オレだけなんか世界観が違う   作:ろくす

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感想、評価、誤字脱字報告ありがとうございます。
いつもとてもはげみになっております。

そろそろあらすじを書きかえないとまずいと思うのですが、なんと書けば良いのか解らず……。

前話に引き続き、修視点です。


先輩の楽しいランク戦講座

謎の先輩からのアドバイス通り、ランク戦や仮想訓練をしたが負けっぱなしで中々残念な結果だった。

始める前より減ったポイントに落ち込みながらも、一人反省会をしている。

 

 

「悪いとこばっかり出てくるな……」

 

 

もっと早く攻撃できれば、もっと警戒して不意打ちに対応できれば、遠距離からの攻撃に対して即座に離脱または接近ができれば……全てたらればの話ではあるが今の自分には足りないものばかりだ。

足りないことを自覚したのなら、落ち込んでばかりではなくどうやって補うかを考えなければと思えど、戦いというものに親しんできていない修には具体的な案が浮かばなかった。

 

 

「他の人の対戦を見て、参考にしよう」

 

 

できれば同じレイガスト使いの人が良い。

対戦ルームを覗いていくと、アドバイスをくれた先輩が戦っていた。

 

相手は弧月使いのようだ。

先輩は銃手で、ポイントは……3980。

B級になるには4000ポイント必要なはずなので、負け越している、またはメインのトリガーではないのだろう。

 

弧月使いの男性が斬撃を放つ。

先輩は、斬撃をやり過ごす傍ら体勢を低くすると片手を地面についた。

弧月使いの男性と、先輩の間に地面から壁がせりあがり一時的にではあるが分断された。

 

お互いの姿が完全に見えなくなった瞬間、弧月使いの男性は透明な足場を出して壁を乗り越えようとするが既に先輩の姿が消えた後だった。

姿が消えると同時に壁も消えたことから、遠距離からの銃撃を警戒してか壁を乗り越えるのではなく一時的な待避を選択した。

 

しかし読まれていたようだ。

後退したその場所にまさに先輩が身を隠しているとは思いもしなかったのだろう。

この時修は知り得なかった事だが、カメレオン起動中にそんなに早く移動できないだろうという相手の慢心もあった。

 

弧月使いが着地した瞬間姿を表した先輩の銃口はしっかりと定まっており、無防備な真横から銃弾の雨が降り注いだ。

不意を突かれた弧月使いの男性はそのままベイルアウトした。

もしや謎の先輩、思ったより強いのではないだろうか。

 

 

 

 

「先輩!」

「……あれ、修くんじゃん」

 

 

色々と聞きたいことがあったので、対戦ルームから出てくるところに声をかけた。

トリガーを片手にこちらに歩いてくる姿からは先ほどの戦闘の余波は感じられない。

 

 

「急にどーしたの?」

「実は、先輩にお願いがありまして……」

「オレに?」

「戦闘のアドバイスを頂けないでしょうか!」

「えっ……オレの?」

「早くB級に上がって、トリオン兵を倒せるようになりたいんです。その為に、ランク戦で勝てるようになりたくて」

「オレで良いなら、大丈夫だけど……修くん銃手?」

「あっ……」

 

 

しまった、という顔になる修に思わず苦笑い。

修にとって、現在ボーダーの中でB級に所属する知り合いは先輩しか居なかったため、思わずお願いしてしまった。

 

 

「ポジション関係ない基本のことで良いなら」

「お願いします!」

 

 

助け船を貰った修は迷わず飛び付いた。

千佳を守るには弱いままではいられないという思いが修を突き動かしていた。

 

とりあえず場所を移そうという話になって、食堂にやってきた。

昼時ではないのでいつもよりは疎らな空き具合に話をするにはちょうど良さそうだった。

改めて話すのが照れ臭いのか、先輩はわざとらしくコホンと咳をすると心なしか上ずった声で話始めた。

 

 

「あくまで個人的に思ってることだけどな、戦いの鉄則は絶対に正面から戦わないこと、だと思ってる」

「正面から戦わない……?」

「……例えばさ、自分と全く同じ戦闘能力の相手と戦って勝たなくてはならないときどうする?」

「それは……、相手のペースを崩したりするとかですかね」

「それもある。他にも不意を突くとか、そもそも戦わないとか戦闘に持ち込ませないとかの選択肢もあるけど、とにかく自分を相手より有利にする必要がある」

「自分を、相手より有利に……」

 

 

繰り返す修を見ると軽く頷きながら続きを話す。

 

 

「正面から戦うっていうのは、そういった選択肢をガクッと減らすものだと思ってる。特にC級同士の時とかな」

「……」

「別に卑怯でも良いんだ。勝たなきゃいけないときに勝てなくて後がなくなるよりも、どんな手を使ってでも勝って、生き残らなくちゃならない時があるかもしれない……って、普通はないけどさ」

 

 

真剣な顔で話している姿に、思わず緊張感から喉をならした。

最後は一転して明るくなるが、その何故か妙に実感のこもった言葉に笑うことはできなかった。

今は修にとって、どんな手を使ってでも生き残らなくてはならない時が来るなんて思えないが、ネイバーと戦うボーダーという組織に身を置く限り無いとは言えない。

 

 

「あー、なんか変な空気になっちゃった……とりあえず、C級で手っ取り早く勝つには相手の顔面を狙うと良いよ」

「……へ?」

「ほら、C級って、死なないって解ってても怖いと思って反射的に目をつむったりするんだよね。そこを狙ってスパッと!相手の嫌がることは率先してやってなんぼだから!」

「………………」

 

 

意外とクズ系な人なのかもしれない。

少なくとも笑顔で語る内容ではない。

片手を動かして何かを切りつけるような仕草をする先輩の人間性を疑った。

 

戦闘の心得が少しついたが、先輩への信頼感と好感度が若干下がった瞬間だった。

 

 

 

 

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