オレだけなんか世界観が違う   作:ろくす

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随分と久しぶりです。
ですがそんなことよりもワートリ連載再開おめでとうございます!!!!
やった!!!!!

放置期間の感想、評価などもありがとうございます。


遊真と先輩

実は、研究職員(偽)になってから一番付き合いがあるのは空閑くんである。

 

理由は簡単で、ボルボロスの実戦データを取る時に都合がいい(事情を知っている、サイドエフェクト、オレより全然強い、同じブラックトリガー持ちなどなど)ため、不定期だが玉駒から来てもらって模擬戦をすることが多い。

 

今日もボルボロスのデータを取って、その特性を転用したトリガーを作れないかと研究者の皆さんは目を血走らせている。

銃型トリガー以外を使うことになれてないオレは試行錯誤しながらやっているがどうしても空閑くんにはボコボコにされる。

せっかくのブラックトリガーが泣いているかもしれない。

 

 

『あー、神崎、次は新作のテストよろしく』

「うっす」

 

ガラスの向こうから届けられる声に、ボルボロスをトリガーオフすると格納場所に置く。

床からつきだしたような円形の入れ物に入れると自然と床に食い込むように下がっていき、代わりに新作のトリガーが出てくる。

 

 

「じゃー空閑くん、もう一戦お願いします」

「今度はどんなやつ?」

 

 

こういう新作のテストに空閑くんは割りと乗り気だ。

ネイバーフッドには無かった発想で作られるトリガーは興味をそそるらしく、いつも聞いてくる。

まぁ、空閑くんのブラックトリガーの学習機能からして単純に新しい手札が増えるからだろう。

ちなみにレプリカ先生はこちらの戦闘データ解析のためガラスの向こうだ。

今頃オレのあんまりな動きを丸裸にされてるんだろうな……。

 

 

「残念ながら、今回はご期待に添えないだろうね」

『今日テストする試作2439号は、君の戦闘スタイルから発想を得たものだ。神崎、起動してくれ』

「了解です。トリガーオン」

「……へぇ」

 

 

換装された姿は、無手。

つまり、素手だ。

手袋に鉄板が仕込んであるような膨らみがあることを除けばいたって普通の格好だ。

 

 

『ゲームとか漫画で馴染みがある銃や刀と違って素手での格闘は抵抗がある人も多くてね。下手に学習させて戦闘技能を生身で悪用されても困るから今まではお蔵入りさせてたんだけど……』

「適任が出来たから作ったってことか」

「暴力はんたーい」

 

 

誰も突っ込んでくれない。

まぁ解ってはいたが。

適任、と言われたがオレ自身の近接格闘への適性はそんなない。

殴ることに抵抗がないこと位で、前いたとこでは素手での取っ組み合いなんて子供同士のじゃれあいか大人からの暴力への抵抗でしか使用することはなかった。

本当は空閑くんに使ってもらう方が良いのだが、玉駒支部の人をそうほいほい呼べるわけではないので代打バッターとしてのオレって感じである。

 

 

「じゃ、お手柔らかに」

「ヨロシクオネガイシマス」

 

 

拳を打ち付けたあと見よう見まねのファイティングポーズを取るオレと、自然体のままこちらを見る空閑くん。

目標は不意打ちでもいいので一発入れることである。

脳内で燃えよドラゴンのBGMを思い出してテンションを上げる。

 

 

『開始』

 

 

戦いのゴングが鳴り響く……みたいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ、解ってたけど清々しいほどにボコボコにされたな!」

 

横で寺島さんが渡したジュースを飲む空閑くんの表情はいたって余裕。

当然の結果って感じだ。

 

開幕まずオレは思いっきり拳を振りかぶり愚直な右ストレートを一発。

様子見かギリギリまで引き付けてから半歩避けた空閑くんに、それを待っていたとばかりにトリガーの機能を使用。

延びきった腕を引き戻して更に反動を利用した回し蹴りをお見舞いする。

突然の不自然な加速に飛び退いた空閑くんが居た場所をジェットで加速された足がすり抜ける。

 

なるほどね、と呟いた空閑くんにはもう種はばれてしまったようだった。

 

 

「で、どうだった?」

 

 

寺島さんコーヒーあざっす!

渡されたコーヒーを受けとると、プルタブに手をかけながら感想をのべる。

 

 

「うーん、正直イマイチっすね」

「どこら辺が?」

「拳と足の加速ってシンプルですけど種がばれたらすぐ対応されるし、遠距離に無力じゃないすか。あと反動が結構バカにならないので姿勢制御がキツいです」

「そういうけどなかなか変態染みた動きしてたと思うけどな……対戦相手から見たらどう?」

「まだ実戦では使えないと思う。先輩先輩が最後の方に攻撃を避けるために無理やり反対側に伸ばした腕で身体を動かしたりしてたけど、一対一ならともかく多人数の時はスナイパーの餌でしかないし。けど遠距離型が持ってると緊急回避にも使えるし不意を打てるから調整次第?」

 

 

後ろではレプリカ先生がかなりハイレベルな議論をしているが理解できない。

ネイバーフッドにも似たようなトリガーがあったらしく、その時のデータを渡して神のように崇められてる。

研究室は割りとレプリカ教みたいになりかけている。

 

まぁ確かに近接されると弱い銃型トリガー使いとかには良いと思う。

それにちょっと調整すればガンカタとか出来そうだし浪漫もある。

ただ、今のところは浪漫の域をでないって感じだ。

寺島さんはなるほどね~と言うとそのままデスクに向かっていった。

何か改善案が浮かんだのかもしれない。

こういう時、空閑くんはもう帰っていいよとのこと。

 

 

「じゃ、今日もありがとうな」

「別に」

「クール!くっそう次こそは一発入れるからな!!!覚悟しておけよ!」

「勝つんじゃなくて一発でいいのか」

「それは多分まだ無理!」

 

 

堂々と胸を張るオレに呆れたような空閑くん。

先輩の威厳などない。

正直、初めて出会った時からすると今みたいな関係になるとは思っていなかった。

 

オレも空閑くんもお互いに関わろうとはしていなかったし、距離を詰めるきっかけもなかった。

それが今は、一方的にボコられるだけとはいえ一緒にジュースのんで、当たり障りないとはいえ日常会話もしている。

友達と呼ぶには距離があるが、友達の友達としてはなかなかいい関係を築けているのではないだろうか。

 

 




先輩の格闘型トリガーの適性は抵抗なしだけじゃなくて、サイドエフェクトのブーストありも含めての話です。
同条件で戦えば普通に有利。
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