少し時間が空いてしまいました。
もうすぐ大規模侵攻に移行するので、そこからはあらすじをしっかり書き直そうと思います。
今日も3バカからポイントを貰った後、対戦ルームから遊真が出ると見覚えの有る後ろ姿があった。
これといって目立つわけではないが、いつも定位置のように同じ場所に座っているのを知っているので覚えてしまった。
オサムも居ないし、無視してもよかったが少し気になることがあったので近寄って声をかけてみる。
「あんた、いつもここにいるね」
「あぁ、修くんのチームメイトの」
「なんでいつもここにいるの」
「うーん……。他にすること無いし、落ち着くから?」
「ふーん」
ぼんやりとこちらを振り返ったその顔は至って普通のものだった。
先日オサムが力試しに挑んだときのような目はしていない。
なぜいつも対戦ルームに居るのかと素朴な疑問を口にしてみると、少し悩んだ後に言われた言葉に嘘はない。
どうせならといっそ全て聞いてしまおうと、ラッド捕獲作戦のあとオサムにも聞いた質問を繰り返した。
「あんたってネイバー?」
「……へ?」
一体何を言われたか、まるで理解できないという顔だ。
この時点で遊真はサイドエフェクト抜きに先輩とやらがネイバーではないことを半ば確信した。
念のため本人の口から聞こうと思ったので話は切り上げなかったが。
「こっちの人間にしてはおかしな所が多いから」
「いやいやいや!オレネイバーじゃないよ!」
「……ふーん」
「生返事!えってかオレどこら辺がネイバーっぽい?外見おかしい!?顔やばい!?」
ネイバーについてどんなイメージを持っているのか知らないが、自分の顔や耳を確かめるように触っている様子からしてネイバーには外見的特徴があると思いこんでいるようだ。
確かに外見的特徴がある国もあるが、それは後天的なものが多く、先天的にはこちらとあちらの住人に大きな違いはないのだが……。
ネイバーじゃない、という言葉には一切嘘がなかったことからネイバーではないのは確実となった。
「外見じゃなくて、価値観がなんだか日本人っぽくないと思ったただけ」
「……あー、それはそうかも。オレちょっと前まで海外にいたから」
「海外?」
「そうそう、海外。帰国子女ってやつよ。バイリンガルだぜー!」
何故かオーバーリアクションかつ偉そうに胸を張る姿に、帰国子女とはそんな偉いものだったろうかと思う。
確かにクラスメイト達は遊真が海外から来たと嘘をついた際もなにやら凄いだのなんだの言っていたが。
日本人にとって、海外に行くことは凄いことらしい。
「海外って、命のやり取りでもするの?」
遊真の言葉に先輩とやらは、スッと目を細めた。
出会った当初からの不自然なまでの明るい態度はそのままだが、僅かに警戒が伝わってくる。
「うーん。どういう意味かな?」
こういう笑顔で隠そうとするタイプには直球が一番効くのだと経験則で知っていた遊真は、ようやく相手の本音が聞けそうだと思う。
「あんたの目的が知りたい」
オサムの師匠でなければ怪しかろうと見逃していた。
でも、この男はオサムの師匠として、比較的近い位置にいる。
迅さんが見逃しているということは大きな危害を加えないのかもしれないが、警戒心は持っておいても損はない。
目的、という言葉に困ったような顔になる先輩とやら。
「目的っていったってなぁ」
「オサムを利用する気か」
「……修くん?」
オサムという言葉に、先ほどまでの緊張が霧散した。
真剣な話の途中に急に天気について聞かれたような、まるで思いもよらないことを聞かれたといった様子だ。
「あっ、なに?修くんにオレがなんかしないか警戒してたの?なーんだそんなことないから!神に誓ってもいいよ!そもそも修くんと会った事自体偶然だから!」
と、すっかりいつも通りの調子に戻ってしまった。
しかし、遊真としては最低限の目標を達したのだから良しとする。
ひとまず本気でオサムに対して悪意や害意はないのが確認できたのだ。
後は遊真が口出しすることではないだろう。
「色々ブシツケに聞いて悪かったな」
「いやー、修くんと順調に友情を育んでるみたいで先輩は安心したよ!オレが言う必要無いだろうけど、これからも修くんをよろしくな!」
「先輩もな」
「ははっもうオレの指導なんか修くんには要らないと思うけどな」
すっかり当初の調子で笑う先輩とやらに、散々勝手に詮索した謝罪といってはなんだが、一つだけアドバイスをしようと思った。
「あんた、ずっと起動したトリガー持ってるのやめた方がいいよ。要らぬ疑いをかけられても仕方ないから」
「……えっまじ?」
「マジマジ」
「そっかー……すっかり意識してなかったわ。指摘ありがとうな」
遊真の言葉にトリガーを消した先輩とやらは、どこか収まりが悪そうだった。
しきりに腕を組んだり回したりと落ち着かない様子だ。
あんな風に、武器がないと安心できないヤツは向こうで何度か見た事がある。
平和な所で暮らしていた人間には理解できない感覚かもしれないが、彼らにとって武器がないということは丸裸で銃口を向けられているのと同じくらい恐ろしいものなのだ。