東方創造伝   作:るーびっく☆きゅーぶ

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不定期とはいえ一週間空いてしまったorz
申し訳ありません。
もう少しペースを上げれるよう努力します。


第16話 都市での騒動

 

 

 

月夜見が俺の嫁になってから数日が経った。

都市は月夜見が結婚したとなって大騒ぎだった。

 

男達は相手は誰だ、相手を殺してやるなど恐ろしいことを口々に言っていた。

女性陣は逆に、月夜見が結婚する程の殿方と会ってみたいという一種の希望のようなものを持ち始めていた。

 

 

「お主いつか刺されるぞ」

 

「かもな〜…」

 

 

怖いことを言ってくれるな。

 

神美は月夜見を側妻と認めたあと、都市に住むことになった。その際、永琳に頼み込んで同じ部屋を新しく借りることにした。

 

神美が俺の妻であること、同じ部屋で暮らすことを伝えると永琳は了承の意を示してくれた。

しかし、その時の永琳の顔を見て俺は違和感を覚えていた。

 

口元は笑っているが、目に光がない。

全体的に身に纏っている負のオーラ的な何かが、逆剥けのようなスッキリしない空気を作り出していた。

 

 

「こっちに来てみてどうだ?住み心地は」

 

「良いぞ…特にお主がおる時点で天界と比べものにならん」

 

「そうか、なんともむず痒いな…」

 

嬉しいんだが…周りからの視線が結構痛い。

大人が幼女と一緒に並んで、それもイチャコラしてたら確かに怪しまれるけど…

その幼女は何億歳ですよ皆さん。

 

 

「今失礼な事考えておったろ」

 

「な、なんの事かな?」

 

 

神美によると、心を読むと知りたくないことも知ってしまうらしく、自制することを覚えたらしい。

 

それでも女性の勘と言うのだろうか…稀に心の内を的確に言い当ててくるのだ。

 

 

 

「まことさまぁぁ〜〜」ダキッ

 

「グォッ…どうした月夜見、都市の真ん中で抱き付いてくるなんて…」

 

 

どこから来たのか、月夜見が背後から抱き付いて来た。勢いが強すぎて前のめりに倒れそうになったが、なんとか踏ん張ることができた。

 

だが問題は倒れそうになったことではない。

 

都市の人達の視線がさらに痛い。

神美だけでも怪訝な目で見られてたのに、さらに月夜見が抱き付いてきたことで、針から刃物にグレードアップしてしまった。

 

 

「都市の人達の視線が痛いから、一旦離れてくれ」

 

「いいじゃないですか〜、側妻といっても夫婦なんですから〜」

 

 

ギロッ

 

「ヒェッ」

 

 

何てことを…月夜見…お前は何てことを…してくれたんだ…

 

都市の男達が怖えぇ!

相手が俺だと知って、その場にいた男達が全員俺を睨み付けた。

その憎悪に満ちた双眸はしっかりと俺を捉えており、血が滲むのではと思うくらいに拳が握り込まれていた。

 

あ、1人こっちに走って、ってヤバい!?

 

 

「い、一旦離れ「死ぃぃぃねぇぇぇぇ!!!」デジャヴ!?」

 

 

殴りかかってきたぁぁぁ!?

 

 

「何しとるんじゃぁぁぁぁ!」

 

「あべしっ」

 

 

殴りかかってきた男が、神美の華麗な回転蹴りで弧を描いて飛んでいった。

 

 

「我ら変態紳士達の夢を絶った貴様は許せぬぅぅ!」

「我が友よ!共に立ち上がれ!」

「サンダークロススプリットアタァァァァク!」

 

「なんか変なの混じってるぅぅぅ!」

 

 

ある変態紳士が声をあげると、他の変態紳士達が集って俺に襲い掛かってきた。

 

たが奴らは知らない。

俺に拳を振るうことは愚行だということを。

 

 

『私の旦那に何しようとしとるじゃぁぁぁぁ!』

 

『ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 

 

 

「…今日も平和だな」

 

 

〜しばらくして〜

 

 

「大丈夫かあいつら…」

 

「大丈夫じゃろ」

 

「大丈夫ですよ」

 

「…そうか」

 

 

