも僕の血を飲んでいるだけあって戦闘技術はともかく身体能力はかなり凄いことになっている。
アヤトくんに勝ったのも、油断したアヤトくんの想定以上の速さで振るわれた赫子の一撃で終わらせただけだし、きっともう一回戦えば勝つのはアヤトくんだと思う。
思うんだけど、それでも年下の女の子に負けたのが本気でショックだったみたいだ。ポッキリと牙が折れたようで、誰彼構わず噛みつこうとする雰囲気がすっかりとなくなっていた。
まぁ、強くなるためにアオギリに入ったって言ってたから、この結果は流石に……ねぇ。
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◇月◎日
赤い顔をしたトーカちゃんから、アヤトくんに性教育をして欲しいと頼まれた。
思わず「ホアッ!?!?」なんて声が出た。
血酒のようにトーカちゃんも腐ってしまったのかと絶望したけど、よくよく聞けば学校に通っていないアヤトくんがソッチ方面のことをちゃんと知っているかどうか不安になったらしい。真面目な話でよかった。
まぁ、ヒナミちゃんも一緒に暮らしていることだし、何か間違いがあっても困るのでその懸念は正しいと思う。
しかしなんで僕なのか?
確かに実の姉であるトーカちゃんがそんなこと教えようとしたらアヤトくんは逃げるだろうし、四方さんはこういう時には役に立たない。
万丈さん……は知識量的に無理だろうし、古間さんは尾赫ということもあって有利な羽赫持ちのアヤトくんは甘く見ているみたいだしなぁ。
店長なら教えてくれそうだけど、あまり身内の問題を押し付けるのは気が引けるから、ということで僕らしいけど……いや、僕を身内と思ってくれるのは嬉しいんだけどね。
でも僕もあまりアヤトくんに好かれてないから、ちゃんと聞いてくれるかどうかわからないんだけどなぁ。
イトリさんがいた!
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◇月☆日
うん。昨日の夜、ベッドの中でアヤトくんの性教育についてどうしようか悩んでいたらイトリさんにお願いすればいいと思いついて、忘れないうちに昨日の日記に書いておいたけどよくよく考えたらマズいな。
最悪アヤトくんが喰われてしまう。喰種だけど。
でもイトリさんに相談するのは良い考えかもしれない。
あの人なら笑うだろうけど、言い難い事も誤魔化さずに言ってくれると思う。
今日の夜にでもイトリさんの店に行ってみよう。
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◇月●日
取り返しのつかないことをしてしまった。トーカちゃんに何て詫びればいいんだろう。
キッカケはイトリさんの店にアヤトくんのことを相談しに行ったときだ。
ぶっちゃけると、あのニコさんに話を聞かれてしまった。
僕の話を聞いていたニコさんは何故か乗り気になってしまい、ニコさんがアヤトくんに性教育をしてくれると申し出てくれた。
すごく嬉しそうというか楽しそうというか、僕のせいでヤモリさんがすっかり腑抜けになってしまったので、久々に心が躍ると上機嫌だった。
トーカちゃんに話をしてみます、と言って逃げた僕は弱い。
いくら店長よりも力が強くなったとはいえ、心が弱かったらどうしようもないんだ。
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◇月■日
ニコさんが早速あんていくに来て、トーカちゃんと話をしていた。
(アヤトくんはコーヒー豆の仕入れで外にお使い)
その話し合いの結果、トーカちゃんがニコさんに
「弟のことをよろしくお願いします」
と頭を下げていた。
それでいいの、トーカちゃん!?
義妹が義弟になるかもしれないんだよ!?
その様子を見ていた店長も四方さんも古間さんも僕を見てきたけど、僕がトーカちゃんの決定に反対出来るわけないじゃないですか。
特に四方さん! 叔父なんですから、そんな縋るような必死の形相で僕を見ないで自分で止めてくださいよ!
ちょっとアオギリの樹に行ってくる!
駄目だった。アオギリの樹の人たち役に立たない。
そもそもアヤトくんがちゃんと性について知っていれば、ニコさんによる特別授業を受ける必要がなくなるわけだ。
だからアオギリの中でアヤトくんと猥談したことがある人を探しに行ったのだけれど、誰もアヤトくんとはそういう話をしたことがないそうだった。
僕以上に友達いないな、アヤトくん!
ちなみにタタラさんもヤモリさんも不在でビン兄弟さんが出てきたのだけれど、僕が行ったら物凄く警戒されてしまった。
訪れた理由を話したら、最初のほうはふざけているのかと怒り始めたけど、ニコさんの下りを話すとドン引きされて、いくら喰種でもやって良いことと悪いことがあるだろうと怒られた。ここら辺の感性は人間も喰種も一緒らしい。
もうすぐアヤトくんも借金を返し終わるので、帰ってきたら少し優しくしてあげてください。
それと手土産に持ってきた芳村店長特製のブレンドコーヒー豆をエトさんに渡したけど、何だかエトさんは嬉しそうじゃなかった。
嬉しくないというより、何とコメントしたら良いか自分でもわからないというような雰囲気を醸し出しでいた。どうしたんだろう?
そして帰ろうとしたらエトさんから「月山財閥に頼り過ぎない方が良い」と忠告された。
まぁ、わかる。
月山財閥、というより月山一族としては、もし喰種ということが世間にバレて、CCGと戦争にでもなったときなんかに僕の力を借りたいんだろう。
松前さんからは月山さんのことをよろしくお願いします、と何度も言われている。いくら僕でも一人では月山財閥が壊れる流れは止められないとはいえ、それでも月山さん一人を逃がすことぐらいなら例えCCG相手でも出来るだろう。
色々な便宜を図っているのは、もしもの時の保険が目的のはずだ。
でもそれ以外にも、きっと月山さんが結婚して子供を作ろうとしたときに僕の血が必要なのが大きいのかもしれない。西尾先輩と貴未さんの話に松前さんが凄い勢いで喰いついてきたし。
きっと財閥の後継者確保とは大変なんだろう。
これでヒナミちゃんに弟妹でも出来たら実績が増えて凄いことになりそうだな。
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◇月▲日
何も出来なかった……。
僕は今、惨劇が起きているであろう部屋の前でこの日記を書いている。
あんていくの仕事が終わった後、トーカちゃんは大事な話があるといってアヤトくんを店の地下に誘った。
そして地下の空間の中でも行き止まりになっている、小部屋のような場所にアヤトくんを連れて行った。そこで何が待ち受けているかも知らせずに。
小部屋についたところでアヤトくんと隠れているニコさんを二人きりになるように、僕の赫子を使って部屋を封鎖した。これでアヤトくんが暴れてもこの部屋から出ることは出来ない。
そして最初のうちは「ごるぱぁっ!」とか打撃音が聞こえてきたけど、今はもう何も聞こえてこない。というか聞きたくなくて赫子の感覚をわざと鈍くしている。
ゴメンよ、アヤトくん。
僕にはもうこれ以上何も出来ないんだ。
赫子で部屋を封鎖する必要があるのでこうして一人で部屋の前で待っていたのだけれど、いつの間にか店長と古間さんと四方さんが来てくれた。
何も言わず、ただ側に居てくれているだけだけど、一人で待っている時よりは気が楽になった。なお、トーカちゃんは流石に弟が大人の階段を上る場に立ち会うのは気まずいらしく、今頃家で勉強の真っ最中だ。
というか四方さん。僕の肩を励ますようにポンと叩きましたけど、僕とあなたの立場って普通逆じゃないですかね?