神美と月夜見にフルボッコにされた男達は、都市の救急隊と思われる集団に搬送されていった。

搬送される際、一人の男が呟いた一言が脳裏によぎった。

 

 

我が生涯に一片の悔いなし

 

 

それでいいのかお前ら…

 

 

「そんな事より、真様、お怪我はありませんか?」

 

 

そんな事っておまっ…

 

 

「あぁ、無いよ。別に殴られたぐらいじゃ擦り傷もつかんよ」

 

「相変わらず頑丈じゃな。ちと妾の本気の一撃を受けみるか?」

 

「遠慮しておきます」

 

 

神美の本気の一撃とか笑えない。

震えとるけどこれは怯えてるんじゃない、武者震いだ。

 

 

 

「真〜」

 

「ん?」

 

 

遠くから俺を呼ぶ声が聞こえる。

声がする方に視線を移すと、一人の女の子が手を振っている。

いや、あれは永琳だ。

 

 

「あの娘は…確か永琳?じゃったか?こんな所で声をかけてくるとはの。何かあったのか?」

 

「それは本人に直接聞いてみれば分かることさ」

 

 

俺達は永琳に向かって歩き、対して永琳は小走りでこっちに向かってきた。

 

 

 

「どうしたんだ?」

 

「さっき男達が搬送されていったから、気になってこっちに来たら真がいて…」

 

「あれやったの俺じゃなくて、神美達だから」

 

「え?」

 

 

俺の神美達という言葉によって、永琳の思考は一瞬止まった。

神美達という言葉には、神美だけでなく月夜見も入っている。

 

 

「え?え?月夜見様が?」

 

「ん?なんですか?」

 

 

月夜見はまだ自分が話中の人物であることを認識していないのだろう。

 

 

「別にいいだろう…ぶっ飛ばされてた本人達も、幸せそうな顔をしてたじゃないか」

 

「いいんですかそれで…」

 

「いいんじゃないかな」キリッ

 

 

永琳が眉間を摘みながら溜息を吐いた。それを見るとなんだか悲しくなってくる。

 

 

「まぁいいわ…私はあの騒動を見なかった事にするわ。ところで真、貴方に折り入って頼みがあるの」

 

「ほう、なんだい?俺に頼み事なんて、永琳なら人に相談せずとも基本的に全部熟るじゃないか」

 

「確かにそうなんだけど…今回はそうもいかなくて」

 

 

俺は永琳の教師をしているが、ここまで思い込むのは珍しい。

少しばかり話が長くなりそうだ。

そう考えると横2人…

 

 

「とりあえず落ち着けるところで話さないか?神美と月夜見がボーッとしてるから」

 

「それもそうね。一旦家に帰りましょうか」

 

 

 

〜永琳宅〜

 

 

 

「で?頼みというのは?」

 

「ええ、一つ目は私が勉学を教えている姫様に、私と同じように教師をして欲しいの」

 

「永琳と同じように?」

 

 

姫様ね〜…聞いた事がないな。

それも永琳と同じように教えるとなると、それだけの頭脳持ち合わせているという事だろうか。

 

 

「ええ、姫様の保護者に頼まれたんだけど…姫様が…なんというか…言う事を聞いてくれなくて」

 

「我儘?」

 

「う〜ん…」

 

 

俺の問いかけに永琳は口籠ってしまった。答えたくないのか、答えられないのか。

まぁ百聞は一見に如かず、直接見てみたほうが早いだろう。

 

 

「わかった。とりあえず教えるかは別として、永琳がその姫様に教えてる所を見せてくれ。それから検討しよう」

 

「わかったわ。それと二つ目なんだけど…」

 

 

永琳がそこまで言って、再び口籠ってしまう。

 

数刻…沈黙が続く。

都市で永琳と会ってから既に空気だった神美達が、一層薄くなっていく。

 

永琳は言おうか言うまいか、まだ迷っている。

 

そして決心したかのように瞼を閉じると、その状態で話し始めた。

 

 

 

「近頃妖怪達の動きが活発になったのと、地上の穢れが増えてきたせいで、地上を離れなければならないかもしれないの」

 

「…?」

 

 

 




次回 教え子が増える?
戦闘と言う名のお遊びもできるかも。

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