予定された時間が経過したので部屋の封鎖を解いた。
ノロノロと意気消沈したアヤトくんが、そして上機嫌なニコさんがルンルン♪と部屋から出てきた。アヤトくんの服装に乱れもなく、特に変な液体が付着しているような汚れもなかったので、念のために用意していたタオルを渡す必要はなさそうだった。
だけど僕たちはアヤトくんに何も言うことが出来なかった。
店長はアヤトくんの世話?をしてくれたニコさんに労いのコーヒーを入れるために上の店へ、四方さんはアヤトくんから目を逸らし、古間さんはウンウンと頷きながら人生こういうこともあるよね、と呟いている。
そして僕はただ、トーカちゃんが定めた残りの弁償金が入った封筒を手渡しつつ、「何かあったら力になるよ。君はトーカちゃんのたった一人の弟だからね」と目で語り掛けて元気付けることしか出来なかった。
そしたら殴られた。解せぬ。
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◇月★日
アヤトくんがあんていくから出て行った。僕の渡した封筒を置いてだ。
トーカちゃんは何というか……その封筒を抱きしめて「大人になったんだな、アヤト」みたいな慈母のような顔をしていた。あの過程を知らなければトーカちゃんに惚れてしまいそうな、初めて見る大人びた女性の顔だった。
いや、本当にドキッとした。何が起こったかは忘れたいけど。
それに実を言うとアヤトくんは僕の家にいるんだよね。
今アオギリに帰ってもニコさんがいるし、あんていくにいたらトーカちゃんのお節介が炸裂するので居場所がないみたいだった。
ウン。合鍵渡しておくから、ニコさんがアオギリにいる時ぐらいは僕の家に避難してきてもいいよ、アヤトくん。
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◎月○日
ヒナミちゃんに妹が出来たことがわかった。
今夜はあんていく終了後にお祝いパーティーだ!
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◎月×日
あんていくから帰ろうとしたら、松前さんが路地裏からヌッと現れた。しかも“遂にこの日が来たか”と言わんばかりに覚悟を決めた顔で。
というよりアサキさんが月山財閥でお世話になっているとはいえ、話聞きつけるの早いですね。これが執事か。
御同道お願いします、と言われたけど、いきなりすぎるので断った。
松前さんたちの月山家後継者が欲しいという気持ちは今までの付き合いからわかっているけど、それでも月山さん本人の意向もあるし、何よりも子供を作るのには男一人ではどうしようもない。
相手がいる必要があるが、もし後継者欲しさに女性本人の意向を無視して月山さんに宛がう、なんてことになるのは避けたい。
……月山さんのことを好きな女性っているのだろうか? もちろん月山さんの性格を理解している人で。
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◎月□日
トーカちゃんに呼び出されたら、そこにはトーカちゃんだけでなく松前さんと、前に会ったことのある月山家執事のカナエさんがいた。
いたんだけど、カナエさんが女装していた……と思ったらカナエさんは実は女性だったとカミングアウトされた。本名はカレンさん。
何このいきなりの展開?
どうやら色々な事情があるらしく、その事情はカレンさん個人の過去と密接しているのでここには書かない。
とりあえず結論としては、月山さんが人生の墓場に入る手伝いをすることになったということだ。トーカちゃんを先に説得されたらどうしようもないじゃないか。
ごめんね月山さん。
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◎月△日
現在、月山家の客室にて日記を書いている。先ほど僕の血を松前さんに渡したところだ。
渡したなら僕はもう帰ってもいいかと思ったけど、用が終わったら帰っていいよでは月山家の面子が立たないようで、ホテルのスイートルームに匹敵する客室を用意されてしまった。
食事も人間の食事を用意されており、一晩ゆっくりと泊まって失った血を回復して欲しいとのことだ。
でも何でダブルベッドでトーカちゃんと同室なんですかね?
この日記をトーカちゃんに見られたらまずいから、肌身離さないようにしないと。
正直トーカちゃんとの間には微妙な空気が流れていた。だってトーカちゃんが赤い顔をしてコッチをチラチラ見てくるんだ。
しかも今頃は月山さんがこの館のどこかでカレンさん相手にハッスル中なのはお互いに知っているので、どうしても意識せざるを得なかった。
でもそんな気まずい時間を過ごしていたら先ほど
「フォルテッシモッッッ!!」
という月山さんの叫びが聞こえてきたので、僕もトーカちゃんも一気に気が緩んだ。というかお互いに吹いた。
でも月山さんの叫びがなかったら人様の家で破廉恥な行為をしでかしていたかもしれない。僕も本気でマズいかなぁ。
何かまた「フォルテッシシモッッッ!!」って聞こえた。
2回戦目終了か?
月山さんうるさい。20~30分置きに叫び声が聞こえてくる。
トーカちゃんもイラついてきているようだ。
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◎月◇日
結局「フォルテッシシシシシシシモッッッ!!」までいったのかな? そんな音楽記号ないけど。
朝食を御馳走になり、観母さんと食後のコーヒーを楽しみながら月山さんの昔話を聞いたりした。やはり息子さんが大人になったというのは感慨深いようだった。
そして帰ろうとしたら「カァネェーーーキッ、ケェーーーン!」と叫びながら月山さんが襲い掛かってきた。腰をガクガクいわせながら。
頑張り過ぎたんですね。お疲れ様でした。
そんな月山さんを怪我をさせないように取り押さえて使用人の人に引き渡したけど、“ああ、習様も大人になったのだな”って感じで微笑ましく見ていて手伝ってくれなかったのが癇に障ったので、腹いせにマイロさんとユウマさんに僕の血を強制的に飲ませた。
マイロさんは相手がいるかは知らないけど、ユウマさんはアリザさんに引き渡しておいた。
皆して人生の墓場に入るがいい。
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◎月◎日
四方さんから「トーカのことをよろしく頼む」と言われた。
もしかして一昨日、月山家でトーカちゃんと同室になったのは四方さんの手配ですか?
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☆月○日
どうやら僕が何度も訪れたアオギリの拠点が、これからCCGに攻められるようだった。
TVでCCGの丸手特等という捜査官が民間人の避難を呼び掛けている。CCGの捜査官が百人単位で動員されていることから、いくらあの拠点でも持ちこたえることは出来ないはずだ。
トーカちゃんもヒナミちゃんもTVを見ながら心配そうな顔をしている。アヤトくんのことが心配なんだろう。
僕はそんな二人に早めに休むように言ってから、家に帰るからとトーカちゃんの家を後にした。
帰ろうとする僕にトーカちゃんは何か言いたそうな顔をしていたから、きっと僕が何をしようとしているか気づいていたのだろう。
でも僕は決めたんだ。
その足であんていくに行くと店長と四方さん、それに古間さんがいた。
特に打ち合わせをしていなくても店長と四方さんがいるとは思っていたけど、古間さんまでいてくれたのは予想外だった。
でもその古間さんも「わかっているさ」と言わんばかりにウィンクを一つ。それだけで僕たちは分かり合っていたと思う。
僕はこれからアヤトくんを助けに行く。
先日、僕の家に泊まった時にアヤトくんはしばらく拠点に来ないように言ったことから、きっとそのときからCCGが攻めてくるのがわかっていたのだろう。
まったく……素直になれないというかぶっきらぼうなのは本当にトーカちゃんに似ているな。
今でも人間のつもりの僕は、CCGと戦うことには躊躇いがある。それでもアヤトくんは放っては置けない。
いくら「アイツも大人になったんだから」と言って自由にさせていても、たった一人の弟であるアヤトくんが死んでしまったらトーカちゃんは悲しむ。それは見過ごせない。
それに何よりも◇月のとき、僕は何も出来なかった。
あんな悲劇が目の前で二度と起こらないように、あのときから更に訓練を重ねてきた。例え人間と敵対することになったとしても、僕はあんていくの皆を守りたい。
何も出来ないのは、もう嫌なんだ……。
原作決め台詞を台無しにところで終わり。続きません。
それにしてもお久しぶりです。
ちなみに何で今頃になって東京喰種なんて書いたかというと、キッカケはYouTubeで〝Licht und Schatten”を聞いてハマり、そこからアニメの東京喰種をDVDレンタルしたからです。
あの白カネキと赫子出したトーカちゃんの画に心惹かれました。
何だかアニメ版は色々言われているようですが、戦闘時の煙が多すぎる以外は楽しめました。それと〝半殺し”を見たかったですかね。そして腹から声出せ。
あとはヒナミちゃん可愛い! 一番好きなのはトーカちゃんですが。
トーカちゃんは:reより無印の髪型のほうが好きですかね。
どうせなら√Aは√Aでも〝√あんていく”にして、全員そこそこ幸せな東京喰種が見たかったです。
この話では皆幸せです。アヤトくんも実は大人にはなっていませんし。ああ見えてニコさんは常識は持っていると思います。
持っているだけで使用するかどうかは別ですが。
ただしCCGは難易度ルナティックに変更。
有馬VSカネキはネテロVS王みたいなものになりますので、クインケでは決定打にならないので有馬は勝てません。
最終的にはカネキが
「
と覚醒するので大丈夫でしょう。無茶しやがって……